序   章

  創設の理念と目的

 めまぐるしく変化する世界の中に対応できる人材の育成は,日本の基盤を支える重要な事業である。その目的を教育が支えており,特にその中にある学校教育の責務は大きい。
 その学校教育を担う教員に対しては,教育者としての使命感と人間愛に支えられた広い一般的教養,教育の理念・方法及び人間の成長や発達についての深い理解,教科に関する専門的学力,優れた教育技術など,専門職としての高度の資質能力が要求されている。
 上越教育大学は,このような時代の要請にこたえて,主として初等中等教育教員に研究・研鑽の機会を提供することを趣旨とする大学院修士課程と,初等教育教員を養成する学部を持ち,学校教育に関する理論的・実践的な教育研究を推進する国立の教育大学として,昭和53年10月1日に設置された。
 大学院は,学校教育研究科(修士課程)とし,主として初等中等教育の実践にかかわる諸科学の総合的・専門的研究を行うとともに,初等中等教育教員に高度の学習と研究の機会を与え,その理論的・実践的な能力の向上を図ることをねらいとしており,そのために,入学定員の3分の2程度は,初等中等教育における3年以上の教職経験を有する者を入学させることとしている。
 学部は,学校教育学部とし,初等教育教員養成課程を置き,児童等の成長と発達に関する総合的な理解の上に,全教科・領域にわたる優れた指導能力を備えた初等教育教員を養成することを目的としており,人間の生涯を通ずる教育の基礎とされる初等教育と,これに携わる教員の養成の重要性にかんがみ,学生の人間形成についても重視することとしている。
 また,平成8年に兵庫教育大学に設置された教員養成系としては初めての「大学院連合学校教育学研究科(博士課程)」に,本学は岡山大学及び鳴門教育大学とともに構成大学として参画している。それぞれの大学院修士課程における実績の上に,連携協力して教育・研究組織を編成した。
 本学は,こうした学部−修士−博士の一貫した教育制度を構築して,学校教育における教育活動や教科の教育に関する実践的研究を行い,それを踏まえた高度の研究・指導能力を備えた人材を育成することを目的としている。