ホーム  >  大学紹介  >  J-style通信  >  上越教育大学大学院入学式 学長告辞(大学院) (令和3年4月)

大学紹介About us

上越教育大学大学院入学式 学長告辞(大学院) (令和3年4月)

 厳しい冬も終わりを告げ、高田公園の桜も満開を迎えたこの善き春の日に、221名の新入生の皆さんを大学院学校教育研究科にお迎えし、令和3年度大学院入学式を挙行できますことは、教職員一同にとっても大きな喜びであります。

 皆さん、ご入学おめでとうございます。本学教職員、在学生を代表して心よりお祝い申し上げます。この1年間は、新型コロナウイルスのパンデミックによって、学校教育も大きな影響を受けました。皆さんも、入学のための勉強をしながら、戸惑うことも多かったのではないかと思います。大学院の授業も、オンラインになったり、対面式になったり、また休講になったり、オンデマンド方式になったりと、変更を余儀なくされました。しかし、本日、時間短縮など少しばかりの制限はありますが、このように入学式を挙行できますことを皆さんとともに喜びたいと思います。

 上越教育大学は、学部の入学者数よりも大学院の入学者数の方が多い大学院大学です。新構想の国立大学として設置され、現職教員の研修の場としての役割も担っています。大学院は、専門職学位課程いわゆる教職大学院と修士課程を有し、専門的知識と優れた実践的指導力を身につけた教員を養成することを目的としています。さらに、高度な研究を希望する方々のために、連合大学院博士課程も設置されています。これから2年間、教員免許取得プログラムの院生は3年間、また、1年制プログラムの院生は1年間、それぞれの目標の達成に向かって努力されることを強く期待しています。

 皆さんには、この場を通して、二つのことをお願いしたいと思います。

 一つは、幅広く教養を身につけていただきたいということです。教養とは何でしょうか。ヨーロッパの伝統的な学問の考え方から言えば、いわゆるリベラル・アーツ(自由学芸)をイメージされるかもしれません。中国や日本の伝統の観点から考えれば、四書五経のような書物を思い浮かべるかもしれません。しかし、教養とは何かということ自体が、時代や社会の変化に応じて変わっていくのではないかと私は考えています。だから、皆さんには、教養とは何かということについて考えたうえで、教養を身に付けていただきたいと思います。

 もう一つは、一つの領域に精通していただきたいということです。この領域では誰にも負けないと言えるような専門分野を極めていただきたいということです。皆さんは、入学後、セミナー教員やアドバイザーとよばれる大学教員の元で研究や教育実践に取り組むことになります。大学教員は、それぞれが専門分野を持っています。その元で、その大学教員と論争ができるくらいにまで研究や教育実践に没頭していただきたいと思います。

 私のこの二つの願いは、矛盾するように聞こえるかもしれません。しかし、本当に矛盾するのでしょうか。私はそうは思いません。幅広い学びによって培われた能力は、専門を極めるためにも役立つはずです。幅の広いすそ野がなければ高い山は維持できません。

 繰り返しますが、幅広く教養を身に付けること、一つの領域に精通すること、この二つのことを在学中に心がけていただきたいと思います。

 さて、本学の大学院には、小中学校や高等学校の現職の教員の方々もいます。そして、ストレートマスターと呼ばれている学部を卒業して入学してきた院生もいます。教員以外の社会人経験者もいます。それぞれに年齢差があり、また教員としての経験の差もあります。そうした人々が集まっているというところも、本学の面白い部分です。現職の院生の方々は、ぜひ自分の知識や体験をストレートマスターに聞かせてあげてください。

 ラテン語のことわざに、Homines dum docent discunt.という表現があります。これは、セネカの『倫理書簡集』に出てくる言葉です。「人間は教えている間、学んでいる」という意味です。わかりやすく表現し直せば、「教えることは学ぶことだ」という意味です。教えることをとおして、教える側が学ぶことも多々あるということでしょう。

 新型コロナウイルス感染症はまだ収まってはおりません。新入生の皆さんも、在校生の皆さんも、まだ自粛が求められ、普段通りの生活ができない状況にあります。しかし、楽しみにしていた、大学院生としての学究生活が始まります。自然豊かなこの上越の地で、密を避けながらも、地域の伝統文化にも触れ、ときには自然の中でリフレッシュしながら、健康に十分留意し、勉学に励む生活を送られることを祈念しています。

 最後になりましたが、式典の縮小によってご参加いただくことが叶わなかったご来賓の方々や、本日列席を望みながらご参加いただけなかった保護者の方々にはお詫び申し上げ、大学として、新入生の皆さんの学究生活をさまざまな形で支援することをお誓い申し上げて、告辞といたします。

令和3年4月5日
国立大学法人 上越教育大学長
林 泰成


このページは上越教育大学/広報課が管理しています。(最終更新:2021年04月08日)

このページの先頭へ戻る

サイトマップを開く