志村喬 研究室の概要(研究・関心領域,ゼミ生の修士論文・卒業論文題目)

 社会分野はは2022年現在,社会科教育学および地理・歴史・公民系の諸学をそれぞれ専門とする10名の教員から構成されています。
 このうち社会科教育学研究室は,開学・設置以来,社会科の全分野をカヴァーする3名の規模を擁し,現在は歴史教育を茨木智志教授,公民教育を中平一義教授,地理教育を志村が担当しています。

 志村は,2002年5月に本学に着任しました。
それまでの17年余は,4校の公立高等学校に勤務し,社会科教師・クラス担任・部活顧問・生徒会顧問等々として,素晴らしい子どもたち・同僚教師らから,忘れがたく充実した日々をプレゼントしてもらっていました。
 左の写真は2003年度地理科学学会秋季学術大会シンポジウム(広島大学)発表時の志村です。教室・グランド・スキー場・生徒会室・生徒指導室・職員室での姿とは全く違うので,教え子や同僚たちにとっては「志村らしくない写真」かもしれません。 






現在の研究・関心領域は,次の通りです。

1 地理・社会系教育・教員養成の国際比較研究
 特に分化型社会系教育カリキュラム(地理科・歴史科)をとってきたイギリス地理教育に焦点をあて,カリキュラム・教材・授業実践実態・基底にある社会科教育的思想や,持続可能な開発のための教育(ESD)・SDGsについて研究を進めてきました。現在は,統合型社会系教育カリキュラム(社会科)をとってきたアメリカ合衆国や,地理教育が理科(生物)と関連性の深いフィンランドの研究者などとも連携し,よりグローバルな観点での比較研究を理論的に進めています。

2 学校教育における知識論と教科教員養成に関する研究
 人間社会における教育,とりわけ学校教育という目的をもった営みの中で学習する・教授される教科「知」の意味について国際的な学校知識論(powerful kowledge:PK, pedagogical content Knowledge:PCK等)の中で考究しています。同時に「力量ある教科教員」の養成を目指す実践的なグローバル研究プロジェクトを全国・世界の研究者と協力して遂行しています。そして,それらを踏まえた教授学(ペダゴギー)と教員養成のあり方について国際共同研究を行っています。

3 空間・環境認知研究及び地図学習の改善
 児童・生徒が,身の回りの地理的空間や環境をどのように認知しているかを実証的に研究しています。また,それら成果を基礎にした地図学習の改善策を進めています。

4 地理・社会科・ESD教材の開発研究
 現職教員時代から上記の調査・研究を基礎に,現職時代は同僚らと,大学着任後は現場の先生・院生らと,地理・社会科教材開発を続けてきました。最近は,持続可能な開発のための教育(ESD,持続発展教育)教材開発研究も進めています。今後もこの分野では,現場の多くの先生と共同研究したいと考えています。

5 商業・流通地理をはじめとした人文地理的教材研究・調査
 地域の市町村史や地理啓蒙書で商業・流通など第3次産業分野の執筆に参加するなどし,教材研究としての人文地理調査もしてきました。


ゼミ生の修士論文・学修成果報告書・卒業論文
2002年度途中の着任以降,次のような修士論文・卒業論文をまとめ,それぞれ教育現場等で活躍しています。
2022年度のゼミ生は,大学院生2名,学部3年生2名,4年2名です。

修士論文題目

2002年度:群馬県における環境教育に関する一考察−教師の意識・実施状況から見る連携の可能性−
2003年度:「地理的見方・考え方」に視座をおいた「都道府県」学習のあり方
2005年度:高校地理学習における地域調査の現状と改善に関する一考察−調査の基礎的な視点と方法を中心にして−
2005年度:中学校社会科地理的分野「世界と比べて見た日本」の授業改善に関する一考察−新潟県における授業実践調査をもとにして−
2006年度:地理的認識を育成し公民的資質を養う中学校社会科地理的分野のカリキュラム開発
2006年度:小学校地図学習入門期における絵地図指導改善の研究−体験を通した地図の理解−
2008年度:中学校社会科地理的分野における日本の地域区分能力育成に関する基礎的研究
2008年度:高校生の都道府県に対するイメージの一考察−6都道府県における実態調査を通して−
2008年度:地理写真を使用した読解力の育成に関する実証的研究−中学校社会科地理的分野での授業を通して−
2010年度:味噌でみる横手盆地の食生活・食文化の地域性と地域変容
2011年度:中学校社会科地理的分野における地名選定に関する考察
2011年度:上越線開通と観光地越後湯沢の表象のされ方−鉄道院・鉄道省編纂『温泉案内』に注目して−
2012年度:長岡市中心市街地における平面駐車場の実態と土地所有者の意識に関する研究
2012年度:「へき地診療所」設置による医療提供体制の再検討−山形県大蔵村の高齢者の受療行動を事例に−
2013年度:長野県筑北地域における高等学校誘致問題の地理学的考察
2013年度:ハザードマップの地図表現と利用に関する研究−地図の記号論的分析を活用して−
2014年度:野外調査を取り入れた小学校市町村学習のカリキュラム開発に関する研究−群馬県前橋市を事例として−
2014年度:中学校社会科における身近な地域の学習のカリキュラム開発に関する研究−地・歴・公を貫く地場産業の学習を事例として
2016年度:ESDの視点に基づく社会科教材「足尾銅山」の再考
2016年度:小学校社会科における世界地誌的学習の在り方−社会認識を踏まえた態度の形成を図る学習構造−
2017年度:中学校社会科地理的分野における森林資源の取扱いの変遷に関する研究
2017年度:ESD構成概念を取り入れた小学校社会科の授業開発−社会科としてのESD単元の在り方を探って−
2018年度:小学校低学年における地図学習導入期に関する基礎的研究−社会科と生活科の接続を意識して−
2018年度:中学校社会科地理的分野を中核にした自校化された防災教育カリキュラムの開発研究−新潟県三条市における授業実践を通して−
2020年度:小学校社会科第3学年「身近な地域」の学習の在り方−フィールドワークを中核として−
2021年度:地域副読本を活用した小学校第4学年社会科「防災教育単元」の開発構想−学習指導要領教科用図書における防災教育の取り扱い分析をもと−
2021年度:小学校社会科第5学年における水産業学習の実践的研究
学修成果報告書テーマ
2023年度:社会科・生活科授業における児童の学習内容分析・授業提案T:表現活動を中心に
2023年度:社会科・生活科授業における児童の学習内容分析・授業提案U:児童の読解を中心に


卒業論文題目
2004年度:加賀市大聖寺地域における子どもの認知空間と遊び場に関する一考察
2005年度:子どもの視点から見た読書に関わる諸施設への近接性−新潟県旧上越市を事例に−
2005年度:佐渡島における廃棄物の処理と移動
2007年度:小学校校歌に描かれている地域の風景−栃木県小山市の事例−
2008年度:新潟県魚沼市(旧守門村)における通婚圏からみた女性の暮らしの変化
2008年度:「北越の小京都」としての新潟県加茂市に関する調査・研究
2009年度:「新しい観光」としてのフジロックフェスティバルに関する調査・研究
2011年度:校歌に描かれている両毛意識に関する一考察−群馬県桐生市と栃木県足利市の事例−
2011年度:長野県におけるフイルムコミッション活動の比較考察−松本市,上田市,小諸市の事例−
2012年度:長野県高山村における景観政策と農業振興
2012年度:富山県高岡市における市町村合併に伴う社会科副読本の変容と課題
2013年度:銀行店舗分布の分析に基づく「境界」の影響
2013年度:小・中学校の学校行事おける「登山」の実態とその位置づけ−長野県埴科郡坂城町を事例として−
2015年度:地域連携機能から見た道の駅−田園プラザ川場を例に−
2016年度:水稲単作地域における冬期園芸作物の生産−新潟県上越市のアスパラ菜を中心に−
       (日本地理教育学会2016年度全国地理学専攻学生卒業論文発表会へ参加・発表)
2016年度:辛味大根による長野県市町村の地域振興に関する考察−坂城町のねずみ大根を中心に−
2017年度:山村過疎地域の消滅集落における元住民による集落維持活動の実態−上越市金谷地区の消滅集落を事例に−
2020年度:石川県における公立小学校統廃合に関する地理的考察
2020年度:越後平野における水倉分布の変化と教材化
       (日本地理教育学会2020年度全国地理学専攻学生卒業論文発表会へ参加・発表:要旨は同学会誌『新地理』69(2),pp.158-159)
2021年度:岐阜県飛騨地方における地理的表示に関する制度の活用の現状と課題
       (日本地理教育学会2021年度全国地理学専攻学生卒業論文発表会へ参加・発表)
2022年度:新潟県の酪農業と乳業の変遷からみた地元乳業会社の特質
2022年度:世界農業遺産「能登の里海里山」の活用の現状と展望
       (日本地理教育学会2022年度全国地理学専攻学生卒業論文発表会へ参加・発表)
2023年度:富山県高岡市における重要伝統的建造物群保存地区の課題と現状
2023年度:富山県立山町におけるクラフトフェアの実態と地域との関係

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