第一章 組織の運営状況に関する自己点検・評価
 
1 年度のハイライト
 
<「教科内容構成に関する科目」の試行開講>
国語,英語,社会などの教科の背景にある専門諸科学の内容を,学校教育の学習指導要領等に準拠して子どもに教えるに当たり,専門科目の知識を子どもの発達段階に応じて具体的な教科の教育課程として構成する実践力を培うことを目的として,学士課程に「教科内容構成に関する科目」の授業を新設し,試行的に自由科目として8科目開講した。
また,平成27年度入学者から,「教科内容構成に関する科目」を免許科目「教科又は教職に関する科目」の選択科目として10教科及び道徳を新設することとした。さらに,テキスト(試行版)の検証を行った結果を基に10教科及び道徳の同科目のテキストの改訂版等を作成した。
 
<「教職実践インターンシップに関する科目」の新設決定>
平成25年10月の「教員の資質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議報告書」では,専修免許状の在り方として,実践的科目を専修免許状に必要な24単位の中に位置付けて必修としていくことを促進すると報告している。これを踏まえ,本学修士課程において,平成28年度入学者から,主体的に学校教育活動に参画するインターンシップや学校現場をフィールドとする活動を行い,その実践研究の成果を報告書にまとめる授業科目「教職実践インターンシップに関する科目」を2科目新設することとした。
 
<CAP制に関する取扱いの一部改正>
平成23年度のCAP制導入後に入学した学生が,平成26年度末に初めて卒業することから,制度内容について教員養成大学としての目的も考慮した上で再検討を行った。
その結果,履修登録単位数の上限については,各学年一律60単位(ただし,前年度のGPAに基づき上限を変更)としていたものを学年毎に変動させ,上限単位数を減少させることにより,実効性を期待できるものとした。さらに,CAP制から除外する授業科目等の見直しを行った。
 
<専門職学位課程教育実践高度化専攻の課程認定申請>
大学改革委員会において「平成28年度からの大学院改革」が策定され,大学院専門職学位課程教育実践高度化専攻(教職大学院)については,平成28年度より「1年制プログラム(短期履修プログラム)」が導入されることとなった。これに伴い,教職大学院の各コースの教職課程認定申請を改めて行うことが必要となったため,3月に文部科学省への課程認定申請手続きを行った。
 
<都道府県等教育委員会と上越教育大学との連携協議会の実施>
12月7日に「都道府県等教育委員会と上越教育大学との連携協議会」を開催し,本学大学院修了者の動向に基づく本学の教育の成果・効果に関する要望・意見を収集し,情報交換を行った。今年度は,本学大学院での修学等の状況を広く理解してもらうために,本学への現職派遣大学院生の在籍者がいない都道府県等の教育委員会も招へいし,協議会翌日に教職大学院の「学校支援フィールドワーク」の授業視察を実施した。
 
<文部科学省「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」への取組>
文部科学省「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」における平成24年度から3年間にわたる取組を総括し,教育現場のニーズに対応した学校ボランティアフォーラム(7月12日),ユニバーサルデザインに基づくICT活用授業セミナー(9月13日)を開催するとともに,これまで取り組んできた活動とその成果を取りまとめ,実施報告書を発行した。
 
<学校支援プロジェクトセミナーの充実>
学校支援プロジェクトの成果を発表し,広くその成果を紹介することを目的として,2月11日に学校支援プロジェクトセミナーを開催した。本セミナーは例年開催しているものだが,今年度は会場を学校教育実践研究センター(西城地区)から大学キャンパス(山屋敷地区)に変更し,成果発表に加え受入校の校長等をシンポジストとしたシンポジウムも併せて開催し,内容の充実を図った。
 
<教育訓練給付制度の対象講座に指定>
  社会人の学び直しを目的として大学院修士課程及び専門職学位課程へ入学する者に対する経済的な支援を図るため,厚生労働省「教育訓練給付制度」の「一般教育訓練」及び「専門実践教育訓練」の施設として申請し,平成27年4月1日から指定を受けた。
 
<下村文部科学大臣の本学視察>
下村博文文部科学大臣が,5月11日開催の「「上越市教育の日」制定を祝う会」における記念講演の講師として上越市を訪れたことに併せて,本学教職大学院の授業を視察された。下村大臣は,教育実践の問題を先行研究の成果に基づき解決する方法について,現職教員大学院生と学卒大学院生らがグループディスカッションをする様子を熱心にご覧になった。
 
<日・韓教育大学学長フォーラムの開催>
設置形態が類似する日本と韓国の国立教育大学が,共に抱える課題について情報交換等を行い,また,各大学の理念や特色を活かした交流活動を通して両国各大学の運営及び教育・研究の一層の充実を図ることを目的する日・韓教育大学学長フォーラムを,本学が当番大学となり10月16日に開催した。
 
<教員就職率>
文部科学省が平成27年1月30日に発表した国立の教員養成大学・学部の平成26年3月卒業者(進学者及び保育士を除く)の教員就職率において,本学は80.9%で全国44大学・学部中,第5位であった。
また,同時に発表された平成26年3月教職大学院修了者(現職教員学生を除く)の教員就職率において,本学は100%で全国第1位となった。
 
<新ロゴマークとイメージキャラクターの活用>
本学の広報活動の基本方針に基づき,大学の広報活動を積極的に展開するための取組として,新たにイメージキャラクター「マナーブ・デ・ジョーキョー先生」を学内での公募と投票を経て決定し,平成25年度に決定したロゴマーク「緑の小道」と併せて報道発表した。また,イメージキャラクターの着ぐるみを製作し,平成27年3月の北陸新幹線の開業イベントへの参加を皮切りとして広報活動に活用した。
 
<上越教育大学基金の設置>
財政基盤の強化と,学生支援活動,教育研究活動及び地域貢献活動等の推進を図るとともに,キャンパス環境の整備・充実に資することを目的に,「上越教育大学基金」を設置し,寄附金の受入れを開始した。
 
<入試実施日における臨時託児室の開設>
職員の就業及び教育研究活動等における男女共同参画の推進を目的として,「入試等業務に伴う休日出勤時の職員の子どもに対する預かり保育に関するアンケート」を実施し,その結果に基づき,大学入試センター試験実施日の臨時託児室の開設を決定した。
 
<上越教育大学出版会の事業開始>
出版を通して本学の研究成果の公開を促進するため,「国立大学法人上越教育大学出版会」の事業を開始した。平成26年度は,応募原稿を募集して,教育の法常識に関する著作物1件を平成27年4月に出版することとしたほか,出版会ホームページを作成し,公開した。