上越教育大学 教員養成GPプロジェクト

ICTを活用した学力の向上とメディア・リテラシー育成〜協力校教員・大学院生・大学教員の協働的継続的アクションリサーチを通して〜

取組実績と課題

3. 本プロジェクトメンバーの協働による学習支援の実施とその受け止め方

 放課後チューターの取り組みとして、平成18年12月13日と平成19年1月27日に、本プロジェクトのメンバーである、上越教育大学大学院学習臨床コース情報教育分野の大学院生が、学習活動の支援に参加した。学級担任、及び、参加した大学院生がどのように受け止めたかを次に示す。

1.学級担任の受け止め方

  • 放課後学習では、算数の学習をすることが多い。現在、「円」に関する単元を扱っているが、「学習履歴蓄積型個別学習教材」においては、文章による出題が多いため、まず問題の意味を理解する時点でつまずく児童が多い。また、同単元の文章の穴埋め問題に関しても、同様の問題点があげられる。このようなことから、算数においては、個々のペースで学習を進めることが難しいと感じている。
  • 日常的に活用すれば学習効果が見られるかもしれないが、放課後の行事が多く、時間を確保しにくい。昼休みにもPC室の開放を行っているが、情報担当の先生の予定に依存しているため、開放は不定期である。

2.学習支援に参加した大学院生の受け止め方(抜粋)

  • 単元をいくつもの小単元に分けて問題が提示してあるため、単元の中のどの部分から理解できていないのかということを明らかにできる。さらに、系統的に行われている内容の、何年生のどの単元でつまづいているのかということも診断できるという点で有効なものだと感じた。
  • 今回使った学習ソフトの中にある「ドリル」について,文章が難しい問題が多くあり,児童がひとりで自由に学習をすすめるには無理があるとの印象を先生自身も持ったようで,使い方について「授業のなかで一斉に」あるいは「単元を決めて反復練習で」使う方が良いと思いました。これについては,操作や問題の内容が分からないとき,となり近所の友だちに尋ねて学習をすすめている児童を随所で見かけたことからも裏付けられていると思います。
  • 児童たちはPCの画面に向かってマウスやキーボード操作だけでドリルをすすめていましたが,やはり,新しく分かったことや計算結果などはノート等に書くことが脳の刺激にもつながり、より一層の学習の定着が図れると思いました。これには放課後学習専用のノートを用意すれば,本人の持つ学習の記録にもなってさらに良いのではとも思いました。
  • 指導終了後、担当の先生方と話をしたが、その中で出てきたような(紙を使って考える。補修プリントの活用など。)取り組みが効果を上げると思う。「学習履歴蓄積型個別学習教材」の内容を全て見たわけではないが、できない子にやらせても基礎学力の向上にはつながらないのではないかと感じた。教科書の内容が確実に理解できる児童がさらに学習内容の定着を図るということならこのソフトが生きてくるのではないだろうか。今回参加していたような児童には、やはり、対教員の個別指導がまず必要で、私たちのような単発的な指導では、ほとんど児童に返るものはないような感じがした。
  • 現場の教員は忙しくてなかなかできない学習の取り組みの準備と子供への指導ができるのではないかと考える。大学としてできることは、まず、新井小学校から、子供にどのような学習指導をしてほしいという情報を得て、「学習履歴蓄積型個別学習教材」を行い、つまずきをはっきりさせ、ワークシートを用いて改めて行う。その指導での、子供の様子や理解の状況をメモ程度に書いて、担任の教員に伝えて普段の学習の中で改めて指導してもらう。そのような流れができてくればより、この放課後の「学習履歴蓄積型個別学習教材」を用いた学習支援の取り組みがよりよいものになると感じた。
  • 現場にいると、学力差が激しい場合一斉指導では対応できない。だから、算数などでは習熟度別指導や個別指導をする。それでも、担当一人では手が回らない場合もある。職員に余裕があればT・Tに入ってもらえるが、そうでない場合が多い。手はいくらあっても助かる。しかし、人が入るということはその分、連絡調整が難しい。特に、外部となればなおさらだ。今回のように、様々な校種の教員が参加して話し合いをもつことには、意味があると思うので、計画的に参加できればよかったのかなと思った。