4 教育・研究組織等
(4)学校教育学部
C フレンドシップ事業
ア 体験学習,学校ボランティア及び学びのひろばの各専門部会設置の趣旨(目的)及び組織
1) 設置の趣旨(目的)及び組織
体験学習,学校ボランティア及び学びのひろばの各専門部会は,教員養成学部における教職を志す学生の教員としての実践的指導力育成に資するため,学生が種々の体験活動を通じて,子ども達とふれあい,子どもの気持ちや行動を理解できる機会を設けることを目的に教務委員会の専門部会として設置されている。
平成22年度までは,体験学習,学校ボランティア及び学びのひろばの各専門部会の業務を,フレンドシップ事業実行委員会が一括して取り扱っていたが,「平成22年度大学生の就業力育成支援事業」に本学の取組「人的交流を基軸とする活力ある教員養成」が採択されたことに伴い,フレンドシップ事業の見直しの一環として各専門部会が独立した。
2) 組織の構成及び構成員等
平成23年度の各専門部会の構成は次のとおりである。
・ 体験学習運営部会
授業科目「体験学習」担当教員の計8人で構成。部会長は教務委員会委員長の指名による。
・ 学校ボランティア運営部会
授業科目「ボランティア体験」,「学校ボランティアA(学校支援体験)」,「学校ボランティアB(学校支援体験)」の担当教員,教務委員会委員長が指名した教員及び附属小学校副校長の計12人で構成。部会長は教務委員会委員長の指名による。
・ 学びのひろば支援部会
「学びのひろば」の学生事務局指導教員及び各クラブ顧問教員の計10人で構成。
また,ボランティア体験活動を円滑に実施を図るため,以下の連絡会を設置している。
・ ボランティア体験連絡会
学外委員として新潟県教育庁上越教育事務所社会教育課副参事,国立妙高青少年自然の家主任企画指導専門職,上越市教育委員会生涯学習推進課長,わくわくランドあらい運営委員会事務局長及び次長,国立乗鞍青少年交流の家企画指導専門職及び国立信州高遠青少年自然の家次長及び企画指導専門職,上越市立高田図書館主任,NPO法人マミーズ・ネット理事長,南さくら工房支援員,上越市立公民館高田地区公民館主任,妙高市教育委員会こども教育課指導主事の12人並びに学内委員として学校ボランティア体験運営部会委員12人の計24人で構成。
イ 運営・活動の状況
1) 委員会等の開催状況
平成23年 |
4月 |
7日(木) |
フレンドシップ事業ガイダンス |
〃 |
4月 |
27日(水) |
第1回ボランティア体験連絡会 |
〃 |
5月 |
13日(金) |
第1回学校ボランティア支援室・学校ボランティア体験運営部会合同会議 |
〃 |
5月 |
30日(月) |
第2回学校ボランティア支援室・学校ボランティア体験運営部会合同会議 |
〃 |
6月 |
7日(火) |
第1回学びのひろば支援部会 |
〃 |
7月 |
14日(木) |
第1回体験学習運営部会 |
〃 |
10月 |
6日(木) |
第3回学校ボランティア支援室・学校ボランティア体験運営部会合同会議 |
平成24年 |
2月 |
13日(月) |
第4回学校ボランティア支援室・学校ボランティア体験運営部会合同会議 |
〃 |
2月 |
27日(月) |
第2回ボランティア体験連絡会 |
〃 |
3月 |
7日(水) |
第2回体験学習運営部会 |
〃 |
3月 |
16日(金) |
第2回学びのひろば支援部会 |
2) 審議された主な事項
各専門部会,連絡会における主な審議事項は,以下のとおりである。
・ 体験学習の実施
・ 次年度の体験学習実施計画の策定
・ ボランティア体験の実施
・ 次年度のボランティア体験履修計画の策定
・ 学びのひろばの実施
・ 次年度の学びのひろば実施計画の策定
3) 重点的に取組んだ課題や改善事項及び前年度の検討課題への取組状況等
@ 体験学習
・ 体験学習は,勤労・生産・自然・物づくり体験の乏しい1年生に対して,教職を目指す上で意義のある基礎的体験を必修として位置付けている。平成22年度より,小学校教員にとって基礎的技能の一つである栽培活動の指導力の習得を目的とした共通体験(ミニトマト栽培)を実施しており,ミニトマトを一人一株,責任を持って栽培をすることとしている。また,活動記録をネット上のコミュニティサイトに記入させることにより,小・中学校で行われている情報活用能力の育成も狙いとした。
・ 従来どおり教育活動創造のベースとなる選択体験8コースを設定し,経験の不足を補完するとともに,個性の伸長,得意分野の育成という意味から履修させている。教員25名が共同で展開し,アンケートからは「教師になるためにも、普段ではなかなか経験することのできないことができ、本当によい授業だった。」等が記述され,アンケート調査でも約80%の学生から充実した授業として高い評価を得ている。学習を通して,学習素材研究,教材化の手法も学んでいる。(平成23年度履修者171名,うち単位修得者171名)
A ボランティア体験
・ ボランティア体験は,連絡会に参加している関係機関との連携の上に,年間不定期で社会・学校教育 活動に学生がボランティアとして参加しているものである。子ども達の指導補助に当たりながら,触れ合いと子ども理解を深めると共に,地域に根ざした大学の主要事業として定着してきた。何よりも素顔の子ども達と触れ合うことで,その後の教育実習に積極性が出てきた,子ども達との接し方が変容してきたなど,多くの成果が報告されている。
・ また,子ども達向けの多様な活動を習得できること,時間を守る,子どもに親しみながらも注意すべき所はきちんと注意する,あいさつや言葉かけは大きい声でなど,社会性も培われ,学社連携の成果は極めて大きいものがある。(平成23年度履修者198人,単位修得者171人,参加者延べ人数802人)
・ 「上越教育大学(上越・妙高地域連携)スタンダード」の到達目標に「地域社会の一員として,地域や学校の各種行事やボランティア等に参加し,その責務を果たすことができる」という事項が明記されており,3年次終了までに履修しておくことが望ましいとの指導を行っている。履修者・参加者は増加傾向にあったが,平成23年度は単位修得に必要なボランティア実施時間が半減されたことから,参加延べ人数は昨年度に比べ減少した。
(平成22年度履修者171人,単位修得者130人,参加者延べ人数1,373人)
(平成21年度履修者106人,単位修得者59人,参加者延べ人数1,062人)
B 学びのひろば
・ 学びのひろばは,上記2つの経験を土台に,学生達自身が企画・準備・運営する触れ合い活動である。平成14年度より年2回のイベント型活動から,年間を通した活動を視野に入れた継続型の活動に展開した。
・ 平成23年度は,大学でのクラブ活動を6回及び国立妙高青少年自然の家での2泊3日の活動(8/22〜24)を計画・実施した。
・ 近年,地元児童の申し込みは定員を大幅に上回り,地域の期待は年々高まっている。学生達の企画力と実践力は,教員の指導の下,事業計画,細部計画,案内状の作成,名簿づくり,参加への通知など諸活動をとおして,目を見張るほど向上してきている。
・ 「シンポジウム」は2回開催し,学生が各分科会に分かれて討論を行った。今年度はそれぞれ,次の内容となった。
(第1回)8月活動や妙高活動に向けて,子どもとの関わりの中で困ったことを発表し合い,解決策について話し合った。
(第2回)学びのひろばの活動を通して何を得たのか,今後どのように生かしていくかについて,今年度の活動を振り返りながら発表した。
・ 開催日程
平成23年 |
6月 |
11日(土) |
第1回学びのひろば |
参加児童数 232人 |
〃 |
7月 |
9日(土) |
第2回学びのひろば |
209人 |
〃 |
7月 |
13日(水) |
第1回シンポジウム |
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〃 |
8月 |
5日(金) |
第3回学びのひろば |
45人 |
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※オープンキャンパスと同時開催(キッズクラブのみ参加) |
〃 |
8月 |
22日(月) |
〜24日(水) |
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第4回学びのひろば |
173人 |
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※妙高活動(キッズクラブ除く6クラブ参加) |
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〃 |
10月 |
8日(土) |
第5回学びのひろば |
220人 |
〃 |
11月 |
19日(土) |
第6回学びのひろば |
240人 |
〃 |
12月 |
3日(土) |
第7回学びのひろば |
193人 |
〃 |
12月 |
7日(水) |
第2回シンポジウム |
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延べ参加児童数 1,278人 |
ウ 優れた点及び今後の検討課題等
1) 教員養成課程に子ども達と触れ合える場と機会が位置付けられることは,素晴らしいことであり,教職への確かな決意が生まれると共に,自己の課題が浮き彫りになる。今年度も,年間を通して,同じ子ども達との触れ合いが展開でき,より深い子ども理解につながった。子ども達と関わった学生達がそれを単なる経験に終わらせずに,経験と学問の統合を何処まで図っていけるかに今後の課題がある。
2) ボランティア体験は,「上越教育大学(上越・妙高地区連携)スタンダード」が平成21年度より活用され,到達目標の一つとして,ボランティアに参加して地域社会の一員として責務を果たすことを広く呼びかけた結果,履修者数の増加が続いていた。しかし,ボランティア体験をP1からL0.5,P0.5の授業に改正し,単位修得に必要なボランティア実施時間が30時間から15時間に半減した結果,参加延べ人数が前年度を下回ることとなった。今後は,単位修得に必要な分以外にも積極的にボランティアに参加するよう指導していく必要がある。また,学生のマナー向上にも引き続き取り組む必要がある。
3) ボランティア体験は履修者数及び受入機関数の増加により,事務作業が非常に煩雑となっている。そのため,平成24年度から稼働できるように,ウェブ上でボランティア申請が行える新たなボランティア受付システムを構築した。
4) 履修者数の増加に伴い,ボランティアの受入機関から一部の学生のマナーの悪さが指摘されていたことについては,学生に対する指導を徹底したことにより,一定の向上が見られた。しかし,依然として無断欠席等をする学生がいることから,今後も指導を継続して指導を行う必要がある。
5) 体験学習は,昨年同様まとまった時間が必要で,週のコマ内で展開することは容易でなく,土曜・日曜・夏休み等の集中で展開せざるを得ないのが現状であり,開講するコース数の確保も課題となる。
6) 学びのひろばは,例年,年間を通じて子ども達と関わるクラブ活動を行っている。今後は活動内容の更なる充実と改善及び保護者とのより深い関わりを持つ活動に取り組むと共に,感染症や安全対策を始めとする危機管理について,対応する力を向上させていくことが課題である。