テーマ別編 中学校 9/10
多民族・多文化のアメリカ合衆国(エスニックグループの生活)
上越教育大学・院 社会系
(長野県須坂市立相森中学校) 麻田正明
[2] 中学校社会科の授業として
 中学校社会科地理的分野の学習で地域選択方式になっている中、アメリカ合衆国は多くの学校で扱われている。「移民国家」、「多民族・多文化国家」である合衆国を捉えさせる学習は重要である。
 チャイナタウンに代表されるエスニックグループの街の景観とそこでの人々の生活を題材に、写真の風景を丁寧に読み取らせていくことで、移民によって形成されてきた歴史と、多民族多文化が共存している現代のアメリカ社会を捉えていくことができよう。
 チャイナタウンを例にして、その他にもどんな人種や民族がどのあたりにどのくらい住んでいるのかを調べることで、より細かなエスニックグループの存在を見つけだしていくことができる。また最近の急増するヒスパニックについても共通性をたどっていくことができる。
 移民には職を求めて渡ってきた者が多く、その数も増え続けていることから、特にアフリカンアメリカンやヒスパニックに貧困層が多いことが背景になって、スラムが形成され犯罪が多いということも、移民と大都市の問題として関連づけて捉えさせなければならない。
 他の単元との関連としては、中国本土の経済発展と農村の生活の変化の学習と関連づけると、中国についてより多元的に理解を深められる。また、不法入国と労働の問題は交際情勢に位置づけながら日本での出来事と重ね合わせて捉えることができ、日本の諸地域の学習や国際理解をテーマにした発展的な学習も展開できよう。