加 藤 哲 文(教 授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
授業については,可能な限り,実践的な問題を取り上げ,学生の興味関心を引くように配慮を行った。特に,教育現場や心理臨床の現場で生じている課題について,具体的な事例を取り上げ,学生達の考究の機会を多く設定した。また,評価については,レポート形式を採用したが,この課題についても,学生自らの取り組みを評価しやすいような問題を提示し,また,学生自らの学習経過を判断できるように,取り組みを現状を記載する事項も設けた。
【観点2】教育の達成状況
大学院生は、現職教員が4名,ストレートが3名であった。現職教員は,2014年に臨床心理士の試験を受験することになっている。またストレートの学生は,いずれも,臨床心理士の専門性を生かせる職(スクールカウンセラーや療育機関の心理士など)に就いた者やそれを目指している。
研究指導
【観点2】大学院
大学院生3名の修士論文は,いずれも学校現場に入って,そこでの臨床指導を実践し,その効果を明らかにするものであった。そのために,知識のみならず,実際の発達障害のある児童生徒などの指導方法の習得のために,心理教育相談室での実習を活用しながら,実践指導を行った。
ゼミでの知識と理論の習得,及び内外の研究論文から,研究方法についての考察を深めるための指導,そして臨床や指導の実践に関する研究指導を行った。
その他の教育活動
・ 横浜国立大学非常勤講師
・ 富山大学非常勤講師
・ 新潟県立看護大学非常勤講師
・ ゼミに所属している教育実習生(1名)への指導を行った。
・ 臨床心理実習の一環として,独立行政法人さいがた医療センター,上越市すこやかなくらし支援室,他の医療機関や福祉機関への現場実習の指導を行った。
・ 臨床心理実習の一環として,学内の心理教育相談室での実習指導(年間合計720時間)
特色ある点及び今後の検討課題等
教育活動として,教育実習における学校現場での指導と,臨床心理士受験資格取得のための,臨床心理実習における,学外の医療,福祉機関での現場実習指導を行った。これらは,現場に行き,そこでの指導助言のみならず,その前後数回にわたる,学内での指導を行ってきた。また,大学院臨床心理学コースの学生のための,心理教育相談室での臨床実習指導を,年間を通して720時間行ってきた。これらの実習指導を中心とした教育活動は,年間を通して膨大な時間を要しており,特筆すべき教育活動といえる。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成26年3月:海外の学校場面での機能的アセスメントによる支援における社会的妥当性の評価の現状と課題,上越教育大学心理教育相談研究,13巻,pp.1-12
(2)平成25年8月:学級全体に対する支援が個人の問題行動の低減に及ぼす影響−School-Wide Positive Behavior Support の視点から−,LD研究,22巻,3号,pp.267-278
(3)平成25年7月:集団随伴性にパフォーマンス・フィードバックを組み合わせた介入の適用による発達障害のある高校生を含んだ学級への学業達成の支援,行動分析学研究,28巻,1号,pp.2-12
(4)平成25年5月:特別支援教育支援員の活用に関する全国実態調査,LD研究,22巻,2号,pp.197-204
(5)平成25年5月:青年期の自傷行為とスピリチュアリティ・死生観との関係について−定時制高校在籍者を対象とする分析−,学校メンタルヘルス,16巻,2号,pp.140-151
発】(1)平成26年3月:特別支援教育支援員に対する評価要因−支援員と教員の連携に着目して−
(2)平成25年10月14日:学びのユニバーサルデザインと合理的配慮−学級担任ができる合理的配慮−,日本LD学会第22回大会
(3)平成25年10月13日:特別支援教育支援員の現状と今後の課題
(4)平成25年10月13日:児童生徒の行動問題への機能的アセスメント・アプローチ−学校現場に普及させるための方法と仕掛けを考える−,日本LD学会第22回大会
(5)平成25年9月1日:緘黙症当事者の多様性と類型化−個性に応じた対応のために−,日本特殊教育学会第51回大会
(6)平成25年7月28日:定時制高校生を教授する教師の介入厳密性に対する行動コンサルテーションの効果,日本行動分析学会第31回年次大会
学会活動への参加状況
(1)平成25年10月12日〜平成25年10月13日:日本LD学会第22回大会, (2)平成25年8月30日〜平成25年9月1日:日本特殊教育学会第51回大会, (3)平成25年8月10日:日本学校心理士会大会, (4)平成25年7月27日〜平成25年7月28日:日本行動分析学会第31回大会
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成25年12月25日:出前講座(柏崎市教育センター)
(2)平成25年8月22日〜平成25年8月23日:出前講座(上越市立針小学校)
(3)新潟県発達障害者支援体制整備検討委員会(新潟県障害福祉課)
(4)新潟県特別支援教育総合推進事業運営協議会(新潟県教育委員会)
(5)上越市巡回相談全体会(上越市教育委員会)
(6)上越市就学支援委員会(上越市教育委員会)
◎社会への寄与等
学校,保育園,療育機関と中心に,主として,発達障害のある幼児,児童生徒への支援や指導方法に関する指導助言を行ってきた。これらは,現在,学校や保育現場において喫緊の課題であり,現場の教師や保育士等が困っている問題である。これらのニーズに対して,主として,応用行動分析学による支援の方法論を提供することで,現場ではたいへん好評価を得た。