6.「上越教育大学(上越・妙高地域連携)スタンダード」作成

「上教大スタンダード」

上越教育大学(上越・妙高地域連携)スタンダード
事項 T 教員として求められる使命感や責任感,教育的愛情等に関する事項 U 教員として求められる社会性や対人関係能力に関する事項 V 教員として求められる幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項 W 教員として求められる教科等の指導力に関する事項
到達目標 1 教育に対する使命感や情熱を持ち,常に子どもから学び,共に成長しようとする姿勢が身に付いている。 1 教員としての職責や義務の自覚に基づき,目的や状況に応じた適切な言動をとることができる。 1 子どもに対して公平かつ受容的な態度で接し,豊かな人間的交流を行うことができる。 1 教科書の内容を理解しているなど,学習指導の基本的事項(教科等の知識や技能など)を身に付けている。
  2 高い倫理観と規範意識,困難に立ち向かう強い意志を持ち,自己の職責を果たすことができる。 2 組織の一員としての自覚を持ち,他の教職員と協力して職務を遂行することができる。 2 子どもの発達や心身の状況に応じて,抱える課題を理解し,適切な指導を行うことができる。 2 板書,話し方,表情など授業を行う上での基本的な表現力を身に付けている。
  3 子どもの成長や安全,健康を第一に考え,適切に行動することができる。 3 保護者や地域の関係者と良好な人間関係を築くことができる。 3 子どもとの間に信頼関係を築き,学級集団を把握して,規律ある学級経営を行うことができる。 3 子どもの反応や学習の定着状況に応じて,授業計画や学習形態等を工夫することができる。
  4 反省的実践を営む基本的な姿勢を身に付けている。  4 地域社会の一員として,地域や学校の各種行事やボランティア等に参加し,その責務を果たすことができる。 4 子どもの実態や学校の教育課題を踏まえて,結果や成果を意識しながら学級経営の評価を行うことができる。 4 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,教育活動を創造し,展開するための基本的事項を身に付けている。

 TからWの各事項の1から3までの到達目標は,全国共通の到達目標です。つまり,全国共通の「実践的指導力の基礎」の内実であり,「採用当初から教科指導,生徒指導等を著しい支障が生じることなく実践できる資質能力」と考えてもよいと思います。
 TからWの各事項の4の到達目標は,本学が独自に設定した到達目標です。以下にその設定理由等について説明します。

T・4 反省的実践を営む基本的な姿勢を身に付けている。

 教職の基盤は,日々の教育実践への「省察」行為です。「今日の授業はどうだっただろうか」「Bさんへの忘れ物指導は適切だっただろうか」「Dさんのお母さんへの助言は適切だっただろうか。他の助言の仕方はなかっただろうか」など,日々の教育実践を多面的にとらえ直し,新たな知見を取り入れる,「反省的実践家」の基礎を身に付けてほしいと考えました。

U・4 地域社会の一員として,地域や学校の各種行事やボランティア等に参加し,その責務を果たすことができる。

 教員は,子どもや先輩・後輩,上司,保護者と円滑な人間関係をとり結ぶことが求められます。一方で,学校内のみならず,広く地域社会との関係を構築する力量を身に付ける必要があります。本学では,入学当初から「学びの広場」や「ボランティア体験」,「各種サークル活動」などを推奨,活躍の舞台を学外の上越・妙高地域に求めてほしいと考えました。

V・4 子どもの実態や学校の教育課題を踏まえて,結果や成果を意識しながら学級経営の評価を行うことができる。

 教員は,子ども理解に裏打ちされた適切な学級経営を行うことが求められます。新採用教員であっても同様です。当然,独りよがりの偏った学級経営も好ましくありません。あくまでも,学校教育目標や学年目標の枠組みの中で,自らの創造性を発揮することになります。さらには,自分の学級経営の状況把握や集団としての成長についての説明責任も問われます。本学では,思いつきや独りよがりの学級経営に陥ることなく,子どもや保護者からも十分に納得してもらえるような学級経営方針を立案し,その成果と課題をきちんと説明できる力量を身に付けてほしいと考えました。

W・4 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,教育活動を創造し,展開するための基本的事項を身に付けている。

 本学では,これまで,マニュアルに頼ってばかりの教員ではなく,地域の特性や子どもの実態に合った教育を創造できる教員に育ってほしいと考え,「分離方式の初等教育実習」を中核としたカリキュラム改革に取り組んできました。卒業時までに,学校における全教育活動との関連の下に,地域や子どもの特性に応じた教育実践を創造・展開できる力量を身に付けてほしいと考えました。