上越教育大学大学院 学校教育研究科[修士課程] 学校臨床研究コース 学習臨床研究 Clinical Study of School Education

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Q&A

1 教職大学院との違いは何ですか?

 学校等での教育活動に実際に臨んで研究を進める点で、学習臨床研究と教職大学院とは研究対象へ同様の志向性をもっています。しかし、子どもの学習や教育の問題へのアプローチには大きな違いがあります。
 学習臨床研究は、子どもが自己を確立・表現できるようになること、そのために教師や研究者にできることは何かを研究の中心課題としています。こうした立場から常に子どもの学習の場面に臨み、子どもの学ぶ姿に学びながら、その子どもの学習の可能性を想定し、それを実現するプロセスを反省したうえで、次の実践へ向けた開発的教育活動を展開できるカリキュラム開発能力を備えた、子どもとともに学び続けていく魅力ある教師の養成をめざしています。このように学習臨床研究は、当事者の視点にしっかりとたって学習と教育の成り立ちと現在の問題のしくみを理解し、子どもたちが社会で活躍する将来をも見通して教育の根拠(原理)と可能性を明らかにしようとして研究を進めています。
 また、こうした研究フィールドに対して各自が〈学習過程臨床領域〉〈情報教育領域〉〈総合学習領域〉〈教育方法臨床領域〉の4つの専門的視点から研究課題を設定し、教育の現代的課題の解決に向けて研究を深化させ、修士論文にまとめていくことができます。こうした経験を通して、複合的で重層的な教育の臨床場面でみずから本質的に問題解決する資質と能力を形成することにつながっています。院生たちは各自の研究課題を深化し究明することで、個別・具体的な問題の解決に立ち向かう力を得るだけでなく、学校や学習の場に問題や問題状況を起こりにくくし、子どもたちがよりよく自己を確立・表現できるような状況を、学習活動を通して子どもとともにつくり続けていくことが可能となります。
 これに対して教職大学院では、上越市を中心とした学校現場にチームで長期的に入り、徹底した観察と分析を行い、個別具体的な支援プログラムを作成・実施していくことが活動の中心となります。
 教職大学院はあくまで実践者としての技能を高めることに特化しているのに対して、学習臨床研究は、具体的な場面や事例を通して学習活動、教育内容、教育方法等の本質を持続的にとらえ直すことで明らかにしていく研究者の眼と、具体的な問題解決を志す実践者の開発的で応答的な資質や能力を不可分なものとして育てようとしている、ということができます。

2 生徒指導総合、学校心理との違いは何ですか?

 学習臨床研究は、子どもが自己を確立・表現できるようになること、そのために教師や研究者にできることは何かを課題とした「学習研究」をしています。また、子どもや教師等の当事者の視点やふるまい(行為や姿)によりそい、それらの臨床的諸関係から学習の本質と教育のあり方を究明していきます。
 これに対して、生徒指導総合、学校心理は、どちらかといえば「学校生活や児童生徒理解に関する問題」を研究しています。
 学習臨床研究では〈学習過程臨床領域〉〈情報教育領域〉〈総合学習領域〉〈教育方法臨床領域〉の四つの専門的領域を設け、その視点や視座から学習過程の把握と学習活動の開発、情報機器の使用等を含む現代的な教育方法、教科の枠組みを超えた横断的アプローチによる新しい学習活動の開発、教育課程研究、授業研究等について研究を進め、それの根拠(原理)と可能性を明らかにし、現代社会と教育の課題に実践的に応えていく新たなみちすじを、一人ひとりの大学院生が修士論文研究を通じて探究してまとめていきます。
 学習臨床研究では、学習活動に対してこれまでの教育学、心理学、教科教育学の枠組みにとらわれない新しい研究アプローチを学ぶことができます。また、学習研究において着目されることが少なかった一人ひとりの子どもや教師という当事者の視点からそこに起こっている事実を捉え明らかにする方法を学び、子どもたちがよりよく表現し他者とともに学習を成り立たせていくあり方を研究していきます。
 学習臨床研究の教育研究スタッフは、教育史、教育方法、教育課程、教師教育、幼児教育、教科教育、芸術教育、教育心理学、発達心理学、教育社会学、教育工学、情報教育、環境教育、地域教育、人権教育、国際理解教育等多彩な分野の専門家から構成されています。また、小・中・高等学校で十年以上の現職経験を有する教員も多くいます。
 生徒指導総合、学校心理には、生徒指導・教育相談・特別活動といった教科以外の分野に関する専門家、学級集団に関する専門家、教育制度・学校経営・教育行政に関する専門家が在籍しています。
 実際には、どちらの科目群でも扱える研究テーマは多いです。各教員の専門分野と自分の研究テーマとをよく照らし合わせながら、志望する科目群を決定してください。

3 学部では教育について専門的に学んでいませんが、やっていけますか。

 本学は、開学当初から現職教員の再研修の場として、さまざまな専門性を持つ教員を受け入れてきました。現在も各県教育委員会より派遣された現職教員の皆さんが研究を進めています。
 また、大学院学習臨床研究へは、本学以外の大学学部で文学、社会、経済、教育、福祉、理、工、農、情報等を学んだ学生が、出身学部に偏りなく入学してきています。その多くは大学院で教育について専門的に研究を深めながら、本学の「教育職員免許取得プログラム」を利用して希望免許を取得して教職を目指す方、博士課程へ進学し研究職を目指す方です。
 このように学習臨床研究には、これまでの現職経験を通して得た課題の研究をめざす方、学部での専門性を活かしてさらに発展深化させようとする方、新たな専門的知見から研究を深め教師や研究者としてその資質や能力を深めようとする方、以上の3つのタイプの大学院生が在籍しています。
 また、学習臨床研究では、ビデオや画像を用いて領域やゼミナールで共同で研究を深めたり、学校をフィールドとして観察や研究開発実践による検証を行うなど、文献研究だけでなく臨床的に学ぶ機会が数多くあります。専門的基礎がなくても心配はいりません。大学院では、理論研究と臨床研究が相互に深まり、研究法に関してもしっかり学べるよう、授業科目も充実しています。

4 筆記試験の準備はどのように進めたらよいですか。

 出題の際、私たちがおおよその目安としているのは、教員採用試験(教職教養)の教育学領域でよく出題されている範囲の基礎知識です。また、学習臨床研究は、学校教育を主な研究対象とする分野です。幼稚園、小学校、中学校の各学校種及び全教科の学習指導要領について、具体的な学習場面がイメージできるように勉強してきてください。新聞や白書、答申等を読んで、最近の教育事情・動向を把握しておくこともよいと思います。

5 口述試験(面接)ではどんなことが聞かれますか?

 口述試験では、主に研究の内容についてお聞きします。2年間あるいは3年間の在籍期間の中で論文としてまとまりそうかどうか、教員が指導可能かどうかを見きわめるためです。
 口述試験でお聞きしたいのは、その問題について「自分ならこう考える」、「自分はこうとらえ直したい」という自己主張です。必ずしも専門用語を使う必要はありません。ぜひ自分の言葉で、自分の視点で、その問題についてしっかり語ってください。
 大学院でどのような研究をしたいのか。何を対象とし、どのような方法で明らかにしたいのか。自分なりの言葉でしっかり説明できるようにしてきてください。できれば、研究テーマに関連する文献を1本以上読んでおき、その内容について答えられるように準備しておいてください。

6 研究希望等調書にはどこまで書けばいいのですか?

 これは、「その時点で可能な限り具体的に」ということに尽きます。調書は、口述試験のときに面接官が参照する資料として使われ、それをもとに質問をしますので、できる範囲で、がんばってしっかりまとめてください。
(1)研究テーマをどうするか。
 どの側面に強く興味をいだいているのか、焦点を当てたいのか、といった具体的な研究テーマまで考えておいてください。大学院の限られた期間内に研究としてまとめるためには、対象を絞り込む作業が必要です。指導の方向性も明確になっていきます。自分の考えがまちがっているかもしれない、実現可能性が低いかもしれないなどと遠慮せずに、現時点での自分の考えを、しっかりと具体的に主張してください。
(2)その研究テーマをどんな方法で研究していきたいか。
 学校等での長期間にわたるフィールドワークを行う、実際に授業を工夫して実施して児童生徒の学習活動を明らかにする、関係する先行研究を徹底的に読み解き学習と教育の本質的な考え方や方法について明らかにする、実践報告書を集めて比較検討する、関係者にインタビューする、質問紙調査で大規模にデータを集める、など、同じテーマでもさまざまなアプローチがあります。同じインタビューでも、教員に聞くか児童生徒に聞くかで、まったくちがった視点の研究になります。自分はどんなアプローチをしたいのかについて、ぜひ考えておいてください。
 聞きかじりの知識を使って無理やり具体的にする必要はありません。「現時点での自分の考え」でいいので、できる範囲内でしっかり考えて、調書を作成してください。