伊 藤 将 和(講 師)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
実技指導において,絵画(水彩,油彩)および版画の技術,技法,素材の特色等を実践をとおして体感させ,習得させている。絵画表現の基礎を重要視させ,確かな基礎力の上に成立する,各個人の表現を模索させる。また,新たな表現に対して,その価値や意味を見いだすことを心がけ,受講生(制作者)に,自己の新たな可能性を模索させる。授業内の課題として各自作品を制作させ,提出された作品を多角的に評価し,授業の成績として評点する。
【観点2】教育の達成状況
絵画制作を通して培った,技術や理論を元に,創作活動の根源を理解することは,学生が自らの表現に対する取り組みの姿勢として顕著に現れる。それは,学生の創作活動だけにとどまらず,自身の経験を基とした児童や生徒に対する表現活動の指導および,評価へと反映されることとなる。学生が絵画表現における技術,素材に対する基礎知識を持ち,絵画制作への真摯な姿勢を確立することで達成していると言える。
研究指導
【観点1】学部
知識を深め,絵画技術の習得と表現を模索させた。「個人」と「社会」との関わりや,「個人」の興味関心のある事柄を掘り下げ,各自のテーマを模索させた。取り組むべきテーマをもとに,表現への変換を試みる。表現方法として絵画や立体,インスタレーションなど,幅の広い表現方法を模索させた。各自のテーマを作品として成立させるため,様々な技法を習得させ,自己の確立から表現への変換へ必要な知識,素材を収集させた。これまでの研究の集大成として卒業制作および論文/作品レポートとしてまとめさせた。
【観点2】大学院
各自のテーマを明確にさせ,「個人」と「社会」との関わりや,「個人」の興味関心のある事柄を掘り下げ,「教育」の切り口から,表現の可能性を見い出すことを目的とし,様々な方法を用いて研究を実践させた。取り組むべきテーマをもとに,表現の可能性を探り,表現方法の拡大と,多様化を促した。各自の表現を発表する場を設け,社会とのつながりを意識させ,テーマから見える表現と社会と個人の関係性を深めさせた。各自のテーマとして取り組んできた研究成果を修了論文としてまとめ,修了制作として発表させた。
その他の教育活動
・ 長岡造形大学 非常勤講師(現代美術史)
・ 教育実習における学生指導 小学校実習:大学院生1名
特色ある点及び今後の検討課題等
学部,大学院の隔たりを無くし,希望者に対し社会と美術の関係を築く活動を促している。既存のアートプロジェクトにチームとして参加し,その活動を通して,社会と美術,個人の表現に関して,授業内では展開が難しい内容にも触れることができる。また,教員である私自身がアーティストとして活動することで,自分の研究活動を,率直に学生の指導へ還元できる。現代で展開される最先端の美術に触れ,体験できる場を設ける。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)平成26年3月:文化復興支援活動におけるアートプロジェクトの役割「会津・漆の芸術祭」の実践を通して,美術教育学研究
作】(1)平成25年12月:イメージとしての器?須弥山? 2013,上越教育大学伊藤研究室展 個有色vol.2
(2)平成25年11月:イメージとしての器?須弥山? 2013,上越教育大学・新竹教育大学・澳門理工学院 国際交流展
(3)平成25年10月:凸凹美術館,喜多方・夢・アートプロジェクト2013
業】(1)平成26年3月:第六章「場と相互行為」(共著),教科内容構成「図画工作」
発】(1)平成26年2月7日:粟島浦村における美術作品の制作を通じた地域再考に関する取組,大学生の力を活かした集落活性化事業成果報告会
(2)平成25年10月25日:大学生のフィールドワークをとおしての地域活性について,大学生の力を活かした集落活性セミナー
(3)平成25年10月20日:初等教育における造形表現力育成のための実践的研究 U,第52回大学美術教育学会京都大会
◎特色・強調点等
芸術による地域還元を基本に研究を行っている。特に現代芸術の可能性を模索する一環として地域貢献に取り組む。それは単に作品を制作し,展示し鑑賞を促すことだけを目的としているわけではなく,むしろ,地域における文化にコミットし活用されることを目的としている。新潟県粟島浦村および福島県喜多方市を研究の場と定め,地域資源の再考をテーマに小学生を対象とした実践(絵画制作ワークショップ)を開催した。完成した作品は一般公開するとともに,授業を通して地域資源の有効活用を見据えた意識向上に努めた。
これらの課外活動を大学院生および学部生とともに行い,実践を中心とした活動を展開している。既存のアートプロジェクトへの参加は,異文化,異業種との交流を深め,社会とのつながりを強めることに貢献し,学生の学びにおいても,さらなる広がりを与えるものである。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成25年12月4日:出前授業「デッサン基礎講座」(上越教育大学)
(2)平成25年11月7日:妙高市教育研究会 図工美術部会 講師(妙高市教育委員会)
(3)平成25年10月25日:大学生の力を活かした地域活性セミナー(新潟県総務管理部地域政策課特定地域振興班)
(4)平成25年10月21日:妙高市展覧会 作品審査委員(妙高市美術展覧会運営委員会)
(5)平成25年10月18日:ワークショップ「粟島の風景を描こう」(粟島浦村小学校)
(6)平成25年9月20日:ワークショップ「喜多方の風景を描こう」(喜多方・夢・アートプロジェクト実行委員会)
(7)平成25年7月31日〜平成25年8月5日:謙信KIDSスクールプロジェクト「美の楽校」講師(謙信KIDSスクー
ルプロジェクト実行委員会)
(8)平成25年7月30日:上越教育大学教員免許状更新講習(上越教育大学)
◎社会への寄与等
芸術活動の社会還元は,地域における創造行為によって成立すると考える。私の芸術活動および研究活動が,社会的活動として広くニーズに応え,教育的側面も持ち合わせている現状は,活動に参加した子供やその父兄,および教員からの意見などからも伺い知ることができる。