藤 井 和 子(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
言語指導に関する知識や技能を提供するだけではなく,言語・コミュニケーションの障害のある児童生徒の実態把握,指導目標の設定と評価等指導計画の作成,及び授業実施にあたって求められる他の教師との連携のあり方について,受講生同士で検討し合う場の設定やと実践を通した検証を行わせることによって,学校教育現場のカリキュラムマネジメントにおいて求められると考えられる連携の力量形成を意図した取り組みを行った。
【観点2】教育の達成状況
修了生は,特別支援学校及び小学校の教員となり,各学校で活躍している。さらに,定期的に開催している修了生を中心とした学習会に参加して,自身が実践した授業の検討を他の教員とともに行っている。修士論文で取り組んだ課題や在学中に学習した内容について,現職教員として実践を通して追求したり,学会発表を行っている状況からみて,実施した授業内容は,ある程度妥当であったのではないかと考えられる。
研究指導
【観点2】大学院
特別支援教育の初学者が多い実情を踏まえ,まず,学校教育の現場で生じている課題を自ら見つけ,追求する態度の形成を意図した働きかけを行った。文献研究を行うと同時に,学校教育現場の授業参観,関連機関における支援の実態調査,現場の教員及び関連機関の職員との現職研修の場への参加を促した。また,問題及び目的の整理にあたっては,院生同士の協議の時間を多く設け,互いの研究テーマについて互いに議論し合うことに力を入れた。このようなことを通して,互いに学び合う態度が形成されたと考えられる。学校教育現場では,所属学校で生じている課題を協働で整理し解決していく力が求められており,それに寄与する臨床的な実践力を高めることができたのではないかと考えられる。
◎特色ある点及び今後の検討課題等
特別支援学校の目的を達成するために特に設けられている領域である自立活動が,特別支援学校の教育のみならず,特別支援学級及び通級による指導についても重視されることを踏まえて,受講者が学校における障害のある児童生徒の教育のあり方について考究できるように,教育活動を行った。
 
<研究活動>
学会活動への参加状況
(1)平成25年9月21日〜平成25年9月22日:日本吃音流暢性障害学会第1回大会, (2)平成25年8月30日〜平成25年9月1日:日本特殊教育学会第51回大会
◎特色・強調点等
通常の学級に在籍する障害のある児童生徒は,通級による指導を受けることができる。通級による指導は,特別の教育課程を編成し,原則として自立活動を実施する。しかし,自立活動の観点から特別の教育課程に関する研究がほとんどない状況にある。自立活動の観点から,在籍学級担任との連携,自立活動の指導のあり方について検討することが研究活動全般を通しての特色・強調点である。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)出前講座「チームで進める特別支援教育」
◎社会への寄与等
小学校通級指導教室や特別支援学校からは,言語・コミュニケーション障害のある児童生徒の自立活動の指導法についての研修ニーズが高い。教員は,即効性のある具体的な指導法を求めるが,各学校の教員が,自らの学校が抱える課題を踏まえ,自律的に課題解決ができるように支援することが重要である。特別支援教育を担当する教員の特別支援学校教諭免許状保有率は,十分に高いといえる状況ではない。通級指導教室の担当教師における特別支援学校教諭免許保有率も低い状況があり,自立活動の理念を学んでいない実態がうかがわれる。これらのことから,言語・コミュニケーションの指導に関する知識・技能の提供に止まることなく,特別支援学校の教育課程編成,通級指導教室における特別の教育課程編成,自立活動の理念等,基礎的な知識の提供を併せて行い,カリキュラムマネジメントの活性化に資する研修となるよう,工夫している。