鮮新世の代表的な貝化石
タカハシホタテ(Fortipecten takahashii)
この貝は鮮新世に東北日本の内湾性堆積物中より産出し、
滝川-竜の口動物群の代表種とされているタカハシホタテで
ある。現生のホタテガイは捕食者に襲われると、遊泳して
逃げるが、この貝は大きくなると殻が厚くなり過ぎて、泳
げなくなったようである。そのかわり、殻を厚くし、膨ら
んだ右殻を下にして、"氷山戦略"をとることにより、捕食
者から逃れようとした。"氷山戦略"は中生代には効果的方
法だったが、"中生代の海洋変革" により捕食者が急増する
と、あまり効果的な方法ではなくなってしまった。タカハ
シホタテは新生代の貝としては珍しく中生代型の"氷山戦略"
を採用したが、北方の捕食者が少ない環境に生息したにも
かかわらず鮮新世末期には絶滅した。このため、逆に示準
化石として有効な訳で、示準化石の本質は意外なところに
あるのかも知れない。また、この貝は日本海側の鮮新統か
らはほとんど産出していないのも未解決の謎である。
<参考文献>
Hayami and Hosoda (1988) Fortipecten takahashii,
a reclining pectinid from the Pliocene of north
Japan. Palaeontology, 31 (2), 419-444.