東 原 貴 志(准教授)
 
<教育活動>
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部の「木材手工具加工法」「木材機械加工法」では,製作演習を通して道具の使用法や機械の操作法に習熟させることに努めた。大学院の「木材加工学特論」では,木材利用のあり方について議論した。内容を復習するための小テストを実施し,知識の定着を図った。また,「木材利用に関する問題作成」に関しては,最新の木材利用の状況を調査し,市販本と遜色ない問題,解説を作成した学生がみられた。「木材加工学実験実習」では,実技に関する論文講読と実験実習を行い,データの取り扱いについて議論し,中学生に対する実技指導のあり方について考察する授業を展開した。成績に関して,出席回数,授業態度,製作物を総合的に評価した。
【観点2】教育の達成状況
授業履修者のうち,生活・健康系(技術)に所属した学生や,他コースに在籍していた学生が中学校技術・家庭科の教員として活躍している。本授業のみならず,「技術」免許取得のための講義を履修することにより,技術教育の意義を確認し,技術力を高め,ものづくりへの興味・関心を高めることができたのではないかと考える。できるだけ多くの教材例を紹介し,卒業・修了後すぐに中学生に指導が行えるような力量を身につけた学生を育てるべく,今後とも授業の改善に取り組みたい。
研究指導
【観点1】学部
学部生に木材加工に関する文献講読,実技指導ならびに研究方法を指導した。木材加工に関する授業実践を通して,教材の開発,授業展開の仕方,生徒の学びについて認識を深めた。木製品の製作に関する一連の流れについて理解させるため,簡単な製作物を繰り返し製作させ,作業の改善点について考えさせた。
【観点2】大学院
大学院生に木材加工に関する文献講読,実技指導ならびに研究方法を指導した。木材加工に関する授業実践を通して,教材の開発,授業展開の仕方,生徒の学びについて認識を深めた。研究成果について,日本産業技術教育学会第25回北陸支部大会,平成25年度第3回日本科学教育学会研究会および第125回日本森林学会大会において発表を行った。
その他の教育活動
・ わくわく大学ウィーク講師(上越教育大学附属中学校)
特色ある点及び今後の検討課題等
教育活動の特色ある点は,学部の授業「木材手工具加工法」ならびに大学院の授業「木材加工学特論」において,書籍「木力検定」ならびにweb版「木力検定」を取り上げ,木材利用に関する現代的な課題を抽出し,木材利用のあり方について考えさせる授業を実施した。また,web版「木力検定」を利用することにより,学生が授業外に自己学習することを促すことができた。また,大学院の授業「自然科学と教材開発」では,これまでの研究成果を活かし,簡易な製造方法で製作したパーティクルボードを活用した写真立ての製作方法の指導を行うことができた。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)平成25年4月:木力検定2 もっと木を学ぶ100問(共著),海青社
論】(1)平成26年2月:木材の諸物性と塑性加工 : 水蒸気処理木材および熱処理木材の諸物性 (小特集号 木材・木質系材料の塑性加工技術),塑性と加工 : 日本塑性加工学会誌,55巻,637号,pp.83-87
(2)平成25年12月:「木材の生産」を取り入れた技術教育の提案と授業実践,日本産業技術教育学会誌,55巻,4号,pp.289-297
発】(1)平成26年3月26日:中学生が技術・家庭科で学ぶ生物育成技術に位置づけられる林業教育の内容論的検討,日本森林学会大会学術講演集(CD-ROM)
(2)平成26年3月26日:学習指導要領にみる森林教育と学校教育との関係,日本森林学会大会学術講演集(CD-ROM)
(3)平成26年3月26日:林業における間伐効果を模擬的に学習する授業の提案:ハツカダイコンの容器栽培を例に,日本森林学会大会学術講演集(CD-ROM)
(4)平成26年3月1日:動力伝達の仕組みと制御技術を学習する制御基板を利用した教材の開発,平成25年度第3回日本科学教育学会研究会(北陸甲信越支部主催),
(5)平成25年12月8日:林業の間伐効果の理解を促すハツカダイコンの容器栽培,日本産業技術教育学会第25回関東支部大会(東京)
(6)平成25年11月2日:プランター栽培における間引き技術の検討,日本産業技術教育学会第25回北陸支部大会
(7)平成25年8月25日:「A材料と加工に関する技術」における「木材の生産」を取り入れたカリキュラムのデザイン,日本産業技術教育学会第56回全国大会(山口)
(8)平成25年8月25日:パーティクルボードの簡易な製造技術と活用方法の提案,日本産業技術教育学会第56回全国大会(山口)
(9)平成25年8月24日:教員養成大学・学部における初等技術(仮称)教科書作成の試案,日本産業技術教育学会第56回全国大会(山口)
(10)平成25年6月29日:製作工程表を意識した木製品の製作実習における作業分析,平成24年度第6回日本科学教育学会研究会(北陸甲信越支部主催)
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)中学校技術・家庭科における森林の育成から利用に至るまでの指導内容に関する研究,代表者:東原貴志(上越教育大学)
学会活動への参加状況
(1)平成26年3月28日〜平成26年3月29日:第125回日本森林学会大会, (2)平成26年3月1日:平成25年度第3回日本科学教育学会研究会(北陸甲信越支部主催), (3)平成25年12月22日:教科内容学研究大会(鳴門教育大学), (4)平成25年8月24日〜平成25年8月25日:日本産業技術教育学会第56回全国大会(山口), (5)平成25年6月29日:平成24年度第6回日本科学教育学会研究会(北陸甲信越支部主催), (6)日本科学教育学会広報委員, (7)日本科学教育学会年会企画委員
◎特色・強調点等
発表した論文「木材の生産」を取り入れた技術教育の提案と授業実践について,2014年8月23日に日本産業技術教育学会論文賞が授与された。この論文は,「木材の生産」を技術・家庭科の授業で扱う場合の学習内容や実習の在り方を検討するため,かつて造林の学習内容が扱われていた職業科及び職業・家庭科時代の教科書や指導の手引きの内容及び現在の教科書の内容,新潟県内における中学校の過去の実習例と現在の実習環境を調査したものである。さらに,これらを踏まえ,枝打ちの実習や製材工場の見学,木材の乾燥,木材製品の設計・製作実習,作物の栽培技術との比較を通して,木材生産の技術を学習させる指導計画と教材を作成し,授業実践を行った成果を報告した。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)平成25年8月28日:教員免許状更新講習(上越教育大学)
(2)平成25年8月21日:平成25年度上越市立教育センター職員研修教科領域別一斉研修会(上越市立教育センター)
(3)平成25年8月5日〜平成25年8月6日:公開講座「木琴をつくろう」(上越教育大学)
(4)教員養成モデルカリキュラムの発展的研究(鳴門教育大学)
◎社会への寄与等
小学生を対象とした上越教育大学公開講座「木琴をつくろう」を開講し,木材加工に関する教材開発の成果を地域に還元した。この講座では,音階と音板の長さの関係や,樹種による音板の長さのばらつきについての研究成果を小学生向けにわかりやすく説明した。そして,さまざまな長さのホオノキを順に並べて音の高さを確認し,チューナーを用いて音階を合わせる作業を行った。そして,ゴム紐を通して音板に着色する作業を行った。その結果,受講生全員が木琴を製作することができた。