□スタンダード15:環境と社会
■いかに自然的なシステムは人文的なシステムに影響を与えるか。
幼稚園から第4学年までの認識目標:第4学年の終わりまでに児童は以下のことを認識し理解する.
1. 人文的な環境に影響を与える自然環境の差異の空間的なパターンは,どのように生じるか。
2. 自然環境が,人々に機会を与える方法
3. 自然環境が,人間活動を抑制する方法
幼稚園から第4学年までの技能目標:その結果児童達は以下のことができるようになる.
A. 人類が自然環境の違いに適応する方法について述べる。例えば以下のようなことができることで例示される。
A-1 人類が自然環境に適応する方法について列挙する。(例:衣服の洗濯,住居の形式,農業の慣行,レクリェーション活動,食べ物,毎日または季節による生活の様式)
A-2 児童の地域社会や地域,または州における異なるグループのアメリカ原住民の伝統的な生活方法について比較し,いかに彼らが利用可能な自然的な資源に適応しているかに関する結論を引き出す。(例:平野の人々の野牛に対する依存,五大湖地域の肥沃な土壌から生産される作物に対するイロコイ族の依存,北東部および太平洋岸北西部の人々の漁業への依存)
A-3 いかに自然環境が建築資材や建築様式に影響を与えるか,あるいはいかに人々が建築様式を利用可能な建築資材に適応させたかを述べるために,児童の地域社会や,地域,あるいは合衆国の中の他の地域における異様々な時代の住宅の図を用いる。(例:グレートプレーンズの芝の家,初期のテキサスの洞穴,合衆国東部の森林地域における丸太小屋)
B. 自然環境が人々に与えている機会について認識する。例えば以下のようなことができることで例示される。
B-1 児童の地域社会がどのように自然環境から利益を得ているかについて述べる。(例:人々は,肥沃な土地での農業や,地域の水域での漁業,あるいは鉱山で働く;地域社会は,自然の湾に位 置する港や,景色が良い場所,歴史的な地域にある観光の中心地,あるいは,天然資源への交通 の便がよい工業の中心地に位置している。)
B-2 農業活動,住居の様式,燃料 の消費量や,その他の児童の地域社会や州における活動に対する気象や気候(例:気温の範囲,降水の分布,生育期の長さ,暴風雨の期間,日照時間 )の影響を評価する。
B-3 最初に移住者を引きつけた地域社会の自然環境の特徴および,環境が現在提示しているる,いかに人々の環境に対する見方が技術や文化の変化に伴って変化するかという結論に至る機会について述べる。
C. 人間活動がどのように自然環境から抑制を受けているかについて認識する。例えば以下のようなことができることで例示される。
C-1 自然環境が,児童の地域社会や,地域および州における日常的あるいは季節毎であったり,恒久的な観点での活動に対していかに抑制を与えいるかについて述べる。 (例:農業,レクリェーション活動,水の利用度,定住地の拡大に対する気象や気候の影響)
C-2 世界の異なる地域における気候の特徴と,それがそこで生活する人々の生活にどのように影響を及ぼすかについて述べる。(例:永久凍土地域,年間降水量 が200インチを越える地域,あるいは年間を通してほとんど雨がふらない地域に住む人々はどのように影響を受けているか)
C-3 地形によって人間活動がいかに制限されるかについて説明する。(例:移住や輸送を妨げる山岳,崖,沼,建築の基礎として適さない地下の岩石,農業や住居には傾斜が急すぎる斜面 )
D. 自然環境の中で自然災害の場所を捜し出し,記述する。例えば以下のようなことができることで例示される。
D-1 児童たちの地域社会や地域,州で起こる自然災害(例:洪水,暴風雨,竜巻,あるいは地震)について定義し,その事例を与える。
D-2 児童たちのまわりの自然環境の中で起こる自然災害について,他の同様の環境のもとで起きているものと,その場所や規模,頻度および人々に対する影響について比較する。
D-3 ある期間における児童たちの州や合衆国の他の地域における自然災害の発生に関するデータを集めて,「州または国における月別 の自然災害の場所と様式」と題される地図を作成する。
第5学年から第8学年までの認識目標:第8学年の終わりまでに児童・生徒は以下のことを認識し理解する.
1. 自然的なシステムの変化に対する人間の対応。
2. いかに,様々な自然環境の特徴は,人類の活動の機会を与えたり,あるいはそれに制約を与えたりするか。
3. 自然災害がどのように人間活動に影響を及ぼすか。
第5学年から第8学年までの技能目標:その結果児童・生徒は以下のことができるようになる.
A. 人文的なシステムが自然環境の状態に応じて発展する方策について分析する。 例えば以下のようなことができることで例示される。
A-1 土地利用,経済的な生活,建築物の建築学的な様式,建築資材,交通の流れ,レクリエーション活動や他の文化的な面 に関する視覚的,統計的なデータを児童・生徒自身の地域社会やその他の地域の地域社会から集め,いかにその形式が自然環境の影響を受けているかを判定する。
環境の異なる地域における農業生産システムの比較を行う。(例:肥沃で平坦な土地と,それほど肥沃ではなく起伏の多い地形の土地での農業的土地利用の比較)
A-3 人間活動に対する自然環境の望ましくない変化の影響を推定して,人々がどのように様々な事例における問題を軽減しているかを示す。(例:上水の供給が長く続く干ばつのために半減された場合,都市部が数週間に及ぶ洪水にさらされた場合,或いは,人口の非常に多い地域が長引く群発地震に襲われた場合)
B. 様々な自然環境の特徴がどのように人間活動に影響を及ぼすかを説明する。例えば以下のようなことができることで例示される
B-1 様々な自然環境に適応した人々の生活の仕方に関する情報を収集し,自然環境がどのように各々の地域の生活に影響を及ぼしているかについて要約した小文を書く。(例:シベリア,アラスカ,その他の高緯度地域に住む人々は,凍上,春期の融雪洪水,公共機能の凍結,極めて短い生育期間,不毛の土壌,輸送の障害となる沼地といったツンドラの環境の特徴にどのように対処しているか)
B-2 人々が人間活動の場所に決める際に,環境面についてどのように考慮するかについて例を与える。(例:水力発電による動力の利用に関して有利であった河川沿いや,川の瀑布線における初期のアメリカの産業の発達)
B-3 人口分布の地図を環境の状態(資源の分布,降水量,気温土壌の肥沃度,地形,環境容量 などを表した地図と比較し,人口密度と環境の状態の間の関係について述べる。
C. 人文的なシステムに対する自然災害の影響について述べる。例えば以下のようなことができることで例示される。
C-1 世界やアメリカ合衆国の中の様々な地域における人類と自然災害との関係について述べる。(例:経済や産業の発達の程度の影響は,エチオピアの人口に対する干ばつの影響と,オーストラリアやアメリカ合衆国南部の人口への干ばつの影響との比較においてどのようにあらわれてくるか。)
C-2 自然災害を,人間への影響の激しさに基づいて位置づける。(例:事象の長さ,死者の総数,経済的な損失の総量 ,社会的な影響,長期的な影響,関連した災害の発生の度合い)
C-3 人間の自然災害に備えての対策の方法について説明する。(例:地震対策,氾濫原地域において支柱の上に住居を建築する,台風が頻繁に襲来する地域での避難地や避難路の設定)
第9学年から第12学年までの認識目標:第12学年の終わりまでに児童は以下のことを認識し理解する。
1. 自然環境の変化はどのように人間活動を支える能力を減少させるか。
2. 人文的なシステムが自然環境から受ける制約に対応する方策。
3. どのように人間は自然災害にが気がつき,そして対応するか。
第9学年から第12学年までの技能目標:その結果生徒は以下のことができるようになる。
A. 自然環境が人間活動を支える能力を減少させる,自然環境の変化について分析する。例えば以下のようなことができることで例示される。
A-1 環境の限界を越えた事によって起こりうる結果を予測するために,選ばれた地域の環境容量 について記載し,評価する。(例:壊れやすい北極圏の環境の中でのシベリアにおける資源の経済的な開発の影響)
A-2 過剰な利用によって環境の状態や人口を支える能力が減少した状況においては人類の圧力に対する自然環境能力が限られることに関する同時代あるいは歴史上の事例研究を作成する。(例: 旱魃による被害を受けたサヘル,中央アフリカの熱帯雨林の激減,グレートプレーンズの黄塵地帯 )
A-3 協力作用,フィードバック循環,環境容量,閾値の概念を用いて,異なる環境における自然的なシステムの,人間活動の影響に耐えうる限界を述べるためのモデルをつくる.
B. 自然的なシステムによって人文的なシステムに課された限界に対してどのように適応あるいは克服するかを示すために,「成長の限界」の概念を適用する.例えば以下のようなことができることで例示される。
B-1 自然環境において認められた成長の限界について述べ,技術や人類の適応によって人々がそのような環境の容量 どのように拡大することができるかについて述べる.
B-2 植物の成長を制限し,その結果人間の定住地の拡大にも制約を与える土壌のタイプ(例:限られた養分, 高い塩分濃度,浅い深度の土壌)について,その条件と,分布している場所を述べる.さらにそのような土壌が分布する地域の代替利用方法を示す.
B-3 成長の限界が,重要な意味を持つ自然環境を(例:極めて寒い,あるいは乾燥した,湿潤な気候,または,山地や海岸地域の環境)認識し,人類がこのような環境に陥る恐れがある条件について述べる(例:人口の増加引き起こす周辺地域への圧力),さらに,そのようなストレスを軽減させる計画を立てる.
C. 異なった環境のもとで,個人および社会が自然災害に対して異なった認識を持ち,それらに対して様々なやり方で対応する経緯について説明する。例えば以下のようなことができることで例示される。
C-1 様々な自然災害が起こっている間,あるいはその前後におけるグループあるいは個人の対応に関する事例を集める,さらに,世界の様々な地域における自然災害に対する異なる対応について要約する.
C-2 自然災害に対する人々の態度,認識,対応を評価するためにインタビューを行い,現れてくるであろうパターンを説明する(例:宗教の信仰の影響,社会経済的な状態,過去の経験や,その他の要因の災害に対する認識と対応への影響).
C-3 自然災害による損害を抑制するための人類の試みの効果について評価し,自然災害の多い地域にすむ人々がどのようにして彼らの環境に適応していったかを説明する.(例:激しい嵐の被害を被りやすい海岸地域における防波堤の使用,環太平洋火山帯の様々な地域における耐震建築の適用)