記録編 ピッツバーク
3.カリフォルニア編

9月25日(月) 全体行動での調査

7:30 ホテル発。
9:10 NW351便 ミネアポリス・セントポール国際空港発。
10:40 サンフランシスコ空港(SFO)着 現地とは2時間の時差(所要時間3時間30分)。
11:50 サンフランシスコ空港発。
13:15 アルタモントパス(Altamont Pass)入口にて橋内宏至氏(東京電力)乗車。
 橋内氏よりこれから見学する風力発電についての資料と概観の説明をいただく。
13:40 アルタモントパス風力発電の全体の見学。
写真21 ウィンドファーム
 最近、ハイブリッドカーのコマーシャルで有名になったアルタモントパスのウインドファーム(Wind Farm)。大きくは西海岸を走る海岸山脈(Coast Range)の尾根伝いでサンフランシスコ湾からの風の通り道になっているこの地で、5000を超える風力タービンが稼動しており、その景観は圧巻であるケネテック(Kenetech)社、フローウインド(Flowind)社など複数の会社があり、また同じ会社でもプロペラ型に加え、どの方向の風にも対応するダリウス型などがあり、一口に風車といっても様々である。一般的なプロペラ型の羽根の直径は大きなもので19mにも及ぶ。
14:30 シーウエスト(Sea West)社のマイク・ウェルチ氏(Mr. Mike Welch)と会見。
 この会社の歴史、現在行っている営業内容、風力発電のメリット、環境面の配慮などの説明あるいは質問に答えていただき、また教材化のビデオ撮影も実施した。(〜15:40)
18:05 マリポサ(Mariposa)着。各自夕食。
写真22 トマト畑
 アルタモントからひたすら東に向かいヨセミテへと向う。ここはカリフォルニア一の農業地帯セントラルバレー(Central Valley)1)で、広大な土地の中で農地が広がっている。トマト、アーモンド、ぶどう、メロン、アルファルファ、綿花、ピスタチオなどなど、実に様々な農業が展開している。ただ、降水が少なく荒涼としており、その中でカリフォルニアアクアダクト(California Aqueduct)と呼ばれるシエラネバダ山中からの水路がサンフランシスコへと続いている。
20:10 ホテル着。
  1)正確にはサクラメント川沿いの北部はサクラメントバレー(Sacrament Valley)と呼ぶのに対し、ここ南部はこれも河川の名前からサンワキンバレー(San Joaquin Valley)と呼ぶ。
(五十嵐 雅樹)



9月26日(火) 全体行動での調査 ヨセミテ国立公園

7:10 ホテル発。
写真23   トンネルビューポイントより
写真24 ブライダルベール滝
写真25 スリーブラザーズ
7:35 トンネルビューポイント(Tunnel View Point)
 天然の岩のアーチ(Arch Rock Gate)をくぐっていよいよヨセミテ渓谷(Yosemite Valley)に入る。谷底を流れるメルセド川(Merced River)には、10m以上もある岩石が至る所に横たわっている。トンネル手前のこの場所では、最初にこの壮大な景観を見た兵士があまりの感動で動けなかったといわれており、別名インスピレーションポイント(Inspiration Point)とも言われる。(〜7:45)
8:05 ヨセミテロッジ(Yosemite Lodge)着。
 途中、ブライダルベール滝(Bridalveil fall)、谷からの比高が1000m以上にも及ぶエルキャピタン(El Capitan)、3つの巨岩が並ぶスリーブラザーズ(Three Brothers)、今は乾季で水がないヨセミテ滝(Yosemite Fall)を見ながらヨセミテ渓谷の拠点のロッジに着き、各自朝食をとる。
10:00
写真26   様々な形態があるガイドツアー
ヨセミテロッジ発(ヨセミテバス)。
 ヨセミテ内のバスの中でガイドより、各ポイントの解説の他、本当に環境を守るためにはどこまで人間の手を入れたらいいのか、火事を起こさないようにするのではなく火事もまた自然の営み・サイクルのひとつだということなど、ヨセミテの雄大な環境を守っていくための基本姿勢について説明を受けた。
11:05 グレーシャーポイント(Glacier Point)着。
 ヨセミテ渓谷の中でもそのまたランドマークになっているハーフドーム(Half Dome)を対岸のポイントより望む。その景観に圧倒されるが、ハーフドームの谷側は広いU字谷になっており、かつて氷河が存在したことを物語っている。(〜12:10)
13:35 ヨセミテロッジ着。
 ヨセミテ滝の真下に行くなど、各自がそれぞれのトレイルを利用して、自然と人間が一体になったヨセミテの環境を実感した。
15:00 ヨセミテロッジ発。
15:25 バレービュー(Valley View)
 途中、標高2147mのエルキャピタンでは、垂直に切り立った壁を登るクライマーが双眼鏡でも豆粒ぐらいの大きさで見えた。これらのクライマーは数日かけてここを登っていくのだが、自然保護の見地から登る前と同じ状態で帰らなければならないので、自分の排泄物は当然持ち帰らなければならない。ヨセミテの景観は、日本の上高地とも非常に類似する部分もあり、このバレービューにおいても、梓川と雰囲気が似ている。そして、ここでもマイカー規制が検討されているといわれているが、自然保護のあり方を日米の比較を通して追究していかなければならない。
(〜15:35)
19:50 サンフランシスコのホテル着。
(五十嵐 雅樹)



9月27日(水) サクラメントで班別調査

エネルギー・公共交通班

8:00 サンフランシスコのホテル出発。
写真21   鉄道博物館へ
9:30 サクラメントに到着。鉄道博物館の周囲を散策。
10:00 鉄道博物館を見学。館内ツアーのボランティア解説者の方が大変熱心で、一つ一つ詳しく、またていねいに説明をしてくれた。その後売店にて資料を購入。
11:30 食事。
12:40 スクールバッグという州の教育関係の書籍などが充実した本屋にて資料収集した。
14:00 サクラメント市を出発。
16:00 ホテル到着。
(姉崎 達夫)



まちづくり班


8:00 ホテル出発。
 高速80号線を経由、その後高速5号線から州道99号線を通って、サクラメントの郊外のニコラス(Nicolas)に向かう。出発時間が早かったせいか、心配した交通渋滞もなく2時間あまりでサクラメント市に着く。途中農業関係で有名で、農家にもいろいろ技術指導をしているというカリフォルニア大学セントデービス校のそばを通る。
10:05 スパングラー(Spangler)農場の稲のドライヤーを見学。
 経営者の1人のゲイリー・スパングラー (Gaily Spangler)さんに話を伺う。果てしなく広がる水田と1農場が所有するには大規模なドライヤーの設備に圧倒される。
 次に農業機械の修理工場(私有)・車庫に案内してもらい、主に米に関するトラクター、コンバインなどを見学する。そばには自家用ガスステーションもある。
11:40 米の収穫の様子を見学。
 米は中粒種カリフォルニア米である。予定時間をはるかにオーバーして熱心に説明してくださったスパングラーさんに感謝する。彼の研究熱心さがあれば、いつか日本人の舌にあうような米が収穫できるようになることだろう。
12:40 オールドサクラメント着。
 おもちゃの家・おとぎ話に出てくるような19世紀の中ごろの古い町並みがそのまま残されている一角で昼食を取る。
14:05 州庁舎を外から見学。
 サクラメントは以前は治安が悪かったそうだが、新しくデパートやショッピングモールができてからは、環境が良くなったそうである。
写真34   サクラメント港の穀物エレベーター
14:00 サクラメント港(Port of Sacrament)着。
 サクラメント港を外から見学する。
15:50 80号線を戻りホテル着。
(高山 庸子)



環境思想・教育班

 思想・教育班はサクラメント(Sacramento)にあるウォルドルフスクール (Waldorf School) とルドルフ・シュタイナー・カレッジ(Rudolf Steiner College) を視察した。
写真35   ウォルドルフスクール生徒の作品
 ウォルドルフ学校はルドルフ・シュタイナー(1861-1925)の精神を具現するための学校である。シュタイナー教育は「エポック授業、8年一貫担任制、テスト・通信簿なし、芸術の重視」を特色としている。担任が大人として生徒である子どもに教えるという形態で授業が進められている。教育は芸術と深く結びついているが、芸術家の養成学校ではない。シュタイナー教育の最終目標は、自分の人生に、自ら意味を与えることのできる人間を育てることである。ウォルドルフ学校はサクラメントの郊外にあり、教室は図工室のような雰囲気の所が多い。
 ルドルフ・シュタイナー・カレッジはルドルフ・シュタイナーが提唱した「人智学」に基づいた教育を行う非常にユニークな大学である。日本人学生も多く見られた。授業の内容は「人智学入門」「ゲーテの科学」「内的エクササイズ」「アート」などで、知識を学ぶというより、「自分の内面と世界との出会い」とか「自己発見の道」などのキーワードで示されるように、講義・実践・作業を通して自分を磨くような教育が行われている。ルドルフ・シュタイナー・カレッジの規模は小さく、キャンパスもこじんまりとしていて学生と教官が家族的な雰囲気がある。我々は学生や教官とともにキャンパスの一角の屋外で昼食を食べた。
(我妻敏博・柳川幸子)



9月28日(木) サンフランシスコ・シリコンバレーの調査(まちづくり班中心)

7:35 ホテル発。
 徒歩でケーブルカー乗り場まで10分ほど歩く。思ったより坂の勾配がきつい。
7:50
写真36   坂の上よりサンフランシスコ湾を望む
ケーブルカーに乗車。
 パウエル・ハイド線の終点のフィッシャーマンズワーフ(Fisherman's Warf) まで乗る。文字通り、サンフランシスコ全景の様子を体感する。維持も大変だと思うが、このままぜひ残しておいてほしいものである。
8:10 フィッシャーマンズワーフ着。
 ピア (Pier) 39まで歩き、海岸線を観察する。ギラデリスクエア (Giradelli Square)を外から見学する。ここも都市再開発地域であるが、以前より、再開発がうまくいっているという評判だそうだ。あいにく早朝なのでまだ町は眠っている。
8:50 フィッシャーマンズワーフのホテルで、今日のバスドライバーと合流する。
9:10 ソーサリート (Sausalito) に向かう途中、ゴールデンゲートブリッジ (Golden Gate Bridge) をフォートポイント (Fort Point) で海岸線を調査する。
9:25 都市再開発地域であるクレッシーフィールド (Crissy Field) に到着。
 ここも再開発されたばかりで、地元に住んでいるドライバーも知らなかった。この地域は営業用・観光用のバスの乗り入れが禁止されている。日本の江ノ島あたりの住民が聞いたら、きっとうらやましがることであろう。
9:50 ソーサリート着。
 ギャラリーの多い海岸線沿いの通りをしばし散策し、市内に戻るためのフェリーの到着を待つ。
11:30 海上よりサンフランシスコ市街地観察するため25分間フェリーに乗船。
11:55 フェリービル (ferry building) 着。
 フィッシャーマンズワーフに向かう途中、都市再開発地域であるソーマ (South of Market/SOMA) を通る。たとえ日中でもここを歩くことは危険なので、バスから見学する。昼食は、人のにぎわうフィッシャーマンズワーフでとる。
14:00 スタンフォード大学着。
 教会など歴史的建造物を見学したあと、書籍売り場まで親切な台湾からの留学生が案内してくれる。残念ながら、広大なキャンパスも、興味深い文献も見る時間は十分にはとれなかった。
15:10 インテルミュージアム (Intel Museum) を見学。
 シリコンバレー (Silicon Valley) のほんの触りだけでも見ることができて感激した。生徒に見せることができたらどんなに喜ぶことだろうか。
17:30 ホテル着。
 1日で3日分くらい見学できた、充実した1日であった。明日はいよいよ帰国だが、せめてあともう1日サンフランシスコを見学する事ができたらと、皆で話し合った。

(高山 庸子)


帰路
  9月29日 13:40 NW027便 サンフランシスコ国際空港発。
  9月30日 17:10 成田着(所要時間11時間30分)。