自己点検・評価の対象期間: 平成27年 04月 01日 〜 平成28年 03月 31日
 
五十嵐 透子
(教授)
 
<教育活動>
 
 授業
 【観点1】教育方法及び成績評価面での取り組み
多様な学生に対し,事前の準備を整えるためにシラバスでの講義内容の明記の上で,講義開始時および講義期間中に受講生とのデスカッションで取り上げられたテーマを追加し,さらに学びを深める方法を用いた。加えて,大学院では,理論を学ぶとともに,体験を通した理解を深め「知識」となること,自らの研修に対し率直に向き合いふりかえり,それを他者とオープンに共有する機会と時間,そしてもっとも重要な信頼関係の構築に努めた。成績評価は,透明性を高める責任から達成目標などに基づき行った。
 
 【観点2】教育の達成状況
進学,公務員や企業への就職ならびに現職教員の教育現場への復帰と,在学中に各学生が自分の特性や興味関心,強さなどの明確化を行い,これらを活かせる職業選択を行っており,十分な教育効果が得られていると判断できる。
 

 研究指導
 【観点1】学部
  臨床心理学コースとして,教育学に加え,心理学および臨床心理学の理論や実践に関する理解を深めている。加えて,セミナーでの自由な発言と自分の意見の共有体験を通して“主体的”学びを高めるようグループ力動を活用して体験を通した学びを深めている。その結果,積極性が高まり,苦手としていたことへの学びを深め,さまざまなことを探求することに楽しさと論理性をもって取り組むようになった。
 
 【観点2】大学院
臨床心理士養成における“科学者―実践家モデル”を基に,論理的な思考と実践,自らの感情,思考,感覚,行動などへの自己理解,グループ内での信頼県警の構築とサポートの互恵性の高まりなど,実体験を通し,より専門性の高い実践家養成を行っている。附属心理教育相談室での臨床研修および学外でのさまざまな地域精神保健福祉活動の場での体験も行えるようにしている。加えて,セミナーでの独自性を持つ研究の進め方を習得するとともに,論理性のある考え方の習得につながっている。
 

 その他の教育活動
・金沢大学大学院医学系研究科 非常勤講師
・愛知県立大学大学院 非常勤講師
・新潟看護大学大学院 非常勤講師
・北里大学保健衛生専門学院 保健看護科 非常勤講師
 

 ◎特色ある点及び今後の検討課題等
・医療領域におけるさまざまなヘルスケア・ワーカーのアドバンス教育として,臨床心理学および健康心理学の理論や実践を教授し,対人援助場面でのより質の高い実践につながる教育を行っている。加えて,バイオ・サイコ・ソーシャル・モデルとシステム論をとりいれ,チーム医療の現状と課題を含め検討をし,各受講生の臨床活動で役立つ内容の教育を行っている。
・ストレスの適切な理解とさまざまなストレス・マネジメント法の演習を通し,プライベートと専門家としての生活における自身のストレス・マネジメントと援助への活用について理解を深め実践につながる体験を提供している。また,ストレス・マネジメントに関し,自己理解や対人関係に関する理解を深め,多角的な理解と対応の内容となっている。
・対人援助職として,より質を高めることは対象となる人々と理解し合うことであることを整理し,その上で,自身のあり方やコミュニケーション・スタイル,自己防衛のスタイルなどへの理解を深め,受講生間でのオープン・デスカッションでさまざまな体験と課題の共有からの学びを促している。
・チームでの活動が不可欠な看護者にとって基本となる“グループ”に対する適切な理解と,グループ・ワークの実施を行い,システムでのさまざまな力動への理解を深めるとともに,より効果的なチームでの活動のあり方を探求する内容としている。
 
 

<研究活動>
 
 研究成果の発表状況
  論】(1)平成27年05月:『ためこみ傾向を有する日本の青年の臨床的特徴』(共著)不安症研究, 6, 72-85
    (2)平成28年03月:『高等学校における教師のチームワークの検討―』(共著)上越教育大学心理教育相談研究,15, 13-23
  発】(1)平成27年09月:シンポジウム『青年期の感謝と甘えおよび幸福感の関連』(共著)第34回日本心理臨床学会大会
    (2)平成27年09月:ポスター発表『青年期の対人不安傾向と関連要因の検討―自己分化度と本来感および随伴性自尊感情の観点から―』(共著)第34回日本心理臨床学会大会
 

 共同研究(幼、小、中、高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
  (1) ホーディングの尺度開発,代表者:土屋垣内 晶,(大阪大学大学院)
  (2) 現代的学校教育問題へ効果的な対応が可能な臨床心理士の養成研究,代表者:葛西真記子(鳴門教育大学)
  (3) 「持続可能な社会を創造し,自己を確立できる生徒」を育てる教育課程の研究開発,上越教育大学附属中学校:研究主任 濁川 朋也
  (4) 成人期の感謝研究
 

 学会活動への参加状況
  (1)平成27年 09月 18日: 〜 平成27年 09月 20日: 日本心理臨床学会 第34回秋季大会 シンポジウム,ポスター発表
  (2)平成27年 09月 22日: 〜 平成27年 09月 23日: 日本心理学会 第79回大会出席
  (3)平成27年 10月 03日: 〜 平成27年 10月 04日: 日本認知・行動療法学会 第41回大会出席 シンポジスト,シンポジスト司会
  (4)平成28年 02月 06日: 〜 平成28年 02月 07日: 日本不安症学会 第8回学術大会出席
  (5)平成28年 03月 19日: 〜 平成28年 03月 20日: GID(性同一性障害)学会 第18回研究大会・総会出席
  (6)平成27年 01月 01日: 〜 平成28年 03月 31日: 日本心理臨床学会「心理臨床学研究」編集委員会編集委員
 
 

<社会との連携>
 
 社会的活動状況
  (1) 平成27年07月05日: 〜 平成27年07月05日:講師(日本精神科看護協会 新潟県支部)【こころの日】記念講演 “リラクセーションの実際”−誰にでもできるリラクセーションー
  (2) 平成27年07月05日: 〜 平成27年08月10日:講師 平成27年度 教員免許状更新講習 “こころ”と“からだ”の健康
  (3) 平成27年08月10日: 〜 平成27年09月01日:講師 新潟県看護協会 新潟県看護研修センター 自分を知ろう!明日につなげるコミュニケーション
  (4) 平成27年08月18日: 〜 平成27年08月19日:講師 常心会川室記念病院 研修会 ストレスの適切な理解と効果的な対応2:考え方の柔軟体操入門と自律訓練法
  (5) 平成27年08月29日: 〜 平成27年08月29日:講師 新潟県厚生連看護教育研修U「新人研修」 明日へのチャレンジ! stress management ―コミュニケーション―
  (6) 平成27年09月02日: 〜 平成27年09月02日:講師 新潟県&新潟県看護教員の会 専門職業人としての人間的成熟
  (7) 平成27年09月30日: 〜 平成27年09月30日:講師 広島国際大学実践臨床心理学専攻事例検討会
  (8) 平成27年10月01日: 〜 平成27年10月01日:講師 広島国際大学実践臨床心理学専攻FD研修会 Clinical Supervision
  (9) 平成27年11月25日: 〜 平成27年11月25日:講師 新潟県立柏崎翔洋中等教育学校 保健講座 後期課程5年生 高校生とメンタルヘルス
  (10)平成28年01月06日: 〜 平成28年01月06日:講師 新潟県上越市立教育センター 平成27年度カウンセリング力向上講座 教育相談における効果的な聴き手:相談者のあり方と対応
  (11) 平成28年02月04日: 〜 平成28年02月04日:講師 日本精神科看護協会新潟支部 神経発達症の理解と支援
  (12) 平成28年02月24日: 〜 平成28年02月24日:講師 糸魚川地域振興局健康福祉部 職場のメンタルヘルス基礎講座: 職場復帰支援での留意点
  (13) 平成27年04月01日: 〜 平成28年03月31日:コンサルタント(上越市国際交流協会)
  (14) 平成27年04月01日: 〜 平成28年03月31日:コンサルタント(NPOマミーズネット)
  (15) 平成27年04月01日: 〜 平成28年03月31日:カウンセラー(新潟県立高田高等学校)
  (16) 平成27年04月01日: 〜 平成28年03月31日:臨床心理士(上越地域若者サポート・ステーション)
  (17) 平成27年04月01日: 〜 平成28年03月31日:臨床心理士(医療法人 常心会川室記念病院)
  (18) 平成27年04月01日: 〜 平成28年03月31日:委員(上越市若者自立支援ネットワーク会議)
  (19) 平成27年08月01日: 〜 平成27年11月30日:査読者(兵庫教育大学連合大学院)
  (20) 平成27年05月15日: 〜 平成27年06月24日:コメンテーター(読売テレビ ミヤネ屋 出演『ごみ屋敷』)
 

 ◎社会への寄与等
   地域における乳幼児から高齢者への支援を行う地域精神保健福祉活動は,「教育機関」「医療機関」「施設」「NPO法人」などさまざまな組織で行われており,そこで働く人々への教育および精神的健康の維持増進は不可欠である。臨床心理士として,さまざまな職種と協働関係のなかで心理療法を行うことはもとより,専門的知識とスキル,テクニックを個人や対人援助職の専門家とともに学び提供するケアや支援,援助の質の向上のサポートを行っている。特に「対人関係」の調整は,組織としての機能だけでなく個人の精神的健康にももっとも強く影響をおよぼすもので,第3者としての立場からこれらの調整を行っている。チーム活動のより円滑な体制化と援助者への支援を強調している。