自己点検・評価の対象期間:
平成27年
04月
01日
~
平成28年
03月
31日
渡部 洋一郎
(准教授)
<教育活動>
授業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取り組み
2015年度は、物語文法の理論研究を踏まえ、エピソード間の意味的な関係性からテクストを読み解くことが作品理解にどのような影響をもたらすのかを実地に確認することに比重を置いた。小学校における326の文学作品分析を行った結果、3割ほどの教材は物語文法に基づく読みの視点を導入することで、学習者の理解が飛躍的に改善し、構造に関する高い効果が得られることなどが分かった。こうした成果を講義や演習の中に取り入れ、受講生の興味を増すことができたことに加え、こうした新しい取り組みを大学院生がアレンジして自分なりに工夫してみようとする姿が見られたことは評価されよう。
成績の評価については、特に、上述した受講生のアレンジや新しい解釈の提示などを加味して、評価するように努め、課題に対する小レポート等も毎回コメントを付して新しい気づきが得られるような工夫を施した。
【観点2】教育の達成状況
学部4年生のゼミ生3名は、いずれも出身県の教員採用試験に合格することができ(新潟県小学校教諭2名・静岡県小学校教諭1名)、大学院2年のゼミ生は修士論文の成果を国語科教育の学会において発表することができた。
以上の点から、教員採用試験の合格率、大学院の研究成果の発表等において、高い教育成果を得ることができたと考える。
研究指導
【観点1】学部
2015年度の卒業論文研究テーマは以下の通りである。「小学校低学年・中学年における音読・朗読指導の研究」、「小学校国語科教育における読書指導の可能性」、「文学的文章教材の全体把握と理解に関する研究ー低・中学年における対比解釈を中心とした指導ー」。3つの研究はすべて小学校の臨床場面を対象にし、文献研究に基づく新たな教材解釈や実際の授業展開の構築など、いずれも実践的な内容となっている。論文の試験審査においても高い評価を得ることができた点などから、一定の水準を超えることができたものと考える。加えて、教育実習における事前・事後指導を通して学習指導案の作成方法、効果的な授業展開のあり方なども時間を取って指導することも他の年に増して行うことができた。
【観点2】大学院(修士課程、専門職学位課程、博士課程)
2015年度は、修士課程3名の院生指導(うち現職派遣2名)を行った。修士課程1年生は、文献読解の方法や論文構成のあり方など、基礎的な研究方法の理解が十全となるよう心掛けた。また、修士課程2年生は、物語文法の文学作品への適用と学習者のテクスト理解の向上を主題とし、修士論文の研究を行った。300を超える作品分析と授業展開への応用は学会においても高く評価され、その内容を学会誌に投稿するという成果に結びつけることができた。
その他の教育活動
- 上越教育大学学校図書館司書教諭講習会講師「学習指導と学校図書館」
- 上越教育大学学校図書館司書教諭講習会講師「読書と豊かな人間性」
- 長岡看護福祉専門学校非常勤講師「論理学」
- 上越教育大学附属小学校研究協議会研究協力者
- 教員免許状更新講習会講師「中学校国語科における学習指導の実際と課題」(上越会場)
- 教員免許状更新講習会講師「小学校国語科における文学教材解釈の実際」(長岡会場)
-
平成27年
04月
01日:
~
平成27年
06月
30日:
上越教育大学附属小学校研究協力者(上越教育大学附属小学校)
◎
特色ある点及び今後の検討課題等
- 活動全般を通して,特筆すべき点としては,本学における文部科学省委託事業「学校図書館司書教諭講習会」担当講師(2科目)、長岡看護福祉専門学校非常勤講師(論理学)として,継続的な担当を今後も求められていることや,長岡看護福祉専門学校市での入学試験に関する業務を実施していることなどが挙げられる。また,教員免許状更新講習会における小学校教員に対する講習や中学校国語科教員に対する実習を複数回実施できた点も例年同様の取り組みとして挙げられよう。また、これまで継続的に行なってきた附属小学校との共同研究は、今年度、新たに糸魚川小学校における課題研究ともリンクすることができ、一定の成果を上げることに結びついた。今後はより共同研究の規模を拡大し、こうした取り組みで出された成果を,現場の教室場面に還元していくことを考えたい。
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)
平成28年
03月:
Toulmin Model : 構成要素をめぐる問題と連接のレイアウト,読書科学 = The Science of reading,読書科学 = The Science of reading,58巻,1号,
pp.1-16
(2)
平成28年
02月:
Toulmin Model における可能性と不確実性の概念ー説明・議論・推測の狭間ー,上越教育大学国語研究,30巻,
pp.1-11
(3)
平成27年
12月:
授業の導入部における要約指導の効果,教育科学国語教育,57巻,12号,
pp.9-13
(4)
平成27年
06月:
模倣と学力,東京書籍E-Net
業】(1)
平成27年
08月:
国語科重要用語事典(単著),明治図書出版株式会社
他】(1)
平成27年
08月
07日:
~
平成27年
08月
07日:
小学校における文学教材解釈の実際(上越教育大学)
(2)
平成27年
08月
04日:
~
平成27年
08月
04日:
中学校国語科における学習指導の実際と課題(上越教育大学)
共同研究(幼、小、中、高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
(1)小学校高学年児童の日本語運用能力,代表者:渡部洋一郎,(上越教育大学)
学会活動への参加状況
(1)
平成28年
02月
20日:
~
平成28年
02月
20日:
上越教育大学国語教育学会第70回例会出席
(2)
平成27年
10月
24日:
~
平成27年
10月
25日:
全国大学国語教育学会第129回西東京大会出席
(3)
平成27年
08月
02日:
~
平成27年
08月
02日:
第59回日本読書学会年次大会出席
(4)
平成27年
07月
31日:
~
平成27年
08月
01日:
日本国語教育学会第78回国語教育全国大会出席
(5)
平成27年
06月
20日:
~
平成27年
06月
20日:
上越教育大学国語教育学会第69回例会出席
(6)
平成27年
04月
01日:
~
平成28年
03月
31日:
日本読書学会監事(日本読書学会)
(7)
平成27年
04月
01日:
~
平成28年
03月
31日:
早稲田大学国語教育学会役員(早稲田大学国語教育学会)
(8)
平成27年
04月
01日:
~
平成28年
03月
31日:
日本国語教育学会理事(日本国語教育学会)
◎特色・強調点等
- 2015年度は、小学校高学年児童の日本語運用能力に関する3年次研究の最終年度であり、収集したデータの整理と分析を行った。分析は、高学年の児童の日本語運用能力にはどのような傾向が見られるのか、例えば、比較的正確に使える言葉や敬語があるのに対して、多くの児童が間違えやすい言い回しや表現が存在するなど、興味深い結果が得られた。結果については総括を行い、国語教育関連の学会において発表を行う予定である。
<社会との連携>
社会的活動状況
(1)
平成27年
12月
01日:
~
平成28年
01月
31日:
長岡看護福祉専門学校入学試験委員(長岡看護福祉専門学校)
(2)
平成27年
11月
18日:
~
平成27年
11月
18日:
上越市学校教育研究会図書館部会講師(上越市教育委員会)
(3)
平成27年
11月
11日:
~
平成27年
11月
11日:
糸魚川市糸魚川小学校校内研究会講師(糸魚川市立糸魚川小学校)
(4)
平成27年
06月
08日:
~
平成27年
06月
08日:
糸魚川市学校教育研究会小学校部会講師(糸魚川市教育委員会)
(5)
平成27年
04月
01日:
~
平成27年
07月
31日:
長岡看護福祉専門学校講師「論理学」(長岡看護福祉専門学校)
◎社会への寄与等
活動全般を通して,特筆すべき点としては,富山大学において集中講義を担当する講師として継続的な担当を今後も求められていることに加え,長岡市にある医療福祉系の専門学校においても入学試験委員会に関する業務を実施していること,同専門学校において「論理学」の講義を担当していることなどが挙げられる。また,教育実習に関しても例年同様の丁寧な取り組みを行うことが出来た。この点については,今後とも継続して行い,こうした活動を通じてより実践的な力を担当の学生に身につけてもらうようにしたいと思う。さらに,附属小学校との共同研究は今後も継続して行い,これからは,こうした取り組みで出された成果を,学部生や大学院生にどのような形で還元していくことができるのかも課題の一つとして考えたいと思う。