宮 川   健(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
今年度より一つの演習の授業において,講義支援システムを用いて毎回課題を出し,次回の授業の最初に,その中から興味深いものを取上げ,前回の授業のまとめをすることにした。その結果,受講者の授業外での学習時間が増えるとともに,受講者からの反応もよくなった(理解も進んだ)ように思う。次年度は,さらに別の演習授業でこの方法を試みようと思う。ただ,講義形式の授業や大人数の授業では,こうしたことは難しく,別の工夫が必要である。
【観点2】教育の達成状況
進学や就職に直接的に結びつく授業は担当していないため,判断不能。ただ,ゼミ生に関しては,学部3名,大学院3名が卒業・修了し,正規採用3名であった。
研究指導
【観点1】学部
3年生2名,4年生3名の研究指導を行なった。3年生については,数学教育についての知識・技能を幅広く身につけること,卒業研究のテーマを決めることが主たる目的であった。そのため,算数・数学の多くの実践記録にあたり,その背後にある考えを考察するとともに,自らが関心のあるテーマにかかわる基本的な数学教育の言葉や考え等を習得できるようにした。4年生については,3年次に決定した卒業研究のテーマを深め,卒業を完成することを目的として指導した。また,両学年において,教育実習等の際には,授業づくりの指導等も行なった。
【観点2】大学院
M1,M2,M3それぞれ1名,2名,1名の院生の研究指導を行ない,M2,M3の3名が修了した。M1の院生については,数学教育学の研究について知るとともに,修士論文のテーマを絞り,研究の第一歩を踏み出すことを目的とした。M2,M3の院生については,学校現場の先生方の協力の下,算数・数学教育に関わる実際のデータを収集し,修論をまとめた。通常のゼミ以外に,学会や他大学との合同ゼミ・合宿に参加し発表することにより,研究についての見聞を広めた。
その他の教育活動
・ 教育実習におけるゼミ生の指導(学部5名,院3名)
特色ある点及び今後の検討課題等
おおむね想定していた通りに教育活動を行なえた。授業に関しては,毎回小レポートを出したのがよかった。今後とも教育方法の改善に取り組み,試行錯誤していきたい。また,研究指導に関しては,大学院の免P生で2年間での修了を目論む院生の指導が非常に困難であった。授業・実習・教員採用試験等のため,研究時間の確保が難しかった。何らかの対処が必要である。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成26年2月:中学校数学科 つまずき指導事典(共著),明治図書出版
論】(1)平成25年11月:学校数学における確率を捉える枠組みの一提案 ?数学的モデルとしての確率という視点から?,日本数学教育学会誌. 数学教育学論究臨時増刊,第46回秋期研究大会特集号,95巻,pp.17-24
(2)平成25年11月:幾何領域における証明の存在理由 ?フランスと日本の場合?,日本数学教育学会誌. 数学教育学論究臨時増刊,第46回秋期研究大会特集号,95巻,pp.345-352
(3)平成25年6月:Developing mathematics teacher knowledge: the paradidactic infrastructure of "open lesson" in Japan,Journal of Mathematics Teacher Education,16巻,3号,pp.185-209
発】(1)平成26年2月2日:標本の大きさに関する問題における確率的・統計的思考―病院の問題を例に―,全国数学教育学会第39回研究発表会
(2)平成26年2月1日:教授工学の視点からみた理論と実践の往還―三角形の決定条件を事例に―,全国数学教育学会第39回研究発表会
(3)平成26年2月1日:中等教育を一貫する数学的活動に基づく論証指導カリキュラムの開発研究:局所的組織化を捉える理論的枠組みの設定,全国数学教育学会第39回研究発表会
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)中等教育を一貫する数学的活動に基づく論証指導カリキュラムの開発研究,代表者:岩崎秀樹(広島大学)
(2)科学的エビデンスに基づく,「課題探究型の説明」カリキュラムの開発と検証,代表者:岩永恭雄(信州大学)
(3)国際的な学習状況を改善するための,論証学習支援システムの多言語化,代表者:松岡樂(信州大学)
学会活動への参加状況
(1)平成26年2月1日〜平成26年2月2日:全国数学教育学会・第39回研究発表会, (2)平成26年1月〜平成26年2月:国際数学教育心理学会(PME)第38回年会投稿論文の査読, (3)平成26年1月〜平成26年3月:Journal of Mathematics Teacher Education 誌・投稿論文の査読, (4)平成25年11月16日〜平成25年11月17日:日本数学教育学会・第46回秋期研究大会, (5)平成25年8月19日〜平成25年8月25日:フランス数学教授学研究協会・第17回夏期講習会, (6)平成25年8月3日〜平成25年8月4日:日本数学教育学会・第95回全国算数・数学教育研究(山梨)大会, (7)平成25年8月1日〜平成25年8月31日:日本数学教育学会・秋期研究大会投稿論文の査読, (8)平成25年6月30日:日本数学教育学会・第1回春期研究大会, (9)平成25年5月22日〜平成25年5月23日:全国数学教育学会・第38回研究発表会, (10)平成25年4月21日〜平成25年4月26日:IVth international congress on the anthropological theory of didactics, (11)平成25年4月〜平成25年5月:日本科学教育学会・学会誌投稿論文の査読, (12)平成25年4月〜平成25年6月:Journal of Mathematical Behavior 誌・投稿論文の査読, (13)全国数学教育学会・学会誌投稿論文の査読, (14)日本数学教育学会算数教育編集部幹事, (15)全国数学教育学会研究部員
◎特色・強調点等
本年度は概ね想定していた研究活動を行なうことができた。科研費関係で共同研究を多く進められたことは,特筆すべきことであろう
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成26年2月15日:尚数会助言者(上越地区中学校数学研究会)
(2)平成25年11月:「教育実践研究」応募論文の査読(上越教育大学学校教育実践研究センター)
(3)平成25年8月28日:教員免許状更新講習(小学校算数)(上越教育大学)
(4)平成25年8月4日:第95回全国算数・数学教育研究(山梨)大会での部会の指導助言者(日本数学教育学会)
(5)上越数学教育研究会シグマ会への参加(上越数学教育研究会)
◎社会への寄与等
おおおむね例年通りの社会貢献を行なった。