記録編 ピッツバーグ 1/4
ピッツバーグの社会科教育
Social Studies in Pittsburgh
上越教育大学・院 言語系
(上越市立城北中学校) 姉崎達夫
 8月10日にデュケイン大学(Duquesne University・・http://www.duq.edu)を訪問した。この大学はペンシルバニア州ピッツバーグ市の高台にある大学で、教育学部には大学院生808人、学部学生590人が学んでいる。ここでジーン・アン・ハトラー(Jean Anne Hattler)助教授から講演をしていただいた。彼女はピッツバーグ市の地理教育の中心的な存在で、積極的に研究を進めている。その後現場の先生二人から実践発表が行われた。ジム・スモイヤー(Jim Smoyer)先生はミドルスクールで28年間教鞭をとってきたベテランで「ザ・リビング・タイム・ライン」という6年生を対象にしたインテグレイテッド・エデュケーション(総合学習)の実践を、ハワード・オーシェル(Haward O'Shell)先生は今年の春に31年の教員生活から引退したミドルスクールの先生で、食物連鎖という題材で6年生を対象とした環境教育の実践を発表した。以下は3人の発表の要旨である。
 1.ハトラー助教授の講演
○多文化国家…コロンブス以前

 我々がよく知っているように、教育制度は文化を反映している。アメリカ合衆国が国家として成立する以前にどのようであったかについて語ることは興味深いことであろう。
 最初に多文化国家のフレームワークを見てみたい。500年前にアメリカは多様性をもっていた。北アメリカ大陸には1500〜2500万人、アメリカ合衆国に相当するところには500万人の先住民が住んでいた。住んでいた部族は数百、話されていた言語も数百に上った。つまり、我々はその頃からすでに文化的な多様性をもっていたのである。このことは現在の教育システムにも影響している。
他文化国家について講演するハトラー助教授
他文化国家について講演するハトラー助教授