松 浦 亮 太(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
実技では,身体と水中環境との関係性を運動生理学およびバイオメカニクスの観点から説明し,実践させることで水泳の理解に繋げるように取り組んだ。採用試験では技能が重要視されることから,技能が未熟な者に対しては集中講義で段階的指導を行った。講義では「身体を教える体育」への志向を念頭に置き,教材を考案・批判する能力を養成するために,運動を支えている生理機能の紹介を行った。成績について,実技では授業への参加姿勢に加えて最低限の技能習得を評価した。講義では基本的な事項の理解をレポート形式で評価し,理解を表現する能力に重点を置いた。
【観点2】教育の達成状況
授業を担当した学生がほとんど卒業・修了していないので実態はよくわからないが,実技指導によりほぼ全ての学部1年生が採用試験の基準に達したと考えている。この実践知を拡大させるように試みることで,水泳に限らない運動と身体の関係性に対する理解が構築されることを想定している。この試みには実技を通じた基本的な理論への共感が不可欠であり,講義と実技の相互作用を意図した取組を心がけたい。また,共感できない部分への探求が,研究という形でより深い運動への理解の発露となることを期待している。
研究指導
【観点1】学部
該当年度には,研究指導する学部所属者がいなかったため評価は出来ない。
【観点2】大学院
体育で何かを教える方法ではなく,教える内容を自ら調査・発見する方法,およびその内容の批判方法の習得に重点を置いた。具体的には,自らが欲する専門的な情報を取得して読解する能力を高めるように指導した。加えて,書くことおよび話すことで物事を他者へ伝えるという教員に必要な能力を養成するため,わかりやすくて見やすいプレゼンテーションを細部にわたり指導した。実験を通して運動に関わる調査方法を紹介するだけでなく,被験者への指示の出し方,スケジュール管理など実践的な取組を通じた指導も行った。
その他の教育活動
・ 教員採用試験直前講座(体育実技)において,各県の採用試験実施状況に基づき,クロールおよび平泳ぎの技能指導を行った。
・ 課外活動において,水泳サークルの相談役として環境整備やプール管理に努めた。
特色ある点及び今後の検討課題等
「身体を教える体育」を実践できる教員の育成を目指している点が特色である。運動生理学やバイオメカニクスの知見を教授していくことで,体育で教えるべき身体機能とその指導の実践方法を検討していける者の養成に努めており,現段階はまだ模索の途中であるのが実情である。講義と実技の連携を意識して教育に取り組むことで,より明確な指導を打ち出していきたい。また,より実践的な取組としては,技能の個人差が大きくなりがちな体育において,個別指導に対応しながら大人数に対する一貫した教育が大学では不可欠である。この点については,個々が意図した運動から得られる感覚を同じ方向性へ導き,その点についての理解を評価するような指導を考えている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
発】(1)平成25年10月:随意呼吸によって膝伸展筋の皮質脊髄路興奮性は増大する,日本生理人類学会第69回大会
(2)平成25年9月:一側下肢の筋疲労が上肢の皮質脊髄路興奮性に及ぼす影響,第68回日本体力医学会大会
学会活動への参加状況
(1)平成25年10月26日〜平成25年10月27日:日本生理人類学会第69回大会, (2)平成25年9月21日〜平成25年9月23日:第68回日本体力医学会大会
◎特色・強調点等
今年度は,運動中および運動後における上肢と下肢の神経調節の相互作用について検討した。これは科研費申請課題と関連した内容であり,申請期間の最終年である次年度につながる結果が得られた。また,随意呼吸と下肢の神経調節の関係についても検討し,学会で口頭発表を行った。上肢・下肢・随意呼吸の相互作用を神経調節の観点から統合的に検討した研究はこれまでになく,実態に近い身体運動を捉えるための斬新な試みである。加えて,上肢運動・下肢運動・随意呼吸という要素は体育における水泳運動を構成するものであることから,水泳指導に対する神経活動を応用した指導方法の開発にもつながることが予測される。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成25年8月:教員免許状更新講習講師「身体教育の実践理論3」
(2)平成25年12月:スポーツ教育学研究査読
(3)平成25年5月:日本生理人類学会誌査読