【特別支援教育実践研究センター】
 

 
土 谷 良 巳(教 授)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取組
 授業設計に当たり,講義に関しては講義の進展と関連させて課題図書・資料として数点の文献を指定し,シラバスにそれらの文献を読むべき時期を示した。受講者全員が効率よくそれらの文献を読むことができるように,それぞれの資料を数部ずつコピーしてファイル化し,置き場所と貸し出しのルール(ワンデイ/オーバーナイト等)を定めて,受講者の自主的管理が可能なようにした(本来は附属図書館の業務と考える。)とくに講義においては,シラバスに授業における学習目標と評価の基準を明記し,各回の授業がどのような位置づけにあるのかを初回の授業で説明した。さらに毎回の講義ごとにシラバスに掲載した授業計画をOHPに映し,その日講義の内容,位置づけを確認してから講義の本題に入るようにした。また,講義においてはその進捗状況に合わせて適宜リポート形式の課題を与え,提出された内容を検討することで,授業の内容に関する理解がどのようなものであるか,また授業にどのように取り組んでいるかをチェックし,その後の授業をどのように展開するかについて検討した。また臨床に関する科目では,特別支援教育実践研究センターのみならず地域の学校を訪問するなど実践的な場において,障害のある子どもに対する教育臨床の場面の見学,実践をさせると共に,臨床授業においては交代でビデオ撮影を担当させ,臨床後に受講者全員でビデオ記録を視聴しながら徹底したカンファレンスを実施した。そのなかで臨床の解説を受けるだけではなく,ビデオ記録の撮り方を通じて,観察の視点,臨床のポイントを体験的に学ぶ機会を設けた。また後日その記録を提出させることで,指導の定着を図った。
【観点2】教育の達成状況
 平成19年度に大学院における研究セミナーで担当した院生の内,平成19年度に修了した院生は3名であった。内1名は新潟県派遣の現職教員であり修了後は特別支援学校において専門性を発揮できる指導的立場にいる。また1名は東京都の特別支援学校に正規採用になり,また他の1名は鳥取県の特別支援学校において臨時的任用についており,いずれも専門性を発揮できる教職についている。 
研究指導
【観点2】大学院
 教育臨床活動に関する研究指導では,受講者9名それぞれに臨床活動の対象として事例を担当させた。いくつかの事例に関しては特別支援教育実践研究センターをフィールドとし,またいくつかの事例は上越地域の家庭に協力を依頼した。
 それぞれの対象事例に関する臨床は週に1,2回程度実施されたが,特別支援教育実践研究センターと学校訪問においては毎回の臨床に立ち会い,臨床の場やカンファレンスを通じて実践的な指導を行った。また他機関をフィールドとする場合は,2週間あるいは月に一回程度訪問して臨床の場での実践的な指導を行い,またビデオ記録を視聴しながらのカンファレンスを大学において個別に毎週行い,受講者の臨床実践が単なる体験として流れてしまうことないように配慮した。
その他の教育活動
@群馬大学教育学部において「重複障害児の心理」を担当した(集中講義)
A群馬大学大学院教育学研究科において「心理学特論A:重複障害心理学」を担当した(集中講義)
B横浜国立大学教育人間科学部臨時教員養成課程及び専攻科において「重度知的障害児の心理」を担当した(集中講義)
C筑波大学大学院教育研究科において「ろう・知的障害教育」を担当した(集中講義)
D福井大学教育地域科学部において「視覚障害教育総論」を担当した(集中講義)
E平成19年度新潟県教育職員免許法認定講習において,特別支援学校免許に関する「心身に障害のある幼児,児童又は生徒の教育課程及び指導法に関する科目(視覚障害者)」を担当した(を担当した(平成19年8月8日)
F平成19年度新潟県教育職員免許法認定講習において,特別支援学校免許に関する「心身に障害のある幼児,児童又は生徒の教育課程及び指導法に関する科目(重複・LD等領域)」を担当した(平成19年8月9日)
G平成19年度富山県教育職員免許法認定講習において,特別支援学校免許に関する「心身に障害のある幼児,児童又は生徒の教育課程及び指導法に関する科目(重複・LD等領域)」を担当した(平成19年8月30日)
◎特色ある点及び今後の検討課題等
 講義・演習等にあたっては筆者自身の教育臨床・実践を見学させる,あるいはビデオ記録を視聴させることで,具体的・実際的な資料を提供し,受講者の教育実践力の向上を図っている。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年3月:「特別支援教育に関する各都道府県の取り組みー発行資料の量的分析を通してー」上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,14,53-56.(共)
発】@平成19年9月:日本特殊教育学会第45回大会(兵庫教育大学)自主シンポジウム29:先天性盲ろう児の初期コミュニケーション:話題提供「先天性盲ろう児のコミュニケーションを巡って」
A平成19年9月:日本特殊教育学会第45回大会(兵庫教育大学)ポスター発表P3-109:重複障害児のコミュニケーション場面における教師のかかわり方と子どもの表出行動出行動に関する研究(共)
学会活動への参加状況
@平成19年9月22日〜24日:日本特殊教育学会第45回大会出席
◎特色・強調点等
 視覚聴覚二重障害の子どもは,その教育研究に実践的に取り組む研究者は極めて限られている。また個々の教育実践が蓄積され相互に活用されることも稀で,教育実践現場においてはリソースとなる指導内容・方法の知見や教材・教具も乏しく,相互に連携しあうことも困難で,孤立無縁ともいえる状況が生じている。先天性の視覚聴覚二重障害の子どもはその数が少ないだけに,その教育は特異な研究分野あるいは実践領域のように受け取られるむきがある。だがその研究は,障害のある子どもを理解しその教育を開発することに普遍する,あるいは通底すると考えている。このような状況を踏まえ,先天性視覚聴覚二重障害児の教育実践現場を支援する学校コンサルテーション活動とその障害の本質的な困難となるコミュニケーション開発に関して,教育臨床的・実践的研究に取り組んでいる。
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@上越市障害者福祉推進連携協議会の会長を務めた。 
A上越市自立支援協議会の委員を務めた。
B上越特別支援教育研究会の顧問を務めた。 
C川崎市教育委員会専門員(障害児学級担当)を務めた。 
D川崎市総合教育センター専門員(重度障害担当)を努めた。
E教育委員会,特殊教育センター,特殊教育諸学校等における研修会,講演会等の講師を務めた。
  実施日:
   ・横浜市立東俣野養護学校重度・重複障害研修会(平成19年6月8日,12月17日)
   ・新潟県立教育センター重度・重複障害教育講座(平成19年6月15日)
   ・平成19年度附属学校初任者研修(平成19年7月31日)
   ・川崎市総合教育センター障害児学級等新担任者2年目研修(平成19年7月27日)
   ・横浜市特別支援学校教育研究会夏の研修会(平成19年8月1日,2日)
   ・栃木県総合教育センター障害のある子どものコミュニケーション支援研修(平成19年8月3日)
   ・川崎市総合教育センター障害児教育専門研修(平成19年8月6日)
   ・川崎市立小学校たんぽぽ学級夏季合同研修会(平成19年8月24日)
   ・逗子市立逗子小学校障害児学級授業研究会(平成19年9月12日)
   ・千葉県立四街道養護学校授業研究会(平成19年9月13日,平成20年2月4日)
   ・長野県若槻養護学校のぞみ部授業研究会(平成19年11月19日)
   ・長野県飯田養護学校授業研究会(平成19年11月16日)
   ・長野県寿台養護学校あゆみ部事例研究会(平成20年1月24日)
   ・社会福祉法人光道園生活支援事例報告会(平成20年2月27日)
   ・神奈川県立小田原養護学校校内研修会(平成20年3月24日)
F川崎市教育委員会専門員(障害児学級担当)として,川崎市立東桜本小学校,川崎市立大戸小学校,川崎市立稲田小学校,川崎市立麻生小学校のたんぽぽ学級(重複障害児を受け入れている特殊学級)における授業研究の指導・助言を行った。
  実施日:
   ・川崎市立東桜本小学校(平成19年7月6日,9月27日,12月14日,平成20年3月3日)
   ・川崎市立大戸小学校(平成19年6月22日,9月28日,11月30日,平成20年2月8日)
   ・川崎市立稲田小学校(平成19年6月29日,9月25日,12月7日,平成20年2月7日)
   ・川崎市立麻生小学校(平成19年7月6日,9月27日,12月14日,合同研修会指導・助言(平成19年8月24日))
G視覚聴覚二重障害児が在籍している学級を対象に,学校コンサルテーションによる指導・助言を行った。
  実施日:
   ・東京都立葛飾盲学校(平成19年5月18日,9月10日,12月10日,平成20年3月14日)
   ・東京都立久我山盲学校(平成19年5月11日,9月10日,12月10日,平成20年3月14日)
   ・新潟県立新潟盲学校(平成19年4月13日,5月25日,9月6日,10月12日,平成20年3月12日)
H地域の盲,ろう,養護学校等との連携の一貫として,学校コンサルテーションによる指導・助言を行った。
  実施日:
   ・妙高市立矢代小学校(平成19年4月6日,4月11日,5月9日,5月15日,5月30日,6月6日,6月20日,7月9日,7月17日,7月31日,10月9日,10月23日,10月29日,11月6日,11月20日,12月3日,平成20年1月8日,1月15日,1月21日,1月27日,平成20年1月21日,2月15日)
◎社会への寄与等
 重度ないしは重複した障害ある子どもの授業研究の視点から,特殊教育諸学校,特殊学級を対象にして,指導・助言を行った。とくにいくつかの学校,学級では継続的に授業研究を実施することで,担当教員の教育実践力の向上と定着とに貢献するとともに,教育現場の課題を広く深く捉えることができ,今後の教育や研究の基礎資料を得ることができた。また教育センター等での講議を通じて,教育臨床・実践研究の知見を教育現場に還元しその資質の向上に貢献できた。さらに先天性視覚聴覚二重障害児の教育実践現場を支援する学校コンサルテーション活動を継続的に実施することで,その教育に係わる教師の実践力及び専門性の向上に貢献できた。
 

 
丸 山 昭 生(講 師)
 
<教育活動>
授 業
【観点1】教育方法及び成績評価面での取り組み
○授業形態,学習(研究)指導方法等の教育方法に関する取組状況
 各授業においては,講義内容のレジュメを毎時用意した。レジュメには書き込みのためのスペースを作り,授業への集中を図った。また,資料を多用して講義内容を補った。授業を分かりやすくするため,視聴覚機器(VTR,パワーポイント,録音テープ等)を必ず使用した。
○成績評価法に関する取組状況
 評価は,出席状況,レポート内容,期末試験等で行った。講義期間中でも随時に小レポートを課し,全体評価の参考にした。
【観点2】教育の達成状況
○進学や就職などの卒業(修了)後の進路の状況から判断した取組状況
 教師は,教育現場で即戦力となれるよう,実践的指導力のある人材が求められている。授業では,教育現場の実際の様子が分かる資料を駆使するとともに,できるだけ現場との接触を図りながら進めた。結果,多くの修了生が公立の小・中学校や特別支援学校に正式採用或いは講師採用となることができた。
研究指導
【観点2】大学院(修士課程)
 授業では,高い実践力を修得させるために,教育現場の授業観察・参加,体験を多く取り入れた。修士論文では,特別支援教育に関する教育現場の課題解決に迫るようなテーマで研究を進め,その成果の教育的意義を論考させた。
その他の教育活動
@新潟県教育委員会の依頼で,新任特別支援学級担任教員研修会(平成19年6月1日,8日),教職12年経験者研修(平成19年8月17日)の講師を務めた。
A大学院教育実習校である特別支援学校を訪問(平成19年9月28日,10月1日)し,実習依頼をするとともに,事前打合会を行った。また,院生には,教育実習が円滑に行われるように,実習校の調整や事前オリエンテーションを行った。
B県立高等養護学校(平成19年10月25日),妙高市立にしき養護学校(平成19年11月13日)において,教育実習生の指導を行った。
◎特色ある点及び今後の検討課題
 現職経験を生かし,講義や演習等では教育現場の資料や実践教材を多く取り入れるとともに,体験を語ることで学習の深まりに努めた。
 就職に臨む学生で,希望者には面接指導を行った。
 今後の教育活動は,新しく対象となった発達障害児への指導や,特別支援学校のセンター機能など,特別支援学校が求められている機能の学習を深める必要がある。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成20年2月:『高田養護学校の開学に尽くした徳山ミサヲの研究』(共著)上越教育大学研究紀要 第27巻 pp119-135
共同研究
@教員養成大学の特別支援教育に携わる教員への実践力向上のための地域研修組織を活用した支援の在り方について 代表者:笠原芳隆(上越教育大学准教授) 平成18・19年度上越教育大学研究プロジェクト
A特別支援教育のための大学院における教員養成・研修システムの開発 代表者:大庭重治(上越教育大学教授) 平成18〜20年度 特別教育研究経費(教育改革)
学会活動への参加状況
@平成19年9月22日〜24日:日本特殊教育学会出席
 
<社会との連携>
社会的活動
@新潟県立柏崎養護学校評議員
A上越市立東本町小学校評議員
B新潟県立はまなす養護学校後援会副会長
C上越自立活動研究会役員
◎社会への寄与
(1)新潟県立柏崎養護学校や上越市立東本町小学校の学校評議員として,学校の在り方や学校評価について意見を述べるとともに提言を行った。
(2)ナディアの会(養護学校を卒業した青年の余暇活動等の会)の活動が自主的・主体的に運営されるように指導・助言及び活動補助を行った。
(3)行政の要望により,新潟県における特別支援教育学生支援員となる学生の紹介を行った。
 

 
村 中 智 彦(講 師)
 
<教育活動>
授 業
 講義では,受講者の理解をより高めるために,パワーポイントで提示した資料の配布,授業内容に関わる国内外の文献資料の配布,紹介を適宜行った。また,講義の中でも,授業内容に関わる教育臨床場面のビデオ映像など視覚的情報を活用し,実際の教育現場で生じやすい事象をシミュレートした演習体験を取り入れた。
 成績評価では,受講者に対して,出席状況や課題のレポート・まとめ,臨床実習におけるカンファレンスの参加状況など評価の観点を明示した。
研究指導
 多様な価値観や資質・能力を有する院生に対応した研究指導・方法に配慮した。研究室に所属する院生6名(M1:5名,M2,免P:1名)に対して定期的にゼミを開催した。併せて,学生のニーズに応じて個別的な指導を実施した。ゼミでは,今日的な教育課題に関わるテーマの設定や方法論に関わる演習,研究指導を行った。
 
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】@平成19年7月:『知的障害児の個別指導における最適な試行間間隔の設定:課題遂行反応と逸脱反応に及ぼす効果から』(共著) 行動分析学研究 VOL.21 no2. pp.58-75
発】@平成19年8月:『知的障害養護学校の劇指導において児童相互のやりとりを促す手だての検討』(共) 日本行動分析学会25回大会発表
A平成19年9月:『知的障害養護学校において児童相互のやりとりを促す係活動の設定(1):係児童のやりとり行動の変容』(共) 日本特殊教育学会45回大会発表
B平成19年9月:『知的障害養護学校において児童相互のやりとりを促す係活動の設定(2):係以外児童のやりとり行動の変容』(共) 日本特殊教育学会第45回大会発表
C平成19年9月:『調理活動における発達障害児の主体的活動・参加を促進する環境設定に関する検討』(共) 日本特殊教育学会第45回大会発表
D平成19年9月:『自閉症児の家庭場面における教示要求行動の形成:個別指導場面の展開と役割』(共) 日本特殊教育学会第45回大会発表
E平成19年9月:『特別支援教育における児童生徒が主体的に分かって動けて参加できる授業づくり』 日本特殊教育学会第45回大会自主シンポジウム企画・話題提供
共同研究の実施状況
@特別な教育的ニーズを有する児童の授業づくり・学級づくり(分担) 連携協力校:上越市春日新田小学校,上越市上雲寺小学校 上越教育大学専門職大学院GP「即応力を育成する教職大学院教育課程の構築」
A知的障害養護学校の小集団指導における効果的なチームティーチングの検討(代表) 研究協力者:小沼順子(弘前大学教育学部附属特別支援学校) 科学研究費補助金若手研究(B)
学会活動への参加状況
@5月25日〜29日:国際行動分析学会2007年大会(サンディエゴ)出席
A8月4日〜5日:日本行動分析学会第25回年次大会出席 研究発表
B9月22日〜24日:日本特殊教育学会第45回大会出席 研究発表
 
<社会との連携>
社会的活動状況
@4月〜3月:妙高市障害児通園事業ひばり園職員研修講師
A4月〜3月:糸魚川市乳幼児発達指導相談事業めだか園教室相談講師
B4月〜3月:新潟県立月ヶ丘養護学校校内研修会講師
C4月〜3月:新潟県立月ヶ丘養護学校評議員
D4月〜9月:上越保健医療福祉専門学校非常勤講師
E5月〜3月:新潟県立高田養護学校校内研修会講師
F4月〜3月:柏崎市早期療育事業プレー教室講師
G4月〜3月:新潟県カウンセラー派遣事業・派遣カウンセラー
H11月〜3月:上越市自立支援協議会委員
I7月,12月:村上養護学校いじみの分校校内研修会講師
J6月:新潟県上越市私立保育研究会講師
K7月:筑波大学公開講座講師
L9月:新潟市立総合教育センター研修会講師
M10月:富山大学人間発達科学部附属特別支援学校校内研修会講師
N10月:妙高市就学指導委員会委員
O12月:上越市立教育センターカウンセリング研修会講師
P2月:柏崎市立比角小学校校内研修会講師
Q3月:上越市立春日中学校校内研修会講師