自己点検・評価の対象期間:
平成27年
04月
01日
~
平成28年
03月
31日
斎藤 敏夫
(准教授)
<教育活動>
授業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取り組み
学部1年生全員が受講することになっている「算数」では,算数が苦手な学生でも教壇に立ったときに使えるような話題を専門的な立場から提供することにより,学生の学習意欲を促した。また,資料となる補助教材を配布・活用し授業を円滑に進行させることで,学生が「理解する」ために必要な時間を確保することを狙った。また,視覚的な理解を促すための教材も新たに作成および改良を施し,理解度の向上を試みた。その他,数学コースの学生に対する他の授業でもこれらを重視した授業を展開した。
【観点2】教育の達成状況
学生自身が授業内で活動を行う場を昨年度よりも多めに設定したことにより,全体的な学習意欲は増加したように思える。また,計画していた専門知識の提供も概ね達成できたが,学生の理解および基礎学力をより向上させるためには,授業内容・進度について再考が求められる。
研究指導
【観点1】学部
ゼミでは数学書を輪読し,順番に発表者が黒板を用いて他者へ解説を行うという形式を採用した。これにより,まずは数学書を理解するための数学知識を養うことができる。また,聴衆に理解してもらうためには,構成や板書の工夫も必要であり,専門的な内容を第三者に伝える術も修得できる。さらに,本形式では聴講者がいつでも自由に質問を投げかけることができるようにしており,発表者は質問を正確に把握し,瞬時に回答することも要求される。これらはすべて教員として教壇に立つうえで必要不可欠な資質であることを踏まえ,臨床的な実践力へ向けた包括的な基礎固めを指導した。
【観点2】大学院(修士課程、専門職学位課程、博士課程)
ゼミでは専門書を精読し,順番に発表者が黒板を用いて他者へ解説を行うという形式を採用している。これにより,専門書を理解するための高度な数学知識を養うことができる。また,聴衆に理解してもらうためには,構成や板書の工夫も必要であり,その高度に専門的な内容を第三者に伝える術も修得できる。さらに,本形式では聴講者がいつでも自由に質問を投げかけることができるようにしており,発表者は質問を正確に把握し,瞬時に回答することも要求される。これらはすべて教員として教壇に立つうえで必要不可欠な資質であることを踏まえ,より高度に臨床的な実践力の修得へ向けた指導を行った。
その他の教育活動
- 教育実習における研究授業では,実習生が自身の授業を第三者の視点から振り返ることができるように配慮した.具体的には,授業観察中に気付いた内容(時間配分・数学的な不適切発言・板書ミス・子どもの反応等)を学生が作成した指導案に事細かく書き込んだうえで返却し,それを基に丁寧な振り返りを行った。
◎
特色ある点及び今後の検討課題等
- 授業で高度な幾何学的内容を扱う際,「視覚的な理解」を促すために紙細工などを実際に作って披露した。これについては学生の反応も良かったようで,これからも少しずつ作品を増やしていきたいと考えている。また,学生の素朴な疑問に答える時間も十分に用意し,授業が一方的にならないように配慮した。また,80名を超える大人数に対する授業では,今年度は学生の自主的な参加を促すため,10名程度からなるグループを作り数学的活動を実施した。目的は概ね達せられたが,その活動内容については検討の余地があり,今後の最重要検討課題である。
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)
平成27年
12月:
Essential tangle decompositions of knots with tunnel number one tangles,Topology Appl.,Topology Appl.,196巻,B号,
pp.815-820
発】(1)
平成28年
02月
20日:
Tunnel number of tangles and links,2016 琉球結び目セミナー
(2)
平成27年
08月
19日:
High distance tangles and tunnel number of knots,拡大KOOKセミナー2015
学会活動への参加状況
(1)
平成27年
09月
13日:
~
平成27年
09月
15日:
日本数学会・秋季総合分科会
(2)
平成27年
10月
01日:
~
平成28年
03月
31日:
zbMATH Reviews(ヨーロッパ数学会)
(3)
平成27年
04月
01日:
~
平成28年
03月
31日:
Mathematical Reviews(アメリカ数学会)
◎特色・強調点等
- 昨年度から研究を行っている「結び目のタングル分解に関するトンネル数の連結和による変化の様子の解明」へ向けて,2000年頃に提起された未解決問題の解決に取り組み,従来の研究手法にさらなる改良を重ねることで,当該問題を肯定的解決へと導くことに成功した。このことにより,結び目のタングル分解に関するトンネル数の連結和による変化の様子について理解を深めることが可能となる。また,これら一連の研究は3次元多様体の位相構造の解明につながるという意味で重要な研究であり,なお一層の発展が期待されている。
<社会との連携>
◎社会への寄与等
アメリカ数学会およびヨーロッパ数学会からの依頼により作成した学術論文の論評は,膨大に増え続ける学術論文のデータベース化に不可欠な作業である。各分野の専門家が論評を執筆することにより,世界中の研究者が効率よく先行研究の概要を把握し,それぞれの研究を遂行するための一助となっている。