テーマ別編 小学校 1/6
小学校におけるアメリカ合衆国理解
〜新たな可能性とそのきっかけになる学習材を考える〜
上越教育大学学校教育学部附属小学校教諭 佐 山 幸太郎
1 現行学習指導要領での扱い
1)リサイクル重視から始める単元展開を
 小学校社会において、どのような学習活動で合衆国が取り上げられているだろうか。現行の学習指導要領・社会であたってみた。
○第5学年 内容の(3)のア   【我が国の貿易についての学習】
 我が国の主な貿易相手国と輸出入の品目などを調べて、我が国の貿易の特色について理解を図る学習がある。この中で最大の貿易相手国として合衆国が登場する。
○第6学年 内容の(3)のア   【我が国と関係の深い国についての学習】
 我が国と関係が深い国の学習では、経済や文化などの面でつながりの深い国があることを調べて、それらの国の人々の生活の様子を理解していくことになっている。ここでは第5学年での学習との関連で、経済・貿易面で大きなつながりのある合衆国が取り上げられることが多い。
 実際、小学校指導書社会編では、貿易面での関係の具体例として合衆国をあげている。人々の生活の様子、衣食住の様子の特色、我が国とは違った文化があることなどについて気付かせることをねらっている。小学校社会において、合衆国やそこに住む人々の様子を具体的に扱い、その理解を深めていく学習はここで展開されていく。
(上記の他に第6学年の歴史学習では、ペリー来航以後、我が国の歴史上の事象を取り上げる中で、合衆国とのかかわりが断片的に登場してくる。)
2 新学習指導要領での扱い
 先日、2002年からの新教育課程での学習指導要領案が発表された。同じ内容にあたるところを調べてみた。
○第5学年 内容の(1)のア
 我が国の農業や水産業が、国民の食料を確保する重要な役割を果たしているというとらえ方、つまり両産業を食料生産という大きなとらえ方で扱われている。そしてその食料生産の学習の中で、「食料の中には外国から輸入しているものがあること」が調べる内容として明示された。貿易や運輸の学習が生産との関連で扱われるようになったわけである。
 日本は、肉類、小麦、トウモロコシ、大豆などを、大量に合衆国より輸入しており、どの品目においても第1位の輸入相手国でもある。この辺がさらに強調されていくことと予想される。
○第5学年 内容の(2)
 我が国の工業生産の学習の中で、工業生産を支える貿易や運輸の働きを調べることになった。(1)と同様、生産と貿易や運輸を関連付けた形である。
 近年の産業構造の変化で、「加工貿易国日本」は過去の話となった。輸入品では、原料品の増加以上に、機械機器とくにコンピュータ、半導体等電子部品の輸入額が伸びてきている。これらも合衆国からの輸入が大きく関係している。コンピュータは合衆国からの主要輸入品目第1位となっているほどである。(96年度)