６　附属施設等

（10）附属小学校

ア　設置の趣旨（目的）及び組織

�@）　教員養成系大学の附属小学校として，公立学校と同じく，文部科学省の定める学習指導要領に則って義務教育を行う。

�A）　上越教育大学の改革構想を踏まえ，教育の新しい理論や方法について大学と連携して実証的な研究を行う。

�B）　上越教育大学の学生及び大学院生の教育実習を指導し，次代を担う教育者の育成に努める。

�C）　本校の主体的立場から研究主題を設定して，教育活動に関する各種の研究を行い，地域の教育現場にその成果を提供する。

�D）　教育誌「教育創造」を発刊し，本校教員をはじめ県内外の教員の研究発表の場とする。

�E）　附属小学校職員は，校長，副校長，教頭，主幹教諭，指導教諭，教諭13人，養護教諭，栄養教諭，特別支援教育講師，講師により構成される。

�F）　教育目標「生き生きとした子ども」

イ　運営・活動の状況

�@）　子どもの学びに着眼した教育課程開発の推進

生き生きとした子どもの学びの姿をとらえ，以下の取組等により，自分らしい生き方をつくる子どもをはぐくむ教育課程開発を進めた。

ａ　教員一人一人が「子どもはどのように意味をつくるのか」という視点から教育実践を積み重ね，その取組状況を実践レポートに整理した。

ｂ　組織的，計画的に授業研究を実施し，外部評価を取り入れながら，実践者の考えを多様な観点から検討し，評価を行った。

ｃ　大学教員には共同研究者として，理論面での整理の仕方，授業展開の在り方等について指導を受け，教育課程の評価・改善を行った。

ｄ　子どもの日々の記録，調査活動のまとめ，作文，作品等を分析・集積しながらその変容をとらえ，継続的な指導に生かした。

ｅ　平成26年６月27日，28日に研究会を開催し，研究の一端を広く学校関係者に紹介するとともに，様々な意見や考えをもとに研究の深化を図った。

�A）　共通理解に基づく生徒指導体制の確立と保護者との協力体制づくり

子どもの姿を見つめ，その実態をとらえながら，機を逸しないように支援・指導していくことが生徒指導の基本であるとの認識に立って，情報交換を密にし全校体制で取り組んだ。とりわけ，未然防止的な指導に力を入れ，早めの情報収集と意見交換を行った。

ａ　「みんなで楽しみをつくろうとする子ども」をめざし，異学年交流活動の充実を図った。また，気になる子どもへの支援を充実するため，定期的な支援会議を開き，児童理解に努めた。

ｂ　子ども一人一人の結び付きを深めさせるために，縦割班による清掃活動，集会活動，サークル活動，行事の運営などの充実に取り組んだ。

ｃ　保護者との連携協力を推進するため，学年・学級懇談会や個別懇談の機会を生かしながら，保護者の課題意識を引き出し，学校全体の意見や考えとして教育力の向上に努めた。

�B）　体験的な活動にかかわる家庭や地域の人々への協力依頼

子どもは体験を通して様々な人・もの・ことと出会い，自らの学びをつくりひろげながら，学ぶ喜びを実感した。こうした体験を中核にした教育活動を展開するために，次のことに取り組んだ。

ａ　年度当初に各学級担任が年間の活動の流れ，対象への具体的なかかわり方を提示し，保護者と協働して活動に取り組んだ。

ｂ　関係諸施設への訪問等，地域の施設やサークルに依頼し，子どもの活動が広がる仕組みを整えた。

ｃ　PTAが主催する体験事業を例年のように計画し，親子環境整備活動等により保護者との連携を密にした。

�C）　海外の学生の受入れ

平成27年２月10日に台湾の国立嘉義大学附属小学校の校長・英語教員・ALTの学校訪問を受け入れた。また，３月４日に本学海外協定に伴う留学生と大使館推薦の留学生８人の学校参観を実施した。日本の教育現場での参観・体験等を通し，日本の教育の理解を深め，相互交流としての児童生徒への教育に役立てることを目的として授業実践の場を提供した。

�D）　教育誌「教育創造」の発行

「はじめに子どもありき」を特集テーマにし，大学教員の論文，附属小学校の主張や実践例，県内はもとより広く全国の小・中学校の実践等をもとにして編集・発行した。

�E）　学校評議員会の開催

学校評議員会を，平成26年６月４日及び平成27年３月５日に開催し，附属小学校における教育研究の現状や教育環境等について報告した。主に次の事項について意見交換及び提言等をいただくことができた。

ａ　地域行事との児童の関わりや学校との関わりについて

ｂ　特別支援教育について

ｃ　児童クラブ設置について

ｄ　学校評価アンケートの結果について

ｅ　本学附属小学校の研究成果の波及効果及び教育実習の役割について

ウ　優れた点及び今後の検討課題等

�@）　教育課程開発にかかわる優れた点及び課題

各担任が作成する「年間活動計画」による実践が確実に実施され，実践を通して教育課程の改善が継続的に行われている。今後も単元開発を継続し，特色ある教育課程編成やその改善に努めていく。

�A）　生徒指導体制の確立にかかわる優れた点及び課題

いじめや心に悩みをかかえた子どもの早期発見のために，電話や連絡帳を中心に保護者との情報交換を行い，連携した取組を進めた。また，「生活アンケート」を実施したり，定期的に子どもに関する情報交換の機会を設定したりして，職員の共通理解を図って対応するよう努めた。特別支援教育の校内委員会も定期的に開催した。今後は，気になる子どもに対する継続的指導の体制，校内委員会の附属幼稚園・中学校との連携を確立させることが課題である。

�B）　危機管理（家庭，地域との連携強化等）にかかわる優れた点及び課題

保護者や家庭のボランティアにより，毎月10日の「安全の日」を中心に地域の通学路の安全点検を行った。また，緊急時の一斉配信メールや学校ホームページへの連絡表示等の再点検を行い，迅速で確実な連絡体制を整えた。また近年食物アレルギー（アナフィラキシーショック）による事故が問題となっていることから，専門医を講師に招聘し，食物アレルギー対応研修を実施した。

今後も，子どもの安全を守る体制のより一層の充実と意識の高揚を図っていくことが課題である。

�C）　定員充足にむけた取組の優れた点及び課題

ここ数年，新１年生の入学希望者が増加傾向にある。これは，学校説明会の開催を始めとした学校紹介パンフレット，市内幼稚園・保育園への広報活動の成果である。附属小学校の教育活動のよさが，保護者に伝わり，理解されている。（平成24年度から学年進行により１年生から順次学年定員を70人に変更した。本年度は，３年次目にあたり，１〜３年生が各70人定員，４年生以上が各80人定員となった。平成29年度には学年進行が完了し，各学年定員70人，全児童数は，420人になる。）