4 教育・研究組織等
(1)各コースの教育
 

 
@ 学校臨床研究コース
ア 組織
本コースは,学習臨床研究科目群(学部では学習臨床科目群),生徒指導総合科目群,学校心理科目群により構成されている。平成27年3月時点でのスタッフの構成は,学習臨床研究科目群では教授7人,准教授6人,講師4人であり,生徒指導総合科目群と学校心理科目群では教授6人,准教授7人,講師1人であった。
イ 教育の特色
本コースは,教育の単なる表層的な知識・技能の修得を目指すのではなく,基盤にある教育理論を学び,知識と理論に裏付けられた新たな教育活動を構想し推進できる能力の育成を主眼としている。学部生・大学院生は,「学習臨床研究」(学部は「学習臨床」),「生徒指導総合」及び「学校心理」の各科目群のいずれかに所属して学びながら,各自の研究課題を追究し卒業研究(卒業論文)・修士論文の作成を目指している。
 ウ 運営・活動の状況
 @) コース会議等の開催状況
学習臨床研究科目群では月1回会議を開催し,生徒指導総合科目群と学校心理科目群は合同で月1回会議を開催して,それぞれ教育研究に関する事項を協議し決定している。入試や修論指導等に係る審議は,学習臨床研究科目群と生徒指導総合・学校心理科目群の2領域ごとに行っており,コース全体の会議は開催していない。しかし,両領域の世話役の間で緊密に連絡を取って情報の共有と調整を行っており,全体として円滑に運営されている。
 A) 審議された主な事項
運営体制及び教育研究体制に関する様々な部分で,カリキュラムの学年進行に合わせて,順次調整を行った。
 B) 大学院定員充足に関する取組の状況
コースとして独自の大学院入試相談会を企画し,大学ホームページで案内し,東京と京都において大学主催大学院入試相談会場の一角を借りて計5回開催した。また,大学訪問を積極的に行ったほか,科目群案内ポスター等を作成して,大学訪問時に持参し掲示を依頼するなどした。さらに,現職教員や学部生が購読していると思われる雑誌に入試案内広告を出した。
 C) 重点的に取り組んだ課題や改善事項等
平成28年度の大学院改組に向けて,コース及び科目群のカリキュラムや授業内容等を全般的に見直した。現行カリキュラムに関しても,スタッフ組織の充実,FDの推進に努めた。
 エ 優れた点及び今後の検討課題等
本コースでは,多様なスタッフが学校現場と連携しながら教育実践研究に取り組んでいる。また修論指導に関しては,スタッフ間で比較的自由にアドバイスを得られるような体制を作り上げている。スタッフの数が30数人であり,しかもその専門領域が多様であるなかで,こうした体制を維持できていることは特筆に値する。またむしろそれが,多様な要素の絡み合う教育現場に関する実践的かつ理論的な教育・研究を進めるにあたり強みになっている。その成果として,修士1年から3年まで合わせて140人ほどの大学院生に対して,高い水準の修論研究指導を行っている。
今後の課題として,改組後の教育研究体制への移行を円滑に行い,スタッフの教育研究活動の一層の充実を引き続き支援し,教育実践研究の優れた成果を効果的に発信することで,学生定員確保の方策のひとつとすることである。また,より高度な教育実践研究を推進するために,連合大学院博士課程との連続性も一層図っていく必要がある。
 

 
A 臨床心理学コース
ア 組織
平成26年度の本コースの担当教員は7人である。しかし,実質的な教育研究指導体制は,教授3人,准教授2人,及び講師1人の計6人で行った。
具体的には,大学院修士課程及び学部生に対して研究セミナー等での研究指導を行い,また大学院修士課程生に対しては心理教育相談室での臨床活動を中心とした臨床指導を行い,学生のニーズ及び社会的ニーズに応えるよう万全を期してきた。
イ 教育の特色
 本コースは,日本臨床心理士資格認定協会の第1種認定を受けた臨床心理士養成コースであり,教育,医療,福祉,司法に関わる人間の心の問題の解決に関する実践と解決方法の開発研究を目的とした専門的な教育研究分野である。また,学部(臨床心理学コース)の卒業生においても本学大学院臨床心理学コースを受験し平成27年度に入学予定の者が出ている。このように本コースは,学部から修士課程への6年一貫の臨床心理士養成,その後の博士後期課程3年間を含む臨床心理学研究者養成といったことが特色となっている。
ウ 運営・活動の状況
 @) コース会議等の開催状況
定例のコース会議は,毎月3回程度,火曜日の10:30−12:00に開催してきている。教育の質の向上に向けたカリキュラムの検討を中心として,学生の支援や,心理教育相談室を利用した臨床心理実習の運営方法等,コースの活性化に向けた審議が行われた。
 A) 審議された主な事項
全学的な検討事項等についての議論はもとより,特に次の点について検討した。a) 学部臨床心理学コース並びに大学院臨床心理学コースの教育の質の向上のためのカリキュラムの検討,b) 臨床心理実習(本学心理教育相談室における実習と,近隣の施設・機関等を利用した外部実習)での指導経過や課題の検討,c) 当コース担当教員が諸般の事情で授業を担当できなかったために,それらを他の教員で補完するための役割分担や授業内容の検討等。
 B) 大学院定員充足に関する取組の状況
修士課程臨床心理学コースの受験者は,例年,定員の2〜3倍程度の競争率を維持しているが,他の大学の併願者も多いので,定員よりもかなり多くの合格者を出している。しかし受験者の大半が,将来,臨床心理士を希望しており,そのために本学の他のコースを併願する者は少ないのが現状である。今後も,本コースの特色等を全国に広く周知するために,本コース及び附属心理教育相談室のホームページを充実したり,大学説明会等で定員増加のための広報を行っていく。
 C) 重点的に取り組んだ課題や改善事項等
臨床心理士養成のためのコースとして,カリキュラムや授業内容の改善に向けて,各教員の担当している科目のそれぞれにおいて見直しを行い,各担当科目について必要な修正や補充を行った。また,学内実習施設である心理教育相談室における臨床心理実習の運営方法や,指導内容についてもいくつかの改善を行った。心理教育相談室での臨床心理実習については,今後も,地域への質の高い臨床サービスの提供とともに,大学院生への指導体制のよりいっそうの充実をはかっていく。
エ 優れた点及び今後の検討課題等
本コースは,毎年,学部生約10人,大学院修士課程生約18〜20人,博士課程生1〜2人の教育研究指導を,実質6人の教員で行ってきている。教員の教育研究指導の内容としては,卒業論文や修士論文の指導のほかに,修士課程の学生の臨床心理実習の指導にかかるウエイトがたいへん高い。具体的には,全教員が毎週,各学生に3〜4時間程度の指導時間を要している。そのほかにも,心理教育相談室に来談するクライエントに対する心理教育相談を行うなど業務が多忙な状態である。このような状況で,個々の教員は自らの研究活動や,地域における相談活動や学校等の支援活動を行ってきている。
したがって,現行の教員配置の体制には無理があり,学生の教育研究指導や,心理教育相談室の業務が実質的に担当できる教員を少なくともあと2人は補充する必要がある。
今後,臨床心理士資格を有する現職教員の輩出による教育界への貢献はもちろんのこと,学部の臨床心理学コースと大学院修士課程臨床心理学コースの6年一貫の臨床心理士養成,及び博士後期課程3年間を含む9年間一貫の臨床心理学研究者養成といった条件整備が現実的な検討課題になってきていると考えられる。
 

 
B 幼児教育コース
ア 組織
幼児教育コースは幼児教育学,幼児心理学,保育内容の研究の3つの専門分野から構成されている。鈴木情一教授が平成25年度末に定年退職し,杉浦英樹准教授が平成26年9月1日付けで教授に昇任し,白神敬介講師が10月1日付けで着任した結果,年度末における本コース専任教員は教授2人,講師1人となった。その氏名及び担当分野等は以下のとおりである。杉浦英樹教授は幼児教育学,白神敬介講師は幼児心理学,丸山良平教授は保育内容の研究である。
 イ 教育の特色
教育内容・方法面での特色は,「教育実践セミナー」及び大学院の「実践場面分析演習」に代表される附属幼稚園をフィールドにした教育実践的な研究指導の推進である。本学の保育士養成を中核的に担っている。
 ウ 運営・活動の状況
 @) コース会議等の開催状況
平成26年度は4月当初から9月末までコース専任教員2人という過重負担の体制で,臨時コース会議を適宜開催して厳しい状況に対応した。開催したコース会議は,臨時コース会議を除き14回であった。隔週開催を原則とし,委員会関係の「報告」は事前にメールで配信するなど効率化を図った。
 A) 審議された主な事項
コース運営の集約化,効率化を図り,保育士関連のカリキュラム・実習,幼稚園専修教育実習の指導,複数担当授業の内容・方法等,卒論・修論発表会の開催,各種委員会からの要請事項,学生・院生を巡る課題,幼年教育コース設立の準備,等について審議した。
 B) 大学院定員充足に関する取組の状況
コース専任教員配置の充実により,受験者に魅力的なコースを構築するのが基本であることを確認し,将来構想を検討して学内関係組織に働きかけた。
大学院学生を帯同しての出身大学への訪問説明会を1大学で実施した。
私立大学への訪問説明会を相手先の都合で実施できないときに,相手先教員に電話とメールで関係学生に本学大学院の入学試験の周知を依頼した。
広報活動として,コースのリーフレットを約200カ所に送付している。
 C) 重点的に取り組んだ課題や改善事項等
「教育実地研究TB(観察・参加)」幼稚園実習の改善を行い,今年度をもって終了するように関係園に連絡調整した。「教育実地研究T(観察・参加)」の幼稚園・保育所実習部分の立案,事前指導,実習記録の書式など確定し運営に参加した。保育実習T,保育実習Vの評価方法を改善した。
また,複数担当授業内容・方法の改善や会議のさらなる効率化を推進した。
 エ 優れた点及び今後の検討課題
3人の教員が密接な連携と協力のもとに各種の業務及び授業等を行い,保育士養成,幼稚園教員養成の中核的な役割を果たすことで学内,学外に重要な貢献を行っている。
今後の検討課題として,3人で1コースを運営する業務の配分と重い負担への対応が大きい。さらに学部生,院生への指導の充実質的向上も必要である。特に教育職員免許取得プログラム履修学生の選抜試験のあり方,合格者に対する指導の在り方の見直しが必要である。今年度は修士論文未提出者,修士論文不合格者,休学者などがいて,早急な再検討と専任教員の充実が必要不可欠である。
 

 
C 特別支援教育コース
ア 組織
特別支援教育コースは特別支援教育実践研究センターと一体となって運営されており,特別支援教育コースの全教員が特別支援教育実践研究センターの兼務教員となっている。平成26年4月1日に知的障害児の心理学を専門領域とする池田吉史助教が着任し,教授5人,准教授3人,講師2人,助教1人の計11人の構成となった。
 イ 教育の特色
本コースは,特別支援教育に関する高度な専門的知識と実践的指導力を修得させることにより,特別な教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して適切な指導と必要な支援を行うことができる教員を養成することを目的としている。所属教員の専門分野は特別支援教育に関連する教育学,心理学,生理学,指導法など多岐にわたっている。平成26年度の授業科目として,特別支援学校教諭専修免許状,同一種免許状を取得するために必要な科目を開設した。視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱の5領域全てに加え,言語障害,情緒障害,重複障害,発達障害に関する科目も開設した。特に,講義による専門的な知識の提供とともに,特別支援教育実践研究センターを中心とした高度な臨床教育・研究の場を数多く提供した。
 ウ 運営・活動の状況
 @) コース会議等の開催状況
原則として毎月第2及び第4火曜日の午後に,人文棟8階共用会議室において,コース・センター会議(特別支援教育コースと特別支援教育実践研究センターの合同会議)を開催した。平成26年度においては,計23回開催した。
 A) 審議された主な事項
院生募集,入学試験,カリキュラム,学生指導,研究プロジェクト,人事,予算,地域貢献,コース・センターの施設・設備,センターの運営,特別支援教育実践研究会の運営などについて審議した。特に,平成28年度の大学院改革に合わせ,特別支援教育コースの将来構想について検討を重ね,その内容を大学に提案した。また,平成28年度末までに3人の教授の定年退職が予定されているため,組織の再構築に向けた検討も重ねた。
 B) 大学院定員充足に関する取組の状況
第1回コース会議において,従来実施してきた入試案内の送付や大学訪問に加え,定員充足に向けた以下の年間計画を策定し,その実現に向けて取り組んだ。
@過去に受験生があった大学に,コースのパンフレットなど入学案内を送付する。
A全国の特別支援学校や教育委員会特別支援教育担当部署にコースのパンフレットなどの入学案内を送付する。
BコースのWebサイトを通じて広報活動を行う。
C研修会・講演会及び他大学での集中講義等において,コースのパンフレットなどを配布する。
D特別支援教育の専門誌に受験案内を掲載する。
 C) 重点的に取り組んだ課題や改善事項等
コースの運営にかかわる5つのワーキンググループを設置し,入学試験,学生支援,将来構想,人事,特別支援教育実践研究センターに関する各課題について改善に取り組んだ。特に,平成28年度の大学改革に向けて,特別支援教育コース改革構想案をまとめた。大学院の定員充足対策と対応させて,現職教員を対象とした「特別支援教育・現職研修パッケージ」,及び本学学部学生を対象とした「特別支援教育・進学支援パッケージ」を作成し,カリキュラムの充実と各種サービスの提供をセットにしたパッケージを大学に提案した。
 エ 優れた点及び今後の検討課題等
特別支援教育に携わる教員の養成・研修や関連分野における研究成果への期待に応じるために,特別支援教育実践研究センターとの緊密な連携の下,学内における院生教育とともに,免許法認定講習等を通して学外における社会の様々なニーズに対応できる体制を整えてきた。検討課題として,これらのニーズに対して引き続き対応できるように教員組織を計画的に整備していくことが必要である。特に,平成28年度末までに3人の教授が定年退職することから,課程を維持するためには該当する専門分野の教員の補充を行うことが喫緊の課題となっている。また,特別支援教育実践研究センターの施設・設備の整備をセンターとの連携の下に推進し,臨床教育・研究のさらなる充実を図っていくことも必要である。
 

 
D 言語系コース
(国語)
ア 組織
平成26年4月1日現在の国語の構成員は,教授4人,准教授3人,講師1人の計8人であり,ほかに特任教授が1人である。
イ 教育の特色
言語系コース(国語)は,国語学,国文学,国語科教育,書写・書道の4領域で組織されており,学部学生・大学院学生ともにその各領域に所属している。在籍学生は,学部2年生17人,3年生17人,4年生17人,大学院修士課程1年生11人,2年生以上12人である。指導の具体はそれら領域における教育を中心とするが,必要に応じて複数領域での指導を柔軟に行っている。卒業論文と修士論文の指導に係る構想発表会・中間発表会は全領域合同で行い,領域にかかわらず相互に議論が展開されている。
また「上越教育大学国語教育学会」を組織しており,年2回の例会では,卒業・修了生の実践または研究の発表,卒業論文・修士論文の発表及び教員の研究発表が行われている。平成26年度末で68回を数え,修了生・卒業生を含む学外からの参加者も少なくない。学会誌として年1回『上越教育大学国語研究』を刊行しており,今年度で29号を数える。掲載論文は,学界時評等でしばしば高く評価されている。
ウ 運営・活動の状況
 @) コース会議等の開催状況
科目群会議は計15回開催された。
 A) 審議された主な事項
主たる審議内容は,科目群の運営・人事計画と今後の教育の方針,カリキュラムの具体的な内容の検討,修士論文・卒業論文の指導方法,附属学校(国語科関係)との連携,科目群の広報活動,大学院定員充足の方策,入試に関する事柄,「上越教育大学国語教育学会」の運営方針・同学会誌の編集,学生動向等である。
 B) 大学院定員充足に関する取組の状況
大学院定員充足に関する取り組みとして,例年他大学への訪問や合格者への各種資料の送付をおこなっているが,本年度においては合格者への上越教育大学国語教育学会の紹介をおこない2人の参加をみるとともに,大学院修了者の全国規模の学会での発表を紹介することで1人の参加をみており,いずれも入学している。
エ 優れた点及び今後の検討課題等
学生の教育・研究指導において科目群内の領域を横断した体制が組織されている点が優れている。特に,教科教育と教科内容とを効果的に結びつける構造に配慮している。本年度より「教科内容構成に関する科目」として「教科内容構成「国語」」が開設されたことは,この部分の一層の充実となっている。これらにより,卒業・修士論文の指導・評価においても,広い視野で実施することが可能になっている。また卒業・修了生の学業成績や教員採用状況も高い。
今後の課題としては,教員養成と教育に係る諸状況を念頭におき,現代の教育にふさわしいより充実した科目群の運営と教育の方針の策定,大学院学生,特に現職教員の減少傾向への対策が必要である。授業科目もしくは専門領域という点では,漢文学を専攻する教員を欠き,大学院(隔年)・学部(毎年)ともに非常勤講師により対応している。このうち,学部については中学校および高等学校の教員免許状国語の必修科目であることから,適切な対応が課題となっている。また,大学院の所属学生は,現職派遣教員,新卒進学者,教育職員免許取得プログラム受講生,留学生のごとく,多岐にわたる。修士論文の質的水準の維持を図りつつ,学生の属性や資質に応じたきめの細かい教育・研究指導の対応が必要である。学部については,教科内容等の基礎学力を養成しつつ,教員採用試験の合格率をさらに向上させることが求められる。教育・研究指導を教員の専門領域を横断して実施していることが,これら諸問題への有効な方策だと考えられる。また,学生のメンタル面でのケアも必要とされるところである。
 
(英語)
ア 組織
平成26年4月1日現在の英語の構成員は,教授4人,准教授3人,特任教授1人の計8人である。
イ 教育の特色
言語系コース(英語)は,英語教育学,小学校英語教育,英語学,英語文学,異文化コミュニケーションの5つの研究領域により構成され,それぞれの領域について,専門的かつ包括的な教育研究指導を行っている。
学校教育学部では,英語の基本的な力を身につけさせるとともに小・中・高等学校及び社会のニーズに対応できる能力の育成を目指している。言語系コース(英語)が創設されてから今年度で14年目にあたる。在籍学生は,学部2年生17人,3年生17人,4年生17人である。11月に卒業論文中間発表,平成27年2月には卒業論文発表会を開催した。大学院言語系コース(英語)では,英語教育に関する指導力・教科専門性・実践的技能を併せ持った人材の育成を目指している。平成26年度は,大学院修士課程1年生11人,2年生20人,3年生13人が在籍した。2・3年生は4月の修士論文構想発表会,10月の修士論文中間発表会,1月末の修士論文審査・試験を経て平成26年3月に修了した。1年生は,前期の6月末までには指導教員を確定し,次年度の構想発表に向けて本格的な研究活動に入った。
ウ 運営・活動の状況
 @) コース会議等の開催状況
平成26年度は科目群会議を14回開催した。
 A) 審議された主な事項
審議した主な内容はカリキュラム,修士論文,卒論,入試に関する事柄,予算,学生動向等である。学会に関わる活動では,平成26年7月には,言語系コース(英語)が事務局となっている「上越英語教育学会」の第18回大会が,本学マルチメディア教室で開催され,県内・県外から大勢の参加者があった。実践報告・研究発表を行うとともに,機関誌『上越英語研究』第15号を刊行して,地域・社会との教育・研究分野での連携を図っている。
 B) 大学院定員充足に関する取組の状況
大学院定員充足に関する取組の状況については,英語コース紹介の資料を関係諸機関に送付するほか,教授1人が関東地区の私立大学を訪問し,本学大学院英語コースの紹介と受験生の応募を依頼した。
エ 優れた点及び今後の検討課題等
平成25年度に刊行した『教科内容構成 英語』について引き続き改訂版発行のための準備を行った。本書は,小学校段階で英語を教えるために知っておかなければならない,教科としての基礎知識を体系的に学ぶためのテキストである。執筆者は大場浩正教授,ブラウン・アイヴァン准教授,野地美幸准教授,加藤雅啓教授,北條礼子教授,石濱博之准教授(執筆順)の各教員である。
また,「マルチメディア語学教育システム」の本格的稼働に伴い,リーディング・ライティング・リスニングのe-Learningを活用した教材を用いて,学部学生を中心として授業後の課外学習が可能な体制が整備された。これについては,さらに大学院などの上級者レベルに対応したe-learning教材開発や自学型カリキュラムの整備などをさらに進めていく必要があると思われる。また,平成32(2020)年度に導入が検討されている小学校における英語の教科化を見据え,「英語コミュニケーション能力向上」,「小学校英語指導力養成」,「異文化理解マインド育成」の3点については重点的に取り組んでいくことが求められる。とりわけ,「小学校英語教育」については,「小学校英語教育」に係わる出前講座を実施し,上越市教育委員会との連携・協力体制確立に努めた。また,本学附属小学校,上越市,糸魚川市の公立小学校から「小学校外国語活動」について支援を求められ,北條教授,石濱准教授が指導・助言を行っている。平成23年度から本格導入された小学校における外国語活動に向け,教育課程,教材開発のさらなる充実を図る必要がある。その結果として本学の大学院定員充足にも貢献することにつながると思われる。
 

 
E 社会系コース
ア 組織
平成26年4月1日付で橋本准教授(地誌学)が着任した。この結果,本年度の社会系コースの構成は,教授6人,准教授5人の計11人,分野的には地理,歴史,公民が各3人,社会科教育が2人の体制であり,公民教育学の採用人事を推進した。なお,教科専門の公民に関しては,中学校社会科及び高等学校公民科の教員免許選択必修科目である哲学,倫理学,社会学を担当する者がおらず,非常勤講師でまかなっている現状である。
イ 教育の特色
当コースには,教科内容にかかわる地理学,歴史学,法律学,経済学,宗教学などの専門諸学,及び教育方法にかかわる社会科教育学の各研究室があり,学部生は3年次より,大学院生は入学当初より,自らの研究課題に基づいていずれかの研究室に所属し,各指導教員のもとで卒論,修論を作成している。一方で,教育・研究指導にはコースの全教員が協力・連携して当たるという共通認識のもと,大学院においては修論作成までの間に,4回の全体での中間発表会を実施している。また,学部においても,毎年度,下級生も含めた全員参加の卒論発表会を開催している。このことから,学部生及び院生の研究内容は,教科専門,社会科教育,教科専門内容の教材化という各視点で構成された学際的・総合的な研究に取り組んだものが多くみられる。
ウ 運営・活動の状況
 @) コース会議等の開催状況
当コースでは,月例1回の会議のほか,必要に応じて臨時の会議を開催することとしており,本年度は計18回のコース会議を開催した。
 A) 審議された主な事項
公民教育学の人事について議論した。
 B) 大学院定員充足に関する取組の状況
大学院定員充足に関する取組としては,本コース修了生および関係大学の教員を対象にして大学案内,社会系コースパンフレット,社会科教育学会の印刷物等の送付をおこなうとともに,関係学会において個別に広報・宣伝をおこなうなどして,受験生拡大に努力した。
 C) 重点的に取り組んだ課題や改善事項等
研究活動では,松田教授が代表となって本学地域貢献事業の助成を受け,新潟県社会科教育研究会の協力のもと,前年度に引き続き地域教材の教師用冊子『平成の大合併〜上越の過去・現在を綴り未来を探る〜』第9集を刊行するとともに,科学研究費補助金研究・基盤研究(B)「教科教育と教科専門を架橋する社会科内容構成に関する基礎的研究」(研究代表者:松田愼也教授,平成26〜29年度)が採択され,共同研究の場として社会系有志研究会を計6回実施した。またカリキュラム企画運営会議「教科内容構成に関する科目」構築のための専門部会のもとでテキスト『教科内容構成「社会」』の増補・改訂をおこなった。
エ 優れた点及び今後の検討課題等
優れた点としては,上記のように,卒論及び修論において個別指導と集団指導の指導体制を確立しており,特に修論指導においては,全教員参加による数回にわたる研究発表会を開催していること,また,実践セミナー・実践場面分析演習では,学部生及び大学院生との合同授業の成果の発表会を開催すると同時に,その成果を冊子にまとめていること,教職実践演習(教科等の指導力に関する授業「社会」)でも実践報告書を刊行したこと等をあげることができる。また,地域貢献事業の報告書も学校現場から高い評価を得ている。さらに,科学研究費補助金研究・基盤研究(B)「教科教育と教科専門を架橋する社会科内容構成に関する基礎的研究」(研究代表者:松田愼也教授,平成26〜29年度)では,学内外から大きく注目され,学術論文のかたちで刊行されたその成果も関係学会において高く評価されている。
今後の検討課題としては,引き続き,大学院の定員充足を挙げなくてはならない。本年度は受験者数が減少し,平成27年度入学者は14人となった。今後はよりいっそう効果的な広報活動を推進する必要がある。さらに,平成28年度から新設される予定の「社会系教育実践コース」のためのアドミッション・ポリシーの策定,特色あるカリキュラム構成を検討し,それに対応した新たな教員配置を展望することが当面の重要な課題となっている。
 

 
F 自然系コース
(数学)
ア 組織
自然系コース(数学)(以下,「数学」という。)の教員スタッフは,代数学2人(教授1人,准教授1人),幾何学1人(准教授1人),解析学1人(教授1人),数学教育学3人(教授1人,准教授2人)の合計7人で構成されている。
イ 教育の特色
教育の特色は,学部・大学院とも,基礎教育に大きく貢献していることである。学部では,全専修・コースの中で数学を希望する学生は毎年度多く,数学に所属した意欲ある学生に対して基礎を重視した高質な教育を行っている。大学院では,基礎学力と意欲を問う厳格な入試を行い,入学した院生に対して,各々の研究課題への積極的な取組を指導し,基礎学力に裏付けられた研究の深化を図る高質な教育を行っている。学部・大学院とも,各教員が授業,演習,ゼミ等において学部生,院生に対する魅力ある教育活動を展開し,教員として恥ずかしくない学力をもち社会に貢献できる卒業生・修了生を教育界等に送り出している。
ウ 運営・活動の状況
 @) コース会議等の開催状況
全員の会議は必要に応じ,機敏に開催した。教授部会は,人事に関する必要性が出てきたときに,開催した。
 A) 審議された主な事項
会議においては日常の校務分掌から,教育論に及ぶ,幅広いテーマを議論している。院生の指導に関しての問題点があれば,これを共有し,全員で解決する意識を持つことに努めた。
 B) 大学院定員充足に関する取組の状況
大学院定員充足に関する取組として,数学教育,数理科学関連の雑誌に広告を掲載し,国内の多数の関連大学にパンフレットを送付し,ホームページを随時更新し,全国から大学院への受験生を確保できるよう広報活動を行った。また,教員の各種研究会でもパンフレットを持参するなどし,教員個別に広報活動も行った。
エ 優れた点及び今後の検討課題等
数学に関するカリキュラム全体について,より良い教育カリキュラムをめざし日常的に改革の検討を行っている。開設授業科目の相互連携を深めるために議論していくとともに,数学の大学教員として必要な知識・教養を習得できるよう,また教員自ら積極的に深く広い知識を得るように努力していかなければならない。
 
(理科)
 ア 組織
自然系コース(理科)(以下,「理科」という。)の教員スタッフは,物理学1人(准教授1人),化学2人(教授1人,講師1人),生物学2人(教授1人,講師1人),地学2人(教授1人,准教授1人),理科教育学2人(教授1人,講師1人),理科野外観察指導者養成部門1人(教授1人)の合計10人で構成されている。
イ 教育の特色
自然の事象に興味関心を持たせるとともに,積極的に科学研究に取り組む意欲や態度・能力を育て,その資質・能力を次世代の教育に生かせる人材の育成を目指している。学生・院生はいずれかの研究室に所属し,講義,演習,実験,ゼミナール等の指導を受けながら研究を行うとともに理科の教材とその指導方法を学習する。「理科野外観察指導実習」は,本学大学院の授業科目であり,地域の教員に対して専修免許状取得に関わる学習の場を提供している。
ウ 運営・活動の状況
 @) コース会議等の開催状況
月ごとに定例の理科部会を開催している。
 A) 審議された主な事項
教育・研究と分野運営等に関する計画立案や情報の共有を図っている。特に,卒業研究・修士論文の研究指導については,年度初めに綿密な年間指導計画を立て,学生に周知させるともに,教員が連携して指導に当たっている。
 B) 大学院定員充足に関する取組の状況
大学院定員充足に関する取組としては,修士課程の広報活動としての理科ホームページの更新,卒業生や修了生などへの各種パンフレットの発送,公開講座や研修会等における大学院案内等の配布,大学院合格者に対しての手紙の送付,などを行った。
エ 優れた点及び今後の検討課題等
どの授業科目も学部生や現職派遣教員や教育職員免許取得プログラム受講者など多様な受講生をかかえている。学部・修士課程ともに,教科「理科」の実践的指導力を確実に習得させるためにはカリキュラムを一段と改善する必要がある。
 

 
G 芸術系コース
ア 組織
芸術系コースにおいては,「音楽」では教授4人,准教授3人,講師1人の計8人,「美術」では,教授4人,准教授4人の計8人(いずれも平成27年3月31日現在)で教育・研究・運営を行った。
イ 教育の特色
実技系コースの特徴を活かし,その成果発表が精力的に行われたほか,教科内容構成に関する授業が,新しい理念の下に立ち上げられた。
「音楽」では恒例の院生演奏会「アウトゥンナーレ」が平成26年11月9日に,卒業・修了演奏会が平成27年2月1日に,学部4年次生による音楽劇が2月14日に,開催された(会場はいずれも本学講堂)。そのほかに,声楽や器楽,作曲領域の実技ゼミの発表も活発に行われた。卒業・修士論文についても指導助言の機会を増やすために論文発表会を学部3年次に1回,4年次には2回行った。大学院では1年次に学位論文研究デザイン発表会等2回,2年次に学位論文中間発表会を平成26年6月に,学位論文発表会を平成27年2月に行った。また, 学問および文化実践としての音楽/音楽学と教科としての音楽科との体系の違いに意識を向け,習得した専門的な知識や技能の高次のレベルでの統合・再認識と,高度な実践力の習得を目指して,新設科目「教科内容構成「音楽」」を開講し授業を行った。
「美術」では卒業・修了研究展(小川未明文学館/高田図書館展示室),院生展(ミュゼ雪小町)を開催し,卒業・修了研究報告書を作成した。また,上越市展での入選や受賞,トーキョーワンダーウォールコンクール入選(東京都現代美術館),西会津国際芸術村公募展受賞などの大学院生の活躍が数多くあった。卒業・修士論文に関しては指導の徹底を図るべく学部3年次に構想発表会,4年次に中間発表会を,同じく,大学院1年次に研修会と構想発表会,2年次に中間発表会と学位論文発表会を行った。また,「音楽」と同様に新設科目「教科内容構成「美術」」を開講し授業を行った。そのほかに,大学院生による留学研修について,@1人が本学海外協定校の台湾国立新竹教育大学に約9ヶ月留学し,A1人が「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の第1期派遣留学生に採用されネパールに約2ヶ月留学した。また,大学会館2階「POTATO」に展示スペースを提案し実現した。
ウ 運営・活動の状況
 @) コース会議等の開催状況
平成26年度は,音楽では19回,美術では13回の会議を開催した。
 A) 審議された主な事項
芸術系コースとしては,コースからの委員の選出が主な審議内容であった。
 B) 大学院定員充足に関する取組の状況
「音楽」では,大学院の定員充足に向けた広報活動の一環として教員個人のホームページを充実させるとともに,大学訪問等の実施可能な取組を積極的に行った。また,秋の院生演奏会と同日にミニ・オープンキャンパスを行った。
「美術」では,大学院定員充足のための大学等訪問を積極的に行った。また,科目群のホームページの見直し検討を行ったほか,大学院生の協力も得ながらホームページを常時リニューアルし最新の情報発信に努めている。
 C) 重点的に取り組んだ課題や改善事項等
「音楽」では,授業や指導内容に関しては,ブリッジ科目「音楽」において今年度実施した指導内容の課題点を踏まえ,次年度に向けた授業改善と「教科内容構成「音楽」」テキストの内容について検討した。その他の事項として,平成26年度に行われた音楽棟の改修に係る要望事項等を取りまとめた。
「美術」では,「教科内容構成「図画工作」」テキストの内容を検討し,第2版の編集・印刷を行った。
エ 優れた点及び今後の検討課題等
教員数が大幅に削減されていく中で,授業時数の負担が偏らないよう配慮するとともにコース・科目群の活動が停滞しないように努めなければならないこと,及び大学院生の多様な希望に応じた研究指導体制作りが検討課題である。しかし,そのような状況の中で前年度と同様に,より充実したカリキュラムを構築するため,「音楽」,「美術」とも全員で協力しながら教育・研究にあたった点,また,個々の専門の授業や活動だけでなく全学的な授業や企画などにも多くの教員が担当していることが優れている点である。
大学院,学部の定員が必ずしも充足していないことから,広報活動を中心に修了・卒業生との連携,他大学との情報交換・協力体制等により現状を改善することが緊急の課題である。
 

 
H 生活・健康系コース
ア 組織
生活・健康系コースは,保健体育,技術,家庭,学校ヘルスケアの4つの科目群で構成されている。平成26年度(平成27年3月31日現在)の教員数は,保健体育10人,技術5人(情報メディア教育支援センター兼務教員1人,国際交流推進センター兼務教員1人を含む),家庭5人,学校ヘルスケアでは10月1日付けで留目宏美准教授が着任し3人(保健管理センター兼務教員2人含む)の計23人(教授12人,准教授10人,講師1人)であった。
イ 教育の特色
 「保健体育」は,体育科教育学,体育学,運動学,学校保健学の分野からなり,これらの基礎的理論と学校現場での指導実践を融合させた指導プログラムに基づいて,教育実践力に富む教員の養成及び地域の体育教育・スポーツ活動を支援している。
 「技術」は,技術科教育学,木材加工学,金属加工学,電気・電子工学,機械工学,情報工学,栽培学の分野に関する研究を通して,情報化や国際化に主体的に対応する能力や,地球環境保全に配慮した技術的な活動能力をもった人材を育成することを目指している。
 「家庭」は,家庭科教育学,家庭経営学,食物学,被服学,児童学及び住居学の分野からなり,社会環境の変化による複合的な生活の問題に対応できる専門的な資質・能力をもった人材を育成することを目指している。
 「学校ヘルスケア」では,健康教育学,医科学,養護学,食や健康に関わる科学などの専門的学問基盤に立脚し,健康・安全や食の教育に関する研究を通して,現実の課題を分析し解決に導く能力,創造的な教育実践の推進者となりうる能力の向上を目指している。
ウ 運営・活動の状況
@) コース会議等の開催状況
本コースでは,各科目群の自立的運営を鑑み,コース内の全体会議は開催せず,各部署等からのコース長への依頼・照会事項等は,適宜科目群代表を介して,構成員に周知した。
A) 大学院定員充足に関する取組の状況
「保健体育」では,大学院定員充足に関する取り組みの状況については,保健体育のWebページを改善し,外部からのアクセスに対して保健体育科目群の内容がわかりやすいように工夫した。また,体育・スポーツ関係の学部を訪問して積極的に本学大学院のPRを行い,大学院定員の確保に努力した。
「技術」では,私立大学の工学部・農学部,技術同窓会等との連携を強化するとともに,近年取り組んでいる職業能力開発大学校も対象に大学院生の充足率向上を図った。
「家庭」では,各教員が様々な大学に出向き,大学院入試に関する説明会等の広報活動を行うことにより,大学院生の定員充足に努めた。
「学校ヘルスケア」では,全国の国公私立大学の大学訪問を行うとともに,学会等において本学大学院のPRを行った。
 B) 重点的に取り組んだ課題や改善事項等
「保健体育」では,学部学生の実技能力向上のために,従来は「個人スポーツ」として1科目の授業として実施していた「陸上競技」,「体操・器械運動」及び「ダンス」を,平成26年度入学生からそれぞれ独立した授業科目へと変更し,さらに,「水泳」の授業を新設した。各教員の活動は,生理学的観点からの研究,器械運動,陸上運動,球技,表現運動・ダンスの特性と指導法についての理論的,実践的な研究,教師教育等に関する国際的な研究交流,現場教員とのセミナー交流,出前講座,公開講座など,多岐にわたった。また地域貢献として,近隣の小・中学生を対象とした剣道,サッカー,体操教室等を継続して実施した。
「技術」では,また,地域貢献にも積極的に取り組み,周辺の小中学生を中心に,科学技術やものづくりの面白さ・楽しさを伝える活動も積極的に行った。また,技術科目群ではここ数年,技術科教育担当の教員が1人であったが,木材加工分野を担当している教員が,新たに技術科教育担当の資格も獲得して,平成26年度からは2人体制で研究教育指導を行えるようになった。
「家庭」では,児童・生徒,保護者,地域住民等を対象とした出前講座,講演会等を数多く実施した。各教員が専門性を生かした講座を開講し,積極的な地域貢献に努めた。
「学校ヘルスケア」では,学生のニーズの高い養護学を担当する教員が平成25年度末に転出したため,早急に後任の人選を行い10月1日に後任の准教授を配置した。地域貢献としては,近隣の小・中・高等学校より依頼のあった授業や学校保健委員会,上越市健康づくり推進協議会等に積極的に教員を派遣した。
エ 優れた点及び今後の検討課題等
「保健体育」の研究は総合科学としての性格を持つ。そのため教科や領域を超えた,学際的な教育,研究を進めている。また,教育面については,実際の学校現場に出向いての教育実践場面分析において,事前の学内演習にはじまり,質的,量的分析方法を用いた場面分析の実習等について,全教員による指導体制で臨んでいる点に特徴がある。今後の検討課題としては,体育以外の他の領域からも大学院生を集めることが挙げられる。
「技術」は,大学院修士論文ポスターセッション発表会を,「上越 技術と家庭科教育の会」及び技術同窓会と連携し,公開形式で実施したことが優れた点であり,検討課題は,学部・大学院生の充足率の向上である。
「家庭」では,教員人事について全教員で合議の上,決定するなどして,家庭科全体に関わる教育体制の整備や教育の質保証に努めている。また,2年間の学内研究プロジェクトを全教員で企画・実施しており,それに関連して「教科内容構成「家庭」」の暫定版テキストを作成した。検討課題は教員の充足,及び学部・大学院生数の一層の増員である。
「学校ヘルスケア」では,広報活動の一環としてオフィシャルキャラクター「Gappy」を作成し,パンフレットなどに活用すると共に,大学生の交流によく利用されるSNS「LINE」のクリエーターズ・スタンプに登録した。また,修士論文等発表会では,関係大学教員,近隣学校の現職教員など多くの参加者があり,有意義な意見交換の場となった。
 

 
I 教育実践リーダーコース
J 学校運営リーダーコース
ア 組織
教育実践高度化専攻「教育実践リーダーコース」及び「学校運営リーダーコース」(以下「本専攻」という。)の平成26年度における教員構成は,教授は9人,准教授は8人,特任教授1人,特任准教授3人の計21人である。平成25年度末に金子淳嗣特任准教授が転出し,平成26年度から長沼智之特任准教授が着任した。
本専攻在籍者数は,1年次学生45人,2年次学生66人である。また,本専攻と連携する機会のある学部の「教職デザインコース」の在籍者数は,2年次学生21人,3年次学生12人,4年次学生14人である。
  イ 教育・研究の特色
本専攻は,教育実践リーダーコースに関わる学習指導領域と生徒指導領域,また,学校運営リーダーコースに関わる教育課程・教務系リーダー領域と学年・組織運営系リーダー領域の4つの領域から構成されている。しかし,教員は固定的に一つの領域に所属するのではなく,横断的に所属し,教育を行っている。いずれの領域も,学校現場と連携し,その学校の教育改善を実現する過程で,学生指導を行っている。
本専攻に所属する学生は,中長期の教育実習をコアとしたプロジェクト科目群を中心とした教育を受けている。プロジェクト科目群では,組織的な事前・事後指導はもちろん,教育実習中も組織的な指導を行う。また,年間を通じて,常に実習校と連携をとり,実習が実習校の教育改善につながるような計画立案と改善を継続的に行っている。その中で,学生と学校の課題意識に基づき,チームとしての追求課題を深め,その成果を学校現場に還元する。
  平成21年度より始まった学士課程の教育活動に関しては,専門職学位課程の教育活動と連携を進めている。連携する学校単位で,その成果を発表する場を設けている。さらに,地域に対する発表の場を設けている。このような場を通して,学生・教員集団の相互理解,相互乗り入れを図るのみならず,地域や学校との相互理解,相互乗り入れを発展させ,共有化する工夫を行っている。
  ウ 運営・活動の状況
   @) コース会議等の開催状況
ほぼ毎週に専攻会議を開催し,本専攻の運営に関する重要事項について協議している。さらに,必要に応じて一つのテーマに絞って半日以上を費やす臨時専攻会議を開催している。
 A) 大学院定員充足に関する取組の状況
大学主催の大学院説明会以外に専攻主催の説明会を開き,積極的に大学院定員充足に努めている。
  エ 今後の検討課題等
次年度は本専攻の開設8年目となる。今までの7年間の成果を再検討し,さらなる教育の改善を行わなければならない。また,一層充実した学生の就職支援を行わなければならない。これらが来年度の最重要課題である。
人事については,欠員と昇任人事について,適正な人事配置と均衡のある職階構成が教育・研究環境の整備にとって不可欠であり,その是正と改善が望まれる。