自己点検・評価の対象期間: 平成26年 04月 01日 〜 平成27年 03月 31日
 
高橋 靖子
(准教授)
 
<教育活動>
 
授  業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
「心理学概論」では,評価を明確にしてほしいとの学生の声にこたえ,小テストを3回導入した。また,ワークショップや簡単な実験を取り入れ,自己理解,他者理解が促進されるように配慮した。授業中のアンケートでも「楽しく取り組める」とおおむね好評だった。
「学校カウンセリング演習」では,毎回資料や映像を準備し,ロールプレイや提出レポートに対する指導やコメントを丁寧に行った。免P生が教育実習や修論のフィールド調査などで不規則に休むことが多く,一昨年度からの学校心理士のカリキュラム改正に伴い演習内容の後半に事例検討を付け加えたこともあわせて,技法習得のスケジュールが過密とならないように,進行速度に配慮した。
「臨床心理面接特論U」については,昨年度より授業資料をバージョンアップさせて臨んだ。小集団での話し合いを取り入れたところ,参加度の向上による適度な緊張感が生まれた。
 
【観点2】教育の達成状況
今年度でゼミ開始4年目となり,修了生2名,卒業生2名を送り出した。心身の不調を乗り越えて卒業・修了できた学生もいる一方で進路変更した学生も存在し,指導のやりがいと同時に難しさを感じた。何名かの修了・卒業生は,公務員の職に就く予定である。
 
研究指導
【観点1】学部
前期では心理学研究論文の書き方・読み方に関する書籍を輪読することで理解を深めた。後期は実際に関心のあるテーマに関する論文を統合的・批判的読みを行い自身の問題意識を明確にできるように指導を行った。卒業論文では適当な文献を随時紹介し,仮説の設定やデータの収集先の紹介,またデータの解析について指導を行った。
 
【観点2】大学院
心理学に関する研究の未経験者が多かったため,文章の書き方にはじまり,研究計画の立て方,調査対象者の紹介,予備調査の実施,分析方法,倫理的配慮などについて丁寧に指導を行い,市役所や保育園といった調査協力先への依頼および報告会に同行した。
 
その他の教育活動
・ 保育実習において指導担当である学生1名の記録点検・指導を行った。
・ 臨床心理学コース修士2年生の学年担任として,修士論文公開発表会などの窓口業務を担当した。
・ 放送大学長野学習センターの平成26年度非常勤講師「臨床心理演習(15コマ集中講義・受講生24名)」を担当した。
 
特色ある点及び今後の検討課題等
ゼミの運営について,修士入学以前における心理学に関する知識の習得レベルの差が大きく,年齢や経験にばらつきがあることから,どのような要求水準を設定して一斉指導を行うか苦心した。ときには個別指導を取り入れ信頼関係を築きながら,緊張感を持って指導にあたった。
 
 
<研究活動>
 
研究成果の発表状況
著】(1)平成27年3月:『心理臨床における他職種との連携と協働』(共著),岩崎学術出版社,pp.75-88
論】(1)平成27年3月:母親の内的ワーキングモデルの変容に関する研究の概観,上越教育大学研究紀要, 34巻,pp.139-149
(2)平成27年3月:イラショナル・ビリーフが社交不安傾向に与える影響,上越教育大学心理教育相談研究,14巻,pp.19-29
(3)平成27年2月:母親の内的ワーキングモデルが抑うつや子どもへの愛情に与える影響――Adult Attachment Interviewによる縦断研究――(名古屋大学学位論文)
(4)平成26年5月:乳児の気質と母親の育児不安との関連:妊娠時の愛着表象を防御因子として,小児保健研究,73(3),pp.429-436
 
共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)発達障害を持つ子どもの母親の就学期における感情プロセスの理解とその支援,代表者:高橋靖子,科学研究費補助金基盤(C)
(2)「保育現場で求められる共感性」の多次元的把握とその育成プログラムの提案,代表者:木野和代(宮城学院女子大学),科学研究費補助金基盤(C)
 
学会活動への参加状況
(1)平成27年3月1日:新潟県臨床心理士会平成26年度第3回定例研修会(新潟市)出席,
(2)平成26年11月22日:名古屋大学教育学部シンポジウム「発達における初期経験の役割と発達の病理」(名古屋市)出席
 
◎特色・強調点等
今年度は博士論文の執筆に集中した一年であった。研究ツールである半構造化面接の資格認定に2年間費やし,縦断共同調査を8年実施してようやく一つの形に結実させた。今後は,発達早期の親子関係にとどまらず就学前後の時期における子ども・家族支援までテーマを広げ,国内外での研究活動を積極的に行っていきたい。
 
 
<社会との連携>
 
◎社会への寄与等
心理教育相談室での相談員としての活動を通じて,地域に心理援助サービスを還元している。今年度は心理教育相談室発行の紀要である「心理教育相談研究(第14巻)」の編集作業を担当した。