8.実務家教員が参画するジョイント授業の充実

ジョイント授業の実際と成果・課題

○ジョイント授業とは
 大学の授業と教育現場の実践とが乖離しているという指摘があります。このことを解消する一つの手立てとして,研究者教員と学校現場に長く勤務している教員とが連携しながら,いくつかの授業を展開しています。そこでは、現場教員が数コマを担当しています。
 平成17年4月,小中学校の勤務経験をもつ現職教員3名が任期付で着任しました。そこで,授業の目標,内容,方法,評価に至るまでを研究者教員と任期付教員とで協議しながら授業を展開する「ジョイント授業」を検討しました。その結果,「臨床教育課程論」をジョイント授業として立ち上げようという構想がまとまりました。対象とする学生は,学部1年生及び大学院修士課程1年生(教員免許取得プログラムを履修する学生)です。

○ジョイント授業の実際
 17年度に検討したことに基づき,18年度に「臨床教育課程論」がスタートしました。ここでは,18年度に行った授業を見直し,改善を加えて実践した19年度の「臨床教育課程論」を紹介します。
 1コマ目は,簡単なオリエンテーションの後,研究者教員Aによる授業です。授業テーマは「特色ある教育課程の実際」です。
 2コマ目から13コマ目までは任期付教員3名(B,C,D)による授業です。受講生を3グループに分け,Bによる授業を4コマ,Cによる授業を4コマ,Dによる授業を4コマ,それぞれ連続して受講するようにしました。グループ分けすることにより,討論や演習,ロールプレイなどを取り入れた授業が可能になりました。
 任期付教員の授業テーマは次の通りです。
  Bのテーマ:グランドデザインと教科の年間指導計画
  Cのテーマ:教育課程に基づく各種校務の意味や手続き
  Dのテーマ:教育課程における学級経営の意味と実際

 14コマ目は,再び研究者教員Aによる授業です。授業テーマは,「特色ある教育課程の評価−子どもの学びを支援する評価のありかた−」です。
 15コマ目は,4名の授業担当者が提示する小論文テーマの中から受講生が一つを選択し,これまでの授業で学んだことや自分の考えをレポートにまとめました。

○ジョイント授業の成果
 15コマすべてが理論だけ,あるいは実践だけという授業ではなく,理論と実践の両面を包含する授業を展開しました。学生の授業感想文や小論文レポートを読んでみると,授業で学んだ理論的な部分と実践的な部分とを取り入れながら,自分の考えを構築しています。また,学校現場に出るまでの間に解決したい自己課題を明確にしている学生もいます。

○ジョイント授業の課題
 受講生による本授業の評価などを基に,授業内容や授業方法を更に工夫していくことが課題です。また,新たにジョイント授業として展開できる授業があるかを検討していくことも課題となります。