１ 合衆国の愛国心
合衆国の首都ワシントンD.C.にひときわ高くそびえているのがワシントン記念塔である。高さは約170メートル。石造建築物では世界一を誇るという。この塔の建設が始まったのは1848年であるからずいぶん古いことである。途中、南北戦争があったりして工事が中断し、完成したのは1880年であった。だから、よく見るとまん中よりやや下の所で色が変わっていることに気付く。いうまでもなく、この塔は初代大統領ジョージ・ワシントンの功績を讃えて造られたものである。ワシントンD.C.のどこからでもこの記念塔を仰ぎ見ることができる。逆にこの塔の展望台からワシントンD.C.全域を見渡すこともできる。
ワシシントン記念塔から西へ１キロメートルほど行くと、リンカーン記念館がある。ここには白い大理石でできた第16代大統領エイブラハム・リンカーンが、深々と椅子に腰かけ、６メートルの高さから訪れた人を見下ろしている。リンカーンの石像を包み込んでいる記念館は、36本のエンタシスの柱が支えるギリシア神殿を模した大理石造りの建物である。36の柱は、リンカーン大統領が暗殺された当時の合衆国の州の数を表している。
合衆国の歴史に偉大な足跡を残した２人の大統領である。国民がどれほどの信頼と尊敬をこの２人に注いでいるかがよく分かる。ひょっとして社会主義国かと思うほど個人崇拝にも似た雰囲気がある。日本人とは異なる、アメリカ人ならではの愛国心の在り方を感じさせる。
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