平成26年度年次報告書

自己点検・評価の対象期間：平成26年 04月 01日～平成27年 03月 31日

谷　友和 （講師)

＜教育活動＞

授業

　　【観点１】教育方法及び成績評価面での取り組み

理科における考える力や問題解決能力を身に着けさせるため、受講者に課題を与え、考えてもらう作業を重視している。また、シラバスを参考にして事前学習を行うことを推奨している。成績評価に関しては、テストまたはレポートを課しているが、講義で説明したことをベースに、受講者が事後学習を行うことにより、答えを導出できるような問題や課題となるように心がけている。授業の到達目標や成績評価の方法についてはシラバスに記載している。　

　　【観点２】教育の達成状況

学生の多くは卒業後の進路として教員を志望している。講義においては、将来教員になった時に必要な知識をつけてもらえるように、基礎学習事項の確認や、要点の整理を行うことを心がけている。このような取り組みを続けることで、より多くの教員を輩出できると考えている。　

研究指導

　　【観点１】学部

直面した課題を解決する能力や未知の問題に対して仮説を立てる能力等は、理科のみならず、どの教科の指導においても必要である。卒業研究に取り組む上で、なるべく学生本人に思考錯誤をさせ、実践的な問題解決能力や仮説設定能力を身につけてもらうように努めている。また、野外での調査や作業を通じて、野外観察指導の実践力を高める取り組みをしている。　

　　【観点２】大学院（修士課程、専門職学位課程、博士課程）

理科とは物事の因果関係を明らかにする学問であること、研究の推進においては、仮説検証の手続きが基本となることをより深く理解してもらうため、研究計画を自身で立案してもらい、それに対して教員がアドバイスをすることを心がけている。研究課題を進める上でも、学生の自主性を尊重するようにしている。また、文献講読を通じて、科学の国際性や継承性についても理解を促している。　

◎ 特色ある点及び今後の検討課題等

野外での植物観察や理科実験に苦手意識を持つ小・中学校教員は少なくない。そのため、校舎の周辺での植物観察や、小・中学校の授業で扱われている教材を使った実験をなるべく多く行うようにしている。理科への苦手意識はなかなか払拭できるものではない。また、問題解決能力が身に付いていない学生も多い。今後は、アクティブラーニング等を通じて、学生が理科に好奇心を見出し、苦手意識を緩和するような教育方法を模索したい。

＜研究活動＞

研究成果の発表状況

論】(1)　平成27年 03月：落葉広葉樹林における大型林床植物の成長戦略,植物・地理分類研究,The Journal of Phytogeography and Taxonomy,62巻,2号, pp.71-81
(2)　平成26年 12月：山中での積雪深モニタリングの試み,只見町ブナセンター紀要,Nature of Tadami, Bulletin of the Tadami Beech Center,3号, pp.23-28

発】(1)　平成27年 03月 23日：レーザーを利用した草本類植物の道管液流速の測定,日本物理学会第70回年次大会,
(2)　平成26年 09月 28日： CST養成のための思考過程を重視した課題解決体験型授業の試み,日本理科教育学会北海道支部大会,
(3)　平成26年 05月 31日：植物地理・分類学会奨励賞受賞講演：落葉広葉樹林における大型林床植物の成長戦略,植物地理・分類学会2014年度大会,
(4)　平成26年 05月 31日：植物地理・分類学会奨励賞受賞講演：落葉広葉樹林における大型林床植物の成長戦略,植物地理・分類学会2014年度大会,

共同研究（幼、小、中、高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む）の実施状況

(1)草本植物の道管液の流速計測研究を通したＣＳＴ養成プログラムの開発,代表者：長谷川敦司,(北海道医療大学)

学会活動への参加状況

(1)　平成26年 05月 31日：～平成26年 06月 01日：植物地理・分類学会・2014年度大会,

国内外の学術賞の受賞状況

(1)　平成26年 05月：植物地理・分類学会奨励賞(植物地理・分類学会),

◎特色・強調点等

北日本の多雪地域に特有の日本海要素植物の生態研究を行っている。中でも、北日本で個体サイズが大型する草本植物の成長メカニズムを主要な研究対象としている。積雪の多い上越地域はこのような研究の適所と言え、雪と植物の関係を題材にした、地域密着型の理科教材研究についても行っていきたい。研究の一環として上越地域の多地点にロガー付き温度計を設置しており、各地の気温や積雪期間のデータを集積している。このようなデータは地域の生活情報として還元できると考えている。

＜社会との連携＞

社会的活動状況

(1)　平成26年 09月 06日：～平成26年 09月 06日：平成26年度上越教育大学公開講座　理科野外観察指導実習J　（自然の見方）(上越教育大学)

(2)　平成26年 08月 25日：～平成26年 08月 26日：平成26年度上越教育大学公開講座　理科野外観察指導実習E　（身近な植物）(上越教育大学)

◎社会への寄与等

上越教育大学公開講座の講師を務め、上越地域の植物の分類や生態について、また身近な自然の見方について、市民の方、および現職教員に概説し、上越地域の自然環境について学ぶ機会を提供できた。また、日本海要素植物の生態に関する研究成果の一端を紹介する機会を得ることができた。受講者の方には、上越地域の自然の特色について一定の理解をしていただけたものと認識している。