専門分野は(低次元)位相幾何学です。「低次元」という言葉は、残念ながら日常用語としてはあまり良い意味で使われていないようですが、数学においては通常「3次元および4次元(の空間)」を意味します。現在のところ、3次元多様体(縦・横・奥行きの広がりをもった図形)の位相的および幾何的性質に興味があり、Heegaard理論を用いた研究を進めています。この理論の創始者Heegaard氏はデンマークの数学者です。デンマークといえば「レゴ」という玩具会社が有名ですが、3次元多様体に関する多くの研究、とりわけHeegaard理論は「レゴブロックの精神」と密接な関係にあると個人的には考えています。レゴブロックは基本ブロックの組み合わせ方により多種多様なモノを作り出すことができます。一方で、「基本ブロックの貼り合わせ方により様々な3次元多様体を構成する」という発想がHeegaard理論の原点ともいえるからです。感覚的には「ちょっと高度なブロック遊び」といったところでしょうか。Heegaard氏によるこの構成法はポアンカレ予想と同程度の歴史を持ちますので、3次元多様体論においては古典的な概念とされています。しかしながら、現在も世界中で活発な研究が行われている分野のひとつです。私の長期的な研究目標は『3次元多様体の位相的および幾何的性質をHeegaard理論の観点から解明すること』です。
← 閉じる