自己点検・評価の対象期間: 平成28年 04月 01日 〜 平成29年 03月 31日
 
稲田 結美
(准教授)
 
<教育活動>
 
 授  業
 【観点1】教育内容・方法面での取組
アクティブ・ラーニングを可能な限り実現するため,受講生が能動的に取り組めるような体験活動や深く思考できるような課題を開発し,授業に多く取り入れた。また,小グループでの意見交換や討論を積極的に導入し,受講生が協働的に学べるように工夫した。さらに,受講生が自身の考えをまとめるワークシートを毎時間用意し,授業終了時に回収し,受講生の理解状況を確認したうえで,コメントをつけて受講生に返却し,次の授業の改善に活かした。レポート課題については,評価規準・基準を事前に設定し,受講生にも提示し,自身のレポートについてふり返るように促した。
 
 【観点2】学修成果の状況
卒業生および修了生が,自信をもって理科を教えられるように,理科の学習内容および指導方法の両方について,授業やセミナーで繰り返し指導した。特に,研究指導学生は卒業・修了後に各地の公立小学校の教員となり,積極的に学習指導にあたっている。
 
 研究指導
 【観点1】学部
日本における理科教育の現代的課題を理解させるために,小・中学校の理科授業の参観を勧めたり,国内外の理科関連の学力調査の結果を調べさせたりした。そのうえで,理科教育において明らかにしたい問題や,解決したい課題を学生自身に考えさせて研究テーマを設定させた。そして,毎週のセミナーにおいて,各自の研究テーマについて研究室のメンバーで互いに十分に議論し,研究の方向性を自ら切り開き,研究を進展させていく力を養うようにした。
 
 【観点2】大学院(修士課程,専門職学位課程,博士課程)
理科教育学の研究方法について,セミナーおよび個別指導を通して,口頭で説明するだけでなく,手本を見せながら教授した。具体的には,先行研究の収集方法,理科授業の参観方法,理科授業の構築方法,学習者の認知面・情意面の評価方法,研究計画の立て方などである。また,各院生の研究が停滞しないように,毎週のセミナーにおいて,研究の進捗状況と短期的な研究計画について,研究室全体で共有した。さらに,学部生・院生を交えて研究に関する議論を十分に行い,研究の方向性を常に検討させた。
 
 その他の教育活動
・教員採用試験直前講座(理科実験)講師
・教育実習の研究授業における学生指導
 
 ◎特色ある点及び今後の検討課題等
学生・院生の学ぶ意欲を喚起し,それを持続させることに主眼をおいている。それは,理科学習を好まない学生・院生が少なからずおり,そのような学生たちが教壇に立った際に,児童・生徒に理科の面白さを伝えられないのではないかと懸念しているからである。学生・院生には,在学中に理科という教科の面白さを知り,それを児童・生徒に伝えていける教師になることを期待しており,そのために自身の授業改善に取り組んでいる。
 
 
<研究活動>
 
 研究成果の発表状況
  著】(1)平成28年6月:Diversity Dilemmas of Science Education in East Asia(共著),“Science Education Research and Practice in East Asia: Trends and Perspectives”,Higher Education Publishing
  論】(1)平成29年3月:『理科学習の男女差に関わる教員養成課程学生の意識とその変化―「理科学習と男女差」の授業実践を通して―』(単著)日本教科教育学会誌,第39巻,第4号,pp.1-11
  発】(1)平成28年8月:諸外国の科学教育における近年のジェンダー研究の動向,日本理科教育学会第66回全国大会研究発表
    (2)平成28年8月:定量的な実験における考察の記述指導に関する研究―小学校第5学年「ふりこのきまり」の学習を事例として―,日本理科教育学会第66回全国大会研究発表
    (3)平成28年12月:教員養成課程学生の理科学習と実験に対する意欲の実態,日本理科教育学会第55回関東支部大会研究発表
    (4)平成28年12月:中学校理科電気単元におけるモデルに関する研究―日本と海外教科書に見られるモデルの取扱いの比較を通して―,日本理科教育学会第55回関東支部大会研究発表
    (5)平成28年12月:教員養成課程学生の科学的記述に対する意識と経験,日本理科教育学会第55回関東支部大会研究発表
    (6)平成28年12月:ジェンダーの観点による小学校理科教科書における写真と挿絵の時代的変化,日本理科教育学会第55回関東支部大会研究発表
    (7)平成28年12月:大学生による溶解度のモデルを再構築する過程の特徴,日本理科教育学会第55回関東支部大会研究発表
 
 共同研究(幼,小,中,高等学校及び特別支援学校教員との共同研究を含む)の実施状況
  (1)教科と内容構成新ビジョンの解明―米国・欧州STEM・リテラシー教育との比較より,代表者:長洲 南海男,(筑波大学)
  (2)理科教育における自然のモデル化・数学化能力育成の基礎的研究,代表者:内ノ倉真吾,(鹿児島大学)
 
 学会活動への参加状況
  (1)平成28年8月6日〜7日:日本理科教育学会第66回全国大会出席
  (2)平成28年8月19日〜21日:日本科学教育学会第40回年会出席
  (3)平成28年8月26日〜28日:2016 International Conference of East-Asia Association for Sicnece Education出席
  (4)平成28年12月10日:日本理科教育学会第55回関東支部大会出席
  (5)平成28年7月1日〜平成29年3月31日:日本理科教育学会広報委員会
 
 外国における研究の状況
  (1)平成28年10月27日〜29日:NSTA(National Science Teachers Association) Area Conference in Minneapolis(アメリカ合衆国)出席
 
 ◎特色・強調点等
引き続き「女子の理科学習の促進」に関する研究を行っている。特に,教員養成段階で必要とされる方策について具体的な検討を行っている。「女性と自然科学」に関連するシンポジウムにも足を運び,研究者と交流し,研究成果を伝えるように心がけている。
 
 
<社会との連携>
 
 社会的活動状況
  (1)平成28年8月2日:教員免許状更新講習「考える力を育む観察・実験指導の理論と実際」講師(上越教育大学)
  (2)平成28年9月28日:第52回上越市児童生徒科学研究発表会審査員(上越市教育委員会)
  (3)平成28年11月:「教育実践研究」応募論文の査読(上越教育大学)
 
 ◎社会への寄与等
  児童生徒の科学研究発表会の審査員,理科教育関連の学会の委員などを務め,これからの理科教育のあり方を広く伝えるように努力した。