スタンダ−ド3:地球上における人々,場所,環境の空間的構造の分析の仕方

幼稚園〜第4学年の認識目標:第4学年までに児童は以下のことを知り,理解する。

1.点,線,面,かさの空間的要素

2.位置,距離,方位,縮尺,移動,地域の空間的概念

3.地球上を空間的に分割している場所と特徴

4.地球上の空間的な相互作用の原因と結果

幼稚園〜第4学年の技能目標:第4学年までに児童は以下のことができるようになる。

A.点,線,面,かさの空間的要素に関する地球表面のことを分析する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

A-1.4つの空間的要素の自然的・人文的特徴を認識するために簡単な地図を使う。(例:位置(点),輸送・通信経路(線),地域(面),満水の湖(かさ))  

A-2.4つの空間的要素を利用して様々な場所のダイアグラムを準備する。(例:学校や児童の家を示すダイアグラム(点),家々をつなげている道路(線),学区(面))  

A-3.一番良い経路を決めるために,到着するのが一番易しい地域社会を考えるために,到着するのが一番難しい地域社会を考えるために,地域社会間の輸送機関を示すために地域の地図を利用する。

B.場所の空間的構造を叙述するために位置,距離,方位,移動,地域の空間的概念を利用する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

B-1.物語での場所の空間的構造を叙述させる。(例:距離,方位,位置の概念,2つの家の相対的位置・距離,狼や『赤ずきんちゃん』の方向や移動を調査するために『赤ずきんちゃん』のような童話を利用する。)

B-2.地図上でクラスメートの家や学校を探し出す。家から学校までの距離を測る。家から学校への方位を測定する。児童の通学経路を認識し,家の位置を示す地図をつくる。

B-3.2地点間の距離を,マイル,キロメートル,時間,感覚により測定し,様々な方法で距離を測定するという結論を導く(例:異なる輸送機関を使った場合のある地点から別の地点までの時間と費用の対比)。

C.地球上の場所の様式と密度を観察し,比較する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

C-1.空間的な様式や連携を認識するために地図や空中写真で分布状況を観察する。(例:ファ−ストフ−ド店の位置と交通の便の関係)

C-2.地図上の地図のごばん目の中の特徴の密度を計算する。(例:点を打つためにごばん目を使い児童の家の位置の数を数え,密度に従ってごばん目の方形に色を塗る。)

C-3.自然によってつくられた状態を観察するために自然的特徴を表した地図を利用する。(例:河川系の排水流域,アパラチア山脈における山脈と渓谷の様式,山脈の風上側,風下側の植生)

D.場所の位置を分析し,人類の活動がなぜ特定の位置において生じるのか考える。例えば以下のようなことができることによって例示される。

D-1.重要な場所に位置しているコミュニティ−のスケッチマップか模型をつくり,近接性の概念を使ってサ−ビス施設,商業施設家,公共施設,消防署,学校の位置を説明する。

D-2.特定の活動にとってはある位置に存在することが望ましいという理由を認識する。(例:ガソリンスタンドやコンビニエンスストアが主な通りの交差点にあることが多い,医師の事務所が病院に近い)

D-3.地域社会の大切なサ−ビス施設の位置を観察し,地図に表し,なぜその位置なのかを考える。(例:街灯,電話ボックス,ポスト,消火栓)

E.場所の間の関係を認識し,空間的相互作用の原因,結果を説明する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

E-1.他国の影響を受けた文化の文化的特質を探し出す。(例:17世紀から19世紀にかけての奴隷貿易の結果として起きた,食べ物,言語,音楽,習慣といったアフリカからアメリカへ移入された文化的特質を探し出す)

E-2.国や世界の異なる地域と関連していることを地図に表すために,着物,缶詰等の商品にラベルを貼り,地図の特徴を読み取って短い文を書く。

E-3.地域が3日間にわたって外界から孤立した(燃料,新鮮な果物や野菜,トラック輸送,郵便等による他地域とのつながりが断たれた生活)と想定して文を書くか,劇をする。

第5学年〜第8学年の認識目標:第8学年までに児童・生徒は以下のことを知り,理解する。

1.空間的様式を叙述するための空間的要素の利用法

2.空間的構造を説明するための空間概念の利用法

3.いかに空間的方法により空間的構造の様式を形成するか

4.いかに空間的構造を模式化するか

第5学年〜第8学年の技能目標:第8学年までに児童・生徒は以下のことができるようになる。

A.空間的な様式,配置,提携に関する自然的・人文的特徴の分布を分析し,説明する。例えば以下のようなことができることによって例示される。  

A-1.人類の分布に関連する現象(例:資源,地形,気候,水,文化的家庭)を発見するために分布図を分析する。

A-2.ドットによる分布図を利用して合衆国や世界の農業生産(例:小麦,養豚,じゃがいも,大豆)の様式を考える。また,その様式と気候,地形,土壌といった自然的現象を関連付ける。

A-3.いかに都市同士というものが結び付いているか,ということを考えるために,規模の異なる場所(例:都心をコミュ−タ−が行き来する都市,郊外都市,小さな街)との関わりを特に強調しながら,都市地域の分布を分析する。

B.距離,近接性,接続に関連する用語を使って,都市地域,郊外地域,田園地域の土地利用の様式を分析し,説明する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

B-1.都市の土地利用を地図化し,都心と周辺部において優勢な土地利用(例:財政対小売り,軽工業対居住)を比較する。

B-2.電話帳や地図を使って,接近して存在しやすいもの,離れて存在しやすいものを比較する。(例:ホテルとレストラン,学校,教会とバ−)

B-3.児童・生徒の居住地域か近隣の地域における都市地域の土地利用パターンの空間的配置を叙述し,分析する。(例:商業,居住,産業)

C.場所は連接しているということ,また連接するということがいかに相互依存や近接性を示すかということを様々な方法で説明する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

C-1.場所が連接しているという概念をまとめ,距離,近接性,相互作用について結論を導く。(例:クラスの児童がどこで生まれこに住んでいるか,スポ−ツチ−ムは試合をするためにどこを移動するか)

C-2.変化する輸送や伝達の技術がいかに場所相互の関係に影響を受けたかを考えるために年表,地図,グラフを開発する。

C-3.合衆国が輸入資源や工業製品に依存しているということを世界の場所の一覧を作成して説明する。(例:南西アジアからの石油,南アメリカからの銅,南アフリカからのダイアモンド)

D.移住や伝播の様式,過程を叙述する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

D-1.ある文化から別の文化への言語,宗教,習慣のひろがりの跡を探しだす。(例:サンフランシスコの中華レストラン,19世紀中西部におけるドイツ語,20世紀ニュ−ヨ−クにおけるイスラム教)

D-2.伝染病が多くの国民を経て空間的に拡散することをダイアグラムにする。(例:19世紀中頃におけるイギリスでのコレラの広がり,1990年代アジアでのエイズの広がり)

D-3.文化の特色の伝播が元の場所から広がっていくのと同じように,植物や動物の世界的な移動の様式を探し出す。また,動植物の移動の速さや方向について一般的な結論を導く。

第9学年〜第12学年の認識目標:第12学年までに生徒は以下のことを知り,理解する。

1.空間的な相互作用について叙述し説明した一般概念

2.空間的組織の様式を叙述するモデル

3.人々の空間的行動

4.判断をするための空間的組織の概念,モデルの応用の仕方

第9学年〜第12学年の技能目標:第12学年までに生徒は以下のことができるようになる。

A.空間に関する移動の様式を説明するために空間的相互作用の概念(例:補完性,干渉する機会,距離の減少,連接)を応用する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

A-1.いかに接近している場所が離れている場所に比べて相互に作用し合う,ということを説明する。その背景には,経済的,時間的負担である距離があることによる軋轢を克服する努力がある。

A-2.地域社会の輸送経路の変化を現在の構造,小売地域,公園,スクールバスといった要素から予測する。このような変化は,位置と買い物やサービスの機会に入り込み新しい結節ネットワークを形成する。

A-3.補完性の概念を説明するために,合衆国と日本の貿易の型を分析する。(例:合衆国から日本への木材,日本から合衆国への商品の消費者の選択) 

B.地域内の関係,地域間の関係を分析するために空間的構造モデルを活用する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

B-1.地域での様々に供給される小売活動を支える下限人口を調べる。また,いかに多くの人口により近隣のコンビニエンスストアスーパ−マーケット,ショッピングモール,癌治療センタ−を支えるために多くの人々が必要とされているか,ということを評価する。

B-2.なぜ多くの小さな中心地と大きな中心地があるのかを説明するためにクリスタラ−の中心地理論を活用する。(例:小さな地域社会は,あまり高価でない,特別でない商品を狭い圏域に供給する。一方,ロンドン,ニューヨーク,モスクワ,東京のような大都市は,高価で特別な商品やサービスを広域に供給する。)

B-3.「小売引力の法則」を調べる地域調査を指導する。(例:ショッピングセンタ−と競合している居住地にある商店に行く回数は,居住地にある商店とショッピングセンタ−の距離,ショッピングセンタ−の規模に反比例する。)

C.人々がいかに空間に記録し,利用しているかを説明する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

C-1.年齢,性別,職業,収入といった属性に応じた人の空間的行動について叙述する。(例:学齢の子どもたちの学校への往復,通勤者の公共交通による経路,高収入の人々の長期間の休暇のための旅行)

C-2.人々の居住地の好みが異なり,満足する居住地を得るには様々な手段を取る,ということを説明する。(例:郊外や都心近くに住むのを好み不動産業者で勤務先に近接した居住地を得るために探す人もいる。一方,決めるまでに多くの郊外の住宅地を見て回る人もいる。)

C-3.人々が移住をどのように決めるのかを評価する。(例:潜在的な目的地に関する引き出した情報に影響される人もいれば,生まれ育った故郷の既に入っている情報に影響される人もいる。また,人々は,職を求めているか,引退後の場所を求めているか,によっても求める居住地の型が異なる。)

D.意思決定の際に空間的概念や空間的モデルを応用する。例えば以下のようなことができることによって例示される。

D-1.経営的観点から労働コスト,輸送コスト,消費地の位置を考慮して,いかにプラントの最適地を選定するかを説明する。(例:どこに家具工場を建設するか,ということに関して,商社・卸売・小売の位置・熟練労働者の賃金・材木や完成した家具の輸送コストといった要因を考慮して最小コストにより決める。)

D-2.いくつかの農業生産物は消費地の法則を度外視しても成長をとげたか,ということを説明する。(例:ベネズエラ,コロンビア,イスラエルの切り花栽培。背景には輸送コスト・労働コスト・気候的要因による優位があげられる。)

D-3.なぜモールが位置するのはどちらかといえば不便な場所なのか,ということを説明する。(例:モールは大小様々な店舗が近接しており,来訪者に便利さと時間の効果を供給する一方で,駐車場・照明・その他の施設を共有することができる。)