【言語系コース】
 

有 澤 俊太郎(特任教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
理論と実践のバランスに配慮して運営,評価を行った。
研究指導
一名の学生,院生について,卒業論文,修士論文作成に向けた指導を行った。
その他の教育活動
・ 川村学園女子大学非常勤講師
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成25年3月:『国語科教育学研究方法論に関する研究の概観と展望』(単著) 国語科教育学研究の成果と展望U 全国大学国語教育学会編 学芸図書 pp.463-466.
 

小 埜 裕 二(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
担当全授業において具体的なシラバスを作成し,ほぼシラバスどおりに授業を行った。成績評価についても,シラバス及び授業初回時に示した方針に基づき行った。教員養成を目的とする本学の学生に,小・中・高等学校の国語を担当する上での十分な能力・技能を身につけてもらうことを念頭におき,授業を展開した。また,読書に対する興味・関心を抱き,学校現場で児童・生徒に豊かな読書生活の習慣を授けることのできる力を身につけてもらうことにも配慮した。
【観点2】教育の達成状況
学部の授業では系統性に配慮したカリキュラムを組み,教員養成大学に相応しい文学テクストの基礎的な読解技能が段階を追ってマスターできるよう工夫し,成果を挙げた。大学院の授業ではテクスト読解のための専門的技能を身につけることが出来るよう様々なアプローチの方法を提示した。授業及び各種セミナーを通じて,文学研究に関するテクスト理論の実践化に力を注ぎ,一定の成果を挙げたと考える。卒業生・修了生とも,希望の進路についている。
研究指導
【観点1】学部
学部学生には小・中・高等学校における国語の実践的能力を修得させるため,文学作品の解釈を中心とした共同討議を課外活動として毎週(金曜4限)行った。これは,担当の学生が毎回,資料を作成し,それに基づき,話す・聞くの活動を重視して展開したものである。この討議には大学院学生にも参加してもらい,学部学生への指導を通じ,より高度な読みの実践力と指導力を身につけてもらうことを図った。また学部・大学院学生連携の国文学実地踏査研究を2月に行った。行き先は金沢方面。
【観点2】大学院
上記の課外活動に大学院生に加わってもらい,その場を通じて,より高度な読みの実践力を身につけてもらうよう指導を行った。さらに大学院学生には,個々の研究テーマに即した個別指導を毎週定期的に行った。修士論文指導を行った学生は,M1が2名,M2が4名,D3が1名,D4が1名である。個別指導は定期的なもの以外に,不定期に多くの時間を費やして行った。
その他の教育活動
・ 上越看護専門学校において「日本文化論」の非常勤講師を務めた(15コマ)。
・ 富山大学において前期・後期に「日本文学演習」「日本文学特殊講義」の非常勤講師を務めた(15コマ×2)。
・ 教育実習において学部学生3名,大学院生1名の指導を行った。
・ 附属中学校における「国語」研究授業の指導者を務めた。
特色ある点及び今後の検討課題等
学部の授業では系統性に配慮したカリキュラムを組み,教員養成大学に相応しい文学テクストの基礎的な読解技能が段階を追ってマスターできるよう工夫した。大学院の授業ではテクスト読解のための専門的技能を身につけることが出来るよう様々なアプローチの方法を提示した。本年は昨年に引き続き,授業及びゼミを通じて,文学研究に関するテクスト理論の実践化に力を注いだ。今後の課題としては,読解技能がより身近なものとして教育現場で活用されるよう,一層の工夫を行いたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成24年12月:『人物書誌大系 小川未明全童話』(単著) 日外アソシエーツ
(2)平成24年9月:『文学の体験 近代日本の小説選』(単著) 永田印刷出版部
(3)平成24年7月:『新選小川未明秀作童話50 ヒトリボッチノ少年』(単著) 蒼丘書林
他】(1)平成24年12月:『FMポート ラジオ番組への出演(新潟ステキ☆プロダクション)/新潟県知事泉田裕彦氏と小川未明についての対談』 ラジオ
(2)平成24年8月:『書評/自著『新選小川未明秀作童話50 ヒトリボッチノ少年』書評』 上越タイムス
(3)平成24年9月:『書評/自著『新選小川未明秀作童話50 ヒトリボッチノ少年』書評』 朝日新聞全国版
(4)平成24年9月:『書評/自著『新選小川未明秀作童話50 ヒトリボッチノ少年』書評』 新潟日報
◎特色・強調点等
三島由紀夫に関する研究,及び宮沢賢治に関する研究,及び郷土作家である小川未明の研究を3つの柱として進めている。今年度は,文学教育用の教科書を刊行すると同時に,科学研究費に基づく研究として小川未明童話全集未収録作品の収集と研究に取り組み,2冊の研究著書を刊行した。また,小川未明小説研究会を市内にて開催した(毎月1回)。この研究会は,科学研究費に基づく研究促進および地域貢献として寄与している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)「前島密とふれあう」ふれあいハガキコンテスト選考委員(上越商工会議所)
(2)小川未明小説研究会主宰(小川未明小説研究会)
(3)出前講座講師(長野県諏訪市)
(4)長野県カルチャーセンター講師(長野県カルチャーセンター)
(5)新潟中央短期大学入試委員(新潟中央短期大学)
(6)小川未明文学館講座講師(上越市 小川未明文学館)
(7)教員免許状更新講習講師(上越教育大学)
(8)「骨髄バンクにまつわる命の作文コンクール」審査委員(特定非営利活動法人骨髄バンクサポート新潟)
(9)上越市議会議員勉強会の講演(上越市議会)
(10)平成24年度:『小川未明顕彰委員会委員』 上越市文化振興課
(11)平成24年度:『小川未明文学賞贈賞式の記念講演』 小川未明文学館
◎社会への寄与等
上越市及びその近隣の市を中心に,いくつかの講座の講師を務めるとともに,研究領域にかかわる審査員等を務めた。また郷土の作家である小川未明に関する研究会を本年度も引き続き主催した。月1回の研究会で30名の市民が参加する。
 

下西 善三郎(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
参加型・双方向的な授業の運営を心がけ,受講者には,その旨,講義・演習等の初回ガイダンスにおいて周知をはかった。とくに,人に聴かせてわかる話し方,発表態度等,プレゼンテーションの訓練として毎回の授業に臨むことを要求し,将来的な教育現場場面(学校における教室現場,教員室現場,また,諸種の会議等人前で発表すること)へのたしかな対応力,基礎力を培う事をめざした。同時に,「聞く」態度の涵養として,「聞く」は「訊く」であることを強調した。講義科目では,一つのテーマを通時的に眺めわたす工夫をし,最近の研究成果を盛り込んで内容構成を図った。講読・演習の科目では,各人に事前に発表の指針を与え,発表内容の構成の仕方,読んでおくべき文献等について指示し,個人の事前学習における効果や内容の理解を深める工夫を行った。成績評価については,授業出席,授業中の積極的な発言,取り組みの態度,試験・レポート等を総合的に判定して評価することを伝え,各回の授業への積極的参加を促した。
【観点2】教育の達成状況
受講学生による「授業評価」によれば,単独開講授業に関しては,おおむね95%以上の学生が有益感をもっていることがわかった。所期の目的は,ほぼ達成されているものと考えられるが,なおいっそうの工夫を重ねるべきところがある。
研究指導
学部・大学院の有効的な連携をはかり,教育・研究成果をあげるために,学部・大学院合同ゼミをおこなっている。学部学生および大学院学生自身の興味・関心に基づく分野から,問題・課題の発見と解決の方法を自主的・主体的に身につけさせることを心がけ,日本古典文学領域における,読んでおくべき基礎文献の探索,先行論文の理解,テクスト本文の読解,課題発見・解決の手続き,発表,等を通じて基礎力の涵養につとめ,臨床的応用場面への対応力を育成できるように日本古典文学の領域からの指導をおこなった。学部学生と大学院学生の合同ゼミでは,発表の仕方,レジュメの作成の仕方を学部学生が学ぶ場とした。発表についての互いの意見交換があり,相互啓発の有効な場となった。大学院生が指導的立場に立つことによって院生自身の研究への自覚をうながすこととなり,学部学生は,院生の発表を通じて,多くのものを学んだ。また,現職院生の活用という観点から模範授業を試みた。本年度の学部ゼミ指導は,2年生3名,3年生3名,4年生2名。大学院ゼミ指導は,院2年生1名,院1年生1名であった。
連合大学院では,博士課程学生の指導教授として2名の研究指導に当たった。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)「都の巽の『方丈記』」(単著)(『新視点 方丈記と鴨長明』勉誠出版,2012.8 所収
論】(1)「<老>と<閑>と<擬>の草案文学 ―『方丈記』の前と後ろの<家居の記>」(単著)(『國語と國文學』平成24年5月 明治書院)
学会活動への参加状況
(1)平成24年6月および2月:上越教育大学国語教育学会, (2)平成24年6月:中世文学会, (3)平成24年8月:北陸古典文学研究会
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)4月:高田文化協会伊東汎賞選考委員会
(2)5月:伊東汎賞選評を『文藝たかだ』に掲載
(3)10月:上越タイムス 作文選考委員会
 

野 村 眞木夫(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
1) 学部・大学院ともに書記言語(テクスト分析)と音声言語(談話分析)の研究成果を反映した教育を展開し,教育現場での学習材分析・授業分析に資する能力を育成することを継続している。教科書は共著者として関与したものを用い,フリーの音声分析ソフト,言語分析用コンコーダンサ等を学生各自のパソコンにインストールさせて,実践的に展開している。特に学習材の分析や授業分析に有用であることを念頭におき,各自の問題意識に沿ったレポートにより,理論と実践のマッチした成果を評価対象としている。学部の演習は,グループ学習の形態をとりいれ,ワークショップ方式で展開している。レポートはグループでの研究成果と個人の研究成果の双方によって評価している。
2) 主に2010年以降,言語学にも導入され始めた「マルチモーダル(マルチモダリティ)」の考え方に基づき,文字・音声言語とそれ以外の画像情報,動的な情報等を均質的に観察の対象とする方法を取り込みながら,指導方法を改善している。今後,更に学界の動向に即して新たな展開が可能である。
3) 現代日本語と古代日本語の文法を対比的に取りあげ,言語変化・語義変化・文法の変化等について教授している。この授業は,現代語に関する自分自身の言語直観をデータとすること,授業開始時に前回の講義内容のショートテストを実施することで,能力の定着をはかり,このテストの結果とレポートの双方で評価を行っている。現代・古代の文法を対比的に扱っている実践例は多くない。
【観点2】教育の達成状況
1) 大学院では,特に音声言語とテクスト分析の能力を育成しているが,レポートや修士論文中間発表,修士論文作成において,講義・演習において教授した知見や分析手法を駆使して各自の課題に取り組んでいることが明らかであり,十分な教育の成果が達成されているものと判断している。過年度の修了生は,学会誌に掲載した論文について,他学会の学界展望によって高い評価を得ている。
2) 平成24年度の学部卒業生は6名であるが,民間企業への採用者1名を除き,教員として採用されている。それぞれ,学部卒業論文を学習材分析や授業分析,授業実践に直結させうる方向性を獲得しているので,現場において一定以上の実践力と研究能力とを継続できるものと判断している。大学院修了生は,留学生1名が民間企業,他1名が塾勤務となっており,いずれも,本学における教育研究指導の成果が十分に反映されているものと判断する。
研究指導
【観点1】学部
学部の卒業論文は6名で,現代小説の待遇表現,マンガに見られるオノマトペ,現代女流作家の感情・感覚表現,味覚形容詞,椋鳩十の文体,「頑張る」の意味史を研究した。いずれも,データに即した着実な記述を展開し,教育現場での臨床的な応用等に有益な研究成果を果たした。
その他,3年次学生6名に対しては,文章論と意味論が主たる研究テーマであるので,具体的な研究課題を構築するために,これまでの関連領域の学術論文・著書をリストし,その中から関心のひかれるものについて,論文,文献の講読を展開し討議させることで内容や言語現象の具体的な理解を深めることができた。
また,上記3年次の学生6名に,本学のいわゆる「キャンパス言葉」について調査を計画させたところ,計112語を収集し記述することができたので,簡易製本として200部(B5版,30ページ)を刊行し,他大学の研究者等に配付し,一定の評価を得た。この成果は,下記ホームページにも掲載してある。
【観点2】大学院
M2の1名は,ライトノベルの表現を研究課題とし,特徴的な作品群から,間テクスト的な特徴,登場人物とその関係性の特徴,ストーリー展開の特徴をさぐる作業を継続している。作品の数量は相当数に達しているものの,ジャンルの歴史が浅く,先行研究が極端に少ないため,研究方法の開発から出発するので,テクストの分析にかかる臨床力は高度に培われるものと考える。他の1名は留学生であるが,日本語と中国語の新語について,対照言語学的な研究を展開し,日中両国語の共通性と差異,及び漢字文化圏における,相互の影響関係に言及することができ,今後の臨床的かつ実践的な日本語教育に多大な貢献をなすものと推察される。
M1の1名は,中国からの留学生であるが,日本語の現代小説の時間構造について,物語論とテクスト言語学の手法を統合した方法を確立し,これによって分析を展開しているところである。本人は帰国後,本国の教員になる予定であり,そのときに具体的な教材分析の実践に有用であるよう,また臨床的に活用できるように,この方法の習得と完成に努めているところである。
その他の教育活動
・ 初等・中等教育実習において,初等は6名,中等は6名の学生の指導をおこなった。それぞれ事前に学習材の分析の観点,実習中に訪問観察,事後に授業実践にかかるアドバイスを実施した。平成24年度に4年次であった学生6名は,民間企業に就いた1名をのぞき,義務教育の教員となり,十分な成果があったものと判断している。
特色ある点及び今後の検討課題等
専門は日本語のテクスト言語学の理論的な研究であるが,文章と談話を具体的な研究対象としているので,学習材の分析と授業実践の活動に直接有効性をもつ方法や観点を教授することができる。このことから,特に学部レベルの教育活動においては,教育実習ならびに卒業後の学習材分析や授業分析の能力の育成を明確にしながら演習・講義科目を展開している。学習指導要領で敬語の区分が修正されていること,現代語と古典語の橋渡し,音声言語の記述・分析方法の能力の教授などをほぼ完全に教育活動において実施すべく,担当授業科目のシラバスを構築している。現代語と古典語の橋渡しは,極めて少数の取り組みである。さらに,マルチモダリティの観点を導入した講義を平成22年度から試行している。これは,大学院では明示的に実施し,学部では試行段階だが教職実践演習で導入した。マルチモーダルな観点の方法論的な検討が求められる。海外では,理数系の授業を対象にした研究が進んでいるが,国内では人文系ともに不十分な段階にあると考えられる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成25年2月:『文学テクストにおける人称とコミュニケーションの回路』(単著) 上越教育大学研究紀要 32. pp. 257-272
発】(1)平成25年2月:『日本語テクストの一局面 ―現代小説のスタイルとしての人称―』(単) 上越教育大学国語教育学会第63回例会
他】(1)平成24年度:ホームページ開設 上越教育大学(本学サーバー上)
(2)平成25年2月:『JUEN語辞典』(共著)30ページ
学会活動への参加状況
(1)平成24年度:表現学会理事, (2)平成24年度:日本文体論学会査読委員(臨時), (3)平成24年6月2日〜平成24年6月3日:表現学会全国大会(同時開催の理事会にも出席)出席, (4)平成24年10月27日〜平成24年10月28日:日本語文法学会出席, (5)平成24年11月3日〜平成24年11月4日:日本語学会出席, (6)平成24年6月16日:上越教育大学国語教育学会出席, (7)平成25年2月15日:上越教育大学国語教育学会出席, (8)平成24年8月4日:表現学会編集委員会・運営委員会出席
◎特色・強調点等
第1に,日本語をテクスト言語学の観点から,記述・分析している。特に,今世紀に入ってから開発されたマルチモダリティの考え方を導入し,テクストを複合的な視点から観察することを可能にしている。談話については,言語表現と非言語行動の複合として記述する必要がある。後者についてジェスチュア,視線,姿勢,音声的な特性等を対象とする研究が求められる。書籍体のテクストについても,印刷形態やレイアウト,さし絵等が検討の対象となる。絵本については,言語表現と絵画表現について統合的に理解するモデルを構想し,以上について学部(教職実践演習等)・大学院の講義と論文,学会発表を行っている。以上のことから,従来のテクスト言語学や文章論,談話論,文体論の枠組みを拡張し,とりあげるメディアやジャンルをも多様にカヴァーすることが可能になる。
第2に,統合的なソフトウェア"ELAN"を導入し,ビデオ資料を対象として,談話における言語と視線・動作のシンクロナイズする実態を記述解析することを可能とした。これは,従来の表現研究を大幅に進展させるものであり,大学院の演習に活用している。また,一部は学会でも発表した。
専門領域とする日本語学およびテクスト言語学の領域での学会に係る貢献をはたしている。特に表現学会は,日本語と諸外国語による文章・談話を語学のみならず,文学・言語教育等との関連で研究することを目的とする。この学会の運営と学会誌の編集に継続的に関与しており,貢献度が高いと認識している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)免許状更新講習講師担当(上越教育大学)
◎社会への寄与等
免許状更新講習では,高等学校における文学教材を捉えるための視点の一つとして「人称」の概念が有効であることを示し,それを具体的な学習材に適用しながら実践的に教授した。単なる登場人物の心情の理解ではなく,手続き的に考えることができる契機を提案したことで,高い評価を得ることができた。
「教員養成モデルカリキュラムの発展的研究」では,第2回シンポジウムに指定討論者として参加,国語科について意見を述べた。今後の教員養成に係るカリキュラムの改善に資するものである。
表現学会の役員は,各国言語または言語教育,文学表現にかかる学会の活動を推進するもので,次年度に50周年となる同学会の進展に寄与する。編集委員としては,査読と学会誌編集に寄与しており,査読対象は現代日本語の文章・談話の表現に関するものを中心に毎年約10編程度である。
北海道大学国語国文学会の編集委員は,同学会の特に現代日本語学に関する論文査読と編集にかかるもので,毎年,数編の論文の査読を行っている。
 

押 木 秀 樹(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
2012年度は,基本的に前年度の取り組みを継続しておこなった。具体的には次のとおりである。
国語科書写指導のための基礎力の向上に加え,教師としての一般的な能力である板書の文字などの基礎力向上に,継続的に取り組んだ。前者については,学習者中心型学習過程と学習内容中心型の教材観を核として構成している。また,書字動作に関わる学習のため,視聴覚機器の使用やマルチメディア教材の作成により,学習効果を高める工夫を継続している。加えて,相手意識や目的意識を高める「手で書くこと」の指導について,体験的な活動を取り入れるなど意識して実践している。
評価に関して,学習物をポートフォリオ的にまとめることで,自己の学習過程を評価できる工夫を継続中である。
【観点2】教育の達成状況
担当する教育内容の達成状況は,進路の状況から記述しにくいため,教師としての資質・能力の面から記述する。
国語科書写の指導力として,授業の考え方など理解面については一定の学力を身につけていると考える。一方,国語科書写の指導のための実技能力と,教師としての一般的な能力である板書の文字などについては,十分とはいえない学生もいるように思われる。自学自習のための施設的な問題も解決できていないが,継続して工夫していきたい。
研究指導
【観点1】学部
国語科書写教育研究の動向に加え,文字を書く研究領域について,書学等の伝統的領域からGraphonomicsなど現代的領域までを基礎知識として押さえた上で,各学生の課題に対する指導をおこなった。ゼミでの専門領域の研究とともに,教育実習前の模擬授業などを継続しておこなっている。文字研究・書道の領域に関しては,実物を直に見る機会を設けるなど,体験的部分についても留意している。本年度は,基礎的な学力向上を重視するとともに,教育実習における書写授業とその効果などについて力を入れた。
【観点2】大学院
研究指導にあたっては,現場からの課題を解決する方向性と,将来の教育現場がどうあるべきかという方向性とありうる。本年度は,文字を書くことの変化を踏まえ,書字目的としてのパラ言語に関する部分と,漢字学習と書字動作の関連について扱うことで,基礎的な研究を重視した。
その他の教育活動
・ 教育実習では,ゼミ担当学生への通常の指導に加え,書写に関連する授業をおこなう(ゼミ以外の)学生に対するアドバイスをおこなった。
・ 授業以外で「文字を書く能力」の向上のための指導を希望する学生に対して,硬筆・毛筆の個別指導時間として,長期休業期間を除く月曜日・木曜日の19:00−21:00に講202教室において指導をおこなった。
・ 書道部顧問として,週2回の活動日および合宿研修において指導を行い,学外での書道展の開催等の指導をおこなった。
特色ある点及び今後の検討課題等
授業では,書字動作に関する研究成果を授業内容として生かすよう努めてきたが,これが一段落した。書字行為によるコミュニケーションを考える上でのパラ言語的な部分の研究成果を,授業内容として生かすことを進める必要があると考えている。また字を書くことが苦手な子どもたちへの指導の基礎理論として,書字における認識・記憶・動作それぞれの問題点を明らかにし,それを授業に生かしたいと考えているが,今年度はその点を十分進めることができなかったことが課題として残った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成25年3月:『書の古典と理論』(共著) 光村図書出版
論】(1)平成25年3月:『手書き文書におけるパラ言語的機能としての相手への感情の伝達と要素 ―好意の有無と相手の性別の差および字形と配列の効果―』(共著) 書写書道教育研究 27号 pp.40-49
作】(1)平成24年6月:『荀子より(「昔者江出於岷山〜」)』 第51回書象展(国立新美術館)
発】(1)平成24年10月:『手書き文書におけるパラ言語的機能としての相手への感情の伝達と機能』(共) 全国大学書写書道教育学会 第27回京都大会
他】(1)平成24年4月:『上越教育大学押木研究室/本学研究室情報および国語科書写指導の内容論を中心とする文字を書くことの情報』 http://www.shosha.kokugo.juen.ac.jp/
(2)平成24年2月:『タンブラー「愛」「夢」の文字』 国際交流事業用大学グッズへの揮毫
学会活動への参加状況
(1)9月28日:全日本書写書道教育研究会東京大会出席, (2)10月6日:日本教育大学協会全国書道教育部門会京都大会出席, (3)10月7日:全国大学書写書道教育学会第27回京都大会出席, (4)10月8日:全国大学書道学会平成24年度京都大会出席, (5)10月27日:全国大学国語教育学会富山大会出席, (6)1月31日:第22回石川県書写書道教育研究大会出席, (7)平成24年度:全国大学書写書道教育学会・常任理事, (8)平成24年度:全国大学書道学会・理事, (9)平成24年度:書学書道史学会・諮問委員
◎特色・強調点等
文字情報の伝達手段として情報機器を用いた方法が一般化するに伴って,国語科書写指導がどうあるべきかは重要な課題である。その基礎的研究として,手書き文書におけるパラ言語的機能の可能性について検討することは,ひとつの重要な方向性だと考えている。本年度,この点に関する実証的調査を含む基礎研究を発表しえたことは,この領域における先導的な役割を果たしていると考えている。なお文字群というという概念も含む書字動作の研究および認識・記憶と動作に関する基礎研究も継続しておこなっているが,発表できる段階には到らなかった。
 
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越市美術展覧会 運営委員(上越市)
(2)8月:書写実技講習会 講師(上越国語国語連絡協議会)
(3)石川県書写書道教育連盟 顧問(石川県書写書道教育連盟)
(4)7月〜8月:教員免許状更新講習 講師(上越教育大学)
(5)11月:上越市学校教育研究会書写部会 講師(上越市学校教育研究会)
(6)11月:長野県総合教育センター教職員研修講座 講師(長野県総合教育センター)
◎社会への寄与等
主として,国語科書写指導に関して,全国レベルにおいては学習内容に関する理論について担当(学会常任理事など)するとともに,北信越地区から上越地区においては書写指導全般について担当(講習会講師等)した。なお,上越地区に限定されるものとして,上越市美術展における書道部門の作品講評なども担当した。 また国語科書写指導における学習内容論を中心としたwebページを継続して公開している。
 

 
 本 條 治(准教授)
 

迎   勝 彦(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部においては一斉授業の形態をとった。一斉授業の形態を取る場合,受講者が受け身となり,主体的能動的な学習を十分に促すことができないという問題も指摘される。この授業形態の問題点を解消するため,受講者の発表の場や話し合いの場を随時設けるとともに,教材の工夫(配布資料・ワークシート・メディア教材(PPなど)の工夫)を中軸とした指導法の見直しを随時行った。また,授業内容は教育実習を含め,教育実践場面に適用できるものとなるよう配慮した。なお,後期授業科目(中等国語科指導法)では,毎回15分程度の時間を使い,教員採用試験(中学国語問題)と関わった課題の検討を行った。これには国語科教員としての資質と能力を高めるとともに,教員採用試験対策としての意味も持たせている。受講生の反応は良好であった。大学院においては一斉授業だけではなく,適宜討論を交えるなどして,講義及び演習が,受講者相互の情報交換,意見交流の場となるようにも配慮した。ストレートマスターにとっても現職派遣院生との交流の場を設けたことにより,彼らの教育観や教育理念を学び,感じることのできるよい機会となった。成績評価については,学部,大学院ともに成績評価基準を明示して厳格な成績の評価に努めた。
【観点2】教育の達成状況
良好。学部学生,大学院生ともに,社会に貢献する人材育成を図るという点からみて,高い付加価値を身につけさせることができたと考える。これは,授業後のアンケートやレポート,感想などから読み取ることができる。学部学生については特に,国語科教材の検討と開発を行う能力と資質を重点的に高めることができた。大学を卒業し,実際に授業を行う場合,この教材を読み取る能力や開発する能力は即戦力として必要とされるものである。大学院生については特に,「小・中学校授業の観察,分析,評価,改善」という点において臨床的な実践力を習得させることができた。
研究指導
【観点1】学部
学部4年生の指導においては,国語科における話し合い学習指導の組織化と教材化の方途,小学校高学年を対象とした音読指導のあり方,読書指導の方法と読書力の育成を検討課題として,とくに国語科教育に関わる臨床的な実践力を習得させることを目的とした研究指導を行った。学部3年生の指導においては,1)国語科教育研究の在り方,2)国語科における諸領域の歴史的検討と臨床的研究の在り方,3)国語科指導に関する現状把握と文献研究の在り方に関わる専門性を高める研究指導を行った。
【観点2】大学院
大学院の指導においては,現職派遣教員のニーズに応えるよう,より高度な教育実践力を修得させることをねらいとした。また,教育実践場面を対象とする「研究法」「分析法」を中軸とした専門的知識の教授を行うとともに,具体的実践的な作業・実習を重視した。修士論文制作に関わる研究指導では,M1生には,小学校における音声言語教育の在り方について,とくに「対話」「聞くこと」という学習活動を組織することの有効性について探究するための文献的研究と授業の構想・実施に向けた研究指導を行い,M2生には,小学校における「聞くこと」「インタビュー」に関する指導の方途,授業研究に関する方法論の検討・研究指導を行いながら,検証授業の構想と実施に向けた具体的な指導及びその分析と考察を進めるための研究指導を行った。
その他の教育活動
・ 独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校における非常勤講師(後期):「人間関係論」という講座を担当し,コミュニケーションの在り方や接遇,国語的な知識の習得に関する授業を実施した。
・ 本学附属小学校の研究協力者として平成24年度研究に関わる指導・助言を行うとともに,同附属幼稚園の運営指導委員として平成24年度研究に関わった指導・助言を行った。
・ 総務省「フューチャースクール推進事業」及び文部科学省「学びのイノベーション事業」実証校地域協議会委員として本学附属中学校での取り組みに対する指導・助言を行った。
・ 本学ハンドボール部顧問
特色ある点及び今後の検討課題等
学部学生の指導にあたっては,担当する授業(初等国語科指導法や中等国語科指導法),ゼミ等の研究指導において,専門領域でもある国語科教育の内容を活かし,教育実習対策と教員採用試験対策も重点的に行った。前者については,国語科における教材研究の方法,学習指導のあり方を中軸として基礎的な点から指導,助言を行っている。後者については,国語科の教科内容に関する情報提供を基本としながら,面接・討議討論に関わる指導,小論文執筆に関わる指導,模擬授業対策を適宜行った。これらは,教育実習対策及び受験対策としてのみ機能するものではなく,学生自身が実際に教職に就き,実践的,臨床的に教育活動を行っていく上で重視されるべき点であると考える。大学院生の指導にあたっては,基本的に「授業研究」「授業分析」の基本的考え方(理念や理論)の教授と臨床場面を想定した具体的実際的な研究の方法,分析の方法に関する意見の交流,情報の交換を重視した。これは,前提として修士論文研究の基盤を与えることをねらいとしたものであるが,現職派遣教員が,これまでの教育実践を振り返り,今後の教育実践のあり方を考えていく上での指針を与える上で意義があったと考える。この他,独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校での「コミュニケーション」をテーマとした講義を行い,研究成果を実践場面に活用した。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況 
業】(1)平成25年3月:『附属小学校1年生が書いた作文に関する内容分析A』(単著) 平成24年度研究開発実施報告書(第3年次研究)
(2)平成25年3月:『中学校国語科における「話し合い活動」を対象としたメタ認知学習ツールの開発(研究成果報告書)』(共著) 研究課題番号:22531015
学会活動への参加状況
(1)平成24年6月16日:上越教育大学国語教育学会第63回例会出席, (2)平成24年6月29日〜平成24年6月30日:上越教育大学附属小学校2012研究会出席, (3)平成24年5月26日〜平成24年5月27日:全国大学国語教育学会筑波大会出席, (4)平成24年10月27日〜平成24年10月28日:全国大学国語教育学会富山大会出席, (5)平成 24年10月10日:第20回幼児教育研究会出席, (6)平成24年10月12日:上越教育大学附属中学校2012年教育研究協議会出席, (7)平成25年2月15日:上越教育大学国語教育学会第64回例会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)上越教育大学教員免許状更新講習講師(上越)(上越教育大学)
(2)上越教育大学教員免許状更新講習講師(長岡)(上越教育大学)
(3)独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校入学試験委員(独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校)
(4)独立行政法人国立病院機構栃木病院附属看護学校入学試験委員(独立行政法人国立病院機構栃木病院附属看護学校)
(5)上越教育大学学校教育実践研究センター紀要「教育実践研究」審査協力者
◎社会への寄与等
上越教育大学附属小学校における共同研究,指導を重視し,これまでの教育研究の内容を学校現場へフィードバックする活動を行うことができたと考える。また,上越教育大学附属幼稚園の運営指導委員としても活動を行った。
 

渡 部 洋一郎(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
授業形態については,学部の場合,実際の教室場面を想定したグループ活動や討論場面も授業内容に取り入れ,実践的な授業構成力を養うことを心がけた。また,学習指導の方法については,取り上げる教材の種類や内容により,構成を重視した説明文の場合,読解とその方法を中心とした文学教材の場合などに分け,具体的な運用の方法などを理解してもらうよう心がけた。特に,成績評価については,レポートや出席状況のみならず,授業中の発表内容やグループ運営のあり方等も加味して行うよう努めた。
また,大学院修士課程の授業においては,研究論文の作成に寄与することを念頭に,文献収集の方法や先行研究の位置づけの実際,また,授業分析の方法などの説明,臨床的な教育研究を修士論文に反映させる際の手だてなどについて詳述することを心がけた。
【観点2】教育の達成状況
学部4年のゼミ学生のうち,2名を合格正規採用させることができ(1名栃木県小学校教諭・1名新潟県保育士),2名を臨時採用とすることができた(1名石川県中学校講師・1名群馬県小学校講師)。また,修士課程2年のゼミ学生2名の内訳は,1名が群馬県からの現職派遣教員,もう1名が他大学学部からの進学者であるが,他大学学部からの進学者については,神奈川県小学校教諭として合格正規採用にすることができた。
以上の点から,学部で50%,大学院修士課程で100%の正規採用率を達成できたので,十分な取り組みをすることができたと思われる。
研究指導
【観点1】学部
教育に関わる臨床的な実践力をつけるために最も力を入れたのは,次の2点である。まず,1点目は卒業研究のテーマに必ず実践的な課題を選び,それを実際の授業の中に位置付けて展開してみせることである。具体的には,教材読解のための理論的な枠組みの構築とそれに基づく分析を通して,どのような単元構成を組むことができるかを授業の細案として提示すること。また,それを実施したときに従来の国語の授業とはどのような点で異なり,それが学習者にいかなる新しい視点をもたらすのかを明示することである。こうした観点から,4年次ゼミ学生4名の論文テーマを次のようにした。「活用力を重視した小学校国語授業の研究」「詩教材の鑑賞指導に関する研究」「クリティカル・リーディングを用いた授業展開の構想」「説明的文章における読み書き関連指導の研究」。これらの論文は,卒論口述試験の折にもコースの教員からいずれも高い評価を得ることができ,以上のような点に鑑みて,標記の課題は十二分に達成できたものと考える。
【観点2】大学院
大学院修士課程では,2名のゼミ学生の修士論文指導研究を行った。うち1名は群馬県からの現職派遣教員で,県教委からの要請もあり,文学教材の指導法に関する実践的効果が見込めるテーマを設定した。この研究は,物語の全体構成を俯瞰的に捉えることを踏まえ,これまで難解とされてきた教材読解に新たな視点を切り開いた点で,学会でも注目され,高い評価を得ることができた。具体的な成果発表も国語教育の学会の場で行うことができ,学習者自身が独力でも学習を行うことができる点なども,上記の点と併せ,優れたポイントとされた。現在,論文化され,その成果が間もなく発表される予定である。
また,残り1名の学部からの進学者も,作文教育における「書くことが苦手な児童」の困難解消に役立つテーマを研究課題とし,一定の成果を挙げることができた。
その他の教育活動
・ 上越教育大学附属小学校研究協議会研究協力者
・ 平成24年度は富山大学において,学校図書館司書教諭養成に関する科目「読書と豊かな人間性」の集中講義を8月に実施した(4日間)。また,本学においても7月に学校図書館司書教諭関連科目「学習指導と学校図書館」を文部科学省の委託事業として開講し,講師を務めた。また,教育実習においては,学部3年生3名の小学校実習の事前指導と研究授業実施のための教材研究をゼミ生と一緒に行い,研究授業当日は3校の小学校を参観し,実習の事後指導を行った。同じく,学部4年生3名の中学校実習についても事前指導と研究授業で用いる教材の解釈,事後指導などを実施した。また,修士課程2年生のゼミ生についても,学部のゼミ生同様,実習参観,事前事後指導などを実施した。附属小学校においては,5年目となる高橋栄介教諭との共同研究を進め,昨年度は文学教材のスピンオフに関する成果を発表することができた。また,同教諭とは,附属小学校公開研究会に関しても,研究協力者として活動をともにしており,その過程において公開に関わる助言・指導を実施している。
特色ある点及び今後の検討課題等
活動全般を通して,特筆すべき点としては,新たに他大学において集中講義を担当する講師として,継続的な担当を今後も求められていることや,今年度からは,さらに長岡市にある医療福祉系の専門学校においても入学試験委員会に関する業務を実施していることなどが挙げられる。また,教育実習に関しても例年同様の丁寧な取り組みを行うことが出来た。この点については,今後とも継続して行い,こうした活動を通じてより実践的な力を担当の学生に身につけてもらうようにしたいと思う。さらに,附属小学校との共同研究は今後も継続して行い,これからは,こうした取り組みで出された成果を,学部生や大学院生にどのような形で還元していくことができるのかも課題の一つとして考えたいと思う。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成25年3月:『授業研究・学習者研究の記録と分析』(単著) 国語科教育学研究の成果と展望U 全国大学国語教育学会編 学芸図書 pp.537-544.
業】(1)平成24年12月:『教材を読み解くための観点』(単著) 上国連便り129号
(2)東京書籍中学校国語教科書地方編集委員(東京書籍)
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)「文学作品のスピンオフに関する研究」代表者:渡部洋一郎(上越教育大学) 上越教育大学附属小学校
学会活動への参加状況
(1)平成24年度:日本読書学会編集委員, (2)平成24年度:早稲田大学国語教育学会役員, (3)平成24年度:日本読書学会監事出席, (4)平成24年5月26日〜平成24年5月27日:全国大学国語教育学会第122回筑波大会出席, (5)平成24年8月4日:日本読書学会第56回研究大会出席(分科会司会), (6)平成24年8月6日〜平成24年8月7日:日本国語教育学会第75回国語教育全国大会出席, (7)平成24年10月27日〜平成24年10月28日:全国大学国語教育学会第123回富山大会出席
◎特色・強調点等
平成24年度に執筆した論文「授業研究・学習者研究の記録と分析」は,全国大学国語教育学会編による学術刊行物『国語科教育学研究の成果と展望U』(学術論文A)であり,特に授業分析法の一つである刺激回想法と社会言語学的な相互作用としての談話分析に焦点を当て構成されている。本論文は,平成22年度から継続的に行ってきた一連の研究の集成であり,秋田大学や筑波大学において発表してきた内容を評価され,採択されたものである。昨年度は,こうした研究の集大成を学術論文としてまとめることができた一方で,実践的な研究課題として本学附属小学校教諭との共同研究も実施することができた。共同研究の一部は,平成25年度の科学研究費申請の資料としても使われており,臨床的に文学教材を扱うことの新たな方法として一定の効果があったものと考える。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)学校図書館司書教諭講習会講師(文部科学省)
(2)「中学校国語科における学習指導の実際と課題」(上越教育大学教員免許状更新講習会講師)
(3)新幹線まちづくり推進上越広域連携会議駅名等検討部会委員(新幹線まちづくり推進上越広域連携会議)
◎社会への寄与等
社会の教育・研究に関するニーズへの寄与としては,全国規模の学術学会における学会誌編集のための査読編集業務や教員免許状更新講習会の担当などが挙げられる。また,各地域特有の教育上の諸課題についても,本学附属小学校教諭との共同研究を継続的に行い,実際の教室場面にその成果を適用するなどの実績を上げることができた。加えて,各種の政策形成に関する分野では,新幹線まちづくり推進上越広域連携会議での活動を通して,駅名や東西口・自由通路等の名称を検討するなど,一定の寄与を果たすことができたと思う。また,中学校国語の教科書編集についても地方編集委員として,その内容作成に携わった。
 

加 藤 雅 啓(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部:英語運用能力の育成を重点目標とし,積極的にコミュニケーションを図る態度の養成に工夫を凝らした。「英語学概論」では談話文法理論,機能文法理論の観点により「覚える文法」から「考える文法」,「コミュニケーションに役立つ英文法」への橋渡しを行った。「英文法」の授業では「母語話者の言語直感に迫る文法」の構築を目指し,「感じて分かる学習」を念頭に置き,学校現場を想定した言語直感を育成する英文法問題を作成した。
大学院:教育現場における英文法指導について従来の記憶中心の学校英文法を脱却し,コミュニケーションを重視した実践的な英文法指導への取り組み方を工夫した。「英語学演習」では関連性理論における最新の言語理論を取り込み,認知とコミュニケーションの観点から橋渡し指示に関する理解を高める工夫を行い,指示詞に関する実践的な教材開発を行った。
【観点2】教育の達成状況
学部:積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が身についた。「英語学概論」では,「覚える文法」から「考える文法」へ意識の転換が顕著に見られ,学校現場における「コミュニケーションに役立つ英文法」への橋渡しを達成することができた。「英文法」の授業では,全員が600頁を超える文法書を精読し,「母語話者の言語直感に迫る文法」を構築することができた。
大学院:「談話文法特論」の授業では,「話し手・聞き手・場面」で構成される「談話」を想定した「新しい文法」観,及び「母語話者の言語直感に迫る文法」観を身につけることができた。さらに,実践的な英文法指導能力を身につけ,パワーポイントによる教材を開発した。「英語学演習」の授業では談話における結束性に関する実践的な教材開発を行うことができた。
研究指導
【観点1】学部
学部では従来の記憶中心の英文法指導の不備を指摘しながら,「英語ではなぜ同じ意味内容を伝えるのに複数の言い方が存在するのか(第3文型と第4文型,能動文と受動文)」などの「生徒のなぜに答えることができるような英文法指導」を実践し,大量の生きた英文データを与えて臨床的実践力の養成を行った。
【観点2】大学院
修士課程では,教育現場において最新の言語理論がどのように応用できるかという観点により,「関連性理論の枠組みによる実践的コミュニケーション能力の育成」,「認知言語学による未来表現の分析と応用」等のテーマで実践研究を指導し,中学校・高校の英語教育現場におけるより高度な臨床的実践力の養成を行った。
その他の教育活動
・ 平成24年5月−6月,9月,初等教育実習,及び中等教育実習において学部生7名,大学院生3名の学生指導を行った。
・ 附属小学校長として,2012年度附属小研究会における全体指導,及び個別指導・助言を行った。
・ 上越看護専門学校の非常勤講師として医療英語の指導を行った。
特色ある点及び今後の検討課題等
講義支援システムを活用し,「振り返りシート」を提出してもらい,これに対して「振り返りシートの振り返り」を作成したうえで講義支援システムにアップすることにより,学生と教員による双方向通信による授業のフォローアップを行った。さらに,教師による「振り返りシートの振り返り」を次の授業の冒頭で振り返ることにより,学習項目を一層深く理解することが可能となった。「コミュニケーション英語CII」では「英語」をツールとして用い,情報の収集・発信を行い,グループワークを通じてコラボレーション能力を伸ばし,プレゼンテーション能力を伸ばすという目標達成のため「Virtual Travel 2012」を企画し,英文ホームページを利用して仮想旅行,及び提携校であるWestminster Schoolの日本語学習者用に「英語版上越紹介」を企画・実施し,パワーポイントを用いて発表することにより,教科書訳読式の授業からの脱却を試みた。作成した「英語パワーポイントバージョン上越紹介」ファイルはWestminster Schoolに送り,日本語学習に役立ててもらった。「コミュニケーション英語BII」では,教室で使う英語表現140を学習し,実践的な英語表現の習得を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
業】(1)平成24年6月:『「子どものつくる意味:非意図明示的コミュニケーション」』(単著) 『自分らしい生き方をつくる子ども Vol.1』上越教育大学附属小学校
学会活動への参加状況
(1)平成24年度:日本英語学会 評議員, (2)平成24年度:日本プラグマティックス学会 理事,評議員,学会誌International Journal of Pragmaticsの編集委員, (3)平成24年5月26日〜平成24年5月27日:日本英文学会第84回大会出席, (4)平成24年10月14日:英語語法文法学会第20回大会出席, (5)平成24年11月10日〜平成24年11月11日:日本英語学会第30回大会出席, (6)平成24年10月14日:日本プラグマティックス学会第21回大会出席, (7)平成24年7月 上越英語教育学会の企画・運営(会長), (8)平成24年12月 日本語用論学会出席
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)教員免許状更新講習講師 (上越教育大学)
(2)出前授業講師(新潟県立柏崎高等学校)
(3)出前講座講師(新潟県立六日町高校)
(4)学校評議会委員(上越教育大学附属小学校)
(5)新潟県附属学校園長会議(新潟県附属学校園)
(6)社会福祉法人 御幸会 役員(社会福祉法人 御幸会)
(7)公益財団法人日本英語検定協会 英語面接委員(日本英語検定協会)
(8)全国附属学校連合会北信越大会(全国附属学校連合会)
◎社会への寄与等
日本英語学会,日本プラグマティックス学会の役員として,学校教育の英語に関する教育的課題の検討に寄与した。教員免許更新講習では,新潟県,長野県の教員が抱える英語に関する教育・研究のニーズに応えた。また,新潟県立高校における出前講座を通して,高校英語に関する生徒の疑問に答える形で彼らの教育課題解決に貢献した。さらに,社会福祉法人の役員として新潟県の社会福祉活動に貢献し,日本英語検定協会から英語面接委員を委嘱され,小・中・高・大学生及び社会人の英語能力育成にも貢献している。 学会誌執筆の依頼を受けたり,同じ高校から連続して出前講座依頼を受けたり,社会福祉法人役員が再任されたりしていることから,上記の活動が一定の評価を受けていると思われる。
 

平 野 絹 枝(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
最近の研究成果を取り込んだ形で,効果的な英文読解方略を指導し,異なった読解問題形式にふれさせて学生の多様な読解能力を引き出すことを心がけた。音読,黙読を練習させ,英文の読解力向上のほかに,コミュニケーション能力の育成に努めた。動機付けにビデオ,CDを使用した。大学院では,ESL/EFL及び応用言語学の理論と指導,多角的な視点にもとづいた教材分析の理論研究と実際に焦点をあてた。理解の確認のチェックのため,小テストを行い,グループやペア・ワークで,問題点を討議させ,諸理論をわかりやすく解説することに腐心した。
成績評価に関しては,出席,日常点,課題,試験結果にもとづいて総合的に評価した。
【観点2】教育の達成状況
学生のなかには,学外の学会発表を行って英語教育指導の改善や研究の発展に貢献した。
研究指導
【観点1】学部
第2言語習得理論,読解理論,方略,テスティングに関する文献の指導,データの収集,分析法,論文の構成,展開,考察の仕方について,丁寧な研究指導を行うよう心がけた。
【観点2】大学院
第2言語習得理論,読解理論,方略,テスティングに関する文献の指導,データの収集,分析法,論文の構成,展開,考察の仕方について,国内外の文献を通して日本語と英語の丁寧な研究指導を行うよう心がけた。
その他の教育活動
・ 平成24年4月〜25年3月:新潟大学(学部)非常勤講師として「共通英語」「アカデミックライテイング」を担当した。
・ 教育実習の研究授業など,授業のコメント・改善点を指導した。
特色ある点及び今後の検討課題等
最近の英語教育学の理論を取り入れ,英語の理解と産出のバランスを様々な,一斉指導,ペア,グループワーク活動のなかで考慮し,学生が自主的に,また相互的に,英語力の向上や専門知識の獲得をめざせるように腐心した。今後,限られた授業時間内で個に対応した指導をどのようにしたらよいかが検討課題である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成25年3月:『Effects of Phonological Representation on Japanese Third Graders’ Recognition of English Words』(共著) ARELE No.24, JASELE
発】(1)平成24年8月:『小学生の英語語彙学習方略に関する調査』(共) 全国英語教育学会
(2)平成25年3月:『Investigating Aspects of the Recall Process Through Retrospective Questionnaire』(単) アメリカ応用言語学会(AAAL)
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)英語語彙認識の音声情報の役割 代表者:堀田誠(山梨大学付属小学校)
学会活動への参加状況
(1)平成24年度:中部地区英語教育学会副会長, (2)平成24年度:全国英語教育学会紀要編集委員, (3)平成24年度:全国英語教育学会紀要査読委員, (4)平成24年度:小学校英語教育学会紀要査読委員, (5)平成24年度:大学英語教育学会紀要査読委員, (6)平成24年度:全国英語教育学会40周年記念特別誌編集委員, (7)平成24年度:日本言語テスト学会最優秀賞表彰委員, (8)平成24年度:上越英語教育学会会長, (9)平成24年6月30日〜平成24年7月1日:第42回中部地区英語教育学会岐阜大会出席, (10)平成24年8月4日〜平成24年8月5日:全国英語教育学会愛知研究大会出席, (11)平成24年8月31日〜平成24年9月2日:大学英語教育学会第51回国際大会出席, (12)平成25年3月16日〜平成25年3月19日:アメリカ応用言語学会(AAAL) 2013 ダラス大会出席
◎特色・強調点等
読解テストの妥当性の検証があまりなされていないリコールテストに関する研究で,目標言語学習経験年数,性差,読解力,学力,の諸要因がリコールテストのパフォーマンスとその妥当性に及ぼす影響や方略との関係について継続的な研究を行っているが,これまでの先行研究では例が極めて少なく,テスト作成,評価,読解教材開発,読解指導の改善,に貢献する点で,興味深い示唆があり,独創的であるといえる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)教員免許講習講習会講師
(2)学校教育実践研究センター紀要「教育実践研究」応募論文の査読
◎社会への寄与等
学会の運営・論文査読・紀要編集を通して英語教育学研究発展・運営の社会貢献に努めた。
 

北 條 } 子(教 授)
 
<教育活動>
その他の教育活動
・ 上越教育大学附属小学校研究協議会指導者(外国語活動)
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成25年3月:『小学校外国語活動におけるポートフォリオの試行に関する研究』(共著) 上越教育大学研究紀要,第32巻,285−294頁
発】(1)平成24年7月:『児童の不安と学習意欲の関連性の類型に関する調査−不安に関する諸要因に注目して−』(共) 小学校英語教育学会全国大会第12回千葉大会
(2)平成24年7月:『異学年合同の小学校外国語活動が児童の情意要因にもたらす効果に関する研究』(共) 小学校英語教育学会全国大会第12回
(3)平成24年9月:『地域の人材を活用する小学校外国語活動(E-Time)の効果に関する研究』(共) 2012年日本教育工学回第28回全国大会
(4)平成24年9月:『小学校外国語活動におけるポートフォリオの試行に関する研究』(共) 2012年日本教育工学回第28回全国大会
(5)平成24年9月:『小学校外国語活動における簡略化ポートフォリオを活用した自己紹介に関する単元の開発研究』(共) 2012年日本教育工学回第28回全国大会
(6)平成24年9月:『インタラクティブ・ラーニング・ブリッジを目指した小学校外国語活動ゲスト・ティーチャー・プロジェクトに関する事例研究』(共) 2012年日本教育工学回第28回全国大会
(7)平成24年9月:『小学校外国語活動における文字指導の試み』(共) 2012年日本教育工学回第28回全国大会
(8)平成25年3月:『小学校中学年における書く指導導入の試み』(共) 群馬英語授業研究会第65回例会兼合宿研修会
学会活動への参加状況
(1)平成24年7月:上越英語教育学会副会長
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)7月:教員免許状更新講習講師(上越教育大学)
 

前 川 利 広(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部コミュニケーション英語の授業に於いては毎回,英字新聞記事を記事の新しさ,内容の適切さ,英文の読みやすさ,分量の適切さを基準に教材として切抜き・印刷したものを使用する。そのためには毎日,英字新聞に目を通し,記事を精選するという準備が欠かせない。新聞を取らない学生が大多数であるが,そのためか記事を貴重な勉強の場としてとらえている。従って予習はほぼ完璧になされ,勉強効果は非常に高い。
院の授業ではアメリカの優れた女性エッセイストによる女性論を使用した。教材として本の半分を終えたが,受講生には今後の自分自身の生き方のモデルとして読んでいたようである。そのため強い興味をおぼえたことが感じ取れた。英文は決して容易ではなかったものの過度に難しいというわけでもなかったことが,受講生にはいっそう読みたいという気持ちをそそったようである。
【観点2】教育の達成状況
ここ数年,ゼミの学生は就職率が100パーセントであった。そこに持って行くためには,良い内容の教材を読ませ,それについて文献を渉猟し調べる作業をさせ,自分の観点をまとめさせるという作業を,時間を惜しまずに遂行することができたからであろうと思われる。
研究指導
【観点1】学部
英語という教科の場合,「教育にかかわる臨床的な実践力」が身に着くようにさせるには,まず英語の基礎力がなければならない。ところがこの力は中高での英語教育に大学のなまぬるい教育を追加しただけでは,まったく達成できない。外国語というのは非常に多くの学習時間を要するものなのである。ここまで教えればよいという限度がないことが英語のむずかしさであり,他の教科と異なる点である。この難点をどう指導する者が認識し,研究指導をしたのかということは,このスペースに収まりきるものではない。
【観点2】大学院
大学院とはいえ,上越教育大学の院は学部生の英語力に及ばないものが過半数である。従って,「観点1 学部」に述べたことはここにもあてはまる。
その他の教育活動
・ 教育実習における学生の指導は,学部生に関してはゼミの学生の多いこともあって,甚だ多くの時間を割いて充分に指導している。実習校における指導の先生方との話し合いも時間を割き,実習生が戻ってきてからも指導し,教員採用試験前には何度も模擬授業を施し,その結果毎年100パーセントの合格を維持してきた。
特色ある点及び今後の検討課題等
いままでの教育・指導方法は間違っていないように思う。ただ,この大学内では教員相互の観察・話し合いがまったくなく,授業参観さえ制限つきであるため,他の授業から学ぶ機会が失われている。
 
<研究活動>
◎特色・強調点等
現在,教育大学における英語教員養成について,非常に長いものを執筆している。この完成をまって研究活動の感想をここに述べたい。
 

石 M 博 之(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部「コミュニケーション英語」の授業では,旅行記やテーマに基づく記事の概要読みをしながら,音読中心の授業をした。具体的に,オーバーラッピングやシャドウイングの技法,音楽の活用を取り入れた。初等外国語活動指導法の授業では,理論から指導案の書き方,模擬授業ができるように努めた。大学院の授業では,小学校英語の指導に必要な理論を習得するようにした。そして,実際に理論に基づく模擬授業ができるように仕組んだ。
学部では,単元ごとに小テストを実施して内容の定着を確認した。授業内容が定着ができているかの評価をした。大学院では,小学校英語の理論がどのくらい定着したかについて,毎回「ふりかえり」をした。模擬授業では,よい点や改善点を具体的に示して,よりよい指導案の在り方を示した。
【観点2】教育の達成状況
学部では,各個人が必要とされる易しい英語を使うように努めさせた。就職する際に,すぐに使える指導方法論を身につけさせようとした。大学院生には進学するための研究方法を提示して,学会誌に論文を書かせるように指導した。
研究指導
【観点1】学部
学部4年生の研究指導では,研究設定,データ収集のお願い,論文の書き方まで丁寧に指導した。実際に関係する小学校で調査依頼,調査データの収集を行った。そして,最終的に学生個人が論文を仕上げるまで丁寧に指導した。学部3年生には,小学校英語に関する英文の文献を読ませた。
【観点2】大学院
学生が研究を行う上に必要な先行研究を提示したり,その先行研究の論文を読ませたりした。そして,研究の方向性を示しながら,関係している小学校や教育委員会等に調査依頼をしながら,研究のデータの収集を努めさせた。そのデータを統計ソフトSPSSを使えるように具体的に研究指導を行った。
その他の教育活動
・ 愛知淑徳大学文学部英文学科『小学校外国語活動入門』の非常勤講師
・ 教育実習では,ゼミ生に対してよりよい授業実践になるように具体的事例を示して指導した。
特色ある点及び今後の検討課題等
教員になることを前提として,基本的な指導方法の内容を提示すると共に,教育実践をするための「理論」と「実践」の融合を求めた。学生が自信を持って教育実践できるように,見通しを持たせながら,一つ一つの方法を積み上げて教育実践できるような指導をしていきたい。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成25年3月:『外国語活動(英語活動)に『お寿司屋さんごっこ」を導入した授業の展開とその効果−「ごっこ遊び」で扱った寿司英語と扱わなかった寿司英語の学習成果に焦点をあてて−』(共著) 小学校英語教育学会紀要,Vol.13,pp.52-67
(2)平成25年2月:『英語活動における「話すこと」の効果に関する実践的事例研究−どのくらい児童は既習した言語項目を表現できるか−』(単著) 上越教育大学紀要,第32巻,pp.227-238
業】(1)平成25年3月:『上越市立牧小学校の外国語活動指導案集(平成23・24年度指導案集)』(単著) 平成24年度上越教育大学研究プロジェクト成果報告書,全135p
発】(1)平成24年8月:『小学校外国語活動の背景,成果,及び課題点』(単) 日本メディア英語学会中部支部例会
(2)平成25年3月:『「教員養成モデルカリキュラムの発展的研究」第2回シンポジウム』(共) 鳴門教育大学
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)課題別研究「小学校英語教育の評価」代表者:本田勝久(千葉大学)小学校英語教育学会
学会活動への参加状況
(1)平成24年6月30日〜平成24年7月1日:第42回中部地区英語教育学会岐阜大会出席, (2)平成24年8月31日〜平成24年9月2日:大学英語教育学会第51回国際大会出席, (3)平成24年7月15日〜平成24年7月16日:小学校英語教育学会千葉大会出席, (4)平成24年12月8日:日本英語表現学会「第19回研究会」出席
◎特色・強調点等
・ 大学近隣の小学校(小規模校も含む)と関わり,外国語活動の"Hi, Friends!1・2"に基づいて実践的研究をしている。特に,小学校教員が外国語活動の授業展開を円滑にできるように,授業の枠組みの固定化を提唱し,学級担任とその有効性を検証している。
・ 音声面の観点から,外国語活動(英語活動)の効果,特に,聴解力の伸長を検討している。
・ 外国語活動が児童の情意面と音声面との関連性について継続して研究をしている。
・ これらの研究は,学校教育関係者に情報を提供でき,効果的な外国語活動の発展に寄与している。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)5月〜3月:新潟県立高田商業高等学校学校評議員会委員(新潟県立高田商業高等学校)
(2)平成24年度上越市立牧小学校学校運営協議会委員(上越市立牧小学校)
(3)10月:ステップワールド英語スクール高田教室スピーチコンテスト校内大会審査委員長(ステップワールド英語スクール春陽館高田教室)
(4)糸魚川市立糸魚川小学校の授業実践と教員指導力向上講師(糸魚川市立糸魚川小学校)
(5)糸魚川市立上早川小学校の授業実践と教員指導力向上講師(糸魚川市立上早川小学校)
(6)上越市立宮嶋小学校の授業実践と教員指導力向上講師(上越市立宮嶋小学校)
(7)出前講座「小学校外国語活動の授業づくりと教員指導力向上」講師(木曽町立福島小学校)
(8)出前講座「小学校英語の授業展開と教員の指導力向上」講師(十日町市立馬場小学校)
(9)出前講座「小学校外国語活動の授業づくりと教員指導力の向上」講師(津南町立上郷小学校)
(10)公開講座「「楽しい」入門マジック教室−簡単なマジックをやってみよう−」講師(上越教育大学)
(11)公開講座「小学校外国語活動」進め方入門講師(上越教育大学)
(12)小学校英語教育学会会計監査(小学校英語教育学会)
(13)上越教育大学教員免許状更新講習「小学校英語教育(外国語活動)」講師(上越教育大学)
(14)平成24年度上越市小中学校教科・領域別一斉研修会「外国語活動」講師(上越市立教育センター)
◎社会への寄与等
平成24年度も,新潟県の市町村の地域で,具体的に学級担任とのティームティーチングで授業実践や師範授業を試みた。その授業の後,その授業の背景となる理論を参加者に講義形式で伝えた。次にワークショップ形式で課題を体験する活動を実施した。教員や校長先生,指導主事,教育委員会等から,「具体的でわかりやすい」と評価が高い。実際に授業の実演は,1つの授業展開(授業の固定化)の提案となっている。適切な助言等で,「授業をやりやすくしている」と好評であり,受講した教員に,指導の自信を与えている。
 

大 場 浩 正(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部の「コミュニケーション英語」においては,1年生は語彙及びプロセス・ライティング指導に基づくライティング技能に焦点をあてた授業を展開した。2年生に関しては,語彙及び映画と音楽を用いたリスニング技能に焦点をあてた授業を展開した。第1回目の授業において,受講学生の英語学習に関する意識等をアンケートにより調査すると同時に,授業全体の目的・目標,学習内容(計画),成績評価方法を詳細に説明した。また,毎回の授業では個人の活動をもとにペアやグループの活動へと発展させ,協同学習やグループ・アプローチを導入することにより学習意欲を促し,また,学生に全ての活動への自己評価(振り返り)を行わせることにより個々の活動成果を確認させた。学習の成果(テスト)のみならずその過程を評価(ポートフォリオ評価)することを通して受講学生の学習意欲を高めるようにした。「中等英語科指導法(授業論)」でも同様に,個人の活動やグループの活動を中心に展開した。授業全体を3期に分け,第1期では英語の授業展開や指導案の作成の方法を解説し,第2期では1期の内容を踏まえ,受講学生達がグループで実際に30分〜50分の授業を組み立て,模擬授業を行った。模擬授業後のディスカッション(とシェアリング)によって授業を観察する目が養えたのではないかと思う。第3期には中学校現場の教員による講義を組み込み,学生の教職への動機付けを行った。教育実習や現場に出てから役に立つ英語の授業の基礎技術を獲得させることに焦点をあてた。大学院の「英語科教育第二言語習得特論」と「英語科学習方法演習」では,目的・目標,学習内容,成績評価方法を明確にし,より高度な,そして,専門的な知識を獲得できるように,学生によるプレゼンテーションとグループによるディスカッションを通して指導を行った。特に,後者では協同学習の形態を用いて協同学習の英語教育への応用を考えた。また,英語指導の際に,直接的・間接的に役に立つ背景知識の獲得と自己の英語教育に対する考え方を形成させることに焦点をあてた(特に前者)。全ての授業において,学力や知識のみならず,よい人間関係を構築できるような活動を取り入れた。
【観点2】教育の達成状況
学部1年生は,既に大学入学以前に英語に対する得意・不得意がはっきりしており,それに応じて,英語への学習意欲が,ある程度,決定しているように思われる。しかしながら,大学の英語の授業では,受験を意識することもなく,オーセンティックな英語の(自作)教材(音楽,映画,新聞等)を用いることによって,学生の英語に対する意識が変わってきたようである。活動毎の自己評価(振り返り)では,「難しいが,楽しく出来た」「仲間と協力し合って解答にたどり着くことができて嬉しかった」というような,英語学習を肯定的にとらえているコメントが多かった。教科の指導の中で人間関係を構築することも目指した協同学習やグループ・アプローチを積極的に取り入れた成果だと思われる。「中等英語科指導法(授業論)」でも,教育実習に向けて英語の授業をどのように組み立てていくか,どのように中学生と接していくかなど,学生たちは具体的な手法や心構えを学んだ。大学院の授業では,学生は授業の展開や教材の開発などの基になる理論的背景を学んだ。特に,一つ一つの活動にどのような意味があり,何を目指した活動であり,どのような考え方に基づいているのかを考え,学ばせた。従って,教授法や指導技術の基礎となる第二言語習得研究に関する理論的な背景や実験研究の成果を正確に理解させることに勤めた。また,授業づくりには,少なくても教科教育と授業展開(構成)の二つの柱が必要であり,教科を超えた授業づくりの基礎も指導した。このように,指導の目的は十分に達成された。
研究指導
【観点1】学部
英語教育に関しては,教育実習における実践に役立つような基礎知識や活動を積極的に指導した。卒業論文の指導においては,理論的な側面のみならず,理論に基づく提案等を通して実践力の獲得に焦点をあてた。特に,英語学習者のライティング能力を高めるために,どのような気付きやフィードバックが必要であるのか,また,オーセンティックな教材作成として,映画を素材としてどのように効果的なリスニング教材が作成できるのかを追及させた。
【観点2】大学院
大学院においては,教授法や指導技術の基礎となる第二言語習得研究に関する理論的な背景や実験研究の成果を正確に理解させることに勤めた。さらに,英語教育的なアプローチのみならず,教育学的なアプローチから英語の授業を組み立てる方法として協同学習及びカウンセリングマインドを意識した英語の授業方法も指導した。修士論文の指導においては,語彙指導,英作文指導,スピーキング指導など多岐にわたるトピックを扱ったが,ゼミにおけるディスカッションを頻繁に行うことによって,よりレベルの高い修士論文に発展していった。
その他の教育活動
・ 教育実習における実践に役立つような基礎知識や活動を積極的に指導した。また,実習期間中にも指導案や教材に関する指導を行った。研究授業の参観の後には,指導教諭とともに授業の振り返りなどを行った。
・ 男子ソフトボール部顧問
・ 上越教育大学附属中学校研究協議会・助言者(英語)
特色ある点及び今後の検討課題等
常に学生の英語学習への意欲を高めるための学習内容を考え,指導してきた。また,英語を指導する上で何が大切かを教え,伝えてきた(英語教育学および教育学アプローチの融合について)。指導方法に関しても,これまで獲得してきた理論的背景に基づき,現場での経験を生かし,学生が分かりやすい指導を心掛けてきた。これらの成果(根拠)は学生の授業アンケートにおいて十分反映されていると思われる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成24年9月:『Characterising individual learners on an empirically-developed can-do system: An application of Latent Rank Theory』(共著) Perspectives on individual characteristics and foreign language education, 131-150
(2)平成24年8月:『What can Latent Rank Theory contribute to SLA research?』(共著) Proceedings of the JACET 51st International Convention, 156-163
(3)平成24年12月:『The effects of cooperative learning on process writing in the English classroom』(共著) Proceedings of the Fifth CLS (Center for Language Studies, National University of Singapore) International Conference (CLaSIC 2012), 555-587
(4)平成25年2月:『大学授業におけるグループ・アプローチの教育的効果の検証』(単著) 上越教育大学研究紀要第32巻,239-248
発】(1)平成24年6月:『日本人英語学習者の関係節習得再考:「潜在ランク理論」を応用して』(単) 日本第二言語習得学会
(2)平成24年6月:『英語授業における協同学習とグループ・アプローチの導入が学習意欲・態度へ与える影響』(単) 中部地区英語教育学会
(3)平成24年8月:『大学入試センター試験「英語」で測定される英語学力の経年変化』(共) 全国英語教育学会
(4)平成24年8月:『協同学習とグループアプローチを取り入れた英語授業づくりについて』(単) 釧路英語教育学会
(5)平成24年8月:『大学授業におけるグループ・アプローチの教育的効果の検証』(単) 日本教育カウンセリング学会
(6)平成24年8月:『英語授業におけるシェアリングが学習意欲・態度に及ぼす影響』(単) 日本教育カウンセリング学会
(7)平成24年8月:『What can Latent Rank Theory contribute to SLA research?』(共) 大学英語教育学会
(8)平成24年9月:『協同学習とグループ・アプローチを用いた大学英語スピーキング授業の実践』(単) 日本協同教育学会
(9)平成24年11月:『協同学習による英語プロセス・ライティングが英語学習意欲・態度及び協同作業認識に与える影響について』(単) 日本教科教育学会
(10)平成24年12月:『The Effects of Cooperative Learning on Process Writing in the English Classroom』(共) The fifth CLS (Center for Language Studies, National University of Singapore) International Conference (CLaSIC 2012)
(11)平成24年12月:『A Study of the Effects of English Teaching Practice on Teacher Efficacy among Student Teachers in Japan』(共) The fifth CLS (Center for Language Studies, National University of Singapore) International Conference (CLaSIC 2012)
(12)平成24年12月:『Effects of changes in language education policy on Japanese EFL learners’ proficiency』(共) The fifth CLS (Center for Language Studies, National University of Singapore) International Conference (CLaSIC 2012)
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)協同学習を取り入れた英語授業 代表者:大場浩正(上越教育大学) 中部地区英語教育学会課題別プロジェクト
学会活動への参加状況
(1)平成24年4月15日:英語授業研究学会春季大会出席, (2)平成24年5月3日〜平成24年5月5日:日本教育カウンセラー協会「SGE合宿研修」出席, (3)平成24年5月19日〜平成24年5月20日:協同教育学会「協同学習ワークショップ(Advance)」出席, (4)平成24年6月2日〜平成24年6月3日:日本第二言語習得学会出席, (5)平成24年6月30日〜平成24年7月1日:中部地区英語教育学会出席, (6)平成24年7月7日〜平成24年7月8日:日本教育カウンセラー協会「SGEリーダー研修」出席, (7)平成24年7月1日:上越英語教育学会出席, (8)平成24年8月4日〜平成24年8月5日:全国英語教育学会出席, (9)平成24年8月13日:釧路英語教育学会出席, (10)平成24年8月18日〜平成24年8月19日:日本教育カウンセリング学会出席, (11)平成24年8月31日〜平成24年9月2日:大学英語教育学会出席, (12)平成24年9月15日〜平成24年9月17日:新潟県教育カウンセラー協会養成講座出席, (13)平成24年9月20日:大学英語教育学会談話研究会研究発表会出席, (14)平成24年9月21日:新潟市立宮浦中学校研究会(日本協同教育学会共催)出席, (15)平成24年9月22日〜平成24年9月23日:日本協同教育学会出席, (16)平成24年10月7日:日本アクション・リサーチ研究学会出席, (17)平成24年10月20日:英語授業研究学会第182回月例会出席, (18)平成24年10月27日:外国語教育メディア学会関東支部大会出席, (19)平成24年11月3日〜平成24年11月4日:日本教科教育学会出席, (20)平成24年11月18日:新潟県教育カウンセラー協会総会・論文発表会出席, (21)平成24年12月6日〜平成24年12月8日:CLaSIC 2012出席(Center for Language Studies, National University of Singapore), (22)平成24年12月15日:英語授業研究学会第184回月例会出席, (23)平成24年12月22日〜平成24年12月24日:富山県教育カウンセラー協会養成講座出席, (24)平成25年1月12日:2012年度青山学院大学英語教育研究センター・JACET関東支部共催講演会出席, (25)平成25年1月13日:英語授業研究学会第185回月例会出席, (26)平成25年3月2日:英語教育講演会出席(埼玉北部英語サークル), (27)平成25年3月16日:英語授業研究学会第187回月例会出席, (28)平成25年3月17日:関東甲信越英語教育学会平成24年度春季講習会出席, (29)平成25年3月23日〜平成25年3月24日:協同教育学会「協同学習ワークショップ<Basic>」出席, (30)平成24年度中部地区英語教育学会運営委員, (31)平成24年度全国英語教育学会誌応募論文の査読, (32)平成24年度日本教育大学協会誌応募論文の査読
◎特色・強調点等
日本人英語学習者の英語能力を伸ばすためにアウトプット仮説における「気づき」と「理解」及び協同学習とグループ・アプローチの手法を取り入れた指導方法の開発およびその実証的な研究を行っている。日本において本格的に英語の指導に協同学習の手法を取り入れた例は少なく,先駆的な研究として成果を出している(科学研究費補助金:挑戦的萌芽研究に採択)。さらに,協同学習を行うための技法を獲得するために教育カウンセラー養成講座(及び構成的グループエンカウンター講座)にも参加し研鑽を積んだ。これらの成果は国内・国際学会で発表し,論文の形でまとめた。また,共同研究の第二言語の文法能力の発達における新しいテスト方法やデータ分析方法の開発(科学研究費補助金:基盤研究B採択)に関しても,その研究成果を国内・国際学会で発表し,論文の形でまとめた。これまでにない分析方法による包括的な研究という点で優れたものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)5月:新潟県個を生かして集団を育てる学習研究協議会 第2回研修会講師(新潟県個を生かして集団を育てる学習研究協議会)
(2)8月:糸魚川市教育委員会教職研修「外国語活動・外国語授業づくり研修会」講師(糸魚川市教育委員会)
(3)2月:柏崎市・刈羽郡学校教育研究会外国語活動・英語教育研究部研修会講師(柏崎市・刈羽郡学校教育研究会)
(4)4月〜2月:上越教育大学学校教育実践研究センター自主セミナー講師(上越教育大学学校教育実践研究センター)
(5)7月:教員免許状更新講習講師(上越教育大学)
(6)4月〜3月:英語技能検定試験2次面接委員(日本英語検定協会)
(7)3月:「協同学習」ワークショップ講師(上越教育大学大場研究室主催)
◎社会への寄与等
糸魚川市教育委員会からの依頼で授業力向上研修(小学校外国語活動・中学校英語)の講師を務めた。また,英語教育に関する学会において運営委員や紀要編集委員(査読委員を含む)を務めた。さらに,英語教育(英語指導)に関する自主セミナー(上越教育大学学校教育実践研究センター)(主に,中学英語教師対象)や「協同学習」ワークショップ(於上越市)を自主的に開催した。このような活動を通して,全国の英語教育に関する課題解決への貢献を積極的に行った。さらにこれらの活動において,大変高い評価のフィードバックを頂いた。
 

野 地 美 幸(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
教育方法に関しては,それぞれの授業の目的に合わせて適宜演習形式,パワーポイント・配布資料を用いた講義形式,発表形式を用いて,あるいはそれらを組み合わせて知識の定着を図った。
成績評価に関しては,シラバス上で,また初回の授業で説明を行った上で,厳正に実施した。具体的な取り組みとしては,発表・レポート作成・テストを用いて,またテストも学期中に2回に分けて行うなど,多様な形で評価できるよう工夫した。
【観点2】教育の達成状況
各授業の目的に合わせ,概ね達成できたと思う。
研究指導
【観点1】学部
英語学習者の言語知識とその発達について理解することにより,英語学習者の英語の発達に上手く関わって行けるよう学生3名のそれぞれの関心事に合わせ研究指導を行った。
【観点2】大学院
英語学習者の言語知識とその発達について理解を深めることにより,英語学習者の英語の発達に上手く関わって行けるよう修士課程の学生5名の研究指導を行った。
その他の教育活動
・ ワクワク大学デーに参加し,授業を行った。
・ 関わっている学会の発表者(院生)の研究・実践発表の支援を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成25年2月:『Japanese-speaking children's accessibility to multiple readings in the interpretation of negative sentences with the focus particle "dake"』(単著) 上越教育大学研究紀要,第32巻
学会活動への参加状況
(1)平成24年度:上越英語教育学会事務局
 

ブラウン・アイヴァン・バーナード(特任講師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部:学部新入生の大部分は,中・高等学校で学習した英語の知識を実際のコミュニケーションに使う機会が不足しており,自発的な会話ができない。英語で会話方略を使えないため,英会話方略に関する知識,認識及び使用の有効性を高める様な指導を行った。選択科目の英会話授業では,ペアやグループで,学生はICレコーダーに会話を録音し,次に,録音に基づいたレポートを書いた。そのレポートには転写,修正,コメント,振り返りおよび自己観察計画が含まれていた。選択科目の英作文の授業では,定期的な基礎英文法の復習,ジャーナル(日記)の創作とフィードバックとともに,期末ポスターセッションのために準備しながらグループプロジェクトを行った。
大学院:現代英語特論では,学校教育,社会言語学及び世界英語の多様性といった話題についての文章を英語で読み,グループ・ディスカション及びディベート・プロジェクトを通してその話題に関する知識を増やし,学理的な英語を練習する機会が多く,非常に活発で刺激的な授業になった。現代英語演習では,アカデミック・ライティング力の上達を目標とし,プロセス・ライティング・アプローチを通し,院生は内容深く正式な小論文を書くことが出来た。最後に学生の達成感のために,院生が書いた英語小論文を集め,雑誌を作って学級で配った。
以上の各科目における成績評価法に関しては,それぞれの科目の目標に対して該当する科目の成績評価法のために,学生の活動・作品等の中で着目される側面を適切に選択した。尚,シラバス,オリエンテーション,参考書類及び授業中の説明を通して,評価方法を事前に受講生に明確にした。海外フィールド・スタディでは,訪問する国の教育の特徴,実習先の児童の特徴について,ビデオ等を通して説明し,実習のためにどのように授業の工夫に取り組めばよいのかを事例などを通して助言を提供し,複数の段階で授業案作成を日本語と英語で深く検討し,派遣直前に念入りに授業リハーサルを行い,全関係教材の内容と英語訳を綿密に修正した。各受講生が実施した授業が基本的に成功したと考えられる。
【観点2】教育の達成状況
私の指導は大勢の学生(学部生全員を含め)にわたって配布されているため,その指導と当学生の卒業後の達成状況の「原因〜効果」の様な関連性を確認するのは難しい。しかし,ある英語コースに所属していた学生の教員採用試験での面接の準備のために指導した。英語での採用試験の面接の支援をし,指導した学生は合格した。
研究指導
【観点1】学部
4年生の卒業論文に関する研究資料(英語版のアンケートなど)と卒業論文の要旨の英文の作成のために指導した。
【観点2】大学院
修士課程の英語コースの諸分野において,研究資料(英語版のアンケートなど)及び教育実習資料(教材,原稿など),卒業論文(全体:学生1人あたり約60〜100頁)の英語の内容を確認し,適切な英文表現になるために細かく指導した。研究対象者の収集にあたっても協力した。
その他の教育活動
1.平成24年度国際交流インストラクター養成事業(新潟県国際交流協会)において,他5人の教員とともに,上越教育大学専任アドバイザーという役割を持った。インストラクター(本学の学生と大学院生)の教案作成,ワークショップ・リハーサル及び現場実践において指導した。
2.附属小学校で行う「出張授業」(担当:北條礼子教授)の準備活動において,英語に関する指導を参加学生に毎週提供した。
特色ある点及び今後の検討課題等
1.平成24年度国際交流インストラクター養成事業は,本学にとって初年度であった。学外組織との連携,本学の学生の大学生活の多忙の配慮,ワークショップのテーマの適切性を含めたさまざまな課題があったが,基本的に無事に完了できたと考えられる。
2.附属小学校で行う「出張授業」は,参加学生にとってとても有意義な経験と考える。適切な英語を教えるために,過去の成功した授業の教材及び原稿等をより参照したら望ましいと思う。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成25年2月:『Relationships Between L2 Motivation and Oral Communication Strategies Among Japanese University EFL Students』(単著) 『上越教育大学研究紀要』 第32巻 273-283頁
発】(1)平成24年7月:『Conversation Strategies: Teaching, Learning & Motivation』(単) JALT(全国語学教育学会)
(2)平成24年10月:『Oral Communication Strategies and Motivation』(単) JALT2012(全国語学教育学会)第36回全国語学教育学会年次国際大会
他】(1)Newsletterの英語教材のための主点の紹介:Ivan Brown (2012年12月):「Introducing Film and Theatre Director Mike Leigh」「上越教育学会通信」第8巻(pp.4-6) (Mike Leigh監督の人間関係ドラマの映画の特徴:諸登場人物間の現実的な英会話)
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)海外研修(米国)に参加する高校1年生の異文化に関する態度,英語に対する動機づけ,アイデンティティの変更 代表者:Brown, Ivan Bernard(人文・社会教育学系:言語系コース(英語)) ブラウン・渡辺ティーム
学会活動への参加状況
(1)平成24年度:JALT(全国語学教育学会)新潟支部の役員(会員記録担当), (2)平成24年7月21日:上越英語教育学会第16回大会出席, (3)平成24年8月31日〜平成24年9月2日:大学英語教育学会(JACET)の第51回国際大会出席
◎特色・強調点等
近年,英語学習に関する動機づけ,異文化コミュニケーションに対する態度,アイデンティティ,会話方略の指導及び使用等の関連性を研究している。 関連があることは確認できたが,今後,より深い分析をとおして,具体的にどのような関連があるのかを検討するつもりである。 高校生に関する共同研究は,上越市内の高校の英語の教員(日本人,専任教員)との協力が平成24年10月から始まり,2〜4月の間にデータを収集し,平成25年度の6〜9月の間に分析し,年度内に成果を共同出版するつもりである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成24年度糸魚川市立中学校の大学訪問との協力(上越教育大学)
(2)ASEANの中学生団体訪問との協力(上越教育大学,ASEAN)
◎社会への寄与等
糸魚川市の中学生の訪問を通して,参加した中学生が本学で行うコミュニケーション英語の授業を風景を経験し,活動や雰囲気などの特徴を把握し,自分の将来の夢をより具体的に想像できたと考えられる。