自己点検・評価の対象期間: 平成27年 04月 01日 〜 平成28年 03月 31日
 
森口 佑介
(准教授)
 
<教育活動>
 
 授業
 【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
学部の講義は、人数が極めて多いため、学生が主体的に授業に参加できるための工夫をした。具体的には,子どものビデオを用いたり,授業内容に関わる実験を考えさせたり、リアクションペーパーを導入して学生の意見を取り入れるなどして、能動的に学習に取り組ませることを重視した。大学院の講義では、学生同士に議論をさせ,受講生自ら授業を創りだすような構成をした。これらにより、発達心理学に対する興味・意欲は高まったと考えている。成績評価では、出席やレポート、授業中の発言やアンケートの結果などを含めて総合的に成績を判断した。
 
 【観点2】教育の達成状況
講義形式では、レポートの内容を読む限り、主体的に内容を深め、理解したことが示唆されている。ゼミ所属の学生や講義を受講した学生には,愛着に問題を抱える子どもや発達障害の子どもたちについての知識や関わり方を伝達した。また、論理的な思考方法などを育成するように努めた。ゼミ指導の学生は教員を志望しており、教員として必要な知識やスキルを身に付けさせたことができたと考える。
 

 研究指導
 【観点1】学部
授業において,子どもたちの世界や他者に対する認識に関する知識を伝達し,それを踏まえた上での研究指導を実施した。これらを通じて、臨床的な実践力の基礎となる論理的思考能力や批判的精神を指導した。
 
 【観点2】大学院(修士課程,専門職学位課程,博士課程)
教員志望の大学院生を指導したが、学校教育に必要な臨床的な実践力である子どもの能力、対人関係、家庭環境を推測する力に加えて、子どもに関する理論的な見識や思考を指導した。研究指導の中で、創造性や思考力などの、現場にも必要であり、研究にも必要な、基礎的な力も養成した。 
 

 ◎特色ある点及び今後の検討課題等
特色は、教育現場で必要な実践力だけではなく、その基底にある論理的思考力などの教育に力を入れた点である。
 
 

<研究活動>
 
 研究成果の発表状況
  著】(1)平成27年9月:発達脳科学の基礎知識:幼児期から児童期.榊原洋一・米田英嗣(編)発達科学ハンドブック第8巻:脳の発達科学.東京:新曜社.(分担執筆)
  論】(1)平成27年6月:Teaching others rule-use improves executive function and prefrontal activations in young children.Front. Psychol. 6:894. doi: 10.3389/fpsyg.2015.00894
    (2)平成27年7月:実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援.心理学評論, 58, 77-88(単著)
    (3)平成27年12月:Agent Perception in Children with and Without Imaginary Companions.Infant and Child Development. DOI: 10.1002/icd.1953
  発】(1) 平成27年9月:日本心理学会学術集会 シンポジウム「ベイズと認知発達入門」を開催
    (2) 平成27年10月:日本新生児生育医学会学術集会 合同シンポジウムにて「発達科学における新しい乳幼児観」招待講演
 

 共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
  (1)挑戦的萌芽研究 代表者:高橋英之(大阪大学助教) 科学研究費補助金
  (2)国立教育政策研究所プロジェクト研究  代表者:遠藤利彦
 

 国際研究プロジェクトへの参加状況
  (1)国際心理学会議プログラム委員,代表者:松沢哲郎,(京都大学)
 

 学会活動への参加状況
  (1)6月26日〜28日:日本赤ちゃん学会出席
  (2)9月21日〜25日:日本心理学会出席 
 

 外国における研究の状況
  (1)タイ国マヒドン大学に招待されて、子どもの実行機能の発達に関する招待講演を実施した。  
 

 ◎特色・強調点等
本年の研究の特徴は、実行機能の研究を現場などにいかに活かすかについて腐心した。また、外国との共同研究や交流を進めており、特に今回タイに招かれ、現地の子どもの実行機能を改善する方法について共同研究を実施し始めた。
 
 

<社会との連携>
 
 社会的活動状況
  (1)国立教育政策研究所プロジェクト研究研究分担者
  (2)国際学術誌「Frontier in Psychology」誌の共同編集者
  (3)「発達心理学研究」「Japanese Psychological Research」「Child Development」等の学術誌の応募論文の査読
  (4)文部科学省科学技術政策研究所科学技術動向研究センター専門調査員
 

 ◎社会への寄与等
  NHKなどの取材を受け、子育ての悩みなどについて研究が寄与できる点を解説した。