講座では,特に書式を厳密に定めていないので,自分の好きなレイアウトで作成してかまわない。ただし,「読みやすいこと」が大前提なので,無理やりきちきちに詰めたり,原稿用紙のマス目に書くように間隔を空けたりすることのないように。
なお,参考までに旧教育方法コースで以前から使われてきた形式は,次のとおり。参考までにどうぞ。
句点は「。」,読点は「,」を用いる。
以前は,『心理学研究』では「.(ピリオド)」と「,(カンマ)」,『教育心理学研究』では「。(まる)」と「,(カンマ)」と不統一だったが,『心理学研究』執筆・投稿の手引き(2005年版)で統一された。とくに,読点は統計値の表記や英語文献の表記と不統一にならないよう,「、(てん)」ではなく「,(カンマ)」を用いること。
本文はできるだけ受身形で記述する。
ではなく,
という形になる。
これは,主観的な意見ではなく客観的な記述を心がける,という意味を持っている。言葉のうえだけのことではないか,と思われるかもしれないが,「私は考える」ではなく「~と考えられる」と表現することで,自分の考えだけでなく他の研究も探して論拠を確実にしようという気持ちになる,ということがだいじ。
研究成果をまとめるときも,
と書いたら,たんに知らなかったあなたが,新たに知識を得たというだけだが,
と書けば,みんなで共有できる結論となる。もちろんそう言えるためには,ちゃんと結果と先行研究とを見比べて,研究結果が何を意味しているかを綿密に検討する必要があるわけで,繰り返すが,受身形を使うことで,そういう姿勢を持つようになることがだいじ。
「方法」「結果」の記述は,過去形が基本。論文執筆時点で,すでに終わっていることだから,という単純な理由だ。
外国語は大文字が全角,小文字が半角が原則だが,これは原稿用紙・手書き文字時代の発想。人名など,ひとつの単語内に大文字と小文字が混在している場合,ワープロ文字は,全角・半角が混じるとかえって見にくいので,全部半角文字で書いてよい。とくにプロポーショナルフォントの場合は,全角・半角の区別自体,それほど意味がない。
英字1文字(F,tなど)のみの場合や,群を表す略称(LH群など)などは,必要に応じて全角文字を用いるとよい。
外国語の単語の途中で改行するときは,音節の区切りで切る,。必ず辞書で音節を確認しておくこと。
数字は,1桁の数字や見出しに用いる数字以外は,原則としてすべて半角文字を用いる。全角数字は,間隔が間延びして見にくい。
略語を用いる場合は,最初に出てきたときに,正式名称を示してから略記することを宣言する。
心理テストの名称などでも,略語が用いられることが多いが,その場合も,原則として初出の際にフルスペルで記述しておく。
実験群の名称などでは,簡潔にしようとして,かえって一見して何の略かわからなくなる場合があるので,わかりやすい略語にするよう心がける。とくに,アルファベットの略語はカッコよさそうに見えるが,一目で内容が理解しにくいので,おすすめではない。日本語で略語を考えた方が読者に親切。