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上越教育大学入学式 学長告辞(学部)(平成31年4月)

雪解けの水が土に溶け込み、そこから新たな植物の芽生えが始まり、やわらかな日差しの中、雪国独特の春の香りを感じます。日本3大夜桜で有名な高田公園の桜もまもなく満開となり、まるで皆様のご入学を祝っているかのようです。

本日、上越教育大学学校教育学部に入学された168名の皆様、ご家族の皆様、ご入学おめでとうございます。本学教職員、在校生を代表して心よりお祝い申し上げます。また、ご多用のところご臨席賜りましたご来賓の皆様に、深く感謝申し上げます。

さて、上越教育大学は、現職教員の資質能力の向上と初等教育教員養成という社会的要請に応えるために、設立された新構想の大学です。皆さんがこれから学ぶ学校教育学部の他に、大学院として修士課程と教職大学院を有し、さらに高度な研究を希望する方のために連合大学院博士課程も設置されている、教員養成のための総合大学と言えましょう。皆さんはこれからこの上越教育大学で4年間、学ばれるわけですが、教師としての専門的知識と、優れた実践的指導力を身につけた教師を目指して、しっかり学んでほしいと願っています。

さきほど、現職教員の資質能力の向上というお話をしましたが、実は大学院全体の2割以上は学校現場の現職の教師の皆さんが大学院学生として所属しており、そのため、キャンパス内では皆さんよりずっと年上の学生さんを多く見かけることと思います。このことは、これから教員を目指す皆さんには、その環境は願ってもないものとなりましょう。授業で一緒に学ぶ機会は少ないかもしれませんが、それでも現職の先生方と日頃からゼミなどで接することにより、生の学校現場の状況や課題をごく身近に、本音で聞くことができ、それが必ずや皆さんが目指すであろう教員への道に、大きな力となってつながることでしょう。

最近は、人工知能(AI)やロボットなどの科学技術が産業を大きく変革し、最近は第4次産業革命やSociety5.0という言葉が良く聞かれます。これからは、さまざまなモノがインターネットにつながり、それを人工知能(AI)が制御し、ロボットが活躍するようになると言われています。

実際、既に先端技術が教育現場にも導入されつつあります。タブレットパソコンを用いて、離れた子供達が同時に学んだり、子供達それぞれの学びに応じて個別学習に利用したり、子供達の理解度をAIが見極めたり、これからは先端技術をもっと利用する状況になるでしょう。最近は、EdTech(エドテック)という言葉も良く聞かれます。EdTech(エドテック)とはEducation(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。EdTechは進歩を続けるテクノロジーの力を使い、教育にイノベーションを起こし、教育環境を変えて行こうとする動きで、ビジネス領域としても世界中で注目を集めています。

一方、学校教育現場で教える内容にも大きな変化が起こっています。道徳が特別な教科として、小学校には昨年4月から、中学校には今年の4月から導入されます。また来年度から小学校でも5、6年生で英語が教科として新しく加わり、その他にも情報活用能力・プログラミング的思考の重要性が指摘され、小学校にもプログラミング教育が導入されることになりました。

例えば、小学校英語用の教科書に盛り込まれている内容は、自己紹介などで英語を聞き、話すことよって興味を引く導入部、アルファベットの読み書き、曜日や各月、動植物や食べ物など生活に関わる名詞を中心に、600語~700語の単語、「学ぶ」といった動詞や形容詞を覚えていく一方、「私は~が好きです(できます)」などの基礎的な構文や、「what」「who」を使った疑問文や、動詞の過去形も含まれています。身近な場面を用い、児童がたくさん話す機会を設けたり、音声を聞いて、内容と合うイラストを選ぶなどリスニングの項目も多く示されているようで、内容的にも、かなりのボリュームがあると感じました。また、プログラミング教育についても、算数や理科の教科書で記述があり、例えば、算数では5年生で正多角形の作図のプログラミング、理科では6年生で明かりの点灯の制御のプログラミングなどが盛り込まれています。

このように、子供達が学ぶ内容は常に変化し、新しいことが加わっています。それに伴い、教師の教える内容も増えてきています。今述べたような新しい課題に対応するため、本学ではカリキュラムを新しくし、今年度入学される皆さんから、副専攻プログラムとして「小学校英語副専攻プログラム」と「小学校プログラミング・テクノロジー副専攻プログラム」などを準備致しました。しっかり学んでいただいて。英語やプログラミング教育に強い教員になっていただきたいと思います。

子供達には未来を生きるための力を身につけることが求められ、自ら課題を見つけ、答えの決まっていない問いを解決する力を身につける必要があります。子供達がどのような能力を身につけるかは、教育に委ねられており、教師の責任は重大であると言えましょう。知識として知っていることと、それを教えることは違います。教師は単に教科書に沿って、知っていることを教えていると思ったらそれは大きな間違いです。そのためには、教師自らが学ぼうとする意欲を持ち続ける必要があります。自ら学び続け、学ぶ喜びを知ってこそ、それが教える喜びに繋がり、子供達に学ぶ楽しさや学ぶことの意味を伝えることが出来ます。子供達の学ぼうとする気持ちを引き出すことができれば、子供達は自ら学び、多くのことを自分のものにします。

教師が人を思いやる心を強く持ち、子供達一人一人に誠実に向き合うことにより、子供達の個性や性格を的確に把握し、子供達が自ら学ぼうとする意欲を高めることができる教師を目指して、子供達の個性を伸ばすことができる教師を目指し、努力されることを願っています。ここにおられる皆さんが将来、このような「教えのプロ」になるために、大学としても教員やカリキュラムなど、教職員一丸となって環境を整え、しっかり対応いたします。

ここで皆さんにお願いが三つあります。
一つ目は、この4年間で夢中になれるものを見つけ、これだけは他の人には負けない、これだけは自信がある、これだけは頑張ったというものを身につけて頂きたいと思います。例えば、資格の取得やボランティア活動でも良いでしょう。スポーツ、文化活動や部活・サークル活動で頑張るのも良いかもしれません。極端に言えば、上越市で開催される、高田城ロードレース大会完走や自転車で長距離走破などでも良いかもしれません。その経験は必ず教師となったときに支えとなると信じています。
二つ目は、ここにおられる皆さんは、本学に全国から集う教師の卵です。そのため是非、大学では友人を見つけて下さい。大学で得た友人は一生の宝です。友だちとの絆を大切にしてほしいと思います。三つ目は、本学におられる4年間に是非、読書を心がけてください。本学の学生の皆さんはそのようなことはないと思いますが、調査によると大学生の48%が1日の読書時間を「0分」と答えたようです。一方、「1時間以上」の学生は26.7%で、大まかに言うと、大学生全体の半分近くはあまり本を読まず、4分の1は良く読書をすると言うことでしょうか。小学校、中学校では読書の習慣は学年に応じて上昇する方向ですが、高校になると受験勉強や部活動で、その習慣が失われているようです。是非、1ヶ月に2冊程度、4年間で最低限100冊程度の「教養を高めるための読書」をお願いしたいと思います。

さて、いよいよ学園生活が始まります。本学の歴史は、昨年、創立40周年を迎えるなど、長くはありませんが、教育界に大きな足跡を残していることは自他共に認めるところです。もう数週間すると、元号も令和と変わり、新しい時代が始まります。その新しい時代を支える皆さんが、海と山に近く、自然環境が素晴らしい、四季の移ろいが鮮やかな上越市の学びの館、上越教育大学で、健康に十分留意しながら、充実した4年間の大学生活を送り、皆さんが、心に期している目的を達成できますよう心より祈念し、告辞といたします。


このページは上越教育大学/広報課が管理しています。(最終更新:2019年05月09日)

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