記録編 ワシントンD.C
国立アメリカ歴史博物館
NATIONAL MUSEUM OF AMERICAN HISTORY
上越教育大学学校教育学部附属小学校教諭 佐山 幸太郎
 
 1 「アメリカの屋根裏部屋」と呼ばれる博物館
 この博物館は、ワシントンD.C.の通称モールに位置しているスミソニアン協会博物館群の一つである。
 先住民の生活やピルグリム・ファーザースの大陸上陸に始まり、現在の合衆国としての姿までの、文化、政治、科学、技術など幅広い分野にわたってその歴史が展示されている。  とくに各分野の「物・道具」が、どのようにして作り出され、どのように使われ、そして社会や個人生活にとってどのような価値や影響があったのかを示すことに力を入れている博物館である。 8/8
私たちが訪れた日(8月8日)は、夏休み中、土曜日ということもあり、開館前から大勢の人が開館を待っていた。国内観光客が多かったようである。
 2 館内の展示概要
 コンスティチューション通り(Cnstitution Ave.)側は1階、モール側は、2階が入口になっている。モール側から入館した私たちの目をまず引いたのが、地球の自転を確認できるフーコーの振り子と、その後ろに掲げられた9.75×10.4mの巨大な星条旗である。
 この星条旗は、1814年、米英戦争中に掲げられ、感激したスコット・キー(Francis Scott Key)が後の国歌となる「星条旗よ永遠なれ (The Star-Spangled Banner)」の詩を書いた旗として有名である。(注)平成10年10月より、保存性の高い展示に向けてThe Flag Hallから取りはずされることになった。)
 1階には、情報機器(通信、コンピュータ)、農業機械、交通機関、動力、電気、土木技術などの分野別コーナーがある。どのコーナーでも、現在までの合衆国がつくってきた科学と技術の歴史を数多くの展示品から見ていくことができる。
 2階は、社会、文化の歴史展示フロアである。「集会から政治活動へ(女性解放)」「畑から工場へ(アフリカ系アメリカ人の移住)」「産業革命後の生活」「ニューメキシコの歴史」など人々の生活の変遷が「物・道具」を通して紹介されている。また歴代ファーストレディに関する展示もあり、大勢の人が関心を寄せている。
 3階は、技術と社会問題にかかわる展示フロアである。技術に関しては、軍隊、貨幣、印刷、写真、楽器、陶器などの分野別コーナーが設けられている。社会問題としては「A More Perfect Union」のコーナー、第二次世界大戦中の日系アメリカ人の記録が充実している。
 この他に館内には、実際に体験して学ぶことのできるハンズオンのコーナーや、科学や技術の歴史についての貴重な本を所蔵した学術図書館、地階にはミュージアムショップ、レストランも設けられている。