今後の展開

本研究の意義

本研究の最も重要な意義は、天の川銀河以外の銀河に対して、非常に精密な分子ガスと塵の地図を作成したことです。 星は宇宙で最も基本的な要素であり、星が形成されるプロセスとその環境を知ることは、現代天文学の重要な課題の一つです。 今回得られた分子ガスと塵の地図は、星を作る材料とその材料を作る「工場」の分布を示しており、星間物質から星の形成へ一連のプロセスを理解するための重要な手がかりとなることが期待されます。

今後の計画

本研究で明らかになった分子ガス雲と星間塵の地図から、分子ガス雲の形成や星間塵の性質などに関するさまざまな知見を得ることができました。 しかし、これらの分子雲や星間塵の中で具体的にどのようなプロセスで星が形成されていくのかという問題はまだ未解明です。 研究チームは今後、アステ望遠鏡を用いて星が形成される直前の密度の高い分子雲の観測、さらにはチリ・アタカマ砂漠で観測を開始したアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計「アルマ望遠鏡」を用いて巨大分子雲内部の構造を分解する観測などを行い、星間物質から星がつくられるまでの統一的な描像を明らかにすることを目指しています。