6 附属施設等
(7)特別支援教育実践研究センター
@ 特別支援教育実践研究センター
ア 設置の趣旨(目的)及び組織
特別支援教育実践研究センターは,「特別支援教育における実践的な教育及びその研究の推進を図るとともに,特別支援学校等の教員の研修を行うこと」を設置目的にしており,臨床(教育臨床,教育相談),研究,研修(指導者研修,教材・教具の開発)の3部門5領域の機能を有する。
構成員は,特別支援教育コースの教員全員がセンター兼務教員となっており,齋藤一雄(教授:センター長),我妻敏博(教授),大庭重治(教授),河合 康(教授),土谷良巳(教授),笠原芳隆(准教授),藤井和子(准教授),村中智彦(准教授),八島 猛(講師),小林優子(講師),池田吉史(助教)の11人である。
 イ 運営・活動の状況
臨床活動(教育臨床)では,大学院修士課程特別支援教育コースの「教育臨床実習」及び「応用教育臨床実習」(いずれも8障害すべてに対応)の多くを本センターで実施した。これらの授業では,VTRを始めとする各種教育器機を活用して,センターに来所する障害のある子どもの検査・教育的診断,教育プログラムの作成,指導,評価について,その原理と技術を指導した。また,個々の臨床の都度カンファレンスを実施し,VTR記録等を用いた臨床内容の分析を行い,院生に対して臨床に関する議論の場を提供した。また,本センターにある教材や検査用具,施設設備を活用して,特別支援教育コースの授業である「障害者心理検査法」「特別支援教育研究法」「実践場面分析演習:特別支援教育」のすべてをセンターで実施した他,他の講義科目の一部も実施した。
臨床活動(教育相談)では,保護者や学校等の担当者などを対象に,地域の障害のある子どもの教育診断,発達援助,日常生活の指導・援助について,面接相談や各種検査,継続指導,経過観察を行った。この臨床活動(教育相談)においては,センター教員と特別支援教育コースを中心とする大学院生のチームにより,発達,心理,知覚・認知,運動,コミュニケーション・言語,視覚,聴覚などの検査を実施して総合的な教育診断を行い,障害のある子どもの療育支援,学習支援を実施した。また,障害のある子どもに関わる人々の環境の調整,地域の医療・相談・教育機関との連携にも努めた。
研究活動では,センター兼務教員が行っている研究プロジェクトとして,文部科学省による平成26年度特別支援教育に関する実践研究充実事業(特別支援教育に関する教育課程の編成等についての実践研究)に取り組んだ。十日町市立ふれあいの丘支援学校と連携し,「小学校との交流及び共同学習を核とした市立特別支援学校の連続性・継続性のある教育課程に関する実践研究」をテーマに,共同で行った学校行事の分析,それを支える授業づくり,継続性のある教育課程の編成を行った。他に,科学研究費採択事業7件,学内研究プロジェクト6件を実施した。
また,障害のある子どもの教育実践に関する総合的な研究成果を,「上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要第21巻」において発表した(平成27年3月刊行)。なお,本巻に掲載された論文の電子ファイルを本センターホームページおよび上越教育大学リポジトリに公開した。
さらに,特別支援教育に関する情報の共有と発信を図ることを目的として,特別支援教育実践研究会を設立し,平成26年度は協働研究員5人を新たに採用し,合計24人とした。そして,学校現場や本センターにおける指導実践とその成果を発表する場として,平成26年11月16日(日)に第3回実践研究発表会を開催し,11件のポスター発表を行い,81人が参加者した。
研修活動では,特別支援教育において指導的立場にある現職教員,実践者,研究者,福祉関係施設の指導者を講師として招きセンターセミナーを実施した。センターセミナーは,地域の特別支援教育関係者への専門的知識や内外の最新情報の普及・啓発による地域貢献的役割の他に,特別支援教育コース大学院生に対し,大学院のカリキュラムを超えた幅広い知識や情報の獲得を目的としている。平成26年度は,2回のセミナーを開催し,第87回は筑波大学附属大塚特別支援学校地域支援部長安部博志氏を講師に招き「発達に遅れや偏りがある子どもの本当の気持ち〜教材教具から見えてくる支援のポイントI〜」(平成26年10月18日(土):参加者111人),第88回は岡山大学教育学研究科発達支援学系准教授吉利宗久氏を講師に招き「アメリカ合衆国におけるインクルーシブ教育の動向」(平成26年11月16日(日):参加者86人)の内容で実施した。また,本センターを会場として新潟県教育職員免許法認定講習及び教員免許状更新講習等を開催した。
その他,地域支援・連携活動として,センター兼務教員が行った地域貢献事業(大学プロジェクト)が1件あった。また,新潟県内各特別支援学校評議員,新潟県特別支援学校教職員研修会講師等の活動,及び外部機関に対しセンターが所有する検査用具の貸出を随時行った。
 ウ 優れた点及び今後の検討課題等
当センターで行っている臨床活動は教育活動とも密接に関わっており,これにより特別支援教育コースの大学院生の実践的指導力を培うことに直結している。具体的には教育相談のため来所する子どもたちの指導原理,技術を教員の指導のもとで習得することができる。
研究活動においては,文部科学省による平成26年度特別支援教育に関する実践研究充実事業(特別支援教育に関する教育課程の編成等についての実践研究)に十日町市立ふれあいの丘支援学校と連携して取り組み,「小学校との交流及び共同学習を核とした市立特別支援学校の連続性・継続性のある教育課程に関する実践研究」をテーマに,共同で行った学校行事の分析,それを支える授業づくり,継続性のある教育課程の編成について実践研究を行っている。また,教育相談によって得られた成果を国内外に発表している。
研修活動では,新潟県内における特別支援教育の専門機関として最新の知見を提供する役割を果たしている。今年度は昨年度に引き続き特別支援教育実践研究会第3回実践研究発表会を開催し,地域における情報交換・情報提供の場を提供する取り組みを実施した。
今後も先述した諸活動をさらに発展させ,近隣の教育・行政・福祉等の関連機関との連携を充実させていくことが課題である。
A 運営委員会
 ア 設置の趣旨(目的)及び組織
 @) 組織設置の趣旨(目的)
特別支援教育実践研究センター運営委員会では,1)特別支援教育実践研究センターの運営に関する事項,2)特別支援教育における教育実践の在り方の研究及び具体的指導技術の開発に関する事項,3)特別支援教育における教育実践の企画及び運営に関する事項,4)学生の実践指導に関する事項,5)その他特別支援教育実践研究センター長が必要と認めた事項を審議する。
 A) 組織の構成及び構成員等
平成26年度特別支援教育実践研究センター運営委員会構成員は,センター兼務教員11人及び心理教育相談室長である。
 イ 運営・活動の状況
 @) 委員会等の開催状況
特別支援教育実践研究センター運営委員会を2回開催し,第1回を平成26年5月21日(水),第2回を平成26年12月19日(金)に開催した。
 A) 審議された主な事項
第1回運営委員会では,平成25年度事業報告,同決算報告,平成26年度事業計画,同予算計画,平成26年度紀要編集委員の選出および編集幹事の委嘱について協議した。また,第2回運営委員会では,平成27年度予算要求・要望,平成26・27年度施設等に関する改善・改修について協議した。また,特別支援教育実践研究会第3回実践研究発表会と第87回・第88回センターセミナーについて報告があった。
 B) 重点的に取り組んだ課題や改善事項及び前年度の検討課題への取組状況等
前年度より検討されていた特別支援教育実践研究センターと地域の関係諸機関との協働的課題解決システムの構築や大学のセンター的機能を確立するための将来構想の策定について重点的に取り組んだ。また,臨床・教育・研究・研修活動の拡充に必要な施設・設備の改善についても取り組んだ。