\documentclass[a4paper,twocolumn,11pt]{jarticle} \setlength{\columnseprule}{0pt} \setlength{\columnsep}{3zw} \pagestyle{empty} %\setlength{\oddsidemargin}{40pt} %\setlength{\columnsep}{60pt} %\setlength{\baselineskip}{50mm} %\setlength{\textwidth}{21zw} %\setlength{\textheight}{36zw} \topmargin=5mm \oddsidemargin=-3mm %\evensidemargin=0.8cm \textwidth=16.8cm \textheight=23cm %\footskip=mm %\setlength\textheight{36\baselineskip} %%%%%%%%%%%%%%% newcommand %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% \newcommand{\bH}{{\bf H}^3}%%%%%%%%%%%% \newcommand{\bS}{{\bf S}^3}%%%%%%%%%%%% \newcommand{\bR}{{\bf R}}%%%%%%%%%%%%%% \newcommand{\ros}{\rho(s)}%%%%%%%%%%%%% \newcommand{\zs}{z(s)}%%%%%%%%%%%%%%%%% \newcommand{\ths}{\theta(s)}%%%%%%%%%%% %%% Document Start %%% \begin{document} \twocolumn[% \begin{center}{\LARGE 平均曲率が一定な螺旋面について}\vspace{7mm} \begin{flushright} 教科・領域教育専攻\\ 自然系コース(数学)\\ 坪谷 秀雄\\ \vspace{8mm} \end{flushright} \end{center}] \setlength{\baselineskip}{6.4mm} 3次元ユークリッド空間$\bR^3$内の曲面に関する現代的研究は,1827年のガウス(Gauss)の 論文から始まる。曲面の「存在性」と「一意性」の問題は,2変数の偏微分方程式系(即ち, ガウスの方程式とコダッチ(Codazzi)の方程式系)の解の「存在性」と「一意性」の問題に 帰着される。このため曲面に関する一般的な理論及び大域的な性質に関する研究は, 今なお解析学の分野との密接な関連を持って進展している。\\ 極小曲面(即ち,平均曲率が常に0である曲面)の研究は, ワイエルシュトラス-エヌパー(Weierstrass-Enneper)の表現式を通して複素変数関数論と 深い関連を持っており,現在も盛んに研究が進められている。\\ 平均曲率が(0でない)定数である曲面について,次のような研究成果がある。回転面で あるという条件を付加すると,ドローネー(Delaunay)によって1842年に2次曲線(即ち, 楕円,双曲線,放物線)を1つの直線$\ell$上を滑ることなく転がしたときできるこの 2次曲線の焦点の軌跡を,$\ell$の回りに一回転してできる曲面に限ることが示された。 螺旋面(回転面の自然な拡張である曲面)であるという条件を付加した場合の研究は, 1982年にド-カルモ(do Carmo)とダイチャー(Dajczer)によって初めて行われた。 本修士論文の主たる内容は,彼らの論文の紹介である。2つの実パラメーターに 依存する形で,$\bR^3$内の螺旋面で平均曲率が定数である完備な曲面をすべて 記述した。更に,はめ込み(immersion)を具体的に構成することで,任意の螺旋面と 等長である回転面を見いだし,その螺旋面と回転面とを互いに等長的である螺旋面の 1パラメーター族(この族を回転面の随伴曲面(associated surface)と言う)で結ぶことが できることを示した。\\ 本論文は8章で構成されている。特に1〜6章はリーマン(Riemann)多様体の 基礎的な内容を述べた。第1章では可微分多様体の定義,接空間,はめ込みと埋め込み, 向き付け,ベクトル場,位相について述べた。第2章では可微分多様体に リーマン(Riemann)計量を用いてリーマン多様体を定義した。第3章では可微分多様体上の アフィン(affine)接続について述べた。特にリーマン多様体上では計量がアフィン接続に 関して平行であり,捩率(torsion)が0であるようなアフィン接続が一意的に存在する ことを述べた。(これをリーマン接続と言う。)第4章ではリーマン多様体上に, ユークリッド空間の直線の概念の自然な拡張である測地線を定義し,その最短性, 正規近傍や凸近傍について述べた。第5章ではリーマン多様体上に基本的な不変量である 断面曲率(リーマン曲率)を定義した。またテンソルについて述べた。特に断面曲率は ガウス曲率の拡張である。第6章ではリーマン多様体からリーマン多様体への 等長的はめ込み,第二基本形式とガウスの公式やガウス,リッチ(Ricci), コダッチの方程式について述べた。特にガウスの公式は,7,8章において螺旋面の 第二基本形式及び平均曲率を求める際に活用される。\\ 第7章では,$\bR^3$内の定平均曲率$H$を持つ螺旋面について述べた。 なおその平均曲率の符号は曲面に垂直なベクトルの向きによって決定されるので, $H>0$として差し支えない。まず誘導計量が$d\sigma^2=ds^2+U(s)^2dt^2$($U(s)$は 可微分な正値関数)であるような螺旋面の2変数$(s,t)$による表示を得た。続いて その螺旋面の平均曲率が変数$s$の関数であることを示した。その平均曲率が一定で あるときの関数$U(s)$を具体的に決定できた。これをもとに定平均曲率$H>0$を持つ 螺旋面は,次のようなはめ込み$f(s,t)$で表されることを示した。 \begin{eqnarray} f(s,t)&=&(\ros\cos\varphi(s,t),\ros\sin\varphi(s,t),\nonumber\\ &&\lambda(s)+h\varphi(s,t))\nonumber\\ \ros&=&\frac{\sqrt{D(s)}}{2H}\nonumber\\ \varphi(s,t)&=&\frac t{m}\nonumber\\ &&-4hH^2\int_0^s\frac{(1+B\sin2Hs)ds}{\sqrt{E(s)}D(s)}\nonumber\\ \lambda(s)&=&\int_0^s\frac{\sqrt{E(s)}(1+B\sin2Hs)}{D(s)}ds\label{はじめに:002} \end{eqnarray} 但し$a,h$ははめ込みを決定する実パラメーターであり,$B=\sqrt{1-4h^2H^2+4aH},\\ D(s)=1+B^2+2B\sin2Hs,\\ E(s)=1+4h^2H^2+B^2+2B\sin2Hs$である。特に(\ref{はじめに:002})のはめ込みが 完備な螺旋面を定めるための必要十分条件は,$a,h$が$h^2H-\frac{1}{4H}< a0$を持つ任意の螺旋面にパラメーター変換$(\theta,b)\rightarrow(a,h)$を 導入した。まずこの変換が全単射であることを示した。次に任意の螺旋面は, その$\theta$の値に関わらず回転面と等長であることを示した。任意の螺旋面と, 回転面の随伴曲面の第二基本形式の係数を個別に計算し,任意の螺旋面と随伴曲面とが 一致するならばその第一,第二基本形式が一致することから,任意の螺旋面の パラメーター$\theta,b$は$a,h$を用いて具体的に定義できることを示した。\\ 第8章では親空間が$\bR^3$から3次元双曲型空間$\bH$,3次元球$\bS$である 場合の螺旋面を考察した。$\bH$内の可微分な曲線$\gamma$を円柱座標 で$\gamma(s)=(\ros,\ths,\zs),(\ros>0,\ths,\zs$は可微分な関数)と表し, その曲線に螺旋運動${\cal H}_t$を施すことによって螺旋面$\chi(s,t)$の${\bf L}^4$の 標準的な座標における表示を得た。なお$\gamma(s)$を螺旋面$\chi(s,t)$の 生成曲線と呼ぶ。7章と同様に計量$d\sigma^2=ds^2+U(s)^2dt^2,($但し$U(s)$は 可微分な正値関数)を持つ$\bH$内の螺旋面の2種の2パラメーター等長族, 定平均曲率$H\geq 0$を持つ螺旋面を具体的に表示した。そしてその 平均曲率が$0\leq H<1,H=1,1