生 澤 繁 樹(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
昨年度までの取り組みと同様,大学院の授業では,取り扱うテーマを刷新し,授業内容をデザインしなおすことを試みた。また学部の授業では,オリジナルの授業教材を作成・配付し,必要に応じてパワーポイント,映像,ワークショップ型の授業など,様々な教育メディアを効果的に取り入れ,分かりやすさと発見をともなう授業をめざした。授業評価の結果を反省的に受けとめ,入門的知識と専門的知識の間のバランスや授業難易度の設定など,受講者の関心の多様性に配慮しながら授業方法の改善を施しているつもりである。成績評価の面では,とくに学部授業においては,例年どおり受講者の各回の提出課題の評価に加え,試験の採点基準,評価のポイントを事前に周知し,厳密かつ公正な成績評価に努めた。
【観点2】教育の達成状況
授業評価の結果から判断する限り,授業における教育活動のねらいはこれまで同様,例年通り概ね達成されたと考えられる。学習者自身の取り組み,授業者の授業内容,授業方法ともに,大学院・学部の授業科目においてそれほど低くない授業評価を得ていると思っている。過去3年ほどの達成状況と比較しても,とりわけ学部の多人数授業においても一定の評価を継続して得られた。進学や就職など卒業(修了)後の進路の状況とおもに担当している教育の理念や歴史に関する講義内容との関連は簡単には把握しきれないところもあるが,教師という仕事や教育研究を相対化するような視点とともに,教職への意識をより高めるような魅力ある授業内容の展開を工夫したい。
研究指導
【観点1】学部
学部4年生3名,3年生3名の指導を担当した。卒業論文の作成に向けて,学校臨床に関連する文献や資料の収集,先行研究の検討を行なった。毎週のゼミ内での研究報告,議論を通して研究課題についての考察・分析を加えるとともに,合同ゼミや卒論・修論検討会の合同実施など,大学院のゼミ生と研究交流する機会を設け,教育に関する高度な分析力と実践への基礎力を育むことをめざした。
【観点2】大学院
修士課程1年生4名,2年生4名,3年生1名(免許プログラム)の大学院院生の指導を行なった。また博士課程1年生1名の副指導教員も担当した。修士課程では,修士論文の作成に向けて,学校臨床に関連する文献や資料の収集,先行研究の検討を行なったほか,毎週のゼミ内での研究報告,ディスカッション等の諸活動を通して研究の基礎をかためつつ,研究課題に関する考察・分析を深めていった。また,研究室の研究活動の一環として,新潟市内の小学校の協力をいただき,総合的探究に根ざした国語科授業カリキュラムの開発に着手し,学校との協同で授業検討会を開き,教育プログラムを実践・支援した。さらに学会報告・参加等を通じて,学内外の大学教員・学生との研究交流を積極的に図り,修士論文構想の報告・検討を合同ゼミとしても実施するなど,研究指導上のネットワークづくりも重視した。
その他の教育活動
・ 富山大学非常勤講師「教育の思想と歴史」(前期集中)
・ 富山大学非常勤講師「教育の思想と歴史」(後期集中)
・ 新潟県立看護大学非常勤講師「教育学」(前期)
・ 新潟県立看護大学大学院非常勤講師「看護教育学」(後期)
・ 教員免許状更新講習「教育の最新事情関係(上越B)」講師
・ 教育実習における学生指導7名(上越市立三和中学校,上越市立雄志中学校,上越教育大学附属小学校,上越市立柿崎小学校,上越市立高志小学校,糸魚川市立能生小学校,糸魚川市立糸魚川東小学校)
・ 学びのひろば顧問(はりきり☆発見フレンジャー)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
学外非常勤講師として,教育学,教育思想と歴史,看護教育に関する科目を担当し,研究課題についての資料収集や研究上の交流を図ることができた。学内のみならず,学外(新潟県立看護大学)においても授業評価を実施し,一定の評価を得ることができた。さらに,修士課程2年の所属ゼミ生2名が学会発表を行ない,修士論文作成に向けた中間的な研究成果をまとめる機会を得ることができた。学びのひろばクラブ担当顧問としては,各回の活動やイベントに積極的に参加し,顧問としての職務遂行に務めた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成25年7月:希望をつむぎだす幼児教育─生きる力の基礎を培う子どもと大人の関わり─(単著),あいり出版
論】(1)平成25年10月:ジョン・デューイとグローバル化時代の「公衆」論─デモクラシーの政治・教育・倫理─,日本デューイ学会紀要,54号, pp.191-204
業】(1)平成26年3月:「住まい」のひみつ─総合的探究に根ざした3年国語「人をつつむ形」の授業実践─
(2)平成26年3月:学校の学びは社会を変える力となりうるか?─「社会的関連」を探究する思考を求めて─ ,『教育創造』第176号(高田教育研究会),pp.44-49
(3)平成25年9月:図書紹介:リチャード・シュスターマン著,『近代教育フォーラム』第22号(教育思想史学会),pp.299-303
発】(1)平成25年10月13日:「教育の領分」から考える─哲学と政治のあいだ─,教育哲学会第56回大会
(2)平成25年8月25日:教育と社会倫理─デューイ倫理思想の展開とその射程─,イギリス理想主義学会第10回研究大会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)「住まい」のひみつ─総合的探究に根ざした3年国語「人をつつむ形」の授業実践─,代表者:生澤繁樹(上越教育大学)
(2)学校経営支援共同研究,代表者:末松裕基(東京学芸大学)
学会活動への参加状況
(1)平成25年10月12日〜平成25年10月13日:教育哲学会・第56回大会, (2)平成25年9月21日〜平成25年9月22日:日本デューイ学会・第57回研究大会, (3)平成25年9月14日〜平成25年9月15日:教育思想史学会・第23回大会, (4)平成25年8月25日:イギリス理想主義学会・第10回研究大会, (5)平成25年8月3日〜平成25年8月4日:日本学校教育学会・第28回大会, (6)平成25年7月6日〜平成25年7月7日:日本カリキュラム学会・第24回大会, (7)平成25年6月15日:上越教育経営研究会・2013年度研究発表会, (8)上越教育経営研究会編集委員・編集幹事
国内外の学術賞の受賞状況
(1)平成25年9月14日:第10回教育思想史学会奨励賞受賞(教育思想史学会)『民主的な子どもの性向を育てる─デューイにおける家庭・学校・共同体のアポリア─』
外国における研究の状況
(1)平成26年3月22日〜平成26年3月27日: アメリカ合衆国 デモクラシーによる「公衆」の形成─アメリカ学校改革論の社会思想史的研究─
◎特色・強調点等
2013年度は,平成25年度から3ヵ年の計画で採択された科学研究費・若手研究(B)「デモクラシーによる『公衆』の形成─アメリカ学校改革論の社会思想史的研究─」の研究に着手し,本研究課題の解明に対する一定の成果と示唆を得ることができた。また共同研究としては,@中学校の学校経営支援,A学校現場でのカリキュラム・授業開発,B看護・医療系研究者との共同研究会などがおもな特色・強調点として挙げられる。なかでも教育実践や地域の教育課題への独自の寄与・貢献としては,現職教諭,現職派遣院生,大学院生らの協力のもとに,ジョン・デューイの探究の理論に着想を得た授業開発の研究とその実践に取り組み,その成果を報告書『「住まい」のひみつ─総合的探究に根ざした3年国語科『人をつつむ形』の授業実践─』(2014年3月)としてまとめることができた。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成25年8月20日:教員免許状更新講習「教育の最新事情関係(上越B)」
◎社会への寄与等
昨年度に引きつづき,現職教員が主催する学外における学びの場をつくる目的で結成された自主的な研究サークル(えでゅカフェ)の運営に関わった。いまだ試行的な学びの場であるものの,今後はさらに社会に対する寄与へとつなげ,学校現場へと貢献する機会をいっそう広げていきたいと考えている。