1.入学時における「人間教育学セミナー」

「人間教育学セミナー」概要

 教育職員免許法上の必修の教職科目に「教職の意義」があります。この科目に含める内容として,教職の意義及び教員の役割,教員の職務内容,進路選択に資する各種の機会の提供等があり,2単位の位置付けとなっています。本学はこれを1年次に位置付けています。以前は一教員が担当してきましたが,平成12年度のカリキュラム改革において,「人間教育学セミナー(教職の意義)」と名称を改め,1年次学生を10名単位の16のクラスに編成し,各クラスをそれぞれ教員が担当することで,相互に対話できるセミナーとして改善されました。当初そのプログラムは担任に任せられましたが,学年全体で行う共通プログラムを幾つか設け,現職教員を招聘しての講話などを位置付けてきました。しかし,クラスセミナーは,担任自らの研究の一端を紹介したり,4年間のカリキュラムガイダンスであったり,中にはレクリェーションやハイキング等も行われたりと,科目本来の「教職の意義」というねらいが失われてきた傾向にありました。

 教員養成においては入学早期から「教職適性」を自覚させ,教職キャリア教育の充実を図ることが大切です。そのためには,教職の意義や教員の役割,職務内容について具体的な教育の営みを通して理解させることが必要となります。それは漠然とした思いで入学してきた学生たちにとって,早期に教職への志望を決意させたり,進路を再考させたりする機会にもなります。その意味では,1年次のこの「人間教育学セミナー(教職の意義)」は,教職キャリア教育として重要な意味を有するのです。
 そこで,次のような改善方針を掲げ,年度によって左右されることなく基本シラバスを作成し,恒常的に充実を図ることにしました。

改善の趣旨と方向性
内省的評価を重視した共通プログラムを作成することで,入学早期から教師という職業の素晴らしさや,教職の意義の理解,教師に求められる資質の理解の上に,教師を目指そうとする決意を強固なものにすること。
数冊の指定読書を設定し,現代の教育問題に関する基礎知識を豊かにすること。
一方的な講話・講義ではなく,双方向性のある授業を構築し,コミュニケーション能力の育成と共に主体的な学びの大切さを自覚させること。
プログラム内容に即した「評価」」を実施することで,学生自ら教職適正を振り返り,自己課題を見つけるようにすること。
年度末の総括に基づき次年度の構想を検討するコーディネーターを設け,円滑な運営が図られるようにすること。