米国理解のための教材開発研究「米国理解を深める社会科教材の開発」
第3集

 米日財団の資金援助により、上越教育大学米国理解プロジェクトの報告書 「米国理解のための教材開発研究、米国理解を深める社会科教材の開発」 第3集が上梓できますことを訪米者20名を代表して深く感謝申しあげます。 学校見学のため、本年度は9月中旬から下旬に米国滞在を設定しましたが、 秋空の下、紅葉のはしりを満喫できましたことは我々にとって非常に嬉しいことでした。 東部ピッツバークの過ごし易い天気から中西部北部のミネアポリス・セントポールでの 冬の前触れのような突然の寒さ、太平洋側サンフランシスコ周辺の日中の高温を航空機の 数時間の移動によって体験できました貴重な機会であると共に、合衆国の広大さを昨年度に 引き続いて実感できました。ちなみに、9月29日付けのロサンゼルスタイムズの天気欄によれば、 ピッツバ―クは晴、華氏38度から67度(摂氏約3度から20度)、ミネアポリス・セントポールが 晴、華氏53度から78度(約12度から26度)、サンフランシスコが華氏54度から70度(12度から21度) であり、最高気温に大きな差はありません。
 本年度は第1回、第2回の研究内容を見直し、自然、特に環境の面から米国理解を促進し、 かつ授業実践を今後、どのように行うかを5月以来の研究会や現地でのミーティングを通じて 参加者の問題意識の向上を計りました。第1回、第2回の研究成果を生かしながらも、 新たな角度からの教材開発を目指したわけであります。具体的な研究内容につきましては 本論を参照して頂きたいと存じます。今回は女性の参加者を倍増したこと、全体行動の他に、 エネルギー交通班、まちづくり班、思想教育班の班行動を中心に活動しました。 全員が個々の研究テーマを追求すると共に、メンバーの研究のサポート役を務めるなど、 内容の濃い研修になりましたことを特筆したいと存じます。
 しかし、早朝からの行動や現地での熱心な聞き取りが予定時間を大幅に超過し、 途中での移動が猛スピードになったことは参加者の疲労を蓄積することになりました。 米国全土に張りめぐされ、舗装の必ずしも良くないフリーウェイをマイクロバスが130キロ で疾走する様は日本では予想もつきませんが、詰まった日程をこなすために必要なことでは ありました。参加者の中には研修の密度のあまりの濃さにダウンしそうになった者も出ましたが、 チームワークで何とか乗り切ることが出来ましたことは幸いでした。参加者が研究会以来、 日に日に友好を深めたことが良かったと考えております。
 帰国後、各自の研究テーマに即して教材開発を継続し、授業実践を行って、その教材の有効性を 検証することを期待しております。参加者も研究の継続性を考慮し一部が3年目に残った他は、 近県の学校を中心に公募し、個性的な参加者を集めることが出来ました。全行程12日間という短い 研修ではありましたが、昨年以上の成果が出せた点を喜び、米国の社会科教材開発と授業実践の一端 を提示致す所存です。


平成12年10月2日
上越教育大学社会系部長(訪米団長)

大 嶽 幸 彦