自己点検評価の対象期間: 平成28年 04月 01日 ~ 平成29年 03月 31日

加藤 哲文 (教授)
<教育活動>
授業
  【観点1】教育内容・方法面での取組
授業については、可能な限り臨床的、実践的な問題を取り上げ、学生の興味関心を引くように配慮を行った。特に、教育現場や心理臨床の現場で生じている課題について、具体的な事例を取り上げ、学生達の考究の機会を多く設定した。また、毎回の授業ごとに、「授業の振り返りシート」及び「質問・意見を記入するシート」を用意し、そこで書かれた内容については次回の授業の冒頭でフィードバックするようにした。またそこから議論が起こるような配慮も行った。評価についてはレポート形式を採用したが、この課題についても、学生自らの取組を評価しやすいような問題を提示し、また、学生自らの学習経過を判断できるように、取組の現状を記載する事項も設けた。 

  【観点2】学修成果の状況
学部4年生のうち1名は富山県中学校教員正規採用、もう1名は長野県公務員となった。また大学院生は、M2の2名の現職教員が現場復帰(内1名は、兵庫教育大学連合大学院博士課程に進学した)、ストレートの2名は富山県公務員と、千葉県の発達障害者支援センター職員となった(いずれも正規採用)。以上のように、大学院生の2名が現職教員であったが、1名は県立高等学校の教育相談・生徒指導担当、もう1名も中学校の生徒指導担当となり、本コースにおいて指導を行ってきた、教育相談、カウンセリング、生徒指導、特別支援教育担当といった専門性の高い業務を行うことになった。また、修了生の4名とも、2017年に臨床心理士の試験を受験することになっている。 

研究指導
  【観点1】学部
学部4年生2名については、1名が中学生のクラブ活動における先輩後輩関係が、後輩生の社会性などの発達に及ぼす効果について調査研究を行った。またもう1名は大学生のふれあい恐怖心性に関する調査研究を行った。いずれも児童生徒や、大学生の心理的特性に関する発達臨床心理学的な観点からの研究であり、教育現場などでの臨床的実践力を修得させることに効果があったと考えられる。 

  【観点2】大学院(修士課程、専門職学位課程、博士課程)
大学院生4名の修士論文は、1名が学校現場に入って、そこでの臨床指導を実践し、その効果を明らかにするものであった。またもう1名は夏期に上越管内の小学校教員12名を対象に児童の行動問題に関する2日間の研修会を実施し、研修効果を明らかにするための実践研究を行った。さらにもう1名は、発達障害のある幼児とその母親への訓練プログラムを作成、実施し、その臨床効果を明らかにするための実践研究を行った。そのために、単に知識のみならず、実際の発達障害のある児童生徒などの指導方法の習得のために心理教育相談室での実習を活用しながら実践指導を行った。 

その他の教育活動

特色ある点及び今後の検討課題等


<研究活動>
研究成果の発表状況
著】(1)  平成28年 10月: 発達障害事典(共著),丸善出版,
論】(1)  平成29年 03月: わが国の行動コンサルテーションの研究動向と課題ー介入整合性の観点からー,上越教育大学心理教育相談研究,16巻, pp.33-41
(2)  平成29年 03月: 「教育相談・カウンセリング」教育における「21世紀を生き抜くための能力」の「思考力」の捉え方,上越教育大学研究紀要,36巻,2号, pp.443-465
(3)  平成29年 03月: 通常学級に在籍するADHD児の担任教員と母親に対する協働型行動コンサルテーション,上越教育大学心理教育相談研究,16巻, pp.43-53
学会活動への参加状況
(1)  平成29年 03月 25日: ~ 平成29年 03月 26日: 日本発達心理学会大会,
(2)  平成28年 11月 18日: ~ 平成28年 11月 20日: 日本LD学会大会,
(3)  平成28年 09月 09日: ~ 平成28年 09月 11日: 日本行動分析学会大会,
(4)  平成28年 06月 21日: ~ 平成28年 06月 26日: 国際認知行動科学会議,
(5)  平成28年 03月 30日: ~ 平成28年 04月 02日: 国際行動医学会第37回大会(アメリカ・ワシントンDC),

◎特色・強調点等
  • 研究論文は、主として、臨床心理学、学校心理学、特別支援教育の分野にまたがるテーマで発表した。研究は、学校や臨床現場における問題を調査研究によって行ったものの他、学校や福祉施設等で、教師、保育士、指導員等を対象としたコンサルテーションの研究を行ってきている。このような研究の成果は、学校や福祉の現場における教師や職員研修としても活用されており、学校や福祉の現場に直接的に寄与するところが多いと思われる。

<社会との連携>
社会的活動状況
(1)  平成28年 04月 01日: ~ 平成29年 03月 31日: 新潟県発達障害者支援体制整備検討委員会(新潟県健康福祉部)
(2)  平成28年 04月 01日: ~ 平成29年 03月 31日: 新潟県特別支援教育総合推進事業運営協議会(新潟県教育委員会)
(3)  平成28年 04月 01日: ~ 平成29年 03月 31日: 新潟県学校派遣カウンセラー(新潟県教育委員会)
(4)  平成28年 04月 01日: ~ 平成29年 03月 31日: 十日町市子ども発達支援センター(十日町市役所)
(5)  平成28年 04月 01日: ~ 平成29年 03月 31日: 糸魚川市いじめ対策第三者委員会(糸魚川市教育委員会)
(6)  平成28年 04月 01日: ~ 平成29年 03月 31日: 春日部市教育委員会通級指導教室アドバイザー(春日部市教育委員会)
(7)  平成28年 04月 01日: ~ 平成29年 03月 31日: 上越市特別支援教育研修会(上越市教育委員会)
◎社会への寄与等
学校、保育園、療育機関と中心に、主として、発達障害のある幼児、児童生徒への支援や指導方法に関する指導助言を行ってきた。これらは、現在、学校や保育現場において喫緊の課題であり、現場の教師や保育士等が困っている問題である。これらのニーズに対して、主として、応用行動分析学による支援の方法論を提供することで、現場ではたいへん好評価を得た。