6 附属施設等
 
(3)保健管理センター
@ 保健管理センター
ア 組織設置の趣旨(目的)
保健管理センター(以下,「センター」という)は,本学における保健管理に関する専門的業務を行い,もって学生及び教職員の心身の健康の保持及び増進を図ることを目的としている。管理・運営についてはセンター運営委員会の議を経て,所長が行っている。
イ 組織の構成及び構成員等
常勤の教員2名(内1名学校医兼任),非常勤として看護師1名,臨床検査技師1名,カウンセラー2名(臨床心理士1名,教育カウンセラー1名),学校医2名(眼科,耳鼻咽喉科各1名)で構成されている。
ウ 運営・活動の状況
例年と同様に定期・特別健康診断,内科・外科的な応急措置,身体・精神保健相談,禁煙相談および健康診断証明書の発行を中心に行った。今年度も健康診断実施期間中であることを告知するのぼり旗を学内に10箇所設置し,受診率向上を図った。
センターの設備改善として,休養室に換気扇を取り付け,感染拡大防止対策を強化した。また,通路確保のため廊下に設置したソファーを撤去し,今年度新たにベッドとしても使用可能な壁面取り付け収納タイプの椅子を設置した。休養・待合・荷物置きとしての機能を残しつつ安全上の改善策を講じることができた。
@) 学生の健康診断
学生の定期健康診断は,自記式健康調査票への記載,身長・体重・血圧の測定,尿検査,視力検査,胸部エックス線撮影検査(上越地域総合健康管理センターの検診車による)を実施した。受診率は97.2%(学部生97.8%,大学院生96.7%)で,前年より僅かに上昇した。また聴打診などによる内科健診を学部及び大学院の新入生を対象に実施した。更に眼科及び耳鼻咽喉科のスクリーニング健診を実施し,有所見者及び希望者については,眼科及び耳鼻咽喉科の各学校医により精密健診を実施した。精神保健相談に関しては,例年と同様に新入生に対しUPI(University Personality Inventory:大学生精神健康調査)を実施している。
教養基礎科目の体育実技科目として,学部1年次学生に水泳並びにスノースポーツを開講しているが,当該実習中及び課外活動中の健康管理の観点から,特別健康診断として学部1年次学生全員に心電図検査を実施し,事故の発生防止に努力している。また,学部3年次学生全員に対し生活習慣病を早期に発見し,学生への保健指導・保健教育へ繋げるために,心電図検査,腹囲測定,血液生化学(GOT・GPT・LDH・γ-GTP・血液脂質・尿酸・BUN・クレアチニン・eGFR・Na・K・CI・血糖・HbA1c)及び末梢血液一般検査を実施した。平成24年度より血液生化学検査と末梢血液一般検査を外注にしたことで,検査項目が9項目増え,今まで以上に詳細な保健指導が実施できるようになった。また,実習中の健康管理の観点から教員免許取得プログラム受講の大学院1年次生に今年度も心電図検査を実施した。
A) 職員の健康診断
職員の健康診断は,全職員を対象に身長・体重・血圧測定,視力・聴力・尿検査,胸部エックス線撮影検査を実施し,受診対象年齢者及び希望者を対象に血液検査,心電図検査,便潜血反応検査を実施した。平成24年度より職員の血液生化学と末梢血液一般検査を外注にしたことで,検査項目が7項目増え,今まで以上に詳細な保健指導が行えるようになった。センターにおける健康診断受診者は教育系職員117人,事務系職員107人の計224人(61.3%)で,前年度より僅かに減少した。人間ドック受診者は102人で37.1%と昨年と比べ増加していた。
B) センターの利用状況等
当センターの利用については,開所時間内(8:30〜17:15)において常に対応できるようにしている。身長・体重・血圧・視力・体温等は,常時計測できる。本年度の利用者総数は延べ1,060人(学生930人,教職員130人)で,前年度より増加した。
C) 精神保健相談体制
本年度はアドバイザー2名,カウンセラー2名,内科医1名,精神科医1名による精神保健相談体制とした。今年度も,新入生に対しUPIを行い,心身の不調が推定される学生について面接相談を実施した。また,昨年同様BMI値16.4未満の不健康やせ学生について面接相談を実施した。精神保健相談は職員(看護師・臨床検査技師等)が相談者の相談内容と来談日希望を聞き,基本的には予約制とし,月・水・金のカウンセラーに引き継いでいる。緊急を要する場合には,精神科医と連携するなど,迅速な対応に努めている。総相談件数は延べ378件で,前年度(365件)より増加していた。その要因としては,UPIにおいて今年度も大学院生に重点を置き前年度より早期に面接相談を実施したこと,臨床心理士による面談日を週1日から週2日に増やすことで深刻化している心の問題を抱える学生への相談の充実化を図ったこと,臨床心理士の対応を必要とする情緒・性格に区分される相談に対し今まで以上に対応できるようになったこと,臨床心理士の相談日が増えたことで相談者の希望する予約日を確保しやすくなったこと等が考えられた。
D) インフルエンザ等感染症対策
まず平成25年4月8日国内における風しんと中国でのインフルエンザA/H7N9の流行を受け,それに対する注意喚起を保健管理センターから発信した。8月7日学生のボランティア活動に伴う学外での感染症拡大防止対策として所長が今年度新たに学生に対して「ボランティア活動と感染症」の講演を行った。また学園祭前の10月2日,学園祭での感染症拡大防止のため,例年どおり所長が「越秋祭でのインフルエンザ・ノロウイルス等感染予防と流行防止について」の講演を行った。また平成26年1月17日国内でのノロウイルス感染症流行に伴い,それに係る注意喚起を発信した。3月13日学内のノロウイルス感染症対策マニュアルの改訂版を発行した。最後に本年度はインフルエンザ対策として平時(非パンデミック)のインフルエンザ対策体制(罹患した場合の報告を義務づけ,指導する)とし,対応等について掲示などで学生・教職員に示した。なお,本年度は学生から4人の報告があり,昨年より減少していた。
E) 禁煙相談等健康支援活動
今年度も定期健康診断時に全学生を対象に喫煙に関するアンケート調査を行い,学生の喫煙実態把握に努めた。学生の喫煙率が把握できたことは有意義であった。学部生の喫煙率は前年度より僅かに上昇したが,大学院新入生の喫煙率が前年より低下したため,学生全体の喫煙率は前年度より低下がみられた。教職員に対しても3月本学で3回目の喫煙アンケート調査を行ったが,平成23年度と比べ,著変はなかった。平成23年度より敷地内全面禁煙を実施し,平成24年度より積極的禁煙支援のための禁煙補助薬の処方は最長3週間に延長し今年度も継続している。また,学生・教職員の自主的な健康保持増進等を積極的にサポートすることを目的として,健康促進月間(11月18日〜12月3日)を設定し,禁煙相談を実施し,併せて健康相談も開催した。今年度新たに禁煙支援の案内を作成し,掲示等により啓発活動を実施し,積極的な禁煙支援に努め禁煙支援希望者の増加に繋げた。その結果1年間の禁煙成功者は6人となり,昨年度に比べ増加した。
F) 健康保持増進に関する講演活動
健康保持増進を目的として,新入生合宿研修(4月26日)では「快適な学生生活を送るための健康管理」,新任職員研修では(4月4日)「健康管理について」と題して,所長が講演を行った。また,平成25年度健康保持増進講演会(12月4日)では「認知症やその介護を知ろう」と題して医療法人高田西城会認知症疾患医療センター保健師の秦 五津子氏による講演会を行った。
エ 優れた点及び今後の検討課題
@) 麻疹対策
今年度も入学生に対し,入学前に麻疹の抗体検査を受けることを義務づけ,抗体陽性の証明書の提出を求めた。また,抗体検査の結果,抗体陰性・低抗体価の学生にはワクチン接種と抗体検査の再検査を受けてもらい,再検査でも同様の場合には再度ワクチンの接種を受けることを必須としている。感染が心配される水痘,風疹,おたふく風邪についても抗体検査とワクチン接種について勧奨の形をとった。今後も感染症対策と確実な教育実習対策として,入学時に感染症罹患歴や予防接種歴を確実に把握するだけでなく,学生全員の感染症についての認識を高めることが重要と考えられる。
A) 精神保健相談体制の充実
今年度より臨床心理士による面談日を週1日から週2日に増やすことで,深刻化している心の問題を抱える学生への相談の充実化を図り,臨床心理士の対応を必要とする情緒・性格に区分される相談に対し今まで以上に対応できるようになった。また,臨床心理士の相談日が増えたことで相談者の希望する予約日を確保しやすくなった。不適応状態(行動)にある学生に対してはサポート協働体制が確立し,早期に対応することができるようになったが,教職員に十分周知されていないことが課題である。更に,教育支援課,学生支援課と情報を共有し,休学希望者あるいは復学希望者に対する相談を継続したい。
B) ホームページ等による情報発信
ホームページ等により,学生や職員の健康増進に役立つ健康情報や流行性疾患発生状況等について,リアルタイムな情報提供をより一層心がけていく。
C) 禁煙推進活動
学生全体の喫煙率は8.8%で,昨年9.3%と比べやや低下しているが,学部生の3.7%に比べ,大学院生の喫煙率が14.1%と依然として高いため,今後も禁煙支援の充実が求められる。
v) アルコール問題対策
大学生の飲酒による死亡事故と,未成年者の飲酒問題への対策として,課外活動団体リーダーズ・トレーニング研修(3月6日)において,アルコールの害,アルコールハラスメントに関する講話をセンター所属の精神科医が行った。
A 保健管理センター運営委員会
ア 組織設置の趣旨(目的)
保健管理センター運営委員会は,当センターの運営等に関する諸問題について審議するために設置された機関である。
イ 組織の構成及び構成員等
委員長はセンター所長が務め,委員としてセンター教員1名,学生委員会委員長1名,各専攻から選出された教授又は准教授の計2名,学長が指名した教授又は准教授1名の合計6名で構成されている。
ウ 運営・活動の状況
@) 委員会等の開催状況
平成25年7月23日,平成25年12月19日(書面審議),平成26年3月17日の3回委員会を開催した。
A) 審議された主な事項
・ 平成25年度年度計画に係る実施計画
・ 平成24年度保健管理センター年報の発行
・ 平成26年度定期健康診断耳鼻咽喉科検診の変更
・ 平成26年度健康診断計画
B) 重点的に取り組んだ課題や改善事項及び前年度の検討課題への取組状況等
学内禁煙推進にからみ禁煙支援の状況と,学生の精神保健相談の増加に伴う臨床心理士の面談日を増やしたことについて重点的に協議した。また,改善事項として定期健康診断耳鼻咽喉科検診について平成26年度より耳鼻咽喉科学校医による診察を廃止することを提案・審議を行った。その理由としては,学校医に専門科目の法的規定がないこと,耳鼻咽喉科検診に耳鼻咽喉科学校医による診察は必須ではなく,問診と内科学校医による診察で代行可能であり,必要時は耳鼻咽喉科医による診察に繋げることができること,現状では耳鼻咽喉科学校医による診察によって精密検査が必要とされる学生が毎年ほとんどいないこと等があげられ,委員会で承認された。身体面での健康保持推進のために学部生に行っている特別健診について学部3年次に実施した結果の報告をした。例年の検討課題である大麻などの薬物乱用防止に関する啓発活動については,パンフレットを新入生へ配布している。