【言語系コース】
 

 
有 澤 俊太郎(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部の授業においては,「中等国語科指導法(授業論)」において,平成23年度は特に教科書教材の指導法の開拓に力を入れ,実践的な授業展開を考えるための基礎力を培った。成績の評価に関しては,授業評価アンケートの内容などから,おおむね所期の目標を達成できたものと考える。
【観点2】教育の達成状況
平成23年度は,学部4年生1名,修士課程2年生1名・修士課程免P生1名の指導を行った。このうち,学部4年生は埼玉県小学校教員採用試験に合格することができ,修士課程2年生1名も和歌山県小学校教員採用試験に合格することができた。
研究指導
【観点1】学部
学部のセミナーでは,特に卒論研究に時間を割き,臨床的なテーマを選択することと,それを実践的にどう具体化して授業プランにおとしていくか,についての指導を重点的に行った。学部4年生は,金子みすゞの詩教材指導のあり方を具体的に考案するなど,臨床的な実践力を念頭に置いた卒業研究に仕上げることができた。
【観点2】大学院
大学院修士課程の論文では,ファンタジー教材指導の一環として,あまんきみこの作品を取り上げ,具体的な読みの方法論を探るとともに,それを自覚的に教材の読解に活かせるような授業展開のありようを探ることなどを念頭に置いた研究指導を行った。
その他の教育活動
・ 教育実習では,5月の中学校実習や9月の小学校実習中に教材研究を行うとともに,研究授業の参観と事後指導にも力を入れた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成24年2月:『教育・修辞・方法』(単著) 東京書籍 176頁
(2)平成23年10月:「教材の開発と産出」「指導の評価・留意点」(共著) 『新版 中学校高等学校国語科教育法』 おうふう
(3)平成23年12月:「国語(言語)カリキュラム」(分担執筆) 日本国語教育学会 『国語教育総合辞典』 朝倉書店 12〜23頁 
(4)平成23年8月:「常用漢字表の改定とこれからの国語教育」(分担執筆)『最新教育課題解説ハンドブック』 ぎょうせい  1260〜1263頁
論】(1)平成24年3月:「分析事例―問題場面観察法」(分担執筆) 全国大学国語教育学会 『国語科授業分析の方法』 46〜55頁
業】(1)平成23年11月:「文学的文章の評価について」(単著) 東書Eネット(東京書籍)
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:全国大学国語教育学会常任理事, (2)平成23年度:日本読書学会理事, (3)平成23年度:日本国語教育学会全国理事, (4)平成23年8月5日:第55回 日本読書学会研究大会出席, (5)平成23年8月6日〜平成23年8月7日:日本国語教育学会全国大会出席, (6)平成23年5月28日〜平成23年5月29日:第120回 全国大学国語教育学会京都大会出席, (7)平成23年10月29日〜平成23年10月30日:第121回 全国大学国語教育学会高知大会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越国語連絡協議会夏季研究会講師
(2)福井県中学校教育研究会国語部会講師
(3)日本国語教育学会新潟支部研究会コーディネーター
(4)上越国語同好会鼎談
(5)上越市立図書館協議会会長
 

 
小 埜 裕 二(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
担当全授業において具体的なシラバスを作成し,ほぼシラバスどおりに授業を行った。成績評価についても,シラバス及び授業初回時に示した方針に基づき行った。教員養成を目的とする本学の学生に,小・中・高等学校の国語を担当する上での十分な能力・技能を身につけてもらうことを念頭におき,授業を展開した。また,読書に対する興味・関心を抱き,学校現場で児童・生徒に豊かな読書生活の習慣を授けることのできる力を身につけてもらうことにも配慮した。
【観点2】教育の達成状況
学部の授業では系統性に配慮したカリキュラムを組み,教員養成大学に相応しい文学テクストの基礎的な読解技能が段階を追ってマスターできるよう工夫し,成果を挙げた。大学院の授業ではテクスト読解のための専門的技能を身につけることが出来るよう様々なアプローチの方法を提示した。授業及び各種セミナーを通じて,文学研究に関するテクスト理論の実践化に力を注ぎ,一定の成果を挙げたと考える。卒業生・修了生とも,希望の進路についている。
研究指導
【観点1】学部
学部学生には小・中・高等学校における国語の実践的能力を修得させるため,文学作品の解釈を中心とした共同討議を課外活動として毎週(金曜5限)行った。これは,担当の学生が毎回,資料を作成し,それに基づき,話す・聞くの活動を重視して展開したものである。この討議には大学院学生にも参加してもらい,学部学生への指導を通じ,より高度な読みの実践力と指導力を身につけてもらうことを図った。また学部・大学院学生連携の国文学実地踏査研究を2月に行った。行き先は東京方面。
【観点2】大学院
上記の課外活動に大学院生に加わってもらい,その場を通じて,より高度な読みの実践力を身につけてもらうよう指導を行った。さらに大学院学生には,個々の研究テーマに即した個別指導を毎週定期的に行った。修士論文指導を行った学生は,M1が4名,M2が2名,D2が1名,D3が1名である。個別指導は定期的なもの以外に,不定期に多くの時間を費やして行った。
その他の教育活動
・ 上越看護専門学校において「日本文化論」の非常勤講師を務めた(15コマ)。
・ 富山大学において前期・後期に「日本文学演習」「日本文学特殊講義」の非常勤講師を務めた(15コマ×2)。
・ 教育実習において学部学生5名,大学院生1名の指導を行った。
・ 附属中学校における「国語」研究授業の指導者を務めた。
特色ある点及び今後の検討課題等
学部の授業では系統性に配慮したカリキュラムを組み,教員養成大学に相応しい文学テクストの基礎的な読解技能が段階を追ってマスターできるよう工夫した。大学院の授業ではテクスト読解のための専門的技能を身につけることが出来るよう様々なアプローチの方法を提示した。本年は昨年に引き続き,授業及びゼミを通じて,文学研究に関するテクスト理論の実践化に力を注いだ。今後の課題としては,読解技能がより身近なものとして教育現場で活用されるよう,一層の工夫を行いたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年7月:『童話論宮沢賢治 純化と浄化』(単著) 蒼丘書林
(2)平成24年3月:『解説小川未明童話集45』(共著) 北越出版
◎特色・強調点等
三島由紀夫に関する研究,及び宮沢賢治に関する研究,及び郷土作家である小川未明の研究を3つの柱として進めている。今年度は,宮沢賢治研究の成果を公刊することを目指すと同時に,科学研究費に基づく研究として小川未明童話全集未収録作品の収集と研究に取り組み,2冊の研究著書を公刊した。また,小川未明小説研究会を市内にて開催した(毎月1回)。この研究会は,科学研究費に基づく研究促進および地域貢献として寄与している。
2010年度前期に得たサバティカルの研究成果を,本年度に『童話論宮沢賢治 純化と浄化』(単著,蒼丘書林)として刊行し,また2010年度まで実施してきた科学研究費補助金による研究成果を,本年度に『解説小川未明童話集45』(編著,北越出版)として刊行した。とくに後者の著書は,本学修了生や卒業生との連携や地域との連携に大きく寄与できたと考える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)「前島密とふれあう」ふれあいハガキコンテスト選考委員(上越商工会議所)
(2)「小川未明小説研究会」主宰(小川未明童話研究会)
(3)出前講座講師(村上中等教育学校)
(4)長野県カルチャーセンター講師(芥川賞作家の名作を読む)(長野県カルチャーセンター)
(5)小川未明文学館講座講師(上越市 小川未明文学館)
(6)上越教育大学公開講座(上越教育大学)
(7)教員免許状更新講習(上越教育大学)
(8)「骨髄バンクにまつわる命の作文コンクール」審査委員(特定非営利活動法人骨髄バンクサポート新潟)
(9)没後50年記念シンポジウム小川未明童話の再検討(小埜裕二・小川未明童話研究会)
(10)林芙美子『放浪記』講演会講師(森光子「放浪記」記念碑を建てる会)
(11)宮沢賢治研究会講師(宮沢賢治研究会)
(12)「上越詩を読む会」主宰
(13)小川未明顕彰委員会委員(上越市文化振興課)
◎社会への寄与等
上越市及びその近隣の市を中心に,いくつかの講座の講師を務めるとともに,研究領域にかかわる審査員等を務めた。また郷土の作家である小川未明に関する研究会を本年度も引き続き主催した。月1回の研究会で30名の市民が参加する。社会的活動のなかで,本年度は「没後50年記念シンポジウム小川未明童話の再検討」を本学で行ったことを大きな成果として挙げておきたい。作家の杉みき子,小川英晴ほか未明研究者をふくめた4名でシンポジウムを行った。
 

 
下 西 善三郎(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
参加型・双方向的な授業の運営を心がけ,受講者には,その旨,講義・演習等の初回ガイダンスにおいて周知をはかった。とくに,人に聴かせてわかる話し方,発表態度等,プレゼンテーションの訓練として毎回の授業に臨むことを要求し,将来的な臨床場面(学校における教室現場,また,諸種の会議等人前で発表すること)へのたしかな対応力,基礎力を培う事をめざした。講義科目では,一つのテーマを通時的に眺めわたす工夫をし,最近の研究成果を盛り込んで内容構成を図った。講読・演習の科目では,各人に事前に発表の指針を与え,レジュメの作成の仕方,読んでおくべき文献等について指示し,個人の事前学習における効果や内容の理解を深める工夫を行った。成績評価については,授業出席,積極的な発言,取り組みの態度,試験・レポート等を総合的に判定して評価することを伝え,各回の授業への積極的参加を促した。
【観点2】教育の達成状況
受講学生による「授業評価」によれば,単独開講授業に関しては,おおむね95%以上の学生が有益感をもっていることがわかった。所期の目的は,ほぼ達成されているものと考えられるが,なおいっそうの工夫を重ねるべきところがある。
研究指導
【観点1・2】学部・大学院
学部・大学院の有効的な連携をはかり,教育・研究成果をあげるために,学部・大学院合同ゼミをおこなっている。学部学生および大学院学生自身の興味・関心に基づく分野から,問題・課題の発見と解決の方法を自主的・主体的に身につけさせることを心がけ,日本古典文学領域における,読んでおくべき基礎文献の探索,先行論文の理解,テクスト本文の読解,課題発見・解決の手続き,発表,等を通じて基礎力の涵養につとめ,臨床的応用場面への対応力を育成できるように日本古典文学の領域からの指導をおこなった。学部学生と大学院学生の合同ゼミでは,発表の仕方,レジュメの作成の仕方を学部学生が学ぶ場とした。発表についての互いの意見交換があり,相互啓発の有効な場となった。大学院生が指導的立場に立つことによって院生自身の研究への自覚をうながすこととなり,学部学生は,院生の発表を通じて,多くのものを学んだ。また,現職院生の活用という観点から模範授業を試みた。本年度の学部ゼミ指導は,2年生3名,3年生3名,4年生2名。大学院ゼミ指導は,院2年生1名,院1年生1名であった。
連合大学院では,博士課程学生の指導教授として2名の研究指導に当たった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年11月:『宮沢賢治と<まことの文学>』(単)第27回 暁烏敏賞入選論文(石川県白山市), pp.5-18
学会活動への参加状況
(1)6月および2月:上越教育大学国語教育学会, (2)10月:中世文学会, (3)3月:北陸古典文学研究会
国内外の学術賞の受賞状況
(1)平成23年11月15日:暁烏敏賞受賞(白山市教育委員会) 受賞対象論文『宮沢賢治と<まことの文学>』
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月:高田文化協会伊東汎賞選考委員会委員
(2)5月:伊東汎賞選評を『文藝たかだ』に掲載
(3)10月:上越タイムス 作文選考委員会委員
 

 
野 村 眞木夫(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
1) 学部・大学院ともに書記言語(テクスト分析)と音声言語(談話分析)の研究成果を反映した教育を展開し,教育現場での学習材分析・授業分析に資する能力を育成している。教科書は共著者として関与したものを用い,フリーの音声分析ソフト,言語分析用コンコーダンサ等を学生各自のパソコンにインストールさせて,実践的に展開している。特に学習材の分析や授業分析に有用であることを念頭におき,各自の問題意識に沿ったレポートにより,理論と実践のマッチした成果を評価対象としている。学部の演習は,グループ学習の形態をとりいれ,ワークショップ方式で展開している。レポートはグループでの研究成果と個人の研究成果の双方によって評価している。
2) 主に2010年以降,言語学にも導入され始めた「マルチモーダル(マルチモダリティ)」の考え方に基づき,文字・音声言語とそれ以外の画像情報,動的な情報等を均質的に観察の対象とする方法を取り込みながら,指導方法を改善している。今後,更に学界の動向に即して新たな展開が可能である。
3) 現代日本語と古代日本語の文法を対比的に取りあげ,言語変化・語義変化・文法の変化等について教授している。この授業は,現代語に関する自分自身の言語直観をデータとすること,授業開始時に前回の講義内容のショートテストを実施することで,能力の定着をはかり,このテストの結果とレポートの双方で評価を行っている。
【観点2】教育の達成状況
1) 大学院では,特に音声言語とテクスト分析の能力を育成しているが,レポートや修士論文中間発表,修士論文作成において,講義・演習において教授した知見や分析手法を駆使して各自の課題に取り組んでいることが明らかであり,十分な教育の成果が達成されているものと判断している。過年度の修了生は,学会誌に掲載した論文について,他学会の学界展望によって高い評価を得ている。
2) 平成23年度の学部卒業生は2名であるが,1名が小学校教員として正採用,他の1名が講師として採用されている。それぞれ,学部卒業論文を学習材分析や授業分析,授業実践に直結させうる方向性を獲得しているので,現場において一定以上の実践力と研究能力とを継続できるものと判断している。大学院修了生は,既に外国の大学における教員であったので,これに復職し,日本の全国レベルの学会に入会し,発表を準備中である。いずれも,本学における教育研究指導の成果が十分に反映されているものと判断する。
研究指導
【観点1】学部
学部の卒業論文で,1名は研究成果を小中学校の学習材分析に応用することを目的に,青少年向けの現代小説における感情表現の実態を調査した。感情表現については既に先行研究があるので,それらを調査し最適なカテゴリーを矛盾のないように取りだして項目化し,表計算ソフトを活用して,具体的な表現を書き込んだデータベースを作成した。これにより,主観的な表現を客観的に記述・観察することを可能にした。この成果は国語科の特に文学的な学習材や作文教育に適用することが可能であり,教育現場での実用に耐える方法と知見である。他の1名は,文章の展開過程を記述する方法の確立と,特に文学的教材や推論を必要とする説明文教材への応用を視野に入れて,文章を理解する際,ある段階でそれ以降の文章展開がどのように予測され,またその予測の機能的な種類にどのようなものがあるかを検討した。具体的な資料には,推理小説など文学的な作品をとりあげ,そこに見いだされる推論や予測に関わる文章展開上の要因をとりだすことで,種々の国語学習材を理解するための基礎的な知見を獲得させることができた。その他,3年次学生3名に対しては,文章論と意味論が主たる研究テーマであるので,具体的な研究課題を構築するために,これまでの関連領域の学術論文・著書をリストし,その中から関心のひかれるものについて,講読を展開し討議させることで内容や言語現象の具体的な理解を深めることができた。
【観点2】大学院
修士論文の指導において,M2のうち1名は,日本語教育の観点から,日本語とベトナム語の談話における依頼に対する断りの表現を分析し,言語の学習者において母語の転移がどのように認められるか,また日本語の談話に於いて相づちやフィラーがどのように使用されているかの実態を調査し,これを基礎として断りのストラテジーについて両言語での共通点また相違点をとりだし,日本語教育の実際に運用可能な見解を構築することができた。本国で既に現職の大学教員であるので,さらに臨床的な力量が修得された。1名は,認知心理学の観点を加味しながら,言語理解においてはたらく予測能力に焦点化した研究を展開した。ともに新しく開発されつつある研究方法を駆使するものであって,方法論と分析手法の双方の検討が先ず必要とされる。M1の1名は,ライトノベルの表現を研究課題とし,特徴的な作品群から,間テクスト的な特徴,登場人物とその関係性の特徴,ストーリー展開の特徴をさぐる作業を継続している。作品の数量は相当数に達しているものの,ジャンルの歴史が浅く,先行研究が極端に少ないため,研究方法の開発から出発するので,テクストの分析にかかる臨床力は高度に培われるものと考える。
その他の教育活動
初等・中等教育実習において,初等は3名,中等は2名の学生の指導をおこなった。それぞれ事前に学習材の分析の観点,実習中に訪問観察,事後に授業実践にかかるアドバイスを実施した。平成23年度に4年次であった学生2名は,1名が小学校教員採用試験で正採用,1名が講師となり,十分な成果があったものと判断している。他に,保育実習等において学部2年次学生1名,学部4年次学生4名について訪問観察を行い,特別支援等に係るアドバイスを行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
専門は日本語のテクスト言語学の理論的な研究であるが,文章と談話を具体的な研究対象としているので,学習材の分析と授業実践の活動に直接有効性をもつ方法や観点を教授することができる。このことから,特に学部レベルの教育活動においては,教育実習ならびに卒業後の学習材分析や授業分析の能力の育成を明確にしながら演習・講義科目を展開している。学習指導要領で敬語の区分が修正されていること,現代語と古典語の橋渡し,音声言語の記述・分析方法の能力の教授などをほぼ完全に教育活動において実施すべく,担当授業科目のシラバスを構築している。さらに,マルチモダリティの観点を導入した講義を平成22年度から試行している。これは,大学院では明示的に実施し,学部では試行段階だが教職実践演習で導入した。マルチモーダルな観点の方法論的な検討が求められる。海外では,理数系の授業を対象にした研究が進んでいるが,国内では人文系ともに不十分な段階にあると考えられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年6月:『日本語 文章・文体・表現事典』(共著) 朝倉書店
論】(1)平成23年6月:『【書評論文】石黒圭著『日本語の文章理解過程における予測の型と機能』』(単著) 『日本語文法』11-2,pp.154-162
(2)平成24年2月:『文学テクストにおけるマルチモダリティの可能性 ―物語絵本からExtremely Loud and Incredibly Closeまで―』(単著) 『上越教育大学研究紀要』31.pp. 213-225.
(3)平成23年10月:『表現研究関係文献紹介:中村,佐久間,高崎他編『日本語文章・文体・表現事典』』(単著) 『表現研究』94. p.50.
他】(1)平成23年4月(常時更新):『オンラインテクスト言語学/テクスト言語学の解説,研究方法,基本情報,研究業績,入試情報等』 http://www.juen.ac.jp/lab/nomura/(本学のサーバー上:約4メガバイト)
学会活動への参加状況
(1)表現学会理事, (2)表現学会編集委員, (3)日本語文法学会学会誌委員, (4)北海道大学国語国文学会編集委員, (5)日本文体論学会査読委員(臨時), (6)平成23年6月4日〜平成23年6月5日:表現学会全国大会(関西外国語大学)出席,同時開催の表現学会理事会にも出席, (7)平成23年9月17日:計量国語学会(立正大学)出席, (8)平成23年8月6日:表現学会編集委員会及び運営委員会(共立女子大学)出席, (9)平成23年6月18日:上越教育大学国語教育学会出席, (10)平成24年2月18日:上越教育大学国語教育学会出席
◎特色・強調点等
・ 日本語をテクスト言語学の観点から,記述・分析している。マルチモダリティの考え方を導入し,テクストを複合的な視点から観察することを可能にしている。談話については,言語表現と非言語行動の複合として記述する必要がある。後者についてジェスチュア,視線,姿勢,音声的な特性等を対象とする研究が求められる。書籍体のテクストについても,印刷形態やレイアウト,さし絵等が検討の対象となる。絵本については,言語表現と絵画表現について統合的に理解するモデルを構想し,以上について学部(教職実践演習等)・大学院の講義と論文発表を行っている。以上のことから,従来のテクスト言語学や文章論,談話論,文体論の枠組みを拡張し,とりあげるメディアやジャンルをも多様にカヴァーすることが可能になる。
・ 統合的なソフトウェア"ELAN"を導入し,ビデオ資料を対象として,談話における言語と視線・動作のシンクロナイズする実態を記述解析することを可能とした。これは,従来の表現研究を大幅に進展させるものであり,大学院の演習に活用している。
・ 専門領域とする日本語学およびテクスト言語学の領域での学会に係る貢献をはたしている。特に表現学会は,日本語と諸外国語による文章・談話を語学のみならず,文学・言語教育等との関連で研究することを目的とする。この学会の運営と学会誌の編集に継続的に関与しており,貢献度が高いと認識している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成22−23年度文科省委託事業『教科専門と教科教育を架橋する教育研究領域に関する調査研究』(上越教育大学)
(2)同シンポジウム(23年6月11日)富士ソフトアキバプラザ(東京都)出席
◎社会への寄与等
免許更新講習では,高等学校における文学教材を捉えるための視点の一つとして「人称」の概念が有効であることを示し,それを具体的な学習材に適用しながら実践的に教授した。単なる登場人物の心情の理解ではなく,手続き的に考えることができる契機を提案したことで,高い評価を得ることができた。
『教科専門と教科教育を架橋する教育研究領域に関する調査研究』については,教科内容学の観点から国語の教科について日本語学の側面がどのように貢献することができ,教室内のシステムやカリキュラムの構築を総合的に改善する方策がどのようなものかを検討した(報告書p.83)。この事業は中教審でいう教科専門と教科教育との架橋に直結しており,今日的な課題として既に進展しつつあるもので,ここに高度に貢献し得たものと判断する。
 

 
押 木 秀 樹(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
国語科書写指導のための基礎力の向上に加え,教師としての一般的な能力としての板書の文字などの基礎力向上にも,継続的に取り組んでいる。前者については,学習者中心型学習過程と学習内容中心型の教材観を中心としている。また,書字動作に関わる学習のため,視聴覚機器の使用やマルチメディア教材の作成により,学習効果を高める工夫を継続している。加えて,相手意識や目的意識を高める書くことの指導について,体験的な活動を取り入れるなど意識して実践している。
評価に関して,学習物をポートフォリオ的にまとめることで,自己の学習過程を評価できる工夫を継続中である。
【観点2】教育の達成状況
国語科書写の指導力として,授業の考え方については一定の学力を身につけていると考える。一方,実技能力と,教師としての一般的な能力としての板書の文字などについては,教育実習先からの意見などから,まだ十分といえる状況ではないことが推測される。施設的にも人的にも厳しい状況ではあるが,効果的に学力を向上させる工夫をおこないたい。
授業後の復習や実技を中心とする自習をおこなうための施設設備の不備については,さらに悪化していると言わざるを得ない。しかし,月・木曜日の夜に講202教室において自習および指導できるように努めている。
研究指導
【観点1】学部
国語科書写教育研究の動向に加え,文字を書く研究領域について,書学等の伝統的領域からGraphonomicsなど現代的領域までを基礎知識として押さえた上で,各学生の課題に対する指導をおこなった。ゼミでの専門領域の研究とともに,教育実習前の模擬授業などを継続しておこなっている。文字研究・書道の領域に関しては,実物を直に見る機会を設けるなど,体験的部分についても留意している。本年度は特に,常用漢字表の改訂を踏まえた漢字学習の問題と,書字技能における認識・記憶・技能などの基礎研究を重視した。
【観点2】大学院
研究指導にあたっては,現場からの課題を解決する方向性と,将来の教育現場がどうあるべきかという方向性とありうる。本年度は,文字を書くことの変化を踏まえ,書字目的としてのパラ言語に関する部分と,言語内容と動作との関連という先端的な内容を扱うことで,将来の教育現場を見つめる研究指導に比重がおかれる年度となった。なお,研究用機器により筆圧・握圧を測定する実験をおこなっているが,専用の実験室を持たないことによって生じる問題が露呈してしまったことが課題として残った。
その他の教育活動
・ 信州大学教育学部において,非常勤講師として,小学校免許用授業である「国語基礎」の一部(書写)を担当した。
・ 教育実習では,ゼミ担当学生への通常の指導に加え,書写に関連する授業をおこなう(ゼミ以外の)学生に対するアドバイスをおこなった。
・ 授業以外で「文字を書く能力」の向上のための指導を希望する学生に対して,硬筆・毛筆の個別指導時間として,長期休業期間を除く月曜日・木曜日の19:00-21:00に講202教室において指導をおこなった。
・ 書道部顧問として,週2回の活動日および合宿研修において指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
授業では,書字行為によるコミュニケーションを考える上でのパラ言語的な部分の研究成果および,書字動作に関する研究成果を,授業内容として生かしつつある。さらに,研究指導において,書字における認識・記憶・動作それぞれの問題点を明らかにする方向性などにおいて,先導的役割を果たす研究を進めていると考える。ただし,実験条件の制約(実験室など)をどのように解決するかが課題としてあげられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年3月:『小学生を対象とした毛筆書字における気持ちの表出と受容に関する研究』(共著) 書写書道教育研究 26号,pp.60-79
(2)平成24年3月:『小学生の書字における場面に応じた書き分け能力に関する研究』(共著) 書写書道教育研究 26号,pp.40-49
作】(1)平成23年7月:『論語陽貨編より』 第50回書象展(国立新美術館)
業】(1)平成23年7月:『ことばを書く芸術としての書道とその教育の特質』(単著) 中等教育資料 902号
他】(1)平成23年4月:『上越教育大学押木研究室/上越教育大学押木研究室 内容:国語科書写指導の内容論を中心とする文字を書くことの情報と本学研究室情報』 http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/
(2)平成23年7月:『「夢」「ぜったい先生になりたい人と先生のための大学」の執筆』(上越教育大学広報用グッズ・ポスター・パンフレット・その他)
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:全国大学書写書道教育学会・常任理事, (2)平成23年度:全国大学書道学会・理事, (3)平成23年9月17日:日本教育大学全国書道教育部門会出席, (4)平成23年9月18日:全国大学書道学会 茨城大会出席, (5)平成23年9月19日:全国大学書写書道教育学会 茨城大会出席, (6)平成23年12月8日:石川県書写書道教育研究大会出席
◎特色・強調点等
情報化に伴い,文字を書くことの意味も変わってくることが予想される。そのために国語科書写指導がどうあるべきかは,議論されているところである。その理論的根拠あるいは実証的調査として,書字行為にあらわれる心情と目的による書き分け能力という二つの課題について,成果を発表することができた。前者は先進的な発表として,また後者は教育現場に比較的近い成果として,学会における先導的役割を果たすことができたと考えている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)8月:上越国語連絡協議会 書写実技講習会 講師(上越国語連絡協議会・上越教育大学)
(2)11月:上越市学校教育研究会書写部会講師(上越市学校教育研究会)
(3)11月:長野県総合教育センター教職員研修講座 講師(長野県総合教育センター)
(4)石川県書写書道教育連盟 顧問(石川県書写書道教育連盟)
(5)上越市美術展覧会 運営委員(上越市教育委員会)
(6)月:教員免許状更新講習(長岡,上越)講師
◎社会への寄与等
主として,国語科書写指導に関する指導として,全国レベルにおいては学習内容論について担当(学会常任理事など)するとともに,北信越地区から上越地区においては書写指導全般について担当(講習会講師等)した。なお,上越地区に限定されるものとして,上越市美術展における書道部門の作品講評なども担当した。
また国語科書写指導における学習内容論を中心としたwebページを継続して公開している。
 

 
 本 條 治(准教授)
 

 
中 里 理 子(准教授)
 

 
迎   勝 彦(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部においては一斉授業の形態をとった。一斉授業の形態を取る場合,受講者が受け身となり,主体的能動的な学習を十分に促すことができないという問題も指摘される。この授業形態の問題点を解消するため,受講者の発表の場や話し合いの場を随時設けるとともに,教材の工夫(配布資料・ワークシート・メディア教材(PPなど)の工夫)を中軸とした指導法の見直しを随時行った。また,授業内容は教育実習を含め,教育実践場面に適用できるものとなるよう配慮した。なお,後期授業科目(中等国語科指導法)では,毎回15分程度の時間を使い,教員採用試験(中学国語問題)と関わった課題の検討を行った。これには国語科教員としての資質と能力を高めるとともに,教員採用試験対策としての意味も持たせている。受講生の反応は良好であった。大学院においては一斉授業だけではなく,適宜討論を交えるなどして,講義及び演習が,受講者相互の情報交換,意見交流の場となるようにも配慮した。ストレートマスターにとっても現職派遣院生との交流の場を設けたことにより,彼らの教育観や教育理念を学び,感じることのできるよい機会となった。成績評価については,学部,大学院ともに成績評価基準を明示して厳格な成績の評価に努めた。
【観点2】教育の達成状況
良好。学部学生,大学院生ともに,社会に貢献する人材育成を図るという点からみて,高い付加価値を身につけさせることができたと考える。これは,授業後のアンケートやレポート,感想などから読み取ることができる。学部学生については特に,国語科教材の検討と開発を行う能力と資質を重点的に高めることができた。大学を卒業し,実際に授業を行う場合,この教材を読み取る能力や開発する能力は即戦力として必要とされるものである。大学院生については特に,「小・中学校授業の観察,分析,評価,改善」という点において臨床的な実践力を習得させることができた。
研究指導
【観点1】学部
学部4年生の指導においては,児童詩教育の在り方について,とくに表現・創作指導に重点を置き,国語科教育に関わる臨床的な実践力を習得させることを目的とした研究指導を行った。学部3年生の指導においては,1)国語科教育研究の在り方,2)国語科における諸領域の歴史的検討と臨床的研究の在り方,3)国語科指導に関する現状把握と文献研究の在り方に関わる専門性を高める研究指導を行った。
【観点2】大学院
大学院の指導においては,現職派遣教員のニーズに応えるよう,より高度な教育実践力を修得させることをねらいとした。また,教育実践場面を対象とする「研究法」「分析法」を中軸とした専門的知識の教授を行うとともに,具体的実践的な作業・実習を重視した。修士論文制作に関わる研究指導では,M1生には,小学校における音声言語教育の在り方について,とくに「話し合い」「インタビュー」という学習活動を組織することの有効性について探究するための文献的研究と授業の構想・実施に向けた研究指導を行い,M2生には,高等学校における文学作品の読みに関する指導の方途,読者論・読書反応理論を中核とした方法論の検討・研究指導を行いながら,検証授業の構想と実施に向けた具体的な指導及びその分析と考察を進めるための研究指導を行った。
その他の教育活動
・ 上越教育大学附属小学校研究協力者
・ 上越教育大学附属幼稚園運営指導委員
・ 独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校における非常勤講師(後期):「人間関係論」という講座を担当し,コミュニケーションの在り方や接遇,国語的な知識の習得に関する授業を実施した。
・ 本学附属小学校の研究協力者として23年度研究に関わる指導・助言を行うとともに,同附属幼稚園の運営指導委員として平成23年度研究に関わった指導・助言を行った。
・ 総務省「フィーチャースクール推進事業」及び文部科学省「学びのイノベーション事業」実証校地域協議会委員として本学附属中学校での取り組みに対する指導・助言を行った。
・ 本学ハンドボール部顧問
特色ある点及び今後の検討課題等
学部学生の指導にあたっては,担当する授業(初等国語科指導法や中等国語科指導法),ゼミ等の研究指導において,専門領域でもある国語科教育の内容を活かし,教育実習対策と教員採用試験対策も重点的に行った。前者については,国語科における教材研究の方法,学習指導のあり方を中軸として基礎的な点から指導,助言を行っている。後者については,国語科の教科内容に関する情報提供を基本としながら,面接・討議討論に関わる指導,小論文執筆に関わる指導,模擬授業対策を適宜行った。これらは,教育実習対策及び受験対策としてのみ機能するものではなく,学生自身が実際に教職に就き,実践的,臨床的に教育活動を行っていく上で重視されるべき点であると考える。大学院生の指導にあたっては,基本的に「授業研究」「授業分析」の基本的考え方(理念や理論)の教授と臨床場面を想定した具体的実際的な研究の方法,分析の方法に関する意見の交流,情報の交換を重視した。これは,大前提として修士論文研究の基盤を与えることをねらいとしたものであるが,現職派遣教員が,これまでの教育実践を振り返り,今後の教育実践のあり方を考えていく上での指針を与える上で意義があったと考える。この他,独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校での「コミュニケーション」をテーマとした講義を行い,研究成果を実践場面に活用した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】(1)平成24年3月:『教員の資質能力向上に係る調査検討事業調査報告書(共著)』(共著) 上越教育大学発行(平成23年度文部科学省委託事業)上越教育大学
学会活動への参加状況
(1)平成23年6月18日:上越教育大学国語教育学会第61回例会出席, (2)平成23年6月24日〜平成23年6月25日:上越教育大学附属小学校2011年研究会出席, (3)平成24年2月18日:上越教育大学国語教育学会第62回例会出席, (4)平成23年9月27日:上越国語教育連絡協議会秋季研修会(柏崎市立大洲小学校)出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越教育大学教員免許状更新講習講師(上越)(上越教育大学)
(2)上越教育大学教員免許状更新講習講師(長岡)(上越教育大学)
(3)地域貢献事業「上越地域のエネルギー環境教育の推進とそれに関わる地域ネットワークづくり」(上越市,本学地域貢献事業)
(4)独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校講師(独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校)
(5)名古屋市教育研究員の研究指導を行った(平成23年7月28日及び29日)。
(6)平成23年度 学校教育実践研究センター紀要「教育実践研究」審査協力者(上越教育大学)
◎社会への寄与等
上越教育大学附属小学校における共同研究,指導を重視し,これまでの教育研究の内容を学校現場へフィードバックする活動を行うことができたと考える。また,上越教育大学附属幼稚園の運営指導委員としても活動を行った。このほか,上越・妙高地区を中心としたエネルギー環境教育に関するネットワーク作り,情報収集を継続して行うことで社会貢献に役立てた。
 
 

 
渡 部 洋一郎(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部の授業においては,「中等国語科指導法(課程論)」において,平成23年度は特に文学教材の指導法の開拓に力を入れ,新たに宮沢賢治作品集の中から教材として採録されているものの授業展開案を作成できた。また,修士課程の授業においても,ファンタジー作品の新たな解釈法を考えることができ,来年度の教員免許状更新講習の内容にも取り入れることが可能となった点などが,新たな成果である。
成績の評価に関しては,授業評価アンケートの内容などから,おおむね所期の目標を達成できたものと考える。
【観点2】教育の達成状況
平成23年度は,学部4年生3名・学部3年生3名,修士課程2年生1名・修士課程1年生2名の指導を行った。このうち,学部4年生は3名中2名が小学校教員採用試験に合格することができ,修士課程2年生1名も高等学校教員採用試験の1次に合格することができた。論文ゼミとは別個に教員採用試験対策用の勉強会を開催したことなども,合格に寄与することができたと考えられる。
研究指導
【観点1】学部
学部のセミナーでは,特に卒論研究に時間を割き,臨床的なテーマを選択することと,それを実践的にどう具体化して授業プランにおとしていくか,についての指導を重点的に行った。学部4年生は,小学校における効果的な漢字指導のあり方や,文学教材を用いた一読総合法の利点を生かした授業プランを考案するなど,いずれも臨床的な実践力を念頭に置いた卒業研究に仕上げることができた。
【観点2】大学院
大学院修士課程の論文では,特に学習者が読みの方法論を習得し,それを自覚的に教材の読解に活かせるような授業展開のありようを探ることや,作文の発想指導に関する新たな方法論を模索し,それを具体化することなどを念頭に置いた研究指導を行った。特に,その成果の一部は,群馬県の夏期研修会で発表され論文化されるなど,現場でも高い評価を得ることができた。
その他の教育活動
・ 上越教育大学附属小学校研究協力者
・ 教育実習では,5月の中学校実習や9月の小学校実習中に教材研究を行うとともに,研究授業の参観と事後指導にも力を入れた。また,附属小学校においては,研究協力者として活動案の検討や普段の授業を参観し,特色ある活動公開となるよう心がけた。
特色ある点及び今後の検討課題等
附属小学校での研究協力を通して得られた活動案については,平成23年度の8月に行われた上越国語連絡協議会における分科会で紹介することができた点,また,上越国語連絡協議会秋季大会で,それらを踏まえた新たな活動案を得られたことが特色である。今後も継続的にこうした検討会をもつとともに,附属学校以外の公立校においてもこうした取り組みを広げていくことが今後の課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年10月:『新版 中学校・高等学校 国語科教育法』(共著) おうふう
論】(1)平成24年3月:『刺激回想法による事例分析と内省法の性質』(共著) 『国語科授業分析研究の方法』(全国大学国語教育学会)Vol.1 pp.56-66
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本読書学会編集委員, (2)平成23年度:日本読書学会監事, (3)平成23年度:早稲田大学国語教育学会役員, (4)平成23年8月5日:第55回 日本読書学会研究大会出席, (5)平成23年5月28日〜平成23年5月29日:第120回 全国大学国語教育学会京都大会出席
◎特色・強調点等
著書として刊行されている『新版 中学校・高等学校 国語科教育法』は,各国公私立大学の教員養成系学部において,教科教育法のテキストとして使用されており,特に実践的な面での授業指導のありようを学べる点で学生にとって意味がある。また,学術論文Aの全国大学国語教育学会による『国語科授業分析研究の方法』は,学会での現在の分析レベルとして最新のものであり,引き続き同学会刊行による『国語科教育の成果と展望U』という論集にもその成果が収められ,高く評価されている。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市教科・領域別一斉研修会講師(上越市教育委員会)
(2)教員免許状更新講習(上越会場)(上越教育大学)
(3)教員免許状更新講習(長岡会場)(上越教育大学)
◎社会への寄与等
平成23年度は上越市教委の教科・領域別一斉研修の講師や,附属小学校の研究協力者を始め,日本読書学会の編集委員及び監事,早稲田大学国語教育学会の役員を務めるなど,地域教育や学会活動へ一定の寄与を果たすことができたと考えられる。特に,学会活動に関しては,投稿論文の査読業務で何度も投稿者とやりとりするなど,学術的な側面での活動も目立った。
 

 
加 藤 雅 啓(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部: 英語運用能力の育成を重点目標とし,積極的にコミュニケーションを図る態度の養成に工夫を凝らした。「英語学概論」では談話文法理論,機能文法理論の観点により「覚える文法」から「考える文法」,「コミュニケーションに役立つ英文法」への橋渡しを行った。「英文法」の授業では「母語話者の言語直感に迫る文法」の構築を目指し,学校現場を想定した言語直感を育成する英文法問題を作成した。
大学院: 教育現場における英文法指導について従来の記憶中心の学校英文法を脱却し,コミュニケーションを重視した実践的な英文法指導への取り組み方を工夫した。「英語学演習」では関連性理論における最新の言語理論を取り込み,認知とコミュニケーションの観点から橋渡し指示に関する理解を高める工夫を行い,指示詞に関する実践的な教材開発を行った。
【観点2】教育の達成状況
学部: 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が身についた。「英語学概論」では,「覚える文法」から「考える文法」へ意識の転換が顕著に見られ,学校現場における「コミュニケーションに役立つ英文法」への橋渡しを達成することができた。「英文法」の授業では,全員が600頁を超える文法書を精読し,「母語話者の言語直感に迫る文法」を構築することができた。
大学院: 「談話文法特論」の授業では,「話し手・聞き手・場面」で構成される「談話」を想定した「新しい文法」観,及び「母語話者の言語直感に迫る文法」観を身につけることができた。さらに,実践的な英文法指導能力を身につけ,パワーポイントによる教材を開発した。「英語学演習」の授業では談話における結束性に関する実践的な教材開発を行うことができた。
研究指導
【観点1】学部
学部では従来の記憶中心の英文法指導の不備を指摘しながら,「英語ではなぜ同じ意味内容を伝えるのに複数の言い方が存在するのか(第3文型と第4文型,能動文と受動文)」などの「生徒のなぜに答えることができるような英文法指導」を実践し,大量の生きた英文データを与えて臨床的実践力の養成を行った。
【観点2】大学院
修士課程では,教育現場において最新の言語理論がどのように応用できるかという観点により,「関連性理論の枠組みによる実践的コミュニケーション能力の育成」,「認知言語学による未来表現の分析と応用」等のテーマで実践研究を指導し,中学校・高校の英語教育現場におけるより高度な臨床的実践力の養成を行った。
その他の教育活動
・ 平成23年5月〜6月,9月,初等教育実習,及び中等教育実習において学部生7名,大学院生3名の学生指導を行った。
・ 附属小学校長として,2011年度附属小研究会における全体指導,及び個別指導・助言を行った。
・ 硬式テニス部顧問として,課外活動における指導・助言を行った。
・ 上越看護専門学校の非常勤講師として医療英語の指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
講義支援システムを活用し,「振り返りシート」を提出してもらい,これに対して「振り返りシートの振り返り」を作成したうえで講義支援システムにアップすることにより,学生と教員による双方向通信による授業のフォローアップを行った。さらに,教師による「振り返りシートの振り返り」を次の授業の冒頭で振り返ることにより,学習項目を一層深く理解することが可能となった。「コミュニケーション英語CII」では「英語」をツールとして用い,情報の収集・発信を行い,グループワークを通じてコラボレーション能力を伸ばし,プレゼンテーション能力を伸ばすという目標達成のため「Virtual Travel 2011」を企画し,英文ホームページを利用して仮想旅行を計画・実施し,パワーポイントを用いて発表することにより,教科書訳読式の授業からの脱却を試みた。「コミュニケーション英語BII」では,教室で使う英語表現140を学習し,実践的な英語表現の習得を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年4月:『“The Effect of Instruction on Discourse Markers from the Perspectives of Functional Grammar and Cognitive Linguistics: Focusing on Causal Discourse Markers. 』(共著)International Journal of Pragmatics vol. 20: 1-25.
(2)平成24年2月:『“ [REVIEW]The Japanese No da-Construction and the Corresponding English Constructions by Yoshio Otake, Kurosio, Tokyo, 2009, iv+345pp』(単著) English Linguistics 28: 2 (2011) 334〜343.
(3)平成24年2月:『It is that節構文と「の(だ)」構文』(単著) 上越教育大学研究紀要 第31巻pp. 189-198.
業】(1)平成24年3月:『談話における分裂文の総合的研究ー関連性理論,機能文法,認知言語学による考察ー』(単著) 平成21年度〜平成23年度科学研究費補助金(基盤研究(C)) 課題番号 21520503 研究成果報告書
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:日本英語学会 評議員, (2)平成23年度:日本プラグマティックス学会 理事,評議員,編集委員, (3)平成23年12月3日〜平成23年12月4日:日本語用論学会第14回大会出席, (4)平成23年10月15日:英語語法文法学会第19回大会出席, (5)平成23年11月12日〜平成23年11月13日:日本英語学会第29回大会出席, (6)平成23年10月15日:日本プラグマティックス学会第20回大会出席
◎特色・強調点等
(1)平成23年7月 上越英語教育学会の企画・運営(会長) (2)平成23年11月 日本プラグマティックス学会出席(理事,評議員,編集委員) (3)平成23年11月 日本英語学会出席(評議員) (4)平成23年12月 日本語用論学会出席 (5)日本プラグマティックス学会 学会誌「International Journal of Pragmatics」の編集
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)教員免許状更新講習 講師(上越教育大学)
(2)出前講座(新潟県立柏崎高等学校)
(3)出前講座(新潟県立国際情報高等学校)
(4)出前講座(新潟県立六日町高等学校)
(5)出前講座(新潟県立高田北城高等学校)
(6)社会福祉法人 御幸会 監事
◎社会への寄与等
日本英語学会,日本プラグマティックス学会の役員として,学校教育の英語に関する教育的課題の検討に寄与した。教員免許更新講習では,新潟県,長野県の教員が抱える英語に関する教育・研究のニーズに応えた。また,新潟県立高校における出前講座を通して,高校英語に関する生徒の疑問に答える形で彼らの教育課題解決に貢献した。さらに,社会福祉法人の役員として新潟県の社会福祉活動に貢献した。学会誌執筆の依頼を受けたり,同じ高校から連続して出前講座依頼を受けたり,社会福祉法人役員が再任されたりしていることから,上記の活動が一定の評価を受けていると思われる。
 

 
平 野 絹 枝(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
最近の研究成果を取り込んだ形で,効果的な英文読解方略を指導し,異なった読解問題形式にふれさせて学生の多様な読解能力を引き出すことを心がけた。音読,黙読を練習させ,英文の読解力向上のほかに,コミュニケーション能力の育成に努めた。動機付けにCD,DVDを使用した。大学院では,ESL/EFL及び応用言語学の理論と指導,多角的な視点にもとづいた教材分析の理論研究と実際に焦点をあてた。理解の確認のチェックのため,小テストを行い,グループやペア・ワークで,問題点を討議させ,諸理論をわかりやすく解説することに腐心した。
成績評価に関しては,出席,日常点,課題,試験結果にもとづいて総合的に評価した。
学生のなかには,学外の学会発表を行って英語教育指導の改善や研究の発展に貢献した。
【観点2】教育の達成状況
学生のなかには,学外の学会発表を行って英語教育指導の改善や研究の発展に貢献した。
研究指導
【観点1】学部
第2言語習得理論,読解理論,方略,テスティングに関する文献の指導,データの収集,分析法,論文の構成,展開,考察の仕方について,丁寧な研究指導を行うよう心がけた。
【観点2】大学院
「第2言語習得理論,読解理論,方略,テスティングに関する文献の指導,データの収集,分析法,論文の構成,展開,考察の仕方について,国内外の文献を通して日本語と英語の丁寧な研究指導を行うよう心がけた。
その他の教育活動
・ 平成23年4月〜平成23年9月:新潟大学(学部)非常勤講師として「発展英語」を担当した。
・ 教育実習の研究授業など,授業のコメント・改善点を指導した。
特色ある点及び今後の検討課題等
最近の英語教育学の理論を取り入れ,英語の理解と産出のバランスを様々な,一斉指導,ペア,グループワーク活動のなかで考慮し,学生が自主的に,また相互的に,英語力の向上や専門知識の獲得をめざせるように腐心した。今後,限られた授業時間内で個に対応した指導をどのようにしたらよいかが検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年1月:『高校英語リーデイング教科書の読解設問形式の分析』(共著) 中部地区英語教育学会紀要第41号,pp.131-138
発】(1)平成23年6月:『高校英語リーデイング教科書の読解設問形式の分析』(共) 中部地区英語教育学会
(2)平成23年7月:『英単語の認知に及ぼす音韻表象と文字表象の影響に関する文献研究』(共) 小学校英語教育学会
(3)平成23年8月:『日本人大学生の読解におけるリコールタスクの方略に関する一考察』(単) 全国英語教育学会
(4)平成23年8月:『Reading recall strategies: Focusing on students’ written self-reports』(単) 世界応用言語学会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)英語語彙認識の音声情報の役割 代表者:堀田誠(山梨大学付属小学校)
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:中部地区英語教育学会副会長, (2)平成23年度:全国英語教育学会紀要編集委員, (3)平成23年度:全国英語教育学会紀要査読委員, (4)平成23年度:小学校英語教育学会紀要査読委員, (5)平成23年度:大学英語教育学会社員, (6)平成23年度:大学英語教育学会査読委員, (7)平成23年度:中部地区英語教育学会学会賞ワーキンググループ, (8)平成23年6月25日〜平成23年6月26日:第41回中部地区英語教育学会福井大会出席, (9)平成23年7月17日〜平成23年7月18日:第11回小学校英語教育学会大阪大会出席, (10)平成23年8月20日〜平成23年8月21日:第37回全国英語教育学会山形研究大会出席, (11)平成23年8月22日〜平成23年8月26日:第16回世界応用言語学会出席
◎特色・強調点等
読解テストの妥当性の検証があまりなされていないリコールテストに関する研究で,目標言語学習経験年数,性差,読解力,学力,の諸要因がリコールテストのパフォーマンスとその妥当性に及ぼす影響や方略との関係について継続的な研究を行っているが,これまでの先行研究では例が極めて少なく,テスト作成,評価,読解教材開発,読解指導の改善,に貢献する点で,興味深い示唆があり,独創的であるといえる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)教員免許講習講習会講師
(2)学校教育実践研究センター紀要「教育実践研究」査読(上越教育大学)
◎社会への寄与等
学会の運営・論文査読・紀要編集を通して英語教育学研究発展・運営の社会貢献に努めた。
 

 
北 條 } 子(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部,大学院における小学校英語教育関連の講義では,可能な限り最新のアジア諸国の英語教育事情をはじめ国内の外国語活動の状況を学生に伝えるようにしている。大学院生対象の研究方法に関する演習においては,小学校英語教育分野で必要となる統計処理ができるように,直接確率計算,分散分析,因子分析等の演習を実施したうえで,研究計画書を書くことを課題としている。学部生対象の異文化理解の講義では学生による異文化体験を小学生に紹介する内容のプレゼンテーションを課している。コミュニケーション英語においては,聞き取り,リーディングやチャンツを用いて,学生の様々な面での英語力向上を目指している。どのように成績を評価するのかについては,各講義・演習のオリエンテーション時に学生に明示し,学生からの質問に回答し,評価方法について同意を得ている。
【観点2】教育の達成状況
ゼミ生は小学校教員を目指しているが,卒業生,大学院生の約半数が現役で教員採用試験に合格している。
研究指導
【観点1】学部
学部生対象として,4年次の中等教育実習を想定し英語力向上のためのゼミを実施するほかに,学部生は大学院生対象のゼミにも出席した。また,3年次の初等科教育実習後,本学附属小学校の外国語活動出張授業に参加している。
【観点2】大学院
大学院生対象として,週1度のゼミを実施し,自分の研究テーマの設定,その後の先行研究の概観をはじめ,自律学習の態度養成を主眼としている。修士論文の構想発表,中間発表においてもパワーポイントによる発表を義務づけ,将来の学会,研究会での発表の練習を目指している。ゼミ生が現職教員の場合,積極的に研究テーマの関連学会における口頭発表を奨励している。
その他の教育活動
本学附属幼稚園(平成23年5月から平成24年2月にかけて1ヶ月1度の実施。毎回希望者が参加),本学附属小学校(平成23年10月から平成24年3月にかけて3年生〜6年生は10回,1,2年生は3回,ゼミ生は全員参加)においてゼミ生を中心とした外国語活動の出張授業をコーディネートしている。前者では中心となる活動方針を決定し,活動案の詳細については,学生(学部生,大学院生)が工夫ができるように自由度を高めている。特に小学校における出張授業後には,毎回1時間程度のカンファレンス(反省会)を実施している。その他に,希望ゼミ生は上越市立の小学校において外国語活動担当教員とALTの協力の下,平成23年10月から平成24年3月まで朝の時間を活用した外国語活動の出張授業に取り組んだ。
特色ある点及び今後の検討課題等
ボランティア活動として,附属小学校において,外国語活動の先駆的な取り組みとして文字指導に取り組んだ。これまで,主にフォニックスをとおしてアルファベットから始まり短音節の英単語の読み方を扱ってきたが,アルファベットや読めるようになった英単語など,いつの時点から各活動を始めるのが適切なのかを試行していく予定である。また,小学校英語教育分野で現在の課題となっている評価についても,特に高学年にポートフォリオの適用が可能かどうかを確認することも課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年6月:『新しい小学校英語科教育法』(共著) 協同出版
論】(1)平成23年12月:『小学校外国語(英語)活動を経験した小・中学生の意識調査』(共著) 上越英語研究,第11号,27-48頁
(2)平成23年12月:『小学校外国語活動における電子黒板を用いた読み聞かせ教材の開発研究』(共著) 上越英語研究,第11号,49-58頁
(3)平成24年3月:『ポートフォリオを活用した反省的実践家としての小学校英語教員養成プログラムの設計と試行』(単著) 上越教育大学研究紀要,第30巻,191-199頁
(4)平成24年3月:『小学校英語活動における文字指導の試み』(共著) 教育実践研究,第21集,1-8頁
発】(1)平成23年7月:『児童の負担を考慮した書くことの導入に関する研究』(共) 小学校英語教育学会
(2)平成23年7月:『小学校外国語活動における電子黒板を用いた読み聞かせ教材の開発研究』(共) 小学校英語教育学会
(3)平成23年9月:『ポートフォリオを活用した反省的実践家としての小学校英語教員養成プログラムの効果に関する研究』(共) 日本教育工学会
学会活動への参加状況
(1)平成23年7月17日〜平成23年7月18日:小学校英語教育学会全国大会第11回大阪大会出席, (2)平成23年9月19日〜平成23年9月20日:2011年日本教育工学会第26回全国大会出席
◎特色・強調点等
修士論文のうち,優れた内容のものや現職派遣教員と連名で学会発表を行った。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)スーパーバイザー・スーパーティチャー制度(上越市教育センター)の英語科スーパーバイザー
◎社会への寄与等
上記の制度をとおして,上越市内の中学校,小学校においてスーパティーチャーによる研究授業が秋にそれぞれ1回実施され,上越市内の教員が研究授業後の協議会に出席する。その際に,スーパーバイザーとして助言を行った。また,平成23年度上越市学校教育研究会外国語部会において講師を務めた。
 

 
前 川 利 広(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
授業が多く,すべての取組について記述するスペースはないが,学部一年時のコミュニケーション英語においては,最新の英字新聞から学生の英語力と関心事に照準を合わせて英文記事を精選し,タイムリーなトピックを教材として作成・配布・使用している。院の学生には,読みやすい英文で書かれた上質の短編小説を読ませ,行間には豊かな世界があることを理解させるよう努力している。
【観点2】教育の達成状況
私の学部ゼミ生は毎年百パーセントの教員採用試験合格率を誇る。卒業後,彼ら・彼女たちが夏の休暇中に私を訪れ,現場での困難を語り,現職教員としての地歩と経験を築き上げている喜びやプライドを聴くとき,彼らの合格を目指して努力してきたことに,私は改めて喜びを感ずる。
研究指導
【観点1】学部
私の学部ゼミ生は例年3名から4名在籍するが,採用試験合格率は百パーセントである。彼ら・彼女たちが合格するためには,PPでの模擬授業とは違った観点から,繰り返し模擬授業を行い,自信をつけさせた。しかしそのような実践力以前の問題として,文章を読み,長い文章を書くという訓練がなければ,いい教師にはなれない。私の指導はそこの部分に重点を置き,資料としての図書の検索,一貫した文としてのまとめ方の指導をつねづね行っている。これがなければ,真の教育者になる知性が磨かれない。
【観点2】大学院
私のゼミは直接的な教育学ではないため,教育学としての専門的研究指導を日常的に行っているわけではない。しかし実践的教育学以前に,真の教養と,教養を身につけるための方法論が指導としてなければならないであろう。私の教育学はそこを重点的に踏まえたものである。
その他の教育活動
教育実習はほとんど必ず見に行くことにしている。ゼミ生が教員採用試験を受験するときには,模擬授業で本人が自信を持てるようになるまで,繰り返し指導している。
 
<研究活動>
学会活動への参加状況
(1)平成23年10月:日本アメリカ文学会全国大会出席, (2)平成23年4月16日:日本アメリカ文学会東京支部大会出席, (3)平成23年9月10日〜平成23年9月11日:慶応義塾大学英語教育シンポジウム参加出席, (4)平成23年11月12日:日本アメリカ文学会東京支部大会出席
◎特色・強調点等
上越教育大において英語を指導するとはどういうことかについて,理念と実際という観点から,英文で20ページを超える長文のものをまとめた。今年は,それをどう発表するかを考えなければならない。
 

 
石 濵 博 之(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部「コミュニケーション英語」の授業では,平易な英文(旅行記・テーマに基づく記事)の概要の読みに努めながら,音読中心(オーバーラッピングやシャドウイングの技法,ポピュラー音楽の活用)の授業をした。事前に予習プリントを配布した。学部の小学校英語に関しては,具体的な指導案を書けて,その授業ができるようにした。大学院では,小学校英語の理論に基づく具体的な授業実践の場面を取り入れた。理論に基づく模擬授業をできるよう応用した。
学部では,事前事後で小テストを実施して,内容の定着の確認をした。授業内容に基づく評価に取り入れた。大学院では,小学校英語の理論に基づく模擬授業を実施し,よい点や改善点を具体的に提示した。
【観点2】教育の達成状況
学部では,各個人が易しい英語を使うようにした。大学院では,小学校英語に関する知識(理論)ばかりでなく,具体的な事例から実践的な指導方法を身につけた。実際に,関わった学生は小学校教員教員採用試験(愛知県)に合格した。研究生は,関東の国立大学法人大学院(工学系)の研究生と進学した。
研究指導
【観点1】学部
学部4年生の研究指導では,研究設定,データ収集,論文の書き方まで丁寧に指導した。関係している小学校に,その調査の内容を理解していただくために依頼した。データ収集する際は,その授業(小学校)の中で補助をした。最終的に学生個人が論文を仕上げるように努めた。学部3年の指導では,小学校英語教育に関する基本的文献を読ませた。テーマに関して興味関心を持たせて,具体的な研究テーマを設定させた。研究生に対しては,関心あるテーマを見つけるために,小学校の授業を観察させて,その方法論を具体的に示した。
特色ある点及び今後の検討課題等
教育活動の内容に関して,教員になることを前提として基本的な内容を提示することに努めた。教育実践をするための「理論」と「実践」の融合を求めた。教育実習でも,ゼミ生に対してよりよい授業実践になるように具体的事例をしめしたことは有意義であった。今後は,例えば,将来,学生が自信を持って指導できて,授業全体を見通せるような教員になるように,1つ1つなぜこのような教育実践をするのかを提示して考えさせる指導を展開したい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成23年6月:『教育の最新事情がよくわかる本2 これだけ知っておきたい教員としての最新知識!』(共著) 教育開発研究所978−4−97380−59
業】(1)平成24年1月:『公立小学校外国語活動における『絵本』の活動実態に関する調査』(共著) 鶴岡工業高等専門学校科学研究費中間報告書
発】(1)平成23年7月:『外国語活動(英語活動)に「ごっこ遊び」を取り入れた授業の展開とその効果―体験活動としての「お寿司屋さんこっご」を導入して―』(共) 第11回小学校英語教育学会大阪研究大会
他】(1)平成23年6月:『新聞記事/マジックを取り入れた授業実践が紹介されている』 上越タイムス
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)課題別研究「小学校英語教育の評価」 代表者:本田勝久(千葉大学) 小学校英語教育学会
◎特色・強調点等
・ 大学近隣の小学校(小規模校も含む)と関わり,外国語活動(英語活動)の「英語ノート」に基づく指導方法から評価まで検討している。
・ 外国語活動の必修化されたに伴い,小小連携,小中連携のあり方を検討している。
・ 小学校の教員が外国語活動の授業展開を円滑にできるように,授業の枠組みの固定化を提唱し,その枠組みで実践的研究を実施している。
・ 音声面(「聞くこと」と「話すこと」の観点から,外国語活動(英語活動)の効果を検討している。また,外国語活動が児童の情意面と音声面との関連性について継続して研究をしている。
・ これらの研究は,小学校教員に情報を提供し,より効果的な外国語活動の発展に寄与している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)5月〜3月:新潟県立高田商業高等学校学校評議会評議員(新潟県立高田商業高等学校)
(2)1月:ステップワールド英語スクール高田教室スピーチコンテスト校内大会審査委員長(ステップワールド英語スクール春陽館高田教室)
(3)上越市立牧小学校学校関係者評価委員会委員(上越市立牧小学校)
(4)糸魚川市へき地複式教育研究会「全校外国語活動」講師(糸魚川市へき地複式教育研究会)
(5)糸魚川市立今井小学校の授業観察と教員研修会講師(糸魚川市立今井小学校)
(6)上越市立牧小学校の授業実践と教員指導力向上講師(上越市立牧小学校)
(7)糸魚川市立上早川小学校の授業実践と教員指導力向上講師(糸魚川市立上早川小学校)
(8)上越市立宮嶋小学校の授業実践と教員指導力向上講師(上越市立宮嶋小学校)
(9)出前講座「小学校外国活動の授業づくりと教員指導力向上」講師(燕市西蒲原郡小学校教育研究会外国語部会)
(10)出前講座「小学校英語の授業展開と教員の指導力向上」講師(十日町市立馬場小学校)
(11)公開講座「小学校外国語活動」進め方入門講師(上越教育大学)
(12)小学校英語教育学会会計監査(小学校英語教育学会)
(13)糸魚川市立上早川小学校応援団(糸魚川市立上早川小学校)
(14)上越市立牧小学校応援団(上越市立牧小学校)
(15)上越教育大学教員免許状更新「小学校英語教育(外国語活動)」講師(上越教育大学)
(16)教科・領域別一斉研修会講師(上越市立教育センター)
◎社会への寄与等
平成23年度も,新潟県の市町村の地域で,具体的に学級担任とのティームティーチングで授業実演をした。実演の授業の後,その授業の背景となる理論を参加者に講義形式で伝えた。次にワークショップ形式で課題を体験する活動を実施した。教員や校長先生,指導主事,教育委員会等から,教育現場に近い形で実演授業が実施されているので,「利用できでわかりやすい」と評価が高い。実際に授業の実演は,実際にやってみようとする気持ちにさせている。特に,外国語活動の授業の固定化を推進させた。適切な助言等で,「授業をやりやすくしている」と好評であった。
 

 
大 場 浩 正(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部の「コミュニケーション英語」(1・2年生)においては,語彙及びスピーキング,リスニング,リーディング,ライティングの4技能に焦点をあてた授業を展開した。第1回目の授業において,受講学生の英語学習に関する意識等をアンケートにより調査すると同時に,授業全体の目的・目標,学習内容(計画),成績評価方法を詳細に説明した。また,毎回の授業では個人の活動をもとにペアやグループの活動へと発展させ,協同学習やグループ・アプローチを導入することにより学習意欲を促し,また,学生に全ての活動への自己評価(振り返り)を行わせることにより個々の活動成果を確認させた。学習の成果(テスト)のみならずその過程を評価(ポートフォリオ評価)することを通して受講学生の学習意欲を高めるようにした。「中等英語科指導法(授業論)」でも同様に,個人の活動やグループの活動を中心に展開した。授業全体を3期に分け,第1期では英語の授業展開や指導案の作成の方法を解説し,第2期では1期の内容を踏まえ,受講学生達がグループで実際に1時間の授業を組み立て,模擬授業を行った。模擬授業後のディスカッション(とシェアリング)によって授業を観察する目が養えたのではないかと思う。第3期には中学校現場の教員による講義を組み込み,学生の教職への動機付けを行った。教育実習や現場に出てから役に立つ英語の授業の基礎技術を獲得させることに焦点をあてた。大学院の「英語科学習方法演習」と「英語科教育第二言語習得特論」では,目的・目標,学習内容,成績評価方法を明確にし,より高度な,そして,専門的な知識を獲得できるように,学生によるプレゼンテーションとグループによるディスカッションを通して指導を行った(特に前者の授業)。また,英語指導の際に,直接的・間接的に役に立つ背景知識の獲得と自己の英語教育に対する考え方を形成させることに焦点をあてた(特に後者の授業)。全ての授業において,学力や知識のみならず,よい人間関係を構築できるような活動を取り入れた。 
【観点2】教育の達成状況
学部1年生は,既に大学入学以前に英語に対する得意・不得意がはっきりしており,それに応じて,英語への学習意欲が,ある程度,決定しているように思われる。しかしながら,大学の英語の授業では,受験を意識することもなく,オーセンティックな英語の(自作)教材(歌や映画等)を用いることによって,学生の英語に対する意識が変わってきたようである。活動毎の自己評価(振り返り)では,「難しいが,楽しく出来た」「仲間と協力し合って解答にたどり着くことができて嬉しかった」というような,英語学習を肯定的にとらえているコメントが多かった。教科の指導の中で人間関係を構築することも目指した協同学習やグループアプローチを積極的に取り入れた結果だと思われる。「中等英語科指導法(授業論)」でも,教育実習に向けて英語の授業をどのように組み立てていくか,どのように中学生と接していくかなど,学生たちは具体的な手法や心構えを学んだ。大学院の授業では,学生は授業の展開や教材の開発などの基になる理論的背景を学んだ。特に,一つ一つの活動にどのような意味があり,何を目指した活動であり,どのような考え方に基づいているのかを考え,学ばせた。従って,教授法や指導技術の基礎となる第二言語習得研究に関する理論的な背景や実験研究の成果を正確に理解させることに勤めた。また,授業づくりには,少なくても教科教育と授業展開(構成)の二つの柱が必要であり,教科を超えた授業づくりの基礎も指導した。このように,指導の目的は十分に達成された。
研究指導
【観点1】学部
英語教育に関する専門の授業では,最低限,教育実習における実践に役立つような基礎知識や活動を積極的に指導した。卒業論文の指導においては,理論的な側面にのみならず,理論に基づく提案等を通して実践力の獲得に焦点をあてた。特に英語学習者の学習意欲を高めるためにどのような指導(特に,表現活動的な指導)が効果的なのか,また,新年度から全面改定となる新中学校英語教科書をタスクという観点から分析することによって,どのような特色があるかを分析させた。
【観点2】大学院
大学院においては,教授法や指導技術の基礎となる第二言語習得研究に関する理論的な背景や実験研究の成果を正確に理解させることに勤めた。さらに,英語教育的なアプローチのみならず,教育学的なアプローチから英語の授業を組み立てる方法として協同学習及びカウンセリングマインドを意識した英語の授業方法も指導した。修士論文の指導においては,協同学習,語彙学習,文法指導,英作文指導など多岐にわたるトピックを扱ったが,ゼミにおけるディスカッションを頻繁に行うことによって,よりレベルの高い修士論文に発展していった。
その他の教育活動
・ 上越教育大学附属中学校研究協議会(英語)
・ 教育実習における実践に役立つような基礎知識や活動を積極的に指導した。また,実習期間中にも指導案や教材に関する指導を行った。研究授業の参観の後には,指導教諭とともに授業の振り返りなどを行った。
・ 男子ソフトボール部顧問
・ 上越教育大学附属中学校研究協議会・助言者
特色ある点及び今後の検討課題等
常に学生の英語学習への意欲を高めるための学習内容を考え,指導してきた。また,英語を指導する上で何が大切かを教え,伝えてきた(英語教育学および教育学アプローチの融合について)。指導方法に関しても,これまで獲得してきた理論的背景に基づき,現場での経験を生かし,学生が分かりやすい指導を心掛けてきた。これらの成果(根拠)は学生の授業アンケートにおいて十分反映されていると思われる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年8月:『A reanalysis: a developmental study of intransitive verbs, transitive verbs, ditransitive verbs and logical subjects in Xcomps among Japanese learners of English based on Item Response Theory (IRT) and Latent Rank Theory (LRT)』(共著) Proceedings of the 16th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics (PAAL),pp.337-344
(2)平成23年6月:『日本人英語学習者のスピーキング能力の伸長における協同学習の効果』(単著) 中部地区英語教育学会2007-2009年度課題別研究プロジェクト報告書, pp. 40-49.
発】(1)平成23年11月:『英語学力構造の経年変化:潜在ランク理論による分析』(共著) 日本教科教育学会第37回全国大会,沖縄大学
(2)平成23年11月:『英語スピーキング活動における協同学習が英語学習動機・態度と協同作業認識に与える影響』(単著) 日本教科教育学会第37回全国大会,沖縄大学
(3)平成23年8月:『A reanalysis: a developmental study of intransitive verbs, transitive verbs, ditransitive verbs and logical subjects in Xcomps among Japanese learners of English based on Item Response Theory (IRT) and Latent Rank Theory (LRT)』(共著) The 16th Conference of Pan-Pacific Association of Applied Linguistics (PAAL), Hong Kong, China.
(4)平成23年12月:『Acquisition of relative clauses and wh-questions in English by Japanese speakers: The application of the Latent Rank Theory』(共著) オーストラリア応用言語学会・ニュージーランド応用言語学会(共催)国際大会
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:北海道英語教育学会・運営委員・紀要編集委員, (2)平成23年度:中部地区英語教育学会・運営委員・紀要編集委員, (3)平成23年度:上越英語教育学会・役員, (4)平成23年6月25日〜平成23年6月26日:中部地区英語教育学会出席, (5)平成23年7月2日:日本テスト学会月例会出席, (6)平成23年7月9日:上越英語教育学会出席, (7)平成23年8月5日:関東甲信越英語教育学会出席, (8)平成23年8月6日〜平成23年8月7日:外国語教育メディア学会出席, (9)平成23年8月20日〜平成23年8月21日:全国英語教育学会出席, (10)平成23年8月30日〜平成23年9月1日:大学英語教育学会出席, (11)平成23年9月30日〜平成23年10月1日:日本協同教育学会出席, (12)平成23年11月11日〜平成23年11月12日:日本教科教育学会出席, (13)平成23年11月30日〜平成23年12月2日:オーストラリア応用言語学会・ニュージーランド応用言語学会(共催)出席, (14)平成23年12月17日:英語授業研究学会月例会出席, (15)平成24年1月8日:英語授業研究学会月例会出席, (16)平成24年3月17日:英語授業研究学会月例会出席, (17)平成24年3月18日:関東甲信越英語教育学会平成23年度春季講習会出席
◎特色・強調点等
日本人英語学習者の英語能力を伸ばすためにアウトプット仮説における「気づき」と「理解」及び協同学習とグループ・アプローチの手法を取り入れた指導方法の開発およびその実証的な研究を行っている。日本において本格的に英語の指導に協同学習の手法を取り入れた例は少なく,先駆的な研究として成果を出していく(科学研究費補助金:挑戦的萌芽研究に採択)。さらに,協同学習を行うための技法を獲得するために教育カウンセラー養成講座(及び構成的グループエンカウンター講座)にも参加し研鑽を積んだ。また,共同研究の第二言語の文法能力の発達における新しいテスト方法やデータ分析方法の開発(科学研究費補助金:基盤研究B採択)に関しても,その研究成果を国内・国際学会で発表し,論文の形でまとめた。これまでにない分析方法による包括的な研究という点で優れたものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市教育委員会研修講師(上越市教育委員会)
(2)上越教育大学学校教育実践研究センター自主セミナー(上越教育大学学校教育実践研究センター)
(3)教員免許状更新講習(上越教育大学)
◎社会への寄与等
毎年,上越市教育委員会からの依頼で授業力向上研修(中学校英語)の講師を務めている。また,英語教育に関する学会において運営委員や紀要編集委員(査読委員を含む)を務めている。さらに,英語教育(英語指導)に関する自主セミナーを開いている(主に,中学英語教師対象)。このような活動を通して,全国の英語教育に関する課題解決への貢献を行っている。
 

 
野 地 美 幸(准教授)
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年9月:『Children"s "configurational" interpretation of negative sentences with "dake"』(単著) Gengo Kenkyu, 140, 135-145
学会活動への参加状況
(1)平成23年11月13日:日本英語学会第29回大会出席, (2)平成23年7月9日:上越英語教育学会出席
 

 
ブラウン・アイヴァン・バーナード(特任講師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学 部: 学部新入生の大部分は,中・高等学校で学習した英語の知識を実際のコミュニケーションに使う機会が不足しており,自発的な会話ができない。英語で会話方略を使えないため,英会話方略に関する知識,認識及び使用の有効性を高める様な指導を行った。選択科目の英会話授業では,ペアやグループで,学生はICレコーダーに会話を録音し,次に,録音に基づいたレポートを書いた。
そのレポートには転写,修正,コメント,振り返りおよび自己観察計画が含まれていた。
選択科目の英作文の授業では,教育専用のEdublogs.orgを使用し,教師が開設したものを学生が運営した。学生は毎週の課題を文字数制限などの指示に従いインターネット・ブログに投稿し,定期的に同級生のブログを見て互いに投稿した。
大学院: 現代英語特論では,学校教育,社会言語学及び世界英語の多様性といった話題についての文章を英語で読み,グループ・ディスカション及び英作文の作成を通してその話題に関する知識を増やし,学理的な英語を練習する機会が多く,非常に活発で刺激的な授業になった。
現代英語演習では,アカデミック・ライティング力の上達を目標とし,プロセス・ライティング・アプローチを通し,院生は内容深く正式な小論文を書くことが出来た。最後に学生の達成感のために,院生が書いた英語小論文を集め,雑誌を作って学級で配った。
以上の各科目における成績評価法に関しては,それぞれの科目の目標に対して該当する科目の成績評価法のために,学生の活動・作品等の中で着目される側面を適切に選択した。尚,シラバス,オリエンテーション,参考書類及び授業中の説明を通して,評価方法を事前に受講生に明確にした。
海外教育(特別)研究B及び海外フィールド・スタディでは,訪問する国の教育の特徴,実習先の児童の特徴について,ビデオ等を通して説明し,実習のためにどのように授業の工夫に取り組めばよいのかを事例などを通して助言を提供し,複数の段階で授業案作成を日本語と英語で深く検討し,派遣直前に念入りに授業リハーサルを行い,全関係教材の内容と英語訳を綿密に修正した。各受講生が実施した授業が基本的に成功したと考えられる。
【観点2】教育の達成状況
私の指導は大勢の学生(学部生全員を含め)をわたって薄く配布されているため,その指導と当学生の卒業後の達成状況の「原因〜効果」の様な関連性を確認するのは難しい。
しかし,ある英語コースに所属していた学生の教員採用試験での面接の準備のために指導した。
英語での採用試験の面接の支援をし,指導した学生は合格した。
研究指導
【観点1】学部
4年生の卒業論文に関する研究資料(英語版のアンケートなど)と卒業論文の英語要約文の作成のために指導した。
【観点2】大学院
修士課程の英語コースにおいて,研究資料及び教育実習資料,卒業論文の英語の内容を確認し,適切な英文表現になるために細かく指導した。
その他の教育活動
・ 附属小学校研究会の外国語活動との協力
・ 研究会の英語授業の教案及び教材作成において担当教員に指導した。
また,授業で留学生及び地域の外国人と一緒にスペシャルゲストの役割で参加し,協議会で意見を発表し,指導した。
特色ある点及び今後の検討課題等
当研究会の外国語活動が,小学生にとってとても有意義な外国語及び異文化体験となり,授業担当者にとっても基本的に成功したと考えられる。
今後,同じ様な活動を行うことであれば,事前準備において,留学生等と,より深く打ち合わせや指導を行うことが望ましいと考えられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成23年9月:『Sustaining Conversation: Revisiting the Teachability of Communication Strategies』(単著) JALT2010 Conference Proceedings (東京:全国語学教育学会) 601-612頁
発】(1)平成23年5月:『Communication Strategies and Motivation』(単) 『第三回北東アジア言語教育学会』(NEAR2011)
(2)平成23年7月:『Pragmalinguistic Awareness, Motivation and Proficiency』(単) 『CUE2011大会:Foreign Language Motivation in Japan』(JALT:全国語学教育学会)
(3)平成23年9月:『Investigating L2 Motivation and Oral Communication Strategies Among Japanese Learners of English』(単) 英国応用言語学会 (BAAL): 第44回年次総合大会
学会活動への参加状況
(1)平成23年度:上越英語教育学会第15回大会の参加
◎特色・強調点等
・ Newsletterの授業紹介:Ivan Brown (2011年7月):「Using TV Drama in the Language Classroom」「上越教育学会通信」第5巻(pp.4-6) (英語教育でのテレビドラマの動画の使用方法について。)
・ Newsletterの巻頭エッセイ:Ivan Brown (2011年12月):「The Difficulties of English Spellings and Some Materials to Help Young Children」「上越教育学会通信」第5巻(pp.1-5) (児童向けの英語読書・フォニックス教材の紹介)
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成23年度糸魚川市立中学校の上越教育大学への訪問との協力(主催機関:糸魚川市と上越教育大学)
(2)J-Center(米国市民外交官センター及びアイオワ大学と関連)の訪問団体の受け入れの補助(本学とJ-Center(米国市民外交官センター)
(3)国際ロータリーの研究グループ交換(GSE)プログラムとの協力(本学,高田ロータリークラブ)
◎社会への寄与等
J-Center(米国市民外交官センター及びアイオワ大学と関連)からの訪問では,通訳や説明を通して,J-Centerの代表者の本学,日本と上越市の教育についての知識と理解を深め,上越市教育委員会と高田高校校長・役員のJ-Centerの活動についての理解を深め,米国と日本の教育機関間交流活動の可能性を高めた。
附属小学校研究会の外国語活動が,小学生にとってとても有意義な外国語及び異文化体験となり,授業担当者にとっても基本的に成功したと考えられる。
糸魚川市の中学生の訪問を通して,参加した中学生が本学で行うコミュニケーション英語の授業の風景を経験し,活動や雰囲気などの特徴を把握し,自分の将来の夢をより具体的に想像できたと考えられる。
研究グループ交換(GSE)プログラムで,オランダから訪問した教育関係者に日本,本学及び上越市の教育の特徴の説明に補助と通訳し,オランダからの参加者の上記内容に関する理解を深めるのに貢献した。