第一章 組織の運営状況に関する自己点検・評価
 
2 平成23年度の大学運営
 
 平成23年度は,第二期中期目標期間の2年目に当たり,中期目標・中期計画の達成に向け,以下の事項について,学長のリーダシップの下,取組を行った。
 
 一つ目に,「卒業までの到達目標・能力を明確化」するために,教科のルーブリックに基づいたカリキュラムの改善に着手した。具体的には@シラバス及びファカルティ・ディベロップメントの自己評価に上越教育大学スタンダードの視点を反映させた。Aカリキュラム改善の意識化を図るため,『教科のルーブリック及び知識・理解・技能等』を全教員必携の印刷物として発行した。Bルーブリックの到達目標に基づいた,『小学校の先生をめざす学生のための理科』及び『生活の中の科学』を発刊した。
 
 二つ目に,「入学から卒業まで一貫した支援(学習・生活・就職など)」として,4年間を通じての個々のニーズに対応したキャリア教育を実施した。具体的には,@学生に早期から教職への自覚と意識を高めさせるため,上越教育大学スタンダード等を指針とする『教職キャリアファイル』に関して,デジタルポートフォリオでの試験運用を実施した。A学務情報システムにより履修登録時に進路希望調査を実施し,クラス担当教員等が志望内容を同システムで随時参照できるようにした。Bキャリア支援に係る組織の点検及び支援策の改善に役立てるため,新たに関係委員会・組織等の代表者による情報・意見交換会を開催し,教員就職に関する学内各組織における問題点などを抽出し,課題の共有化を図った。
 
 三つ目に,「教員の研究活動の促進・奨励」として,@近隣地域の小・中学校教員との連携によるプロジェクト研究を実施し,さらにその研究成果を学校現場へ還元した。A学内研究プロジェクトで若手研究の区分の設定や科学研究費補助金の採択者・不採択者に対する研究費支援など,若手教員の育成に取り組んだ。B科学研究費補助金の申請件数増加のため,教授会での呼びかけや研究推進支援室の積極的なバックアップ,採択者・不採択者に対する研究費支援を行った結果,平成21年度比20%増という中期計画をも達成することができた。
 
 四つ目に,「地域連携と国際交流」に関して,@学校現場のニーズに応じた事業を展開するため,『上越市学校教育支援協議会』,『上越地域教育委員会と上越教育大学との連携推進協議会』の開催及び連携・支援事業を実施した。A新潟県及び新潟市の教育委員会等と共同し,理数系教員(コア・サイエンス・ティーチャー)養成拠点構築事業を実施した。B新潟県教育委員会と連携した教員研修モデルカリキュラム開発プログラムが採択された。C教員免許状更新講習コンソーシアム新潟の幹事として教員免許状更新講習を実施した。D学生及び教員の海外派遣及び海外協定校等との学術交流,留学生の受入れ促進のため,新規協定校の開拓のための視察を行った。
 
 五つ目に,「組織の活性化」の取組として,人員配置等の整備と充実を図った。具体的には,@大学教員全体の人事計画,人材活用,人件費の有効活用等を総合的に考慮し,平成23年度末定年退職の教授を特任教授に採用することとした。Aサバティカル制度の拡充を目的として,3月間の短期サバティカルを平成24年度から導入し,教授1人が取得することとなった。B文部科学省委託事業遂行のため,特別客員教授を1人配置した。C常勤の理事1人を副学長に兼務し,法人運営と大学運営の一体化・連携強化,学長補佐体制の強化を図った。
 
 
 また,上記の他,本学独自の特徴的な取組としては,以下のことを掲げることができる。
 
 まず,学校ボランティア支援室の取組として,@ボランティアコーディネーター(元中学校教諭)の配置,Aボランティア科目の履修学生及び担当教員の支援,B被災地ボランティア日帰りバスツアーの実施(3回)などを行った。
 
 次に,就業管理システムを導入(事務職員対象)しWeb画面上で処理することによって,@勤務時間管理業務の効率化とA出勤簿等のペーパーレス化を図った。
 
 また,学長と事務職員との懇談会は,新たなコミュニケーションの場として,昼食をとりながらという自由な雰囲気の中で,学長と事務職員が一体となり取組を進めていくための一助となった。
 
 さらに,授業中の大地震発生を想定した対応マニュアルを作成するととに,具体的に教員が動けるように,当該マニュアルに関し講義室等への備付けや初回授業での学生への伝達を行うこととした。