□スタンダード11:人文的システムB
■地表の経済的相互依存のパターンとネットワーク
幼稚園〜第4学年の認識目標:第4学年までに児童は以下のことを知り,理解する。
1. 経済活動の立地と空間的分布
2. 経済活動の立地と空間的分布に影響する要素
3. 日常生活で使われる輸送機関や通信ネットワーク
幼稚園〜第4学年の技能目標:第4学年までに児童は以下のことができるようになる。
A.世界の異なる場所における人々が,どのようにして生計を立てているか。例えば以下のようなことができることによって例示される。
A-1.世界の様々な地域における商品やサービスの生産を通して,人々がその基本的要求や入用を満たしている方法を叙述し,比較する。(例:開発途上社会と開発された社会における食物販売に対する食物栽培や同一のアメリカ合衆国の州における都市部の経済活動に対する農村部の経済活動)
A-2.地域間の経済的な結びつきを示す地図を使い,どのように貿易が各地域において人々が生計を立てるのに影響しているかについての一般 的な根拠を記述する。(例:西南アジアから世界の工業化されたエネルギーの乏しい地域への燃料の流れ;太平洋の端に位 置する国々からアメリカ合衆国への電気機器の流れ)
A-3.食物や衣料や家庭用品を生産している場所やそれらの品物を作るための原材料の出所を示す地図を作ることによって,どのように異なる場所における人々が生計を立てるかを叙述する。
B.経済活動の位置を確認し,分類する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
B-1.経済活動のタイプによって社会における土地を分類し,異なる使用を示す地図を準備する。(例:産業的利用,レクリエーション的利用,商業的利用,住宅的利用)
B-2.都市部における経済活動のパターンを理解するための地図を使い,そのパターンの理由を示す。
(例:中心業務地区,工業地域,ショッピングモール,娯楽とレクリエーションのための場所,政府サービスセンター)
B-3.地域,州,国家における天然資源を使う経済活動(例:農業,鉱業,漁業,林業)の立地を確認し,これらの地域に対するそれら経済活動の重要性を叙述する。
C.経済活動の立地における重要な要素を認識する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
C-1.関連する業務とか他の経済活動集団の立地を確認するために電話帳やコミュニティの地図を使い,それらがなぜどこに立地するか示す。(例:医療品や白衣販売店,研究室,医者の事務所は病院近くにある;主要な輸送路近くの倉庫と工場,主要なハイウェイにおける自動車販売店の集積;非常に便利な所にあるファーストフード,レストランは人口密集地区の近くにある)
C-2.消費財(例:清涼飲料,パン,コンパクトディスク,野球のバット)の一覧を準備し,それぞれを生産するのに必要とされる原材料や製造工程を確認し,それらの製品が原材料地の近くで作られるか,またはそれらを購入する消費者の近くで作られるのかどうかを判断する。
C-3.児童の住む地域で作られる農業生産物を一覧にして,それらがどこで加工されるかを確認し,どのように分布しているか地図にあらわす。
D.人々,製品や考えを,ある場所からある場所へ移動するために使われる輸送や通信の手段を認識する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
D-1.世界の異なる部分における諸国の一人当たりの自動車台数を示すグラフや地図を準備することによって,他の国々に対するアメリカ合衆国における自動車輸送の重要性を比較する。
D-2.特定の製品や目的のための輸送手段(例:大きく重い品物のためのはしけや貨車;高値の生鮮食品のための飛行機;液体やガスのためのパイプライン;都市の通 勤のための自転車,軽鉄道,自動車)の利点と欠点を一覧にして,叙述する。
D-3.いかに輸送や通信が変化し,取引や経済活動に影響したかを示す年表と地図を準備する。(地域は経済的に特殊化できる;改良された道路や冷蔵車で,さらに新鮮な果 実や野菜が季節はずれに入手できる;輸送や通信システムの改善につれて地域や国や世界の市場は広がる)
第5年生〜第8年生の認識目標:第8学年の終わりまでに児童生徒は以下のことを知り,理解する。
1. 経済活動を分類する方法
2. 世界的な相互依存の根拠
3. 経済活動の空間的パターンの理由
4. 技術,輸送や通信の変化がいかに経済活動の立地に影響を及ぼすか
第5年生〜第8年生の技能目標:第8学年までに生徒は以下のことができるようになる。
A.地理的な内容で経済活動を叙述するために使われる主要な用語の一覧をつくり,定義する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
A-1.世界的基準で3つの第一次産業(例:石炭採掘,小麦栽培,鮭漁)を定義し,地図にあらわす。
A-2.3つの第二次産業を定義し,地図にあらわす。(例:製鉄とその生産に不可欠な世界的資源の動き,靴の製造と原材料に関連する世界的な取引)
A-3.第三次産業を定義し,それが様々な定住に対して基本的役割を果たしている状況を説明する。(例:レストラン,劇場,ホテル;ドラッグストア,病院,医師の事務所)
B.商品やサービスを配達するためにつくられたシステムの空間的状況を説明する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
B-1.製造から使用までの製品(例:鉛筆,自動車,コンピュータ)の動きを図解する。
B-2.ある年のアメリカ合衆国の主要な輸入品と輸出品を一覧にするために資料を使い,貿易のパターンを認識するために,それら商品をアメリカ合衆国と貿易している国々の位 置を地図にあらわし,それらのパターンの理由を示す。
B-3.世界貿易における様々な妨害(例:戦争,天候や他の要因による不作,労働争議)を取り上げて,世界の様々な部分の人々に対するそのような妨害の強い影響を見積もる。
C.経済活動の空間的分布に関係した問題を分析し,評価する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
C-1.児童生徒自身のコミュニティまたは他のコミュニティにおける経済活動の位置を確認し,周囲の地域に対するそれらの強い影響を評価する。
C-2.小規模の小売り施設(例:街角の雑貨店,ガソリンスタンド)が徐々になくなる影響を叙述する。
C-3.大きな工場または他の経済活動が離れて別の場所に移動する時のコミュニティにおける経済的で社会的な強い影響を分析する(例:ミシガン州からの自動車工場の移動,ノースカロライナ州からの繊維工場の移動,テキサス州オースチン地区へのコンピュータ工場の移動)
D.世界貿易の基本的な地理的理由を認識し,説明する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
D-1.なぜ,どのように国々が貿易するか説明するために比較優位理論を適用する。(例:香港製の消費財,中国製の繊維,ジャマイカ産の砂糖を結びつけた貿易の利点)
D-2. 国際貿易の流れを確認し,地図にあらわす。(例:エチオピアとコロンビアからのコーヒー,グアテマラからのバナナ,韓国からヨーロッパや北アメリカへの自動車)
D-3.原材料を主として輸出している国々や主として燃料や製品を輸入している国々における理由や結果 を示す。
E.歴史的な経済的取引のネットワークと現代の経済的取引のネットワークを分析する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
E-1.北アメリカ,アフリカ,ヨーロッパを結んだ16世紀と17世紀の三角貿易路を地図にあらわして,いかにその貿易がそれらの大陸に影響したか説明する。
E-2.移民労働者の国家や世界におけるパターンを図にする。(例:奴隷の使用,外国人労働者,アメリカ合衆国における季節的な移民労働)
E-3.帝国主義の下での経済的関係を分析するために資料を使う。(例:18世紀と19世紀におけるアメリカ大陸の植民地とイギリス,20世紀のベルギーとコンゴ)
F.米国の工業立地に影響する要因を確認し,説明する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
F-1.米国における製造地帯の歴史的繁栄と持続性を地図にあらわし,説明する。
F-2.地理学や生産の諸要素が製造工場(例:鋼鉄,航空機,自動車,食肉製品,他の食物製品を製造する工場)の立地を決めるのをいかに助けたかという見地から米国の主要工業について話し合う。
F-3.主要工業(例:製鉄,家具生産)の変化する空間的パターンを叙述する。
G.経済活動の開発における輸送と通信の歴史的システムや現代的システムの役割を比較し,評価する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
G-1.品質,効率,速さのような因子に関して,現在の輸送,通信のシステムと過去のものを比較する。
G-2.輸送や通信の革新が経済的相互作用にどのように影響を及ぼすかについて,いくつかの一般 的結論をつくる。(例:冷房の効く鉄道車両,航空貨物サービス,パイプライン,電話サービス,ファクシミリ伝送サービス,衛星通 信システムの影響)
G-3.ある期間にわたって世界の主要な港で扱われた積み荷の種類を比較し,その変化の理由を示す。
第9年生〜第12年生の認識目標:第12年生の終わりまでに生徒は以下のことを知り,理解する。
1. 経済体制の分類,特徴,空間的分布
2. 様々な大きさの場所がどのように経済活動の中心として機能するか
3. 増加している世界の国々の経済相互依存
第9年生〜第12年生の技能目標:第12年生までに生徒は以下のことができるようになる。
A.主要な経済体制の空間的分布を分類し叙述し,生産性に関するそれらの優劣と労働者の社会福祉を評価する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
A-1.伝統経済,指令経済,市場経済体制の特徴を叙述し,そのような体制が特定の諸国でどのように行われているかを示す。
A-2.異なった経済体制の利点と欠点を評価するために多様な観点を使う。(例:中国の経済学者によってみなされた失業に対する日本の経済学者によってみなされた失業)
A-3.ある国がある経済体制から他の経済体制に移行した過渡期における地理的な問題を認識する。(例:前のソビエト連邦における指令経済体制から市場経済体制への移行)
B.経済体制の空間的側面を確認し,評価する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
B-1.主要な会社の周囲にある市場範囲を認識する。(例:スーパーマーケット,ショッピングモール,銀行,ディスカウントセンター,テーマパーク)
B-2.市場範囲がどのように機能地域の例であるか説明する。(例:新聞が配布される範囲,テレビが視聴できる範囲,ラジオが聴ける範囲)
B-3.なぜいくつかの場所は組立や部品の流通センターとして場所的な利点を持つのか説明する。(例:ノースカロライナ州における家具製造と組立;メキシコ北部の電子機器組立;地方のトラック運送施設近くにある大規模な自動車部品販売会社)
C.様々な居住パターン,それらに関連する経済活動,相対的な地価の間の関係を分析する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
C-1.地価と顕著な都市的な特徴の間の空間的関係を分析する。(例:中心業務地域,公立の公園近くの空き地,顕著な自然的な特徴[例:ウォーターフロント,土地の高さ,卓越風の風向])
C-2.土地の区分された使用と地価の間の空間的関係を説明する。(例:計画されたコミュニティにおける軽工業のための工業団地に対する合併されていない都市化が進む地域における格安商店街)
C-3.経済的因子を工業や商業の特別なタイプの立地と関連づける。(例:地価,輸送,集積,公共料金に関する最小費用立地)
D.人々や商品の歴史的な移動パターンと経済活動との関連を確認し,分析する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
D-1.帆船(例:大陸の海岸に沿って調査したり,卓越風や海流を利用する探検家)の時代における早期の貿易路の空間的パターンを分析する。
D-2.モノカルチュアに帰着した土地利用パターンについて話し合う。(例:カリブ海の砂糖農園,バージニア州のタバコ農園,スリランカの紅茶農園に帰着したヨーロッパの植民地支配)
D-3.主要な運河が開発される前と後での世界貿易路(例:スエズ運河が開かれる前後での西ヨーロッパとアジアの航路)を比較し,世界貿易において発生した変化を説明する仮説をつくる。
E.空間的な観点から国際的な経済問題を分析し,評価する。例えば以下のようなことができることによって例示される。
E-1.地価が外国資本の投資によってどのように変化するかもしれないかを説明する。(例:カナダの他の地域からや香港からの人々が居住して仕事を行うために新しい土地を探した1990年代のブリティッシュコロンビア州の地価の上昇,カナダやドイツの投資の結果 としてのドミニカ共和国のリゾート地域の地価の上昇)
E-2.国際的な負債危機(例:外国資本の損失や下部構造開発を完了しないことに関する出来事)の原因と地理的結果 に関して熟慮した上で論議を組み立てる。
E-3.外国人所有の会社が土地を購入したり,工場をはじめたり,もしくは他の種類の事業を経営したりすることを可能にすることの利点や欠点を評価する。(例:恐らくは財政赤字や投資機会の損失に帰着する主催国からの資本の流出,それに対する投資している国の貿易機会の結果 的な増加)