4.「フレンドシップ事業」による体験的な学び

体験学習Aの実施内容と成果・課題

1 体験学習A「生活・総合何でも体験」コースのプログラム

(1) プログラム編成の視点
学生主体のアクティブラーニングを重視した3つの体験活動(自然体験・ものづくり体験・学校現場での実際の活動参画体験)で構成します
  TAの積極的活用による双方向型の少人数指導体制を推進します
  「体験記録簿」による学生主体の学習ポートフォリオの導入・活用を通して,学習成果を重視した評価・指導を行います
  各教員の専門性や学習成果の評価に対する共通理解を生かした指導体制で展開します
(2) プログラムの実際
期日 学習活動 担当者 会場 備考
4/12
午前「シャボン玉で遊ぼう」
午後「レクリェーション指導」
木村 広場噴水前
(雨天決行)
9:00集合,昼食,
知っているレクの交流
4/19
栽培活動基礎体験(畑の草学習,
草取り,石灰撒き,元肥入れ,
畝作り,じゃがいも植え付け
水澤
古閑・阿部
伊佐・佐藤
学校教育実践
センター集合
(雨天翌日)
9:00集合,昼食・
飲み物,長靴,軍手持参
自転車で
5/10
身近な草花と草花遊び 水澤
古閑・伊佐
佐藤
講堂前
(雨天翌日)
8:30講堂前集合
大学敷地内,ノート・
筆記具・デジカメ持参
5/24
体育祭まるごと体験
−附属小学校 体育祭への参加−
・体育祭準備(ライン引き,テント,
 放送機器,危険物拾い)
古閑
伊佐
佐藤
榊原
午後1:45
学校教育実践
センター集合
2時間程度の作業
体操着・帽子・運動靴
(内&外)自転車で
5/25
体育祭当日運営
(午前競技役員,午後種目運営)
古閑
伊佐
佐藤
榊原
午前8:00
学校教育実践
センター集合
終日,昼食・飲み物持参
体操着(派手不可)
・帽子・運動靴(内&外)
自転車で
5/31
凧づくり 木村 広場噴水前
(雨天決行)
9:00〜12:30
6/7
モニュメントの制作 阿部 講堂前集合 9:00〜14:00
昼食持参
6/14
畑の除草とじゃがいも土寄せ作業
草花調べ
水澤
古閑・阿部
伊佐・佐藤
午前9:00
学校教育
センター集合
軍手,帽子,長靴
自転車で
6/21
大手町小学校PTCAへの参加 木村 大手町小
現地集合
自転車のルール厳守
運動のできる服装
7/5
雑魚捕り体験 水澤
古閑・伊佐
佐藤
講堂前集合
(小雨決行)
8:30〜11:30
体操着の下に水着着用、
川に入るズック、
デジカメ持参
7/19
掘る!食べる!じゃがいもの収穫祭 水澤
古閑・伊佐
佐藤
午前9:00
学校教育
センター集合
ポリ袋,長靴,軍手持参
(雨天翌日)
自転車で
評価の方法:履修記録簿の毎回の記録,事後学習の努力,植物テスト,出席率,参加意欲を総合して評価する。

備考:この体験はフィールドに出るために土曜に集中します。4回以上欠席した場合は単位を認定しません。やむを得ず欠席する場合は、必ず事前に連絡してください。常に名札着用,記録簿・筆記具・タオルを持参するようにしましょう。原則は小雨決行,日程は連絡網にて変更することがあります。

2 実施内容

(1) 3つの体験活動
 次の3つの体験活動(自然体験・ものづくり体験・学校現場での実際の活動参画体験)で実施しました。

----- 自然体験 -----
・栽培活動基礎体験・・・畑の草学習,草取り,石灰撒き,元肥入れ,畝作り,じゃがいも植付け畑の除草,じゃがいも土寄せ作業,じゃがいもの収穫,じゃがいもを使った遊び,じゃがいも料理
・植物観察基礎体験・・・身近な草花観察,草花採集,草花調査,草花遊び,草花テスト
・雑魚捕り体験・・・雑魚捕り,雑魚観察・調査
----- ものづくり体験 -----
・シャボン玉遊び,凧作り
・モニュメント製作
----- 学校現場での実際の活動参画体験 -----
・附属小学校体育祭の前日準備・当日運営の手伝い
・上越市立大手町小学校PTCA活動の参加,企画運営(凧作りブース)

(2) 省察
 例えば,栽培活動基礎体験とは,小学校の生活科,総合的な学習の時間等で行う活動です。附属小学校の広大な畑を午前9時から午後3時まで,草取り→石灰撒き→牛糞入れ・肥料蒔き→鍬やトラクターによる耕作→畝立て練習等のつらい行程作業が連続します。

----- 学生Aの体験学習記録簿より -----
 教職に就く上で多くの体験がとても大切で役に立つということがよく分かった気がする。子どもに教えるためには,知識も大切だと思うけれど,それだけれはなくて,自分の実際に汗を流した経験が生きてくると思う。土と触れ合う,耕す,植物を育てる過程で,育ち方によって子どもたちの感じ方も変わってくると思う。教員になったとき,畑づくりも植物もうまく育て,子どもにより良い体験をさせたいと思った。そのためにも,この栽培基礎体験で学んだことを忘れずに,自分でももっと体験や学習を深めていきたい。

 このように,額に汗,衣類は石灰と牛糞まみれ,手には豆とまさに体力勝負ですが,多くの学生は達成感に満たされ,将来の教職への展望とつなげながら意味ある経験を実感します。

----- 学生Bの体験学習記録簿より -----
 昔の子どもたちなら普段から当たり前のようにやっていた遊びをこの体験学習で私は初めて経験した。現代は「危険だから」「何かあったら大変だから」と,河で遊ぶこともできない。日常の中に緑が少なくなっているのに,そういった場(山,森,川など)でも遊ぶのを制限されてしまったら,子どもたちのすることは家でゲームになってしまうと思う。「今の子どもたちは,ゲームばかりして外で全く遊ばない」とよく言うが,子どもたちの遊ぶ環境をどんどんなくしているのは,回りの大人たちだと思った。子どもたちがゲームに走ってしまうのも分かる気がした。
 だからこそ,こういった体験を多く学校現場に取り入れて子どもたちにたくさん経験してもらうことが重要になってくると思う。私が,この体験学習Aを通して学んだことや気づいたこと,感じたことを是非,これからの大学生活で生かしていきたいと思う。

 よく「現代の若者は」と言われますが,学生は挑戦意欲や逞しさを内在させています。体験学習をする中で,それを引き出す機会を与えてこなかっただけだと実感します。学生は,「これからの大学生活で生かしたい」「学びのひろばでアレンジして遊びをつくっていきたい」「将来,教職に就いて,学校現場に出たらぜひ子どもたちとたくさん体験活動をつくっていきたい」と,体験学習を通して夢を広げていました。


ジャガイモ栽培

附属小学校体育祭運営

3 成果と課題

(1) 成果
−学生による「授業評価アンケート」をどのように受け止めたかについて−
 「意欲的に取り組んだか」の項目が「5」であることから、学生自身、この授業を体験する過程で、実践的な学びや経験幅拡大への意欲をもつことができたことが成果と言えます。また、授業内容・方法・満足度ともに「5」であり、自由記述に「毎回、楽しく興味深い体験内容であった」「教員になるという目標に向かってしっかりと活動することができる授業だった」「授業の組み合わせがよかった。自然の大切さに気付いた」とある通り、小学生とつくる活動を想定した体験、小学校現場での学校行事に参加する体験、生活科・総合に生きる自然と触れ合う体験など、初等教育現場に必要な実践的なプログラムを設定した効果が伺えます。
 「シラバスを確認したか」が2.7ポイント、「シラバスの記載内容が適切か」が無回答37.9%ですが、「授業内容は分かりやすく整理されているか」の項目は「5」です。この体験学習Aは、屋外での体験活動で天候に左右されることから、その都度授業予定を印刷したり、メール発信したりして学生に周知しています。屋外の体験学習は、春先に示すシラバスより、その都度加筆修正しながら授業内容を示す方法の方が適していると考えられます。

(2) 課題
−学生による授業評価アンケート」集計結果を参照し、授業科目の改善のための課題・方策について−
 学生の有意義であったという自己評価・授業評価を継続することが大切です。自由記述に「充実した体験だった。ぜひ来年の1年生にも体験してもらいたい」とあるよう、活動内容の質や量を今後も維持したいと考えます。しかし、天候による日程変更、施設設備の使用状況の考慮、担当教員の日程調整等、課題は多くあります。早めに次年度のシラバスを検討し、プログラムをデザインすることが大切です。